”with pride in our ownership”

今日は、進学クラス高1の、仕切り直しボード添削からスタート。
少しずつ、「例文を生き直す」ということがわかってきた模様。この調子で。
動名詞の意味上の主語に関して、代名詞になった場合の、格への対処を少し解説。
残り時間15分くらいで、名詞の前置修飾となる、-ingの識別の課題を与える。用語をどうするのかというのは結構面倒なのだが、その指導者の中で一貫していて、その指導者から学ぶ者が迷わずに身につけられば良いのだろうと思う。
この項目は、過去ログで振り返ると、以前は高2で扱っていたようにも思う (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20090609) が、やはり、 “a sleeping car”の –ingを「現在分詞」、と分類するのは無理があるだろう。こういうことを学参や問題集で書く人は、高校生レベルの英文法を本気で復習した方が良いと思う。
高3普通科の再入門講座は、練習問題の10例文への挑戦。
週に2コマしかないのは同じだが、こちらのクラスは、月曜日にやったことなど、ことごとく忘れてしまう強者が多いので、復習でお手本の4例で、文から名詞句へと丁寧になぞっていく。頭の働かせ方をしつこく解説し、言葉にして書き取らせた後、音読を繰り返し、さらに新たな練習問題のうち、1問目を例にとって、どのようなことが求められているのか解説してもなお、的外れなことをやって、間違った地図を敢えて進んでいく者がいるのだなぁ。邪気を吸い込まないように、丹田丹田…。
商業科1年は、教科書の英文の読み。
記号付けに関して、どのように英文を読む時に頭を働かせているか、think aloud。わからない時に何をしておくか、を解説。必要に応じて、自分の記号付けを修正・訂正し、メモを取るよう指示。全て口頭で。当然、日本語です。言葉を聴いてその処理ができることが、ほとんどの生徒にとってまず身につけなければならない「スキル」ですから。板書をして説明をした箇所は、一カ所。

  • They build their houses and grow vegetables in gardens on the water.

での、andのペアで、

  • in gardensはandを越えて、their housesにかかるのか?
  • では、on the waterは?

という部分。growに2、buildに1とナンバリングをするのは簡単ですが、ではどことどこが並列なのか?というのは、スラッシュで切って進んでいるとわからなくなりがちです。並列の構造と因数分解の構造の処理が、このレベルの英文でも要求されていることに「気づかせる」わけです。
各自でつけた記号の修正を終えた前半のパートまで、各自に音読の下準備の時間を与える。英文をスラッシュで切って、そのスラッシュごとに日本語訳をしながら進んでも、文の最後に「?」となる者が多いので、裏面にはフレーズ訳。意味がわからないために、どうして良いかわからないということはありません。個々の内容語、チャンクでのまとまりは、この前のセクションで意味・音・綴り字とも既にカバーしています。ということで自力で読んでいき、どうしてそのような意味になるのか、という、語順と意味順での処理を身につけることが大切。
机間指導では、自分一人になると上手く読めないところは、その前の「語句の仕込み」のセクションに戻れる、意味の確認は裏面へ、とだけ指摘。

  • なんて優しい先生なんでしょ?

と生徒達には言っておきました。聡い生徒は、どんどん先へ進めるように配慮したシステムでもあります。
その前のセクションに戻ってわからないという者は、その前の授業で命の無駄遣いをしていたわけですから、悔い改めて、必死にこの時間を生きることが求められます。他人の記号を写してその場を取り繕っても、所詮は付け焼き刃。自力で次の課題に取り組む力にはなりません。「できない言い訳ができないシステム」とはそういうことです。生徒によっては、もどかしさが自分を支配しそうになったり、自己肯定感がshrinkしていきそうになったり、生徒によっては徒労感とか、虚無感を通り越して、私への怒りすら感じることでしょう。でも、それが今現在の自分の居場所なのですから、そこからしか自分の学びの仕切り直しはできないと思っています。自分の学びなのですから。
進み具合を観察し、ほぼ全員が前半のパートを乗り越えたところで範読を一回。一回目は、articulationを超明確に。ここは生徒には繰り返させません。さらに範読をもう1回、より自然なリズムで。ひたすら清聴・精聴。一回聴いて、うむむ、となり、「もう一回聴きたい」、とか「もう一回聴ければ」、と思った、その時に、生徒が集中力のアンテナの感度を上げて教室の空気感に変化が起きるように仕向けています。フォニクスでの基礎基本が一回りする3学期くらいには、1回しか聴けなくなくなるんですけれど…。
ここであらためて、各自で音読。文字通り、buzz 音読ですね。流石に、口パクで誤魔化す生徒はほとんどいなくなりましたが、英語の音声はまだまだ。週3コマしかないので、いたちごっこかモグラ叩きか、という感じで、毎回、物凄い疲労感で準備室へ帰ることになりますが、これが今の私の実作です。

