四捨五入と丼勘定

高3ライティング、最後の課題は「成長と自立 (Growth and Independence)」。
同僚のK先生にもハンドアウトを見てもらったが、方向性に間違いはないようで安心した。国公立大の入試問題から、このトピックに関連する出題を 3つ 抜き出し、受験産業各社が公表(講評?)している解答例を複数示して比較考察し、その解答例の不備や英語のディスコースとしての稚拙さを指摘するだけにとどまらず、そこまでの素材をネタにtopical knowledge & lexical knowledgeのinputを済ませてしまおうという身の程知らずなほど壮大な思いつき。
まな板の上の鯉となった出題校は、以下3校。

  • 静岡大
  • 九州大
  • 宇都宮大

貴重な解答例は

  • 『2006年受験用 大学入試問題正解 英語(国公立大編)』旺文社
  • 東進ハイスクール
  • 河合塾
  • 代々木ゼミナール

のものを使わせて頂きました。
最終的には宇都宮大の出題を修正して、ドラフトへつなげる予定。個人でのrankingとペアでのsharingを経て、週末は家族に同様の質問をしてくることを課しておいた。これにより世代間の価値観の相違などが出てくればドラフトのネタになるわけである。

高2は前々時の復習のQ&Asペア音読と、前時の復習Read & Look Up。そしてサマリーの確認。
Read & Look Upで意外に手こずったのが以下の3カ所。

  • Sugihara sympathized with the Jewish refugees, but he didnユt have the authority to issue hundreds of visas without permission from the Foreign Ministry in Tokyo.
  • He was bound by the traditional Japanese obedience he had been taught all his life.
  • He knew that if he refused the orders of his superiors, he might be fired.

最初の例では、but以下でつまずく生徒が散見。
私の後について、

  • Visas
  • Permission
  • To issue visas
  • To issue visas without permission
  • Authority
  • The authority to issue visas
  • The authority to issue visas without permission

とくみ上げていって 文字を見ずにrepeatさせてから再度全体へ。
二つ目の例では、

  • the traditional Japanese obedience he had been taught all his life

という名詞句の限定表現がしっかりつかめているかが音読でわかる。

  • the traditional Japanese obedience
  • he had been taught all his life

とチャンクごとに斜線を入れて区切られた練習ばかりしていると、この名詞句のまとめ直しができなくなる。ここは、中学校段階でもしっかりと教師に意識して欲しいところ。
最後の例でも、

  • He knew that he might be fired.

を示したときに反応できない生徒は、「呪文」として音読暗誦している可能性が高い。
授業中は「意味」は分かっていても、しばらく経つと「構造」はやはり忘れるものなのです。
If he said no to the Foreign Ministry, he might be fired. That's what he knew.などとパラフレーズして理解できたからといって、もとの英文そのものに習熟したことにはならない。要約は要約であり、近似値は近似値である。
あくまでも個人的な印象と断っておくが、概要把握での「意味」理解と絵などを用いての「英文再生」だけでどんどん先に進んで、最後に「自己表現」というパターンの授業を受けてきた生徒は、文構造への習熟に明らかにハンデを負っている。高等学校で扱う英文素材での文構造に対して、パタン・プラクティス的な、またはそれに取って代わる効果的な練習方法を取り入れる必要がある。