なぜ、七回しか転んでいないのに八回起きあがれるのか?

木曜日は、朝4時間ほど寝たのだが、寝不足の累積の上に風邪気味でからだがこわばる。鎖骨と胸骨の間が歪んでいるような感覚があり、とりあえずキネシオテープを自分で貼って補正。朝食は妻が作ってくれた「にんにくパン」とホットミルクで家を出る。木曜日はライティングの日なのだが授業は最悪。片方のクラスは答案返却とidea generation。もう片方は「高等教育」のドラフト書き。頭出しチャンクの使用を徹底させる。悪寒に加えて自己嫌悪。昼は駅近くのパスタ屋でペペロンチーノ。朝に続いてガーリックパワーでなんとか回復の兆し。
木曜から金朝にかけて某企画の原稿を修正し入稿。これは英語ネイティブの赤ペンが入ったものを直すだけなので、一気呵成に出来た。時間と労力と精度を勘案すると、某T社で検定教科を書書いていた時よりもチェックは厳しいかもしれない。仕事を依頼してくれた方のためにも、この教材を使って英語力の伸張を図るであろう学習者のためにも、やるからには、良いものを残したい。評価はあとからついてくるものだろう。
この原稿チェックで、スイッチが入ったのか、そのまま寝ないで今朝は朝から、5日に開かれるELEC同友会英語教育学会の研究大会で使う資料をまとめて完成!
今大会の午後の部、ライティング部会の発表では久々に私がメインを務めます。
大学入試のライティング出題の分析を踏まえて、早稲田大・慶応大・一橋大・東北大・東大・九州大・外語大・お茶の水女子大・広島大・旭川医大・青学大・学芸大などの入試ライティング問題を素材として、極めてこぢんまりとワークショップ的に行います。『英語青年』4月号の拙稿か、このブログの過去ログをお読み頂くと、ねらいがよく分かるかと思います。参加者のみなさんにとって「おみやげ」になるような大それた結論や大発見、はたまた「明日の授業ですぐに使える裏技・小ネタ」などは全く用意してありませんが、今までとは異なった角度からライティング活動・ライティング指導を見る「視点」とか授業立案に取り組む際の「触覚」「感性」を鋭敏にして帰っていただけるものと思っています。生徒が入試の過去問を単発で時間を計ってそのまま解答する、解答に要する時間を限りなく「本番」に近づけるという授業では満足できなくなることは確かでしょう。良いライティングの授業へとたどり着く様々なルートを俯瞰することが理想ですが、どこまでできるやら。
今回の「未履修問題」に該当している高校の先生は休日に研究大会に参加している余裕などないのだろうなぁ。本来は進学校とか、塾・予備校の先生にこそ聞いて欲しい・参加して欲しい内容なのだが…。
昼食も忘れ引き続き、11月にもう一つあるイベントの資料整理。慣れないパワポに時間を取られる。我ながら良いものが出来た。
余勢を駆って、中間考査残りの1クラス採点終了。さすがにこの年になると寝ないときついが、今回は「採点の神様降臨」プレイリストに加えて、サディスティック・ミカ・バンドの新譜に元気をもらった感じ。多謝。返却が遅れた分のお詫びではないが、いつもより余計にフィードバックのコメントを書いておきました。嫌がられるだろうな…。
今回の、高3ライティングの出題は Description/Definitionが身につけているべきスキルなので、「ことわざ」で授業で扱ったものとパラレルな出題。たとえば、
1.「自分のまいた種」という出題は、授業で「身から出た錆」を選んで課題を提出した生徒に対応したもの。文字通りの意味の説明が適切にできれば、「使用場面」「教訓」はほぼ類似したものをスライドさせれば書けるわけです。

  • Mikaradetasabi is a Japanese proverb. This proverb literally means “seeds that you sow yourself”. As you reap what you sow, you must accept the consequences of your own deeds. / We generally use this proverb when we refer to someone’s fault or responsibility. For example, if someone gets drunk and drives a car ending up in a fatal accident, this proverb is suitably quoted. He just asked for trouble. No one else but him is to blame for the accident. / The lesson that the proverb teaches us is that we are all responsible for a mistake which we have made ourselves. (100 words)

などと書けばいいわけですね。使用語数は 80から150 words。全体の分量から見て、この問題には20分から30分くらいかけられるでしょうか。以下、
2. 踏んだり蹴ったり←弱り目に祟り目←泣きっ面に蜂(これはハンドアウトのモデル文にあったもの)
3. 勝って兜の緒を締めよ←油断大敵
4. 因果応報←情けは人のためならず
5. 病治りて医者忘れる←喉元過ぎれば熱さを忘れる
6. 七転び八起き←失敗は成功のもと
7. 敵に塩を送る←情けは人のためならず
と選択問題です。「情けは…」が難しいので、二つ候補を用意しました。以下、「敵に塩…」の解答例。

  • “Tekini shio wo okuru” is one of the most favored Japanese proverbs. It literally means “delivering salt to your enemy”. “Salt” originally means something to eat and drink, but generally refers to “help or aid” here. This probably means that it would be unfair and disgraceful if you defeat your opponent when he is not ready for the fight. / We generally use this proverb when we are in a game or match in a sport. For example, your opponent sprained her ankle in the previous game and you are very likely to defeat her. However, you are not happy with the possible result and you give her your “Kinesio” tape. This is a typical “tekini shio wo okuru” sistuation. / This proverb teaches us that when you are going to have a fight and play it fair, you should even support your enemy before the battle starts. (148 words)


高校の授業は、入試問題の過去問演習に費やすのではなく、授業でしかできない「書く力」の養成にエネルギーを費やすべし、という私の意図が伝わればいいのだが…。
徹夜明けのような気怠い達成感というか、薄皮一枚被ったような清々しさを感じて時計を見たら、夜の9時を過ぎていた。近くのラーメン屋へ行って遅い夕食。明日朝は6時から本業なのでもう寝ます。
本日のBGM: Happier than the morning sun (Ann Sally, 2003)