冬季のオンラインセミナーも終了!
年末年始にわざわざ受講してくれた皆さんに御礼申し上げます。
お疲れさまでした。
新たなフィードバックも寄せられております。
1月4日の新春セミナーを受講された方から。
自分は特に英語教育に関わったこともなく、しかも普段はまとまった量の英文を読み書きする機会も稀な一般会社員です。英語学習についても、数年前にTOEICを受検したきり、特に情報収集などしていなかったのですが、ツイッターでたまたま今回のセミナーのお知らせを目にして申し込んだ次第。生成AI関連も日進月歩の昨今、何か勉強するためのヒントが得られれば…
というくらいの気持ちでした。数年前まで大学の研究室で日本語のコーパスの作成などもやっていたのですが、英語のコーパスについては(特に最近のものは)ほぼ知識ゼロの状態でしたので、今回ご紹介いただいたCOCA系コーパス、NOWコーパスなど、検索の実演も見せていただいてとても参考になりました。また、アプリで利用可能な各種辞書も、また「紙」の辞書も本当に多種多様なものがあるのだなとわかり、感心しました。他にも色々と興味深いトピックやニュースソース等ご紹介いただき、ありがたかったです。
次は、1月11日の「和文英訳と英文ライティングの両立」講座を受講された方から。
長文ですが匿名で全文を。
200枚超のスライドに圧倒されながらも、あっという間の3時間をありがとうございました。今の自分には当日の内容のすべてを消化できている自信はありませんが、英語の学習者としても指導者としても、これから長く実践を重ねながら自分なりに理解を深めていこうと思います。以下、いくつか具体的な点について、自分なりに振り返ってみました。
• まずは表現の段階での深掘りです。各種オンラインコーパスやツールの活用に加えて、言語使用経験に裏打ちされた語(義の)感(覚)や文法解説の提示が鮮やかでした。中でも特に「文頭の副詞節は先行文脈との糊しろ」や「固有名詞に前置する無冠詞名詞句」は目から鱗でした。文法書レベルの指導事項を超え、ライティングに資する文法指導というものが確かに存在することを実感しました。私にとって「永遠にたどり着けなさそうだけど、常に目指すべきゴール」を見せていただいたような気がします。
• 次に、語句整序は極力避ける一方、副詞節マッチングや文の整序は活用する、という違いについてです。断片から全体を完成させるという点では同じなのに、とも一瞬思いましたが、形式と意味の対応関係を保持できる単位で操作させるのが要なのかな?と自分なりには考えています。そう考えれば、「チャンクで積み上げ」がその前段階として位置付けられているのも納得です。先生のお考えはいかがでしょうか?
• 和文英訳からテキストタイプ別ライティングへのシラバス構成も、複数学年を長い目で見ればずいぶん多くのことができることを改めて実感しました。セミナー受講後に考えてみれば、「訳しただけでは英語にならない日本語をそのまま訳しても何にもならない」ということは自明に感じられるわけですが、しかしそんな「トホホ」な状況がまだまだ自分の中にも残っているのが現状です。一方、初中級段階のライティング指導では「論証文を封印」しておくことを最近少しずつ意識し始め、おかげさまで指導者も学習者も少し楽に、その時集中すべきことに集中して取り組めているかな?という実感が生まれてきました。
• 同じセンテンスを複数の異なる文脈に置いて複数回理解する手法は、実際に学習者の視点で取り組むことができました(ElevenLabsの読み上げ音声が変わるのも私にはよい刺激でした)。異なる文脈で自然に何度も反復するうちに、全体としてのつながりやまとまりと同時に、ターゲットのセンテンスがいつの間にか染み込んできてしまうという、なんとも不思議な感覚を味わえました。
• 例文提示の中で、先生が「四角化で視覚化」を(それと宣言なさらずに)サラッと繰り出されていましたが、以前よりブログで拝読していた「視覚化」を初めて「生」で見せていただくことができ、大満足でした。先生のスピード感というか、眼の働かせ方というか、とにかく身体化された感覚に少し触れられた気がします。今後、生成AIの出力も含めて読んで処理すべき英文の量が増える一方だという状況を考えると、「四角化」の持つ威力は大きいと思います。
• 総じて、大学受験の英語ライティング問題演習まで含め、単に書かせるだけでは不十分で、「書かせる前に何ができるのか?」「ライティングの過程やフィードバックで、学習者の英語の知識や思考の枠組みにどのような影響を与えるか?」という視座で、綿密な指導を展開されている一端を伺うことができました。「説明」や「解説」の中にも随所に学習者が考える余地が残されており、「教室の息づかい」とでも呼ぶべきものが伝わってきました。また、フィードバックの手法も実際のところを伝えてくださり、諸条件を活かしながらどのように実践されているのかもよく理解できました。今後とも、先生のTwitterやブログ、セミナーで学ばせていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
