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「二人で写真を撮ろう」

新年度も淡々と進んでおります。

新入生の保護者会も終わりました。
2017年度の入学生は、2020年度の大学受験生、ということなので、「高大接続改革」で何かと話題の「外部試験」を利用した入試について英語科の担当として説明も加えました。

情報に躍らされることなく、「英語力」を身につけることを主眼として日々の学習に取り組み、それを試す場として「外部試験」を利用して欲しい。

というスタンスです。

先日のエントリーで取り上げた、「広島大学」の「みなし満点」の事例も紹介しました。
その際に、色々なところで目にする、外部試験とCEFRとの「対照表」について、適切な理解につながるように私の方から説明を加えました。
殆どの保護者の方は、進研模試とGTECの関係はあまりご存知ではないし、英検とTOEIC、TOEFL辺りは知っていても、ケンブリッジ英検やIELTSなどはよく分からないようです。

私が東京都の高英研の月例会発表をしたのが1997年、今から20年前ですが、当時の勤務校で外部試験対策講座を開講していた関係で、IELTSの二つのモジュールでのライティングの扱いなども資料を使って説明を加えていましたが、まだまだ一般には浸透していないのでしょう。

ただ、この「独り歩きしてしまってもはや誰も止められないかのような」対照表には気をつけなければなりません。

広島大学で満点とみなす「四技能対応の外部試験」で、日本の英検(実用英語技能検定)の準一級とケンブリッジ英検のFCEが、「対照表」では同じ扱いなのですが、私が専門と称する「ライティング」の出題で、両者を比べたことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

まずは英検。

準1級の過去問・対策(英検)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/solutions.html

2016年度の第3回の問題がこちらからダウンロードできます。(期間は限られています)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/pdf/201603/2016-3-1ji-p1kyu.pdf

このpdfファイルのp.14にライティング問題 (ここではcompositionと呼ばれているようです) があります。
与えられたお題に従い、四つの観点を含めて120-150語程度で書くことを求められています。お題は1題で、所謂「意見文・論証文」です。筆記試験には語彙や文法、リーディングも含み、試験時間は90分。リスニングテストで30分。合計で120分となっています。



次にケンブリッジ英検。

Cambridge English: First (FCE)
Exam format
http://www.cambridgeenglish.org/exams/first/exam-format/
ライティングセクションは、2つのパートで構成され、このセクションだけで1時間20分の試験時間が割り当てられています。サンプルはこちらにあります。(zip ファイルですのでご注意下さい)
http://www.cambridgeenglish.org/Images/174037-first-2015-sample-papers-1.zip

ライティングとは言っても、”letters, reports, reviews and essays” という多様なジャンル、テクストタイプ (text types) をカバーすることを求めています。


ケンブリッジ英検のFCEのPart 1 の形式って、英検準1級の形式に似てますね。え?ギャグ?いや、逆ですかね?
分量は英検の120-150語に対して、ケンブリッジは140-190語。この差は何によって生まれますかね?何によって埋められますかね?

ケンブリッジ英検のPart 2は3つのうち二つを選べばいいので、与しやすい印象を与えますが、どれを選んだとしても、Part 1のお題では測れないライティング力を診ようという「狙い」がよくわかります。なぜ、この試験に First という名前がついているか、重みが伝わってきます。

でも、この二つの異なる試験の「ライティング技能」って、同じ扱いでいいんですかね?
広島大学に限らず、これから「外部試験」を利用しようという大学は増えるように思いますが、ケンブリッジ英検のFCEを受験生に要求しますか?

