It’s my own funeral.

日曜も朝から本業。今日は10月のレースに出る1X初心者にモーターでベタ付け。台風の影響で天候の変化が読みにくい一日。気圧計付きの腕時計がまだ修理できていないので、自分の勘が頼り。大学生がいないので、コースは貸し切り状態。
午前の部は、時折もの凄い晴れ間が現れ、日焼けしたかと思えば、パラパラと降雨。1X初心者にしては、なかなか良いスピードで艇を動かせるストロークが増えてきたが、まだまだ直進精度が劣るために左右を気にして振り返るのだなあ。艇が傾いた分だけさらに曲がることにようやく気が付いた模様。パドル10本、イージーワーク10本をさせて、艇の動きを感じさせる。「キャッチで蹴るな、フィニッシュで休むな」とF氏お得意の台詞を連呼している自分に気づく。午前はまだ水面の状況も良くかなり漕がせたつもりでもまだまだ60分ノンストップで9〜10km程度。1日2モーションでやっと20キロ。もっとも蛇行しているのでもう少し距離は漕いでいるかも…。昼は例のレストランでペペロンチーノ。午後は、雲の様子を見て、雷が出ないうちに、と早めに出艇。風が強まり、0-1500mはパワーロウ状態。「筋トレだと思って全力で漕げ!」と檄を飛ばす。ただモーターもかなりスロットルを開けないと前に進めません。雨脚が激しさを増す中、高強度UTを一通りやり、波頭が高くなったところで、安全策をとり終了。ちょうど局所的にゴロゴロ来ていたので賢明な判断か。後一月でどこまで速くできるかちょっと楽しみな選手ではあります。
上で「筋トレのつもりで…」と書いたが、本業のトレーニングで、現在ほとんど筋トレをやっていない。
筋トレをやっているだけではボートは速くならない。ボートを速く進めるには、実際にボートを速く進めようと思いっきり漕ぐのが一番よいのだ。Training specificationの観点から言って、エルゴでのワークアウトをやれば初心者は充分だろう。いくら筋トレをやって筋力・筋出力を増したところで、いざ乗艇になって正確に漕ごうと思って形にこだわれば、スピードが落ちる。それでは本末転倒。ボート競技に適った力を出すことがまず一番の技術であり、スピードを出せる技術こそが本物なのだ。というわけで、「技練」「テクニカルドリル」というようなものも、ちまちまやらないことにしている。技練の腕漕ぎも、やるときは腕漕ぎだけで片道1.5キロとか、往復3キロとかを課す。他にはスライドピラミッドでのスピードチューニングくらいか。これは本当に疲れるが使えるメニュー。ちまちまやっていると、「ミスをしないように」という、ちまちました、そつのない漕ぎになりがちだから。ちまちまやっていると、ミスをしても大きく崩れることはないので、あまり気にならず、結局潜在的な欠陥には手つかずで終わる。その結果、いつまで経っても大きく伸びない。実際のパフォーマンスの中から出てきたチェックポイントを次のトレーニングにどう活かすか?コーチの目利きはそこにこそ求められる。
翻って英語の学習・指導。

  • 英文法語法頻出問題精講
  • 精選英文読解問題集

というような本を使って英語を学習している生徒は多いだろう。学校を卒業してもそうなりがちのようだ。

  • 高校入試に向けて
  • 大学入試に向けて
  • TOEICに向けて
  • TOEFLに向けて
  • IELTSに向けて

問題集ばっかりやっている人っていないだろうか?

頻出問題集の利点って何だろう?

  • 効率が良い
  • 覚えるべきことが整理されている

でも大切なことは「自分で整理して覚える」ことにあるのではないのか?
人に整理してもらった知識をひな鳥よろしく食べさせてもらって身に付くものなのか?
比喩ばかりで申し訳ないが、「自分の部屋が片づかないから、誰かに片づけてもらう」ことで一次的には改善されたとしても、また散らかって収拾がつかなくなるのがオチではないのか?その時にはどうするのか?
自分自身で整理する観点、目の付け所を身につけることがまず必要なのではないか?
そしてさらには、その観点を発揮して、読んだり書いたり、聞いたり話したりする中で触れる膨大な英語の素材から自分にとって必要不可欠なものを選び出し血肉化する「英語の体力」こそが重要ではないのか?
通訳を生業としている古い友人が、トピック・テーマ・業種で分類した語彙ノートを何冊も作っていたのを覚えている。彼はヨーロッパの数カ国語に通じているポリグロットではあるが、仕事で使うための情報を自らの手で整理し、仕事の中で得たフィードバックをそこに積み重ねていく、というまさに血肉化の作業を続けていたのだと思う。
無駄を廃し、効率を上げるというと聞こえはいいのだが、マニュアルどおりの努力で得た出来合いの力などいざというときに頼りになるのだろうか?

  • 文法・語法・語彙に関する知識
  • 発音・音変化・強勢に関する知識

などは単語集・熟語集よりも辞書の方が詳しかろう。
辞書を作る側の人間として言っておくが、辞書に結実した、人々の英知というものはヘタな参考書・問題集の比ではない。
何でもかんでもパターン化して、綺麗に分類をして、という日本人の得意な資質を発揮するのは結構。でも、実際の言語の運用は単一技能ではまかない切れない、ある意味ハイブリッドなものなのだから、分類整理したものをいつでも統合できるようなタスクの用意がなければ宝の持ち腐れである。私がここでいうハイブリッドな技能というのは、readingとspeaking、listeningとwritingというような4技能の連関のことではない。Listeningひとつ取り上げても、実際の運用では様々なスキルが複合的に動員されているということである。こここそ、目利き、腕利きの教師の出番だろう。受験生諸君も「問題集を何周した」、などといって反復練習したつもりになっていないで、そこから自分独自の英語表現集を作るとか、実際の運用に近い擬似的なタスクの形で練習する中で出来不出来を評価してみてはどうなのか。
自分が英語ができないことを誰かのせいにするのではなく、勇気を持ってはずれくじを引けばよいのだ。そんなことくらいで損をしたと思うメンタリティーで掴むことのできる「成功体験」では積み重ねは利かず、バネにもならないだろう。
幸い日本でもSELHiを中心として高校生レベルのCDSが整備されつつあるので、そういった情報にアクセスして自分に何ができるのか、自分にとってネックになっているのはどういう技能なのかを自問してみると良いのだ。最近のものでは「鹿児島スタンダード」が以下のアドレスで確認できる。(http://perfect.sunnyday.jp
野菜ジュースやビタミン剤、プロテインなどのサプリメントを摂取していれば、栄養に関しては充分だと勘違いしている「健康マニア」「フィットネスおたく」と同じ轍を踏んでいないか、過去ログの野口晴哉氏の言葉を参照されたし(→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20070704)。
帰宅後、夕飯前にところてんの食べ比べ。妻が福島産、山口産の天草を煮出して作ったもの。妻は福島産に、私は山口産に一票。ところてんにも味わいがあり個性があるのだ。

本日のBGM: 謝々(スピッツ)