伊達眼鏡、虫眼鏡、色眼鏡

クルム伊達公子が復帰戦となるカンガルーカップ国際女子オープンを、シングルス準優勝、ダブルス優勝で終えた。本線からではなく、予選から戦っているので凄いことだと思う。ヒンギスの復帰(とその後のゴタゴタ)にもびっくりしたが、やはりダテック。世界ランキング4位は伊達じゃない。アキレス腱断裂を乗り越え、フルマラソンにもチャレンジしなどという苦労話・人情話はどこかに置いておいて、テニスプレーヤーとしての凄さをメディアは語って欲しい。引退前のフェド杯(対ドイツ戦)のビデオは今でも大事に取ってあるのでまた見てみようっと。
本業は1泊2日で他校との合同練習。
施設・宿舎の手配、艇の用意など下準備は私一人で。ホームである自チームがやるべきことは、いろいろあるのだが、新人だらけの状況ではまだまだ無理。その分、練習に集中するかというと、航行ルール、用具の扱いなどまるでダメ。練習にならない。準備していたことの1/10も出来なかった。もっとも、その程度しかできないのは、そのような教育や訓練の成果なのだから全て指導者たる自分の責任である。
その分他校のクルーを見る。毎月の県の強化合宿でも指導の重点は実績のあるチームが多くなり(まあ、それがスポーツの世界では必然なので)、この選手たちはあまり長時間にわたって手厚い指導を受けてこなかったという経緯もあるので、この機会に充実した練習が出来たことを祈る。その様子を横目で見て、どれだけ自チームの選手が意識を変えるか。双六でいえば、「ふりだしに戻る」のを厭わないということだ。

先日の記事の内容に思わぬ反響があったのだが、少し(?)感じたことを書いておく。

地元の高校でも英語教育で熱心に指導を続けている方々がいることは重々承知している。しかしながら、保護者同士の口コミで広がる情報というのは、必ずしもプラスのものだけではないし、自分の選択を意味のあるものだったと受け入れたい心理が働くので、他校との比較で「やっぱりこの学校を選んで正解だった」と思えるような情報に耳を貸しやすいということだ。ただ、私自身、生徒としては地方公立の中堅進学校の出身ではあるが、教師としては基本的にいわゆる「進学校」が好きになれないので、基本スタンスは進学校に辛くなってしまうわけです。
進学校には進学校の苦楽があるし、困難校には困難校の苦楽がある、というのは簡単ですが、心底そう言える人とはどんな人でしょうか?生徒として困難校の出身で、教員となり進学校に着任した人?生徒として進学校の出身で、教員となり困難校に着任した人?教員としてどちらの学校でも全力で生き、全力で生徒と関わった人?(一応過去ログ参照→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050304
いわゆる困難校を進学校に変えた管理職なんかが時々メディアに取り上げられたりするんだけど、その進学校が年々実績を上げ続けるようだと、進学校に変わる以前にその学校に来ていた学力レベルの生徒は、進学校に変わってからは恐らく入学できていないと思うんだよね?常識的に考えれば、入学選抜で学力試験(検)を課す場合は、一定の点数以上の生徒を入学させているわけで、「一定点数以上の生徒は却下し一定点数以下の生徒の方を入学させて、これだけ伸ばしましたよ」などという学校は寡聞にして知らないし、そのような経営戦略が妥当とは誰も思わないだろう。
教員の口コミという点では、私などはまだこの土地にきて一年で、地元の高校の英語の先生も、中学校の先生もほとんど知らない状況なので、「コミ」ようがない。自分の回りの声を地道に拾うわけですね。自分の授業の成果をアピールしようにも、塾は相手にしてくれないし、中学校も生徒を送ってはくれないので、このブログを書くことくらいしか手だてがないわけである。(例によって、地元の中学校の先生などは読んでくれずに、他の地域の人が熱心に読んでいてくれたりするのだが。)風評一つで定員割れを起こしたりして、死活問題となる学校でいくら地道に良い英語教育を行っているといっても、「世間」が耳を貸すことは稀でしょうが。
まあ、自分としては、今与えられた環境で最大限に努力して、いい授業を行っているという自負はあるので、それを正当に評価してくれる人が増えてくれるようにブログを書き続けているといってもいいでしょう。
というわけで、そんな学校の教師が、公の場で一矢報いるとかささやかな抵抗を見せるというのは気にしてみる価値があるのではないかと思うのです。
今年の秋に、私の現任校のある山口市を拠点として以下の3人を講師として招いて主として中学校の先生を対象とした英語教育のイベント(セミナー、ワークショップ)を企画しております。詳細が決まりましたら告知致しますので今しばらくお待ち下さい。
・ 田尻悟郎(関西大学教授)
・ 久保野雅史(神奈川大学准教授;元筑波大学附属駒場中学高等学校教諭)
・ 阿野幸一(文教大学准教授;2008年度NHKラジオ「基礎英語3」講師)
日程の調整に難航しましたが、お三方とも講師を快諾して下さり、感謝に堪えません。
そうそう、このイベントでは私もライティング指導・評価に関連して情報発信をさせて頂く予定です。

本日のBGM: The World Isn’t Fair (Randy Newman)