私なら、高校生に求めるライティング力としては要求水準が高過ぎると思います。
ケンブリッジ英検には、このFCEの下に位置づけられる Preliminary (= PET) という試験があり、その試験での上位合格で充分かと。(適切な理解がされていないこともあり残念ですが、学校などの教育機関で学ぶ人を対象とした、PET for Schools も同じ扱いで、GTECの学校団体受験やTOEFLのITP版などとは違って、合格が公式に認められる試験です。)

PETの概要はこちら。

http://www.cambridgeenglish.org/exams/preliminary/exam-format/

サンプル問題はこちらから(zipファイルですのでご注意下さい)。
http://www.cambridgeenglish.org/Images/23318-preliminary-sample-paper-6.zip

PETでは、筆記試験はリーディングと合わせて90分。
ライティングのセクションは、3つのパートで構成され、7題。
Part 1は所謂「語彙と文法」の空所補充完成が5題。ただし、選択肢はなし。
Part 2 は状況設定のある「お題メール」で、35-45 語。
Part 3 は選択問題。Part 2より長い返信メール (100語)、または、書き出しの与えられた物語文の創作(100語)。

「こんな問題では大学入試としては易しすぎる!」と息巻くのではなく、東大や一橋大や金沢大で過去に出題された、「写真」「絵」を元にした「描写文」や「創作物語文」の基礎として捉えられればいいのですけれど、何かに囚われているとそういう頭の切り替えが難しいのでしょうね。


さて、
今年度から、学校全体として「全ての教室に新聞を」と題したメディア・リテラシー養成、クリティカル・シンキング育成の新たな取組が始まりました。
今朝、教卓の上にあった二紙とも、1面には「フランス大統領選」についての記事があり、決選投票の見込み、という見出しと候補者お二方の写真が並んでいました。

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この企画が表面的なものとならずず、定着することを願っています。


肝心の授業の実作も淡々と進んでいます。
高3は「診断テスト100」が先週末で70まで進みました。1題の診断テスト分で、ノートの1ページを使って、今後の学習の足場を作ってもらっています。問題集でも模試でもいいのですが、できれば、自分で読んだり、聞いたりした英語から、または自分で表現した英語から、関連事項をこのノートに記録していけると、試験のスコアや偏差値では測れない自分にとっての意味・価値のある「英語発想&表現ノート」が出来上がると思います。

読解系の授業では、昨年度の反省から、類書と比べてできるだけ被害の少ない「英文」を求めていましたが、そうすると英文の難易度が上がるので妥協の産物で選んでいます。

例によって、私の手書きノートをば。

SB_1_1.jpeg 直
SB_1_2.jpeg 直
SB_1_3.jpeg 直
SB_1_4.jpeg 直

・時制の統一
・結論での主題への収束
という観点での読み直し(書き直し?)が求められる素材です。
第3段落からの展開に難がありますが、webで出典はヒットせず。

今日の授業では、

第3段落で、general な話題を振っておいて、それを回収せずに第4段落が始まった感じですね。ここは、「月の運行」の話だけに、「新月」で見えないんでしょうか?

太陰暦では、1年を構成する日数が足りない問題を、太陽暦の採用とうるう年の採用でどう解消したのか、という部分の考察・記述が甘く、浅いので、最後の一文が何か取ってつけた、紋切り型に響いて終わってしまう。Leap Yearが出てきたので、途中の理路整然としたサポートも「跳んだ (leapした)」んですかね?

とコメントをつけておきました。いや、このような英文で入試の合否が決まってしまうわけでうから、笑っている場合じゃないんですけどね。

こうして見て来ると、旧課程の英語IIBやリーディングの「検定教科書」でオリジナルを改編せず収録していたものであれ、教科書著者による書き下ろしであれ、 Reading Course というものをちゃんと作っていた方たちを改めて尊敬します。

高2は産みの苦しみです。
教科書を「身につける」ことの重要性をどれだけ切実に感じているか。「インプット」とか「インテイク」とかラベルを貼って誤魔化さないで、地道な取り組みをすることを求めています。