放課後は職員会議の日なので、本業はオフにしていたのだが、会議が中止になってしまったので、浮いた時間で、『チキチキバンバン』 (1968年作品) のDVDを見る。007でお馴染みのイアン・フレミングが原作、脚本がロアルド・ダールのミュージカルです。お馴染みのテーマ曲の聴き取り書き取りも。
先日、準備室の方で昼休みに前半だけ見ていたのだが、あらためて全部を見て、良い時代だったな、とちょっとノスタルジア。シャドウイングでちょっと躓いたのが、後半で、歌詞に “Chitty” が割り込んでくるところ。でも、一緒に歌えると快感ではあります。英語劇やりたいなぁ…。

Oh, Chitty, you Chitty, pretty Chitty Bang Bang
Chitty Chitty Bang Bang we love you
And Chitty, in Chitty pretty Chitty Bang Bang
Chitty Chitty Bang Bang what we’ll do
Near Chitty, far Chitty in our motor car
Oh, what a happy time we’ll spend

今度、この歌でぐるぐるやってみようかしら。

職場に届いた、

  • 『ほっかいどうの通訳者たち』(北海道通訳アカデミー、2010年)

を家に持って帰ると、家にも本が届いていた。

  • 渡辺孔二 『大学受験 英語長文速読ゼミ30日』 (吾妻書房、1978年)

いやあー、ようやく取り戻しましたよ。私の青春、といっては大げさだけれども、高校生の時に読んでいた問題集です。
「はしがき」から引くと、

従来の問題集は、文学作品、それもあまりに有名な作家の小説に偏りがちであったので、その点に注意して、最近の入試問題の多様さに合わせて問題文を選び、30編のうち、5編だけを小説にして、あとの25編は、いろいろな分野からのものにした。論説調の25編の中には、科学、人類学、心理学、経済学、言語学などの分野で活躍中の人たちのものをかなり入れてある。
注はすべて英語でつけてあるが、注の英語も読解力を養えるよう工夫してある。(注の英語は、一応英和辞典を引かなくても読めるはずであるが、もし読めない場合は必ず意味を確かめるだけの努力をしてほしい。)
30編の問題文は、易から難へと進めるように配列してある。26日あたりからは、かなり手こずるかも知れぬが、苦しみに耐えて、理解できる喜びを味わってほしい。

その、苦しかった最後の5日間のうち、第28日目がこちら→渡辺孔二.jpg 直The Loved One (1948年作品) の一節です。
ウォーを初めて知ったのが、この時でした。高校入試のあたりから、間違って定期購読したTIMEを読み続けていましたから、論説文はまだなんとかなりましたが、小説から抜き出されたこの場面は、何か得体の知れ無さ、というか、「畏れ」というものを感じたのを覚えています。
高校を卒業する時に、後輩に譲ってしまったので、教師になってしばらくしてから買い直したのですが、それも異動で職場の引っ越しの際にどこかに行ってしまい、それから15年以上探していたので感慨深いです。自分が高2,高3の頃に、読解の参考書や問題集は40冊以上やりましたが、一番印象に残っている学参が、倉谷直臣 『誰も教えてくれなかった英文解釈』 (朝日イブニングニュース社)、問題集が、この吾妻書房の『長文速読ゼミ30日』と、『英文読解ゼミ30日』 (過去ログ参照→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20101025) です。
つまらない英文を読むことに現を抜かす高校時代じゃなくて本当に良かった、と今思います。
『英語版・高ため三部作』いつの日か、実現したいものです。

木村沙織の天才ぶりを見て就寝。
本日のBGM: Anachronist (Robert Wyatt)