暖かいフィードバックをありがとうございます。
12日に2回目となった「その英語、気になりませんか?」のセミナーはまだ受講者からの声は届いていませんが、年明けのブログ記事も取り上げたので、年末の回よりもさらに充実したものになったと思います。年末の回の受講者にも、今回の新たなスライドから事後共有ファイルを提供していますので、ご確認ください。
特に、includingに句や節が続く事例を、ブログ公開日よりもさらに深く考えられたのは良かったと思います。いろいろと加筆修正していますので、既にお読みの方も是非再読を。
今日の「気になる語法」は
- because of how SV
です。
既に、because of the way SVについては、twitterでも発信していたと思います。
記述や解答の訂正や補足としての加筆は至る所で行っています。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年3月6日
以下、授業は高1です。
1枚目は接続詞としてのasとthe wayの関係。
2枚目は、理由を表す前置詞で、because of とdue toでの名詞との結び付き・因果の強さと頻度の比較に、because of the way SVの補足。
Wisdom
COBUILD
和英大
から引用 pic.twitter.com/zJclT56yRC
私は高校1年生の授業では、前置詞の項目を扱う際に教えています。
それを経ての、このツイートです。
第一文because of how SVを確認。the way SVがbecause of に続くのは今では一般的。一方、こちらのhowは近年急増しているが辞書では未対応。parchは他動詞で「乾き切らせる;からからに乾かす;焦がす」。 第二文の付帯状況のwith+名詞+過去分詞は存在文と同様の処理。後置修飾の読みにしないこと。
第一文because of how SVを確認。the way SVがbecause of に続くのは今では一般的。一方、こちらのhowは近年急増しているが辞書では未対応。parchは他動詞で「乾き切らせる;からからに乾かす;焦がす」。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年1月11日
第二文の付帯状況のwith+名詞+過去分詞は存在文と同様の処理。後置修飾の読みにしないこと。 https://t.co/L7LOEAkGsJ
元ツイ
Climate scientist Daniel Swain describes Santa Ana winds as “atmospheric blow dryers” because of how they parch landscapes. With additional winds expected this weekend, Southern California will face continued wildfire risks, Swain said.
Climate scientist Daniel Swain describes Santa Ana winds as “atmospheric blow dryers” because of how they parch landscapes.
— San Francisco Chronicle (@sfchronicle) 2025年1月11日
With additional winds expected this weekend, Southern California will face continued wildfire risks, Swain said. https://t.co/gAKyH49AKO
気候科学者ダニエル・スウェイン氏は、サンタアナの風が大地を乾燥させる様子から、これを「大気のドライヤー」と表現している。 今週末にはさらなる風が吹くことが予想されており、南カリフォルニアは引き続き山火事の危険に直面するだろうとスウェイン氏は述べた。
例によって反響はもちろん反応も殆どないツイートでしたが、Ngram Viewerから推測できる実態はこんな感じ。 勿論、その続きを一次ソースで精査する必要はありますけどね
because of how は赤のラインです。
続いてCOCA系でざっくり。
COCAをベンチマークにNOWで最近の動きを。
COCAでthe way
COCAでhow
NOWでhow
NOWでthe way
数値自体は2016年以降
- because of how > because of the way
ですよね?