昨日は、本文の読みが終わってから、教科書のTM付属の “Easy Versions” と本文の読み比べ。オーラル・イントロダクションをしないので、この「易しい版」を足場として、本文と行ったり来たりができるかどうか。ともすると、この「易しい版」にも、いろいろ書き込みをしないと分からない、と思いこんで、いつまで経っても自分の英語が育ちませんから。

今日の授業では、ひとつの課を通して、Q&As。
まずは、質問の空所を聞き取り書き取る作業から。意味順と助動詞の番付表、そして足跡ですね。
ただ、多くの教科書の内容理解の設問は Wh- による事実確認から、直ぐに「推論発問」に跳び、とかく、personal involvement な質問で、自己表現させようという欲目が目立ちます。

Open questions と closed questions とを合わせ鏡にして、的確に情報を引き出す訓練がもっと必要でしょう。

先週の土曜日課外講座を利用して『P単』の「100個一気食い」をやったばかりですが、日常の中にどれだけ丁寧に仕込みの時間を作れるか、が大事。そもそも、その日本語がどんな意味なのか?を知らないことだって多いのだから。それを踏まえた上でのコロケーションの類型化、記憶の引き出しから引っ張り出すトレーニングを積み重ねられるか、ということです。

学校設定科目の「クリエイティブ英語」では、『コーパス口頭英作文』での、1秒反射を目指します。
日→普通の速度の英→やや速い英、という(モデル)音源の構成を最大限に活かして欲しいものです。浦島先生も、この音声の収録方法の特許を取っておけば良かったのに…。

高1は、文字指導、発音指導から。
文字の形、フォント、文字の名前と発音。「フォニクス」的なアプローチも取り入れています。
筆記具の持ち方から、文字のプロポーション、バランスを経て、縦書きドリルへ。

先週の土曜日課外で扱った教材はこんな感じです。

短単春期課題発音縦書きドリル.pdf 直

『短文で覚える英単語』の第1章にもとずく診断テストの振り返りから、所謂「フォニクス」的なアプローチを取り入れて、縦書き練習。
一番左のブロックを縦に読み、音読し、共通点・相違点と調音上の注意をした後で、右の下線部に、それぞれの語の縦書き練習。
罫線に沿って、同じ語を右側に何回も書く、という指導はしていません。書いても1、2回で済むように、各ブロックの単語(2〜4語)の配列に苦労しました。

この初回で、今までやってきたことがいろいろ繋がって「腑に落ちる」生徒もいれば、まだまだ半信半疑のように取り組んでいる生徒もいます。

音韻認識が育つまでは、生徒を観察しながら、行きつ戻りつ、続けることしかないのでしょう。
講座終了後、「先生、someとかmoveとかは、最後のeを読まないけど、今日やった原理原則のようにはなっていませんよね?」と聞きにきた生徒がいて、「いいところに気がついたね。」と褒めた後、少し対応し、「不規則に見えたり、例外に見えたりするものは、どちらかというと使用頻度が高い」というコメントを加えておきました。
外来語というか、英語にとっての借入語の話はおいおい。

間違って覚えてしまったり、覚えにくかったり、というのは初学者に限らず、当たり前のこと。「分割・縦書きドリル」で、ターゲットを絞って一つずつ片付けます。

分割・縦書きドリル.pdf 直

「進学クラスなのに…」と、できないことを嘆くのではなく、イマココでやるべきことに注力です。
中学校の先生方には、入門期の指導を焦らずに、そして、「中1の最初に指導したから」と思わずに、「学習材」が難しくなるのに合わせて継続的に「文字指導」、handwritingの指導を続けてほしいと願うばかりです。

今年は、どこかの学会で「文字指導」の、しかも ”handwriting” の指導法についてお話する機会ができることと思います。
詳しいことが分かりましたら、このブログや他のSNSでも告知します。
更新頻度は少なくなったこのブログや、「つぶやき」の方も、少し気にしておいて下さい。

本日はこの辺りで。

本日のBGM: 愛をこめて花束を(Superfly)