「『双六』理論」はまた後日

朝は立哨。予報よりは寒さが緩かったので助かった。
授業は今日も1年生で二コマ。
進学クラスはやり直し課題の仕上げ。
並行して、比較・程度表現や様態・比喩表現で用いられる asの用法をハンドアウトを作って概観してもらう。副読本で「物語文」を重点的に扱ったので、ほとんどが既習で身についている、というまではいかないが、既に「遭遇済み」の項目となっている。
事実の記述と印象の描写の対比、絶対的な評価や特質の記述と相対的なものとの対比、即物的・写実的な描写と情緒的な表現や誇張といったそれぞれの表現の持ち味や話者の意図を含めて解説。その後、as if へ。ifでの「現実離れ」を一回、ぐるっと巡って、「遭遇済み」のasと合体。各自へ与えた週末課題は、これまでに読んだ副読本から as if や比喩的な表現を抜き出す、というもの。

○○さん、「なんだよ、先生が読めっていうから、一冊読んだけど、一回も出てこなかったよ。」と文句を言うのではなく、自ら進んで、2冊、3冊と読み進める。「また、はずれじゃん!」と振り返りや歩みをやめてしまうのではなく、自分の取り組みに胸を張って、「ハズレくじ」を引き続けるくらいの心持ちが大事。10枚目を引いて、それでも外れてしまった時でも、そのハズレくじ10枚をまとめて、「はいっ!!」と私に差し出し、景品と交換してもらう、くらいの度量の大きさが学びには必要。

と、生徒一人を例にとって、「『ハズレくじ10枚』理論」。自分の学びを、効率の良さという物差しだけで測ってはダメ。そんなことをしていると、どんどんみみっちい、せこい学習スタイルが身についてしまうから。コクトーが生きていたら酷評されるぞ!

一方の商業科は、ユーロの続き。週の最後の授業で、キリの良いところまで進んで安心してしまうと、週明けの授業までの4日間のインターバルで忘れてしまうことが多いので、どこまで加速させるか悩ましいところ。
前時には、「スイスが例外」として、

  • Even so, you can use them in many European countries.

の "many" の説明をして、 ユーロ圏十数か国の硬貨の片面の写真とスイスフラン硬貨の裏表の写真を配置して印刷配布済み。
そのユーロ硬貨の写真を見て、「絵柄が違う」ということを英語で表現し、さらには「違う国のユーロでもユーロ圏では使える」ことにスポットライトを当てた表現を作る練習。全然、自己表現ではありませんが、

  • A is different from B.
  • But you can use the C euro in D.

という「型」にはめた英語表現の練習。
その中で、「国名を表す名詞と、それに対応する形容詞」を繰り返し繰り返し口にすることも狙いとしています。
辞書には欧州の地図も載っているので、それも活用して、カタカナの国名から、英語での国名、そして対応する形容詞へ。
FranceとFrenchくらいはカタカナとの違いがそれほど大きくないからスムーズに出てきても、Italianという形容詞と名詞の Italyの対応の規則性など、まず初学者には分からないし、語源とか英語史的な説明を施しても無駄。それよりは、上述の枠組みの中で繰り返し使うことで、「慣れ」てもらうくらいが良い落としどころでしょう。授業でも、

  • 日本語のカタカナでも、「フレンチ」とか「イタリアン」とか、料理で使っているね。

と言ってはおきましたが、日本語で定着しているのは、「フレンチの巨匠」とか「イタリアンの鉄人」など、むしろその形容詞そのものを「名詞化」して「フランス料理」とか「イタリア料理」となったものでしょう。カタカナを使うとはいっても、日本語では「フレンチ料理」とはあまり言わないでしょうから。
ドイツとGermanyとGermanだと、「最後が -manで終わっているのに、名詞じゃない」と違和感を覚えていた自分の中学生の頃の思いを忘れてはいません。さらに、オランダがHollandまでは許せても、なぜ形容詞はDutchなのか、納得するには、世界史の授業で頑張ってもらうしかないでしょう。最近、巷でよく聞かれる、「フィンランド式」「フィンランド型」などという形容も、英語で言えば「形容詞」を選択するわけですから、Finlandに対する、Finnishではnが二つ並ぶのに、SpainとSpanishではnは一つ。大変なんですよ、本当に。
ここからは個人差が物凄く出てくるところ。英語表現を板書し、空所に適切な国名と形容詞を入れて、文を完成し、口慣らし。各国を取り上げ、いろいろな組み合わせでスラスラ言えるようになったら、裏面に書く。自信を持って言えるようになったら、ペアで、一人は前半部分を言って、その情報を聞いた上で、もう一人は But 以下の文を作って反応する、というのが私の描いた「絵図」です。来週のお楽しみ。

職員会議を経て帰路。

帰宅途中で、『英語教育』と『新英語教育』の3月号を購入。『英語教育』では、3月11日 (日曜日) のELECライティング研究部会・公開研究会の告知も出ていた。
また寒気が入ってきたような感じ。
夕飯は、ペペロンチーノで大蒜を利かせてもらった。
晩酌も少々。引き続き、「義侠」と「勝駒」。
今日は妻も一口飲み比べて、「これは『勝駒』の勝ち!」と宣言。
確かに精米歩合の差もありますが、今年の「勝駒」の出来は例年以上に良いと思います。

  • 林竹二・竹内敏晴 『からだ=魂のドラマ 「生きる力」がめざめるために』 (藤原書店、2003年)

を再読。学級文庫に入れておこうと思う。

本日のBGM: King Horse (Elvis Costello)