白い世界

明け方から降雪。朝にはかなりの積雪。
大渋滞の中、約1時間かけて学校着。
推薦入試。
面接は口頭試問も含みます。
英語に関しては、sentenceではなく、 phrase でのrepetitionを課しています。詳細は内緒。
もっとたくさん受験してくれると、この手法の良さが際だつんだけどね。
面接を終えて、職員室で一休みしながら、メールのチェック。
先日の鹿児島TEFLでの金谷先生の講演の際に、英検の方に伝言をお願いしてあったのだが、柳瀬和明先生からメールをいただく。いろいろ通さなければならない筋はあるが、「山口県英語教育フォーラム」でお招きできないか真剣に検討します。昨年末のELEC協議会の冬期教員研修会も出たかったのだが、自分の講座が語研に入っていたので断念したのでした。

選考会議に出るほど偉い役職には就いていないので、早々に帰宅。
冷え冷えとした洋間で本の中に引き籠もる。
土井隆義 『キャラ化する/される子どもたち 排除型社会における新たな人間像』 (岩波ブックレット、2009年)

  • スクール・カーストでの生徒たちの序列づけも、勉強やスポーツが得意か否かによってではなく、友だちと一緒にいる場を盛り上げ、その関係をうまく転がしていけるようなコミュニケーション能力の高低によって決まってきます。いまの教室は、その能力が専制力をもった空間なのです。その意味で、コミュニケーション能力こそが自己肯定感の基盤になっているともいえます。(中略) しかし、現在は人びとの関心対象が千差万別になったことで、コミュニケーションされるべき切実な話題は少なくなっているにもかかわらず、自己肯定感の基盤であるコミュニケーションの場はつねに確保され続けなければなりません。その結果、コミュニケーションの形式やその能力だけが極端にクローズアップされることになります。/ しかし、よく考えてみれば、コミュニケーション能力ほど、その評価が他者の反応に依存するものはありません。コミュニケーションとは、その原理的な性質からして、けっして自分の内部で完結するものではなく、つねに他者との関係の総体だからです。コミュニケーション能力は、相手との関係しだいで高くも低くもなりうるのです。それは、じつは個人が持っている能力ではなく、相手との関係の産物なのです。(pp. 17-18)

指導要領を書いた人は、どのようにこの一節を読み解くのだろうか。

『ユリイカ』 (2010年1月号、青土社) は、白川静の特集。書くことに関わる人間は必読だろう。一海知義との対談の中で、石川九楊が次のように言っていて心拍数が上がった。

  • たいていの社会学者は、レヴィ = ストロースを知り、二、三の書物くらいは読んでいる。ところが、白川静の名前は聞いたことはあるけれども研究の中身は知らないというのが実態だと思います。(p. 63)

梅原猛がインタビューで高橋和巳に言及するあたりから引く。

  • 孤立無援で大胆なことを書いているというので白川さんはどこか自分と共通のものを感じたんだろうね。高橋和巳も孤立無援と言っていたけど、日本人は孤立無援で堂々と学問の大道を歩むという意識に欠けているんですよ。みんなきょろきょろとあっちこっちを見回して、大勢の人がいる道を行くんですわ。孤立無援の道は行く人は少ない。それで日本の学問、特に人文科学はダメになった。/ 日本の人文科学は人文科学の体をなしていないですよ。人文科学というのは新しい仮説を考えてそれを地道に証明することです。通説をまったく変えてしまうような仮説を立てて、通説を覆して新しい仮説を証明していく。それが学者なんですけど、そんなことをした人はあまりいない。ほとんどの人は真理の方を見ないで、ボスの方を見ている。 (p. 120)

この号では、特集以外に、『惨めな日々』と題された、春日武彦氏の連載 (?) があり、興味を引かれた。そうそう、忘れないうちに書いておくが、『ユリイカ』の来月の特集は「藤田和日郎」ですよ。ついこの間、荒木飛呂彦特集や諸星大二郎特集をやったような気がしたんだけどね。詩人も頑張って欲しい。

堀田善衞 『天上大風』 (ちくま学芸文庫、2009年)

  • 編者・文庫解説は紅野謙介氏。堀田氏は、このブログの中でさえ、私の記憶から遠ざかっていた (過去ログ→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060317) ので、嬉しい再会。紅野氏といえば、かつて『ユリイカ』の特集でそのことば (過去ログ→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060902)に出会い、ずっと注目してきたのだが、今回もユリイカが導いてくれたか。単なる偶然か。
  • 文庫のカバーイラストが宮崎駿で、これは最近の流れでは致し方ないのだろうが、これがあるのであれば腰帯での大仰な宣伝文句は要らなかっただろうと信ずる。

横川和夫 『降りていく生き方 「べてるの家」が歩む、もうひとつの道』 (太郎次郎社、2003年)

  • この「べてるの家」関連は、広島大の柳瀬先生がブログで取り上げていて、興味を持っていたので昨年末に買ってはいたのですが、ここに来てようやく読み初め。倫太郎さんもブログで取り上げたものなど、他にもいろいろ出ていましたが、タイトルが私にぴったりだと思ったので、これを選びました。

気持ちよく引き籠もり、どんどん降りていたのですが、メールで現実に引き戻される。
T先生経由で原稿の依頼。こりゃ、褌締め直して取りかからないと。

ふと気がついたのだが、今日は、亡き父の誕生日だった。
兄から、鮟鱇のお礼メール。アンコールはないからね。

ここで告知です。

twitterで繋がった、渡辺由佳里さんが企画している、「洋書ファンクラブJr」のパイロットプログラムに参加する人を募集しています。

詳しくはこちらを↓

http://watanabeyukari.weblogs.jp/youshojr/

渡辺さん自らが書いていますが、

* 本ブログと読書プログラムは、日本語圏で育つ子供たちが"言語の壁を超えて世界からの知的興奮を得られるようになる"ことと、「本を読むことの喜び」から始まり「知識を得ることの喜び」を身につける、きっかけになることを目標としています。「英語の成績が上がること」や「良い高校、大学への入学に役立つ」ことが目標ではありません。そういった点数主義や競争主義とは反対の立場を取っておりますので、ご理解いただけると幸いです。

という部分に深く共鳴しました。パイロットプログラムの締め切りが1月20日となっています。お早めにお問い合わせを!!

さて、
今夜は元旦のスペシャル以降、少し時間が空いた『相棒』。
存分に愉しんでから床に就きます。

本日のBGM: Frozen Smiles (Crosby & Nash)