類例。
Richardson’s suspension may not last nearly that long. In fact, Rogers said he would be shocked if Richardson doesn’t resign by the end of this week because of how the FBI’s case was built.
tucson.com
リチャードソンの停職はそれほど長く続かないかもしれません。実際、ロジャースは、FBIの事件の構築方法から、リチャードソンが今週末までに辞任しないなら驚くと述べました。
not because …, but because … のパターンを見聞きします。
She usually spent all of her disability check within days of the first -- even that which wasn't reserved for bills -- not because of how much she received, but because of how little. What was the point in saving when, even if she could scrape together every free dollar, it would never be enough to change her life?
www.chicagotribune.com
彼女は通常、最初の数日以内に障害手当の全額を使い果たしてしまった - 請求書のために予約されていない分も含めて - それは彼女が受け取る金額の多さではなく、少なさのためだった。たとえ彼女が自由に使えるお金をすべてかき集めたとしても、それが彼女の人生を変えるには決して十分ではないのだから、貯金する意味は何だったのだろうか?
not/butのコントラストにはなっているけれど、どちらかがbecause of how にはなっていない例も多いようです。
How many times did the audience perceive Daenerys’ judgments to be just, wise, necessary, or even thrilling — not because of the face value of her decision-making, but because of how the characters surrounding her reacted?
www.theverge.com
観客は何度、デナーリスの判断を公正、賢明、必要、あるいはスリリングだと感じたでしょうか — それは彼女の意思決定の表面的な価値ではなく、彼女を取り巻くキャラクターたちの反応によるものですか?
I know you're not doing this in any partisan way at all. These stories inevitably become partisan, not because of you. Not because of how the media necessarily covers it, but because partisans seize upon it.
https://www.realclearpolitics.com/video/2017/11/17/franken_accuser_tweeden_tears_up_on_cnn_ive_been_angry_about_it_for_10_years.html
あなたがこれを党派的な方法で行っているわけではないことはわかっていますが、これらの話は必然的に党派的になります。それはあなたのせいではありません。必ずしもメディアの報道の仕方のせいでもありませんが、党派がそれに飛びつくからです。
大学入試の読解素材文にも出ていますよ。
20年ほど前の入試問題の素材文から。
The brain of any animal has been described as its on-board computer. It does not work in the same way as an electronic computer. It is made from very different components. These are individually much slower, but they work in huge parallel networks so that, by some means still only partly understood, their numbers compensate for their slower speed, and brains can, in certain respects, outperform digital computers. In any case, the differences of detailed working do not disempower the metaphor. The brain is the body’s on-board computer, not because of how it works but because of what it does in the life of the animal. The resemblance of role extends to many parts of the animal’s economy but, even, the brain simulates the world with the equivalent of virtual reality software.
以下、Kagi訳。
動物の脳は、そのオンボードコンピュータとして説明されています。それは電子コンピュータと同じようには機能しません。非常に異なるコンポーネントで構成されています。これらは個々にははるかに遅いですが、巨大な並列ネットワークで動作するため、まだ部分的にしか理解されていない何らかの手段によって、その数が遅い速度を補います。そのため、脳は特定の点でデジタルコンピュータを上回ることができます。いずれにせよ、詳細な動作の違いは比喩を無効にするものではありません。脳は、どのように機能するかではなく、動物の生活において何をするかによって、体のオンボードコンピュータです。役割の類似性は動物の経済の多くの部分に広がりますが、脳は仮想現実ソフトウェアの同等物で世界をシミュレートします。
比較的新しい入試素材文からも引いておきましょうか。
単純な理由付けではなく、in part because of how SVの例。partly because SVで表し切れない何を意味しているか確認。
But those who grew up in Western households may not think too highly of seaweed as a food. Jonathan Kauffman, author of Hippie Food, says that may be in part because of how Westerners were introduced to it ― as a health food eaten by “hippies1” in the 1960s.
