昨日は春を思い起こさせる陽気だったのだが、今日はまたしても雨。
高2は、要約の手順。概論です。パラグラフの冒頭の文とか末尾の文をつなぎ合わせることはさせていません。高1から、教員にワークシートを作ってもらい、手取り足取りお膳立てしてもらった上で、教科書の英文を読んでいた時に、「どのような手順で取り組んだから読んで分かるようになったのか」、ということを踏まえて一から自分の手で、足で、頭で解決するということが問われているのです。結局、要約文を作ること、とか要約文の完成度とか、そういうことよりも、まず、個々の文をしっかり読みとり、全体像を構築し、主題を鷲づかみにする力をつけることに意味があるわけです。98年の自主教材が出てきたので、それを使い回し。それにしても完成度の高い自主教材を作るくらい時間をかけられた時期でもあるのだろう。この教材に付き合わされてた生徒もいい迷惑だったろうけど。ちょうど、入試問題正解の執筆を辞めて、Christian Science Monitorとか、 USA Todayを毎日買って読んでた頃ですね。高三の選択授業で、読解問題の素材文をグループに渡して、問題作成のコンペをさせたり、マイクロティーチングをさせたりしていた時期でもあります。「趣味を押しつけてはいけない」という恩師のことばが木霊します。
高1は、2コマ。
最初のコマでは、prepareに始まる辞書ワーク・スモールトーク。教室に行く途中の廊下に落ちていたゴミを見つけて、それを手に持っていたので、
- ゴミを英語で何というのか?
と問い、dust, garbage, trashなどなどを引き出し、辞書で確認。それぞれを英語で定義説明するとしたら?という活動。used paperなど、過去分詞から形容詞になった語を上手く使ったり、something you do not want any longer などと後置修飾を活用したりして、仕込みの段階です。
続いて、『P単』の今シーズン範囲での質問タイム。
- resortの語義と品詞。「リゾート地」のプラスのイメージと、「暴力に訴える」のマイナスイメージの差をどう埋めればいいのか。
- lastの語義と品詞。動詞だと「続く」、形容詞だと「最後の」で、一見、かけ離れているような意味がどうして一語の中に入っているのか。
という疑問だったようです。時間切れになり、次のコマでは、クラスで一つだけ質問に答えるので、優先順位の一番を決めておくこと、という指示で終了。
2コマ目は、宿題から。優先順位一番は、figureでした。
- figureは名詞で、「体つき」と「数字」とがあって一つのイメージに収束しない
とうことなので、浅田真央からfigure skateの話をして、「輪郭線」のイメージを利用。文字通り、外堀から埋めていくことに。最後は、句動詞のfigure outから、see, understandへと発展し、get the pictureまで、「理解することは、映像を得ることだ」というレイコフ的解説。これはこれでおもしろいのですが、効率は悪いですわね。
結構、教師の思いも寄らぬところで腑に落ちていないことが多いことに気がつけるので入門期の語彙指導ではこういう機会も必要かと。
初学者用英英辞典から定義文を読み上げ、前時で学習した語とのマッチング。なかなか、楽しい活動でした。キーワードとして、waste materialを提示。wasteという語を形容詞で使うのには慣れていなかった模様。
- material that has been used and is no longer wanted, for example, because the valuable or useful part of it has been taken out
というCOBUILDの定義文で、「助動詞の番付表」の大関と小結の復習。…is no longer wanted を unwantedなどといえるとぐぐっと英語力アップに繋がるのですが、高1ですから、まずは仕込みです。
残り時間は「ジェニーちゃん」の後半。まずは、ワークシート無しで読み進め、最後にワークシート配布。
7限の授業後すぐに、本業の生徒勧誘で教頭と中学校訪問。行きは雨。
7時に学校に戻るころには雨もあがっていた。荷物を整理して帰宅。
語彙学習・指導の見直しにと、
- 今井むつみ・針生悦子『レキシコンの構築 子どもはどのように語と概念を学んでいくのか』(岩波書店、2007年)
を読み始める。語彙習得でも、L2ばかりではなく、まずは、母語のことを確認しておこうという目論見。
昨日職場に、
- Motivation, Language Identity and the L2 Self, edited by Zoltan Dornyei, Ema Ushioda
最新刊が届いたので、読み始める。
Learner Autonomyに関して、編者の一人であるEma Ushioda氏の最新の論文を読んでおきたいと思っていたところに、2008年の Nottinghamの学会で、Dornyei氏は、「Learner Autonomyという概念は魅力的に映るけれども、言語習得において何の役に立つんだろうか?」という根元から意味を問い直す発言をしていたことが脳裏をかすめたので、この二人のコラボだったら、最近の考え方をしっかりと把握できるかなと思い購入したもの。関西大学の八島智子氏も執筆しているのでちょっと得した気分。
さすがに、このレベルの2冊が重なると並行して読むのは骨が折れるが、どうせ読むなら読んでいておもしろいものが一番。懐はその分寒々しいのだけれど…。
今日は節分。明日、多くの人に春が訪れますように。
本日のBGM: Distant Sun (The Crowded House / Farewell to the World 1)