Another 10 pieces so hard to leave

先日の男性ボーカル篇に続いて、「女性ボーカル篇」を寸評付きで。男性篇に比べると、楽曲にも増して、「その女性が好き」という要素がより強いことに気付かされます。
発表・発売後10年が目安なので、God Help The Girl や寺尾紗穂など、近年のお気に入りは除外しています。

あ、言わずもがなですが、「原田知世」様は殿堂入りなので、こちらでは取り上げていません。(一番のおすすめは『夢の砦』(Garden, 1992年に収録)ですけど…)


1. Irrésistiblement (Sylvie Vartan, 1969年)

https://www.youtube.com/watch?v=C-kXLNvNUlk
番外編と言っても良いのかもしれません。全く歌詞の意味がわからない幼少期に聴いて一目惚れならぬ「一耳」惚れした曲です。しかもいまだにフランス語の歌詞は全く理解していないのでどんな歌なのか、その心はさっぱり分かりません。女性を好きになる時なんて、そんなものです。好きでい続けることの方が大変なんですから。
学生時代から「準備万端、シルヴィー・バルタン!」というフレーズを好んで口ずさんでいます。

2. Love Chase (欧陽菲菲、1972年)

https://www.youtube.com/watch?v=Z6x0tySCY8Q
これはTVの歌番組で見て衝撃を受けました。日本の人じゃないということは分かっていましたが、この人の才能と、筒美京平作曲のマジックに気付くのは高校生になってからでした。まだ魔法にかかっているとも言えます。因に、 “Love is over” は大嫌いです。

3. 突然の贈り物(大貫妙子、1981年)

https://www.youtube.com/watch?v=bOxmCOmHpeM
シュガー・ベイブを知るのも、ジョニ・ミッチェルを知るのも、この少し後。大学に入ってからでした。金延幸子を知るのは更に後。「日本の女性ボーカル」という存在を初めて意識したのが大貫さんだと言えるでしょうか。いつもこの曲を聴くたびに、少し寂しい気持ちになるのだけれど、でも大丈夫、っていう感じで聞き終われる、「歌謡曲」にありがちな「悲恋の嘆き」ではない、翻訳小説のような雰囲気、世界観を湛えた曲だと思います。
貼り付けた動画のクレジットにも注目。

4. Just what I’ve always wanted (Mari Wilson, 1982年)

https://www.youtube.com/watch?v=0cphHBoJGnM
トット・テイラーからの流れでここへ。「60年代」ってDNAなんですよ、やっぱり。歌詞の分かりやすさが大衆路線ならでは。何でも買ってくれる、といってアイテムを列挙していって、手に入らないものを導くところが私の中では、ジッタリン・ジンの『プレゼント』へと連なっています。

5. Eternal Flame (Susanna Hoffs from The Bangles, 1988年)

https://www.youtube.com/watch?v=4xjzi8NC8bI
個人的には、ジュールズ・シアーの曲を取り上げていたガールズ・バンド、ということで評価していましたが、ソロになってからの彼女の歌を聴いて、この曲が好きになりました。作曲はホフスと、ビリー・スタインバーグ、トム・ケリーとの共作。この二人はシンディ・ローパーにも書いていましたから、何か通ずるものがあるのでしょうね。
再結成の動画もいろいろ上がっていますが、今回はソロで。
元Go-Go's のベリンダ・カーライルとは、日本風に言えば「同級生」って知っていましたか?プライベートでも仲良しなのだそうです。

6. 夜の煙突 (森高千里、1989年)

https://www.youtube.com/watch?v=sHaUHK6L7hs
私がカーネーションの大ファンということが大きいですが、やはり私の世代は「森高」にやられているんです。ステージからフロアに向かって「君とデ〜ト!」なんて指さされたら抗えないでしょ?この楽曲は、シンプルの極み。「いいリフができたらそれを繰り返せ!」っていう好例ですね。最後はもちろん大合唱。予定調和で良いんです!

7. SINKY-YORK (春川玲子 from JITTERIN'JINN, 1990年)

https://www.youtube.com/watch?v=pb3ssN6f9i4
歌詞つき動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=0PLYzXBJjIk
「イカ天」というのももはや死語ですかね。作詞・作曲とも破矢ジンタ。ギターの腕前にも驚かされるし、ロカビリーとモータウンとスカが融合したような作曲も勿論ですが、この人の歌詞が天才の領域。
一番の「キス」と二番の「キス」との間で、一線を超えたことを「寝顔」と「おやすみ」で表わし、三番の「キス」の「さよなら」が、一番の「さよなら」とは全く違う重みで口に出される。そして、その歌詞が春川玲子の声に乗せることで完成する。伝説になっていてもおかしくない青春のバイブルとも言える曲です。

8. If you intend (Natalie Merchant from 10,000 Maniacs, 1992年)

https://www.youtube.com/watch?v=BTkxfot2ziI
この曲が収録されていた “Our Time In Eden” がナタリーのいた最後のアルバムになりました。彼女の詞を口ずさむと、”piety” とか “pious” ということばが頭に浮かびます。90年代の Here Comes the Sun(ジョージ・ハリソン), そして、Starry Eyes (ウィル・バーチ)です。

9. メッセージ・ソング (野宮真貴 form Pizzicato Five, 1996年)

https://www.youtube.com/watch?v=eimjmlWiP9I
「呟き」の方では、ほぼ毎晩「夜の七時」を知らせてくれる野宮さん。当時、某局のお子様向け楽曲で繰り返し流れていて、CDシングルを買いました。その昔、財津和夫が歌っていた『切手のないおくりもの』と比べると、この曲の良さが引き立つと思います。やはり「冬」の曲なんでしょうね。寒さの中で手にする「暖かさ」の象徴。
「30周年記念ソロセルフカバー」もとってもいい出来です(CMに木村多江を起用しなくても、良い曲は良いんです)。

10. Wise Up (Aimee Mann, 1999年)

https://www.youtube.com/watch?v=e3D7xplBYNY&feature=iv&src_vid=fn7F75stXxI&annotation_id=annotation_435258

元、’til Tuesday って誰も言わなくなったのでは?「美魔女」などという形容では申し訳ないくらい美しい容姿と声です。映画『マグノリア』のテーマ曲。人生の節目節目で、「調子に乗るなよ!」と自分を戒める時に、私は映画『モスキートコースト』(ピーター・ウィア監督)を観るか、この曲を聴くことが多いです。私以外にも、聴いたほうがいいだろうな、という人の顔がチラホラ脳裏には浮かびますが。


本日のBGM: 上記10曲