しかし、西洋の家庭で育った人々は、海藻を食べ物としてあまり高く評価しないかもしれません。「ヒッピー・フード」の著者であるジョナサン・カウフマンは、それは、西洋人がそれをどのように紹介されたか ー1960年代に「ヒッピー」によって食べられた健康食品としてー が一因かもしれないと言います。
次の英文では、第一文では、because SVとのコントラストで、not because of how SVが使われていますが、最終文では単独でbecause of how SVが使われています。
An athlete is an athlete because he consistently bats around .300 or because she can drive a golf ball over two hundred yards, not because of how he or she performs under pressure; mentality is undermined constantly by physical skill and physical appearance. We need to deeply critique and offer alternatives to the biases surrounding mentality in sports and shed light on many overlooked concepts that are rarely investigated because of how common sense they seemingly are.
アスリートは、常に打率が.300前後であるか、200ヤード以上のゴルフボールを打つことができるからアスリートであり、プレッシャーの下でのパフォーマンスによるものではありません。メンタリティは常に身体的なスキルや外見によって損なわれています。私たちは、スポーツにおけるメンタリティに関する偏見を深く批判し、常識的に思えるためにほとんど調査されない多くの見落とされた概念に光を当てる代替案を提供する必要があります。
次の例では、how SV, why SVからの流れでの because of how SVを捉えることが大事ですね。
Likewise, their body language is also telling you all about themselves in just the same way. Our feeling about a new acquaintance is primarily influenced by how we feel about the way the other person is expressing himself through his body. We do not necessarily know why we have reacted to them with like, dislike or trust, but it is because of how we are culturally and instinctively conditioned to guess the communicative signals that they are sending us.
同様に、彼らのボディランゲージもまた、同じように彼ら自身についてすべてを語っています。新しい知り合いに対する私たちの感情は、主に相手が自分の体を通してどのように表現しているかによって影響を受けます。私たちは、彼らに対して好意、嫌悪、または信頼を抱く理由を必ずしも知っているわけではありませんが、それは私たちが文化的にそして本能的に彼らが送っているコミュニケーションの信号を推測するように条件付けられているからです。
次の例では、just because of how SVとなっています。
Last week, Wal-Mart, America’s largest grocer, became the first retailer to sell apples with minor flaws, under the brand “I’m Perfect”, as part of their larger trial effort of selling ugly fruits and vegetables. However, such imperfect produce often ends up being thrown away, just because of how it looks.
先週、アメリカ最大の食料品店であるウォルマートが、「私は完璧です」というブランドの下で、軽微な欠陥のあるリンゴを販売する最初の小売業者となりました。これは、見た目が悪い果物や野菜を販売する大規模な試みの一環です。しかし、このような不完全な農産物は、見た目のためだけにしばしば廃棄されてしまいます。
次は、the reason is because of how のパターン。
The other reason these companies multiply in Japan is because of how the country’s family-run businesses have been passed down through generations. Japanese business owners typically left entire companies to their eldest sons.
これらの企業が日本で増えているもう一つの理由は、家族経営の企業が世代を超えて受け継がれてきた方法にあります。日本の経営者は通常、会社全体を長男に譲っていました。
次の例では、先にbecause of how SVが来て、その後に not because SVが続くもの。
But now, according to Dr. Margaret Livingstone, a Harvard neuroscientist, there is another, more concrete explanation. Mona Lisa’s smile comes and goes, she says, because of how the human visual system is designed, not because the expression is ambiguous.
しかし、ハーバード大学の神経科学者マーガレット・リビングストン博士によれば、別の、より具体的な説明があるという。モナリザの微笑みは、彼女が言うには、人間の視覚システムの設計によるものであり、表情が曖昧だからではない。
さあ、いかがですか?
テストで問われると知ると、この語法が気になる人は増えるのでしょうか?
そして、まだこんな言語事実も待っているのです。
becasue of what
こちらに関しては、また日を改めて。
本日はこの辺で。
本日のBGM: 私に彼氏ができない理由 (あいみょん)