♪君の窓から何が見える♪

今日は母の命日。
臆することなく、赤を着て出勤。
午前中は平常授業で、午後、奉仕活動。
授業は進学クラスのみ。高1のオーラルは歌。最近定番となりつつある、Paul Weller。何回か、映像も見せたのだが、あのサンバーストの12弦はギブソンなのかな。上手い人だとあらためて実感。The Jam、スタカン、そしてソロと単に老成するのではなく過去の楽曲にも新しい息吹を吹き込める間は聴き続けるだろうと思う。
高3は、『東大リスニング』から、自分の書いた「ポイント特講」の抜粋。もともとリスニングの教材ではあるのだが、「頭の働かせ方」を説いたものであり、読解の肝でもあり、打算的にはディスカッション問題への対応にもなるので、解説の解説。
これを書いている時は、非常勤で教えていた時期だったのに、よく仕事を依頼してくれたものだと、当時のスタッフの器の大きさに思いを馳せる。ポイント特講の英文は、厖大とまではいかない「読解」問題のデータベースから、それぞれのポイントを含む英文やパラグラフを私が抽出して解説や類題を書いている。問題本編の英文ライターも優秀だったが、一緒に作っていた久保野雅史先生と相談して、何度かライターに、ダメ出し、つまりは書き直しをしてもらったことがある。これは、『トレジャー』 (初版) を作っていたときも同じことを感じたのだが、書き下ろしで教材を作る時に英文ライターに任せっきりでは、良い教材にはならないように思う。ベテランのライターだと、自分のスタイルが確立しているので確かに嫌がられる。でも、その時は嫌がられても、日本の学習者の英語力を伸ばすための教材なのであるから、より良いものへと切磋琢磨することが重要。

  • この「ポイント特講」の部分をもっと膨らませれば、本格的な読解の教材になるのに。

と久保野先生が残念がってくれたことが最高の讃辞です。いずれ、そのうちに、自分の殻を破りたいと思います。モームではありませんが、

  • There is an impression abroad that everyone has it in him to write one book; but if by this is implied a good book the impression is false.

ですね。
授業は2コマあったので、残りの時間では、柴田徹士 『英文解釈の技術』から、英語の力をつける心構え、英文を読む際の心構えに当たる部分を読み聞かせて終了。
奉仕活動は季節外れとも言える陽気の中無事終了。お疲れ様でした。
放課後は職員会議。
帰宅したら、新譜が届いていた。

  • 綿内克幸 『Good Day Sunset』 (Mood Records, 2010年)

1994年のデビュー以来聴き続けている同世代のアーチスト。メジャーレーベルから4枚良質のアルバムを出しているが、その前に、Webbというネオアコのデュオを組んで、メトロトロンからCDを出していたアーチストと彼が同一人物だと知ったのは、しばらく後のことであった。英国系のポップな楽曲、美メロを追求し、色気のある声で魅了する。ライブで彼の歌声を聴けば、「男が惚れる男の声」という形容も分かってもらえるのではないかと思う。音へのこだわりを実感したのは、以前のシングルで『遠い旅人』を聴いた時のエピソード。シングルを聴いて、何かアルバムと違う肌触りがあったので、個人的に尋ねたところ、マスタリングを変えてあるとの答えだったので、AKG K-501のレスポンスの良さに感謝したのを今でも覚えている。

パーマネントなバンド「綿内組」との共同作業で練られたと思しき10曲が今回の新譜。まずはステレオにかけてノンストップで堪能。聴き終えて、すぐに本人宛にtweet。

  • 中盤にかけてコード感が今までにない曲が多く、やられました。綿内克幸の進化形ですね。邦楽アーチストで最も色気のある男の声は健在どころか益々磨きが掛かってました。今年のNo.1ですっ!!

DMでのやりとりでは、実感を込めて、

  • 本当に、これだけのキャリアのあるアーチストが進化することにビックリするやら、喜ぶやら。なんて言うんでしょうか、慣れ親しんだコード進行や、イディオムに頼ることなく、美メロを書けるというのは凄いことだと思います。M10.のアレンジにもやられました。

これは、今の邦楽、J-Popでは希有なことのように感じます。売れ続けているアーチストは自分の作品では大体同じような楽曲を書き続けていて、その安心感がファンを離さないという側面もあるのでしょう。このM10. の『Love People』のアレンジというか音像というか、「音触」で、まず私の頭に浮かんできたのは「ジェフ・エメリック」でした。(ビートルズの後期、そしてコステロの”Imperial Bedroom” でお馴染みの昔ながらのエンジニアです。)
ともあれ、今回の綿内作品、英国大衆音楽の古き佳き伝統を踏まえつつ、今を生きる旬のアーチストたちにも負けない息吹を感じさせてくれる、奥行きの深いアルバムになっています。

本人からのレスポンスで頷いたのが、「40代でも進化出来ました!」という言葉。

  • 今作の曲作り命題・・・ループ的な単純な進行でも展開のあるメロディを作る、いかにもな進行で緊張感が途切れるなら無いくらいでいいBメロ、綿内組メンバーとセッションして新鮮な気分で自然発生するメロディを…こんなのをクリアしたかった。 (http://twitter.com/KatsWatauchi/status/16833874151604224)

『アクアラング』のPVはYouTubeで見ることができます。
http://bit.ly/f3J6Bd
『雪の魔法』の視聴はこちらでも。
http://bit.ly/g0FvpK

粒ぞろいの楽曲ですが、アルバムのトータルパッケージで多くの人に味わって欲しい作品です。
通販はこちらから、
http://watauchi.main.jp/shop/?p=134

さあ、今度は、AKG K-501で聴かなくっちゃ。

本日のBGM: Good Day Sunset (綿内克幸)