週前半は淡々と。(破綻破綻ではありません)
高2の11月の歌はBilly Braggの The Home Front。1985年作品。アトミックカフェで来日した頃が懐かしい。今回の曲はテーマ性というか社会性の強い曲だったのだが、いつもはあまり関心を示さないクラスでも英語の出来る生徒が真摯なコメントを寄せてきていたのが印象的。歌詞を確定した後、日本語で歌詞の解説を加えて、「気づき・発見」のタスクを経て回収。次時にはキーワードのパラフレーズ。
今回は、
- voice → opinion / view / power of speech
- reflect on → think over / consider / look back / review
- miss → fail to see or catch / overlook / lose / let go
- independence → freedom / liberty
- promise → assurance / guarantee / hint / sign / suggestion
- inherit → succeed to / take over
- justify → account for / explain / defend / excuse
の7つ。類語辞書の活用や英英辞典での語義の確認と英和辞典の訳語を吟味することが徐々にかみ合ってきた感じ。もう一息。残り時間はサマリー。
高3ライティングは、persuasive passage の最初の課題「高等教育」の返却。
初めて書くとはいえ、あまりにも理由付けの部分の出来が良くなかったので、
- 『クリティカル・シンキングと教育―日本の教育を再構築する』鈴木健、大井恭子、竹前文夫(世界思想社、2006年)
を参考に、トゥールミン・モデルに関わる記述をまとめなおして、ハンドアウトを作成。解説を加えた。
「英語でディベート」といいながら、トゥールミン・モデルのうち、claim/data/warrantの3つのみを取り出し、「ロジックの三角形」だけを強調する「単純化されすぎた」論理的思考が蔓延しているのが現状で、特に、生徒は(教師も?)warrantの理解の不十分さが目立つ。最低でも backingまで含めたthe whole pictureを教えることが大切だろう。「高等教育は全ての学生に対して開かれるべきか、優秀な学生のみを受け入れるべきか」という「ディベート」的な課題に対して、多くの「優秀な」生徒が、
- In my view, higher education should only accept good students. I have two major reasons to support my view. My primary reason is that all of universities in Japan select the students who take the entrance examinations for the universities. In fact, only fifty percent of population of eighteen years olds take the entrance examination for the universities.
などといった、全く「無」論理な英語を書いてくるのだ。「英語の授業は英語で」、と英語1,英語2,そしてリーディングを高2までやってきても、結局「ライティング」の授業ではここから引き受けてスタートなのである。見た目は英語的なのだが、まったく英語になっていない文章を解きほぐすのは容易ではない。しかし、これこそが「ライティング」という科目に課された、オーラルの時間では決してできない仕事なのである。
上の英文では、第二文が「理由付け(=warrant)」のつもりなのだが、全く理由になっていないことがなかなか理解できない生徒がいる一方で、
理由を述べる際に、現状・現象を示すのみでおわっている。
- One reason is that most students depend on their parents financially.
- My primary reason is a general decline in academic standards.
- The other reason is that the number of people who don’t either study or work at their occupation what is called part-time workers is increasing.
主題に対する理由を示しているところで自己完結している。
- One reason is that there are many people who can’t enter colleges because the colleges impose their own entrance examination.
事実でサポートするべきところにさらに意見を述べる。
- The other reason is that we should value our individuality.
- To help these people find what they want to do, higher education should be open to everybody.
- It is wrong to judge a person by his school background.
- As the case stands, I propose that an interview only for an entrance should be established.
というのも日本の高校生には顕著。
これらがなぜダメなのかということを理解させるには、どうしても日本語で説明しなければならないでしょう?これを英語で説明して理解できるくらいなら、既にきちんとした英文が書けていると思うのだ。
「論理的思考」は何も、all (in) Englishの英語の授業の専売特許ではない。研究会や英語教育雑誌などで実践例をよく見かけるが、いくら英語で授業を進めたからといって、こういった部分がどう改善されたかを示さない限り、多くの高校生、高校教師にとって、得るものは少ないだろう。
今日は授業の最後で、生徒の名前を間違えた。申し訳ない。自己嫌悪。
帰宅後、高2コメント集作成。夕食後、高3NEET関連資料作成。『留学生のための分野別語彙例文集』(凡人社)が参考になった。
気がつけば夜の11時。原稿書きが遅々として進まない。
本日のBGM: The Price I Pay (Billy Bragg)