奥歯の痛みは少し治まってきて、普通に食事をする際に右だけで噛まなくてもよくなってきたので少し安堵。金曜日の昼に食べた、牛すじカレーがかなり胃腸に残っていた感じがありましたが、体調は上向き。作問は順調。採点もまあまあ。出来は?そこですね、肝心なのは。
いよいよ12月。
土曜日は、高1の課外講座。
定番の「副詞節」のシリーズ。中間以降ここまでで計20セット。まあ、ひたすら訓練ですね。知識 (明示的にせよ、非明示的にせよ) があるに越したことはないし、産出時にモニターして修正や微調整できる「力」も大事ですから。
まずは、学級文庫にある十数冊の辞書からグループで全員が理解可能な例文を抜き出し、リストを作ります。目標は15〜20の「触れば体温が感じられるような」、「側に行けば息遣いが聞こえるような」、「斬れば血が滲むような」例文。辞書の中にそれらを求めるのはなかなかに大変ですが、粗雑な教材の英文に求めるよりは数段マシです。転記のミスは勿論ですが、代名詞の指すものが漠然としすぎている文や、主節と従節の内容の繋がりが希薄な文などは指摘してやり直しも命じています。
リストが出来たら、その例文を個人でRead & Look-up。スラスラ出来るようになると対面リピートを経て、個人でホワイトボードに書かれた「節」+「接」+「節」でのマッチング完成。生徒には、ホワイトボードに転記する際には、左の列に主節、右の列に従節、とするのではなく、全部一緒にして、ただ長さだけを基準にして「短」から「長」へと配列しなさい、と言ってありますが、生徒は「語数」を目安に書いているようです。主節と従節が上下に並んでいることもままあります。それを、眺めて意味を繋げて、文にするだけの訓練です。ただし、さらに、そのマッチングを対面リピートバージョンまで進めます。一人がボードを背にして立ち、相手はボードを見て結びつけて英文を言い、それを耳で聞いてリピートする、ただそれだけ。私のやることは、それを聞いて、
- そこー、英語の音でやれー。「ミュージック」じゃないぞ、”music” だ、「ビジット」とか「ビジー」って、英語の音じゃないからなー。 visit, busy だzoー。
- beforeとかuntilとかas soon as の直後で切ったら、意味が相手に伝わらないだろー。接続詞はその次に来るまとまり・かたまりを導く役目なんだから、そっち側で言う。
などと、呪文にさせないような「介入的支援」です。接続詞の前後の音調の指導はなかなか大変ですね。
写真はそのうちから2つ。
接続詞で用いるonceとby the timeのホワイトボードで、主節+once+従節、主節+by the time+従節、と正しい語順でマッチングできるか、という練習に使うために書き出したもの。onceはnow (that) とセットで、by the timeはuntil とセットで授業で扱いました。
電子黒板もプロジェクターも大型モニターもありませんが、毎時間写メで撮って、その日のうちにプリントアウトします。当日の最後、または翌日には、次のセットが入りますから、このセットのホワイトボードは消えてしまいます。プリントアウトしたマッチング用は生徒が各自で練習したり、対面リピートに使ったりということを目論んでいます。生徒に言っているのは、「早口で読む練習をしているのではない。時間が短縮できるのは、滞らないで、滑らかにマッチングができるから。」ということ。ところが、いつまでも時間短縮できない者は、大体同じところで滞っているようです。ということで、その当たりの改善プランを授業でも言っています。
どの生徒も、各自でノートに接続詞ごとに例文を書いているようです。というか、まずそれがないと、リストを作れませんから当然です。ただ、リストのコピーも手元にあるのです。こちらはRead & Look-up や対面リピートにも使いますから、書き込みのないままで使うことが望ましい。となると、ホワイトボードを写したマッチングでの各自練と対面リピートで上手く行かなかったものは、何がトラブルの源なのか、を突き止めておかないと、困るはず。でも、出来ない生徒は、ノートもリストもまったく同じメモを書いていたり、凄い人は、せっかく写メをコピーしたプリントのマッチング用に鉛筆で線を引いて結びつけていたりします。
- あなたの頭の中の「地図」を書き直さないといつまでも迷子になったり、違う目的地に行き続けますよ。
どうせやるなら、ノートには和訳も、四角化などの記号付けもしておけばいいんですよ。あとは、「L板」でもなんでも使えるんだから。で、負荷をコントロールしてリストとマッチングとを行ったり来たり。自動化には限界があるのは百も承知ですが、ほとんどの高校生は、その遙か手前にも達していないんですから、トレーニングは必要不可欠です。
準備室で他教科の先生も交えて雑談。
- 一度解いたことがある問題だから解ける。
というところからどう脱却させるか、というような話し。
知り合いの中学生の英語を見てあげているという他教科の先生から、ある問題集の設問とその解答について質問されたのですが、「それは問題が悪い」、という結論に。私が感じるまっとうな文脈は、
- A pinch of garlic powder [a spoonful of grated cheese] will make this soup more tasty.
というようなもので、中学生用の教材では、使える語彙に制約があるだろうから、どのようにそれを簡略化する、易化するか、というところに意を砕くでしょう、というようなことから、「教材の例文の劣化」の話しに移行。他教科の先生は、私が教えているクラスの担任でもあるので、
英語の教材は、教科書であれ、参考書であれ、真っ当なものなら、模範例文は、ターゲットの語彙や構文やスキルの典型例となるように著者グループが智慧を出し合って作ります。ところが、練習問題になると、その典型例から次第に劣化していきます。まずは、語彙の制約があり、次に構文の制約があるから。ターゲットにフォーカスを当てたいのに、そのtarget structure以外に、未習事項や、targetよりも定着度の低い構文が使われていたりすると、練習の効果が激減します。数学なら、数値を変えることで、パラレルさを担保しつつ、難易度を上げることが可能ですが、英語ではそう簡単には行かないのです。英語の場合、特に教科書からのスピンオフで作られたような問題集では、練習問題が1から5まである時に、問題が「難化」しているのではなく、そこで使われている例文が「劣化」していることが多いので、私は授業で「問題集」を使わないし、「問題演習」に時間を割かないのです。その代わり、語彙は先行で仕込み続けて行き、メインの教材の「質が担保された例文」でのトレーニングに重点を置いています。
というような説明をして、私の授業での狙いも理解してもらいました。
講座を終えて、軽く昼食を済ませて、商店街へ。
スコットランドマートに先月オーダーしてあった「紺ブレ」を受け取りに行きました。フィッティングで何枚か写真を撮って見せてもらったのですが、久々に自分のイメージ通りの服が着られそうで嬉しさのあまり声が大きかったようです。オーナーの奥様から、
- テンション上がりましたか?いつもより声が大きいですもん!
と言われました。いやあ、着心地手触りはもちろん、色目も生地見本から予想した以上に映えていてホントに嬉しかったので。済みませんでした。写真は近々、お店のブログで紹介されるらしいです。乞うご期待!
帰宅後は、作問を少しだけ進めて、録画してあったユーミンの40周年。
申し分けないけれども、お目当ては、スタジオセッションでの「キャラメルママ」再結成。泣けてきました。
明けて日曜は、畠山重篤さんの講演を聴きに行ってきます。
本日のBGM: 霜の降りた朝 (松任谷正隆) 〜 橋の上で (真心ブラザーズ)