県総合体育大会終了。
土曜日の配艇練習も午前中は良好なコンディションで、狙い通りの練習が出来たのですが、午後からは風が強まり、なかなかに手こずりました。カタマランから他校の女子 4X+にちょっとだけアドバイス。良いもの持っているのに、その力が発揮できないのはもったいないですから。
夕食後のミーティングでは、大分国体の時のH選手の映像を見て、ダイナミックな反応、アクセントのなさなど、サイズやフォームにとらわれない動きの「見方」を共有。ようやく、少しずつ、このレベルの「眼」ができてきたのではないかと。「感覚」に関してはすでに私よりも上でしょうから。それを意識して、再現性を高めるということが大切。夜は、同宿のH先生と懇親。
明けてレース当日は、朝から強風。リラックスが課題となるコンディションです。Quick Startに慣れていない選手で、フライングがありスタートやり直しになったりと、若干レーススケジュールが押しましたが、無事終了。大会結果や記録は、地方紙の報道にお任せするとして、自チームの選手は1年生の応援が耳に届いたのか、少しは成長の跡が見えました。菊池のGW合宿の後、背中の痛みで満足に練習ができなかったことを思えば、調子が悪いなりに、それなりの漕ぎができるようにはなってきたということでしょうか。あきらめの悪さはコーチ譲り、という風になってもらいたいものです。来週は、金曜日から中国大会で広島へ。まだ見ぬ強豪と相まみえるのを楽しみにしています。
揚艇後、リガーを外し、ローロックを回収して、納艇。応援に来てくれた、部長のF先生と1年生にお礼を言ってお別れ。国体の担当者会議が小一時間。選手のアイシングの氷を取り替えて撤収。20分冷やしては、外しというサイクルでメンテナンスです。自宅近くまで送り届けて、今度は自分の家路を急ぐ。
帰宅して、ほっと一息ついていたら、東京勤務時代にお世話になった、研究会仲間のT先生から携帯に電話。なんだろうと思ったら、
- 今、関西大学に来ています!
という報告。今日学会か何かがあったのかなと思いきや、休職で1年修士。田尻先生、竹内先生の元で研究を始めたところだそうです。国内でも制度が充実している学校があるのだなぁ。彼の同期の院生にライティングに興味のある方がいるので、紹介してもいいかとのこと。外面の良い私ですから、大阪からなら結構近いので、いつでもいらっしゃいと、一も二もなくOK。これから本業シーズン真っ只中なので、大してお役には立てないでしょうけれど。その代わりではありませんが、秋の「山口県英語教育フォーラム」に来て下さいと勧誘しておきました。その後、しばらくして、初めての番号から携帯に着信。なんと、H先生の教え子だったとのこと。このブログも、H先生から聞いて知っていたというではないですか。私の方こそ、駆け出しの20代の頃から研究会でお世話になりっぱなしですから、ご恩返しになるなら、としばらくお話。新たな人の繋がりが生まれた瞬間でした。
さて、
今シーズンの私のテーマが「パラフレーズ」なのですが、先週の高2のライティングの授業で、「英英辞典の定義」のカスタマイズというのをやりました。その時に扱った語 “escalator” が、「常時英心」の題材とかぶっていたので、ちょっと取り上げてみましょう。私の授業では、「エレベーター」との比較、「動く歩道」との比較を課しています。その際、国語辞典での定義を引き、「この語」「この表現」を説明で使わないと、説明や定義ができないぞ、という「肝」を括り出せるかが大事、という話しをしました。
- 動力で階段が移動し、人が段に立つだけで昇降できる階段状の装置 (『広辞苑・第五版』 岩波書店)
- 階段状の踏み板がモーターにより循環移動し、昇降する装置。もと商標名。(『大辞泉』 小学館)
- 動力で人や荷物を上下に運ぶ階段状の昇降装置。(『大辞林』 三省堂)
- 踏み段が移動する自動階段 (『パーソナルカタカナ語辞典』 学研)
などなど。「循環」とか「連続」という部分がアンテナに引っかかるかに注目して生徒とやりとりをしていました。では、英英辞書ではどうなっているか?と辞書の定義を聞き取り・ディクテーションに移ります。まずは、次の2つ。
- a moving stairway that carries people up and down (ISED)
- a set of moving stairs that take people to different levels in a building (LDOCE)
この2つの定義を書き取る過程で、"moving" と"movable"や"mobile"さらには "portable"は違うので、「脚立」との区別は容易だけれど、先ほど確認した「連続」「循環」などの肝がないことを確認。(定義語彙や構文が簡単だからといって初学者向きではないということは、次の例を見るとよくわかります。moving steps acting as lift (The General Basic English Dictionary)。これが最近のマクミラン (Am E版) だと、a set of moving stairs that take people from one level to another in a large building. A machine that you ride in to move between levels is an elevator. となっていたりするのが面白い。意外なところで効き目を発揮する菅沼先生は、と繙くと、 a continuous moving stairway (Shorter)
でイラスト入り (p. 179)。流石ですね。)
授業では、目の付け所を確認し自分で肉付けしてカスタマイズすることで、文法力もつくことを説いて、だめ押しのディクテーション。
- a moving staircase, consisting of an endless chain of steps moving continuously up or down (Longman lexicon of contemporary English、1981年)
明快で明確ですね。「循環性」も、endlessで、「連続性」もcontinuouslyで表されていて、さらに上りは上り、下りは下りなので、接続詞の “or” が効いています。呪文や棒暗記にならぬよう、チャンク毎に糊代を作りつつ音読。
というような実例を踏まえた上で、身近な語の比較対照を含めた定義を課し、週末を迎えたといった次第です。週明けの授業でどの程度、自分の頭が働いた軌跡を記しているでしょうか。
本日のBGM: 心は言葉につつまれて (Flying Kids)