shapes, textures and tastes

クリスマスは合宿しておりました。
終業式を終えて、選手にはすぐに弁当を食べさせて遠い方の湖まで。
リギングは前日の祝日に済ませていたので、到着後、全体練習の前に一回出艇し、カタマランで併走しながら基本の確認。結果としてこれが功を奏したといって良いでしょう。
サンタさんではなくOコーチをお招きして、約二時間のトレーニングセッション。湖は冷え込み、ボディブローのようにカタマラン上のコーチたちの身体にダメージを与えていきます。選手たちは寒さをものともせず、果敢にスピードを出していました。自チームの選手は今期最高の出来。エントリーまわりで足が止まらず、初動がスムーズになってきました。やはり、合宿で併漕すると刺激を受けるのでしょう。成年チームのエースH選手が淀みのない滑らかな加速で高い艇速を見せ続けてくれたので、まわりの高校生たちも高い集中力を維持できて良かったです。これが近い方の湖でも出せるといいのだけれどね。(揚艇後H選手に聞いたら、漕げども漕げども身体が温まらなかったそうな。)

二日目は、気温が低い上に風が強かったので、体育館でエルゴでのトレーニングとなりました。
午前中の一部の選手たちの様子を見ていて、どうなることかと心配しましたが、Oコーチの模範エルゴも久々に披露され、収穫は大きかったと思います。自チームの選手は一番深いポジションが確認できたことで、出力もアップしました。冬期のエルゴトレーニングで陥りやすい罠に気づくことが出来た選手は、春に飛躍が期待できるでしょう。
順番を待っている間の高校生に陸トレのお手本を示していたので、これを書いている今少し筋肉痛。
コーチを新幹線口まで送り届けてから帰宅。
ジャルダンから珈琲が届いたので妻に「参番」を淹れてもらい、一緒にケーキを食べながら、録画しておいた全日本の男子SPを観戦。小塚選手が文字通り抜群。演技構成点で9点がついても文句を言わないだろう出来だと思うのだが、細かいところでまだ、高橋選手との仕分けがあるのだろうか。これからスケートを始める少年たちは、ラッキーです。この演技の映像をお手本として見られることに感謝しましょう。
放映がこの局だから仕方がないといえばそれまでだが、カメラのアングルはもう少し何とかならないのだろうかと思った。スピンの時に上方から写す場面があったのだが、カメラアングルが固定されておらず選手の斜め上から回り込むように写していたので、軸がぶれてトラベリングしているのかと錯覚したほど。よく考えてみて欲しい、観客の誰一人として、真上から見るものなどいないのですよ。

前回のブログ記事の「自由英作文関連」の反響が大きく、溜まったメールへの返信などを終え、一息。
そのうちの一部をご紹介。

  • まったくおっしゃる通りで、私も自由英作文などより和文英訳の方がはるかに生徒の英語力の向上に役立つと思っています。例えば、「私はその国についてもっと知りたい」を大半の生徒は、I want to know the country more.と書いてしまいます。確かにこれでも通じなくはないと思いますが、I want to know more about the country.の方がずっと自然な英語だし、当然意味も違うわけです。そしてこういった言語表現を磨いていくための手段として、表現より内容に目が行きがちな自由英作文より和文英訳の方がずっと有効なのではないかと思います。そもそも自由英作文で論理的な英文が書けるようになるためには、論理的な英文を読みその文章の論理的な展開を追っていくのが先なのではないでしょうか?
  • 自由英作文を使って、マクロ構造や論理展開といった自由英作文特有の知識や技能を伸ばすこともできれば、表現しようとしてできなかった内容をもとに和文英訳をすれば、ミクロ構造の知識も指導することができます。和文英訳の欠点の1つは、他人から与えられた、自分では表現したいとも思っていない言葉を、ただ「タテのものをヨコに」置き換えるがごとく「変換」することが、「知識」を増やしはしても、運用できる「技能」になかなか結びつかないということだと思っていますが、指導の局面では、自由英作文の指導に組み込んでいくことで、その欠点が解消できると思います。そういう、指導の局面では可能な自由英作文と和文英訳との連係が、測定の局面では難しいというところが、大学入試の難しい部分なのかな、と。本気で自由英作文の出題に意味を持たせるなら、もう採点のポイントを公表してしまって、「パラグラフの構造が整理して作れているか、論理展開に無理がないかを評価します。文法・語法のミスは、意味が採点者に伝わる限り減点しません。」ぐらいのことを言わないと、大学が測定したい力は測定できないし、高校への波及効果も期待できないと思いました。
  • この間の英作文ファイルといい、今回のブログ&解答例といい、思わずプリントアウトしてじっくり読ませて頂いています。今回の解答例ブログも、まずは先生の持っている統語・語彙知識力に脱帽でしたが、その上で私が (私の立場で) しみじみ感じたのは、高校レベルの自由英作文できちんとした論証を基に論理的な文章を書こうと思えば、それだけの英語力と共に、やはり己の中にしっかりとした「思考力」が必要なんだということ、そして、それには中学校ひいては小学校において「自分で考える・予測する」力を身につける大切さでした。

やはり、問題意識を共有できる人の存在は勇気づけられる。自分の考えをしっかりと発信している人の受信する感度が高いのか、受信する感度、感性が高いから、咀嚼、消化吸収が上手くいって、発信に豊かさをもたらすのか。「心焉に在らざれば視れども見えず」ということなのでしょうね。

夕飯を終え、女子のSPを観戦。
個人的には安藤・浅田の順だと思ったのだが、まずは浅田選手の復調を喜びましょう。この二人はモノが違いますね。番組自体には注文が少々。このTV局の女子アナウンサーは本当にインタビューのスキルが拙い。少なくとも、昨シーズンのプログラムから、今シーズンのプログラムへと進化した部分を「予習」しておいて、何が決め手となるのか、視聴者に「視点・切り口」を与えられるようなアナウンサーを自前で一人でも作っておいて欲しいものだ。それができないなら、フリーのスポーツジャーナリストを雇う方向で検討して欲しい。
男子のフリーは夜中の放送。録画で早朝に確認。
小塚選手、初優勝。本人はフリーの出来に納得がいかない様子だった。この優勝には、Mizumizuさんも喜んでいることでしょう。
コマーシャルあけなどに、今シーズンの採点方式の変更から、「高難度ジャンプに果敢に挑む勇気」が高得点への鍵を握るようなアピールをしていたが、転倒二回の小塚選手が優勝していることの意味をよく考えておきたいと思う。
少し古い記事だが、International Figure Skating April 2006 から、編集長のSusan A. Wessling のことばを引いておく。

  • I am not sure this scenario is what the creators of the “new” scoring system had in mind when they came up with it. But skaters in every discipline, for the most part, seemed to rush around the ice, cramming elements into programs while trying to gain every last point available. I think most people would agree that this system clearly needs a little tune-up. There were definitely moments of brilliant skating, with amazing technical skills on display. There were also times when elegance and artistry were portrayed beautifully. But, for the most part, these two aspects of the sport were not seen together in Trino.

度重なるルールの変更で、この競技の本当の面白さ、美しさ、凄さというものを伝えにくくなっているのはよく分かるが、そこを何とかするのが「プロの技術」だろう。既に、トリノから5年が経とうとしている。銀盤で魅せる者たちは進化した。それを見せる者、観る者たちの進化が今問われているのだと思う。今宵は女子フリー。まずは素晴らしい演技に酔いたいと思う。
明日は、朝から再び遠い方の湖へ。
県成年チームの強化合宿。
Your best is yet to come.

本日のBGM: Love People (綿内克幸)