Questions teachers ask

夕飯のとろろが効いたのか、快適な目覚め。
朝食でも残りのとろろと味噌汁で一膳。妻に「納豆はどうする?」と聞かれたので、「今日はいいや」と答えそうになって、思い直し。「もうちょっと、ご飯下さい」と、挽き割りで。ナットウキナーゼを摂取して脳の血管のメンテナンスを図っておかないと。

商業科の「分詞構文」は、解説のプリントで補足。
普通の高校2年生はどんな英語を学ぶのか、という参考例として、前任校の英語II で4月の最初に使っていたワークシートを印刷して配布。たまたま乙武さんの話題だったのだなぁ、この時は。
導入で「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」などの切り口で英語として身につけておくべき表現を扱いながら、テーマ・主題に迫り、「今月の歌」で、母と父と子というキーワードを押さえて、母の日、父の日のメッセージも含めて、”Babyhood pictures speak louder than words.” というスピーチを書いてきてもらい、そこから英文だけを抜粋して印刷し、教室内で次から次と質問し、絞り込んでいく中で本人を当てるという活動をさせていたのであった。 (詳しくは過去ログを→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050506)

Here & Nowの実作は、名詞節のif。私の授業で言えば、「ワニの口」シリーズ。いつものように、「ワニにウンコをもらさせるな、ゲロを吐かせるな」という下品なことばが飛び交います。私の好きではないT社の辞書が学年指定となっているので、辞書指導と連動した例文の扱いにいつも苦労しています。まずは、ディクテーション。聞き取り書き取りでワークシートに書いてみて、意味を考え考え、前後左右の席で情報交換。周囲が頼りにならない場合は、少し旅に出てもよい、といってあります。たった2文でも結構大変。そこから、辞書の該当ページを開いて、例文と意味の確認、そして必要に応じて自分の書き取った英文の訂正。そこから板書で、記号付けの確認と頭の働かせ方の徹底。
範読に続いた音読、backward build-up、vanishing techniqueを経て、本文の読みへ戻ります。語句などの部分の理解が深まり正確にわかるようになったら、全体の理解がそれに応じてどう変わったか、語と語の並べ方と形合わせの文法の仕組みがわかったら、それに伴って全体の理解がどう変わったか、を意識するよう求めています。日→英の意味順送り再生まで課して、語彙指導のワークシートを配布。英英辞典的定義文を使いこなすための頭の働かせ方を学びます。

進学クラスの1年は低調。学ぶということを知るまでは結構厳しい道のりになるでしょうね。
2年は、「いきものがかり」のフォローで、定義文に習熟することで、英語力を伸ばすためのヒントをあれこれ。続いて、『やれでき』で不定詞。今まで授業で扱ってきたことをどのように活かすか、問題演習よりも大事なことにフォーカス。

  • It is necessary for us to ….

などといったいわゆる「形式主語」を用いた文を日本の高校生が書く場合に、そこで選ばれる形容詞がいかにリアリティを感じさせないことが多いか、その文から体温が伝わってこないか、ということを指摘。同様に、

  • It is stupid of him to ….

でも、どんなときにその文で、彼の愚かさを指摘するのか、をよく吟味すること、と言って、

  • ホワイトボードにまだ貼ってあったキムヨナの写真の左前方まで私が歩いていって、彼女の視線の先になるであろう場所に立ち、手を振る。

という愚行を披露。
まずは日本語でいいから、形容詞と具体的な言動との連想、マッチングができるような「自主トレ」をしておきなさい、という宿題。「リーディング」で、具体的な行動・活動から、キーワードとなる形容詞を引き出す練習とも底流でつながっているはずなのですから。

いつもより遅い帰宅で夕飯は担々麵。
和歌山大の江利川先生のブログで、「筆記体」に関わる報道を知る。「文字指導」が正しく理解されていないことをあらためて知ることでもある。
英語教育の歴史的考察では江利川先生に取材をしているのに、文字指導の現状や問題点に関しては、聞くべき人に聞いていない。取材側に「専門家」に関する適切な情報がもたらされていないのだろう。大名力先生とか、手島良先生に聞くべきだと思った。
文字指導ついでに、こちらのサイトを。

英語教育を応援しているのですよ、というようなメッセージが感じられる記事もあるので、時々読んでいたサイトなのだが、この特集記事を見つけて、驚くやら呆れるやら。
この中での太田光春氏の発言を引く。この人の肩書きは、「新学習指導要領の作成に携わった文部科学省初等中等教育局視学官」とのこと。

アルファベットが書けないなら書けるようにしてあげてほしい。その子たちがつまづいたところにもどって、それを克服して自信を与えてから次のステップにいけばいい。できないからといって切り捨てたらアウトです。

流石ですね。教師の鑑。文科省なんかにいないで、今すぐウチの採用試験受けて、教壇に立って、教室で生徒に自信を与えてあげて下さい!と言いたくなる。
今日のエントリーの前半で、2005年当時の私の教室での「活動」が記された過去ログへのリンクを張ったのだが、その当時の生徒が書いた「手書き文字」のコピーがある。大学入試対策の模試では、偏差値なる指標で「60台」あたりに位置すると思われる、それなりに英語に習熟した生徒である。 ( 07年ELEC資料抜粋.pdf 直)
それまでにも、文字指導には力を入れていた。ただ、私の中でも、「文字が適切に書けない」イコール「英語の習熟度の低い生徒」という思い込みが根強かったということに、この当時の指導で気づかされた。これを契機として「本気で文字指導をなんとかしないと」と思って今日に至っている。
英語の文字を適切に書くことが出来るようになるには、どのような発達段階を経ていくものなのか?「お手本を見て、それを写す」というだけではなく、適切な指導手順が存在するはずである。では、学習指導要領のどこにそれが書いてあるのか?誰か教えて欲しい。

この夏に開かれる研修会、講座を備忘録代わりに。
大名力先生の公開講座 名古屋大学 8/16 – 8/18 「英語の書記体系─文字と綴りについて」

http://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/ohna/koukaikouza2012/index.html
翌 8/19 にはカリグラフィーの講習会も行うようです。

手島良先生の研修会  7/30 ELEC 英語教育協議会 夏期研修会

http://www.elec.or.jp/teacher/teacher02_summer.html
英語の文字の指導法
ー英語圏の小学校における指導も参考にー



「手本を見て繰り返し書くだけ」からの脱却・学習者が退屈しない多角的な指導・書きやすく読みやすい文字の選択・配布物のフォントへの配慮・音との関連を考慮した文字や綴りの指導・続け文字への無理のない移行

日本でこのような講座が開かれることを喜びたい。
ただし、まず蒙を啓かれるべきは、文科省の学習指導要領策定の担当者であろう。

本日のBGM: 明日を生きよう (Live Version) / 佐野元春 The Sun Live at NHK Hall