みうらじゅんの唇

  • 言語は、習ったからといって身につくものではありません。その観点に立てば、非英語社会である日本では、どのような訓練をしようとも大量の英語学習失敗者が生まれると覚悟しておかなくてはなりません。我々の社会は、そのような失敗者をどう扱おうとしているのでしょうか。(山田雄一郎;2006年10月28日 JACET関西支部講演「英語力をどう育てるか 学校教育の守備範囲」骨子より) 

考えさせられる。今日開かれているはずの中教審外国語専門部会はどうなったろうか?
金曜日は進学クラスのみの授業。
高1進学クラスは音読の後、教科書の語彙解説。
funeralの訳語を問い、「葬儀;葬式」を得る。「結婚式」と「葬式」の共通点は?と問い「式=ceremony」を引き出す。定義にはまず、ラベルを貼る必要があることを確認。
I’m up by five thirty to go over my schoolwork.
の go over のイメージを説明。
MEDでは

  • to check something carefully
  • to practice and repeat something in order to learn it
  • to repeat a series of things or think about them again in order to understand them completely

という定義を載せている。
to examineなどよりも、 to reviewのイメージの方が判りやすかろう、ということで、「往路=矢印・復路=ターンして戻る矢印」の図解をして、reviewを導入。「re-は『ふたたび;繰り返し;あとから』という意味を表す接頭辞だけれども、このような知識は、viewの意味が既に身についていない人には全く役に立たない。基本語をいかにきちんと身につけるかの方がよっぽど大事!」と強調。

その後は、テキストの本文中から、定義に合致した語を抜き出す作業。以下の定義を読み上げる。

  1. the process of teaching and learning in a school or college
  2. feeling happy about something you have done, something you have, or people who are close to you
  3. a ceremony for burying or burning the body of a dead person
  4. better or more important than other people or things

それぞれ、
education / proud / funeral / special
名詞の定義は比較的易しいが、形容詞は意外に手こずるものだ、ということを実感してもらう。該当する語が確認できたところで、定義を正確に書き取らせる。educationでは「教育」って何?どんなこと?「あなたに、小学校1年生の弟・妹がいるとして、『お兄ちゃん、教育って何?』って聞かれたらなんて説明する?まさか、教を育すること、とか答えんやろ?!」と、「先生=教える」「生徒=学ぶ」「教室;学校」などのキーワードを引き出しておいて書き取り。定義にとって重要なprocessという語の理解では、「入学から卒業まで」の比喩で「はじめからおわりまで」の説明。
proudでは、happyは「幸せ」だけではないことを指摘。その後、something you have done = achievementを引き出し、ここでのdo はachieveのイメージであることを確認。something you have = possessionsは高1には難しい。動詞possessよりも簡単な ownという語を導入。people who are close to youでは自分の身近な人を例としてあげさせる。親・兄弟など家族の面々がすぐにあがる。
funeralでは a ceremony for [ ] or burning the body of a dead personと板書し、orに着目させて、葬式で火葬以外には?と問い、「土葬」つまり、「埋める」に当たる語がここに入るはず、と和英で引かせる。
そこまで確認してから、教科書のこのパートを個人で音読。「2分間」といいつつ3分半の間繰り返させる。

その後、語彙に関わるディクテーション。
Only close family attended the funeral.
机間巡視したところattendedのところが怪しいので、そこだけ抜いて、
Only close family [ ] the funeral.
と板書。ここに入りそうな語は?と問い、「出席・列席」に関わる語を和英で引かせる。attendの品詞を確認させ。必要なものは自分の書き取った文を修正・訂正。その後音読と清書の筆写。
1年生の2学期はこんな感じで、パラフレーズの下地作りから始めています。
高2は、「発音熟達度チェック」の音読練習とビデオ撮影。

  • leave; live/ beat; bitでの長さではなく、音そのものの区別。lやbの音を出す際のエネルギー発生の瞬間を感じさせる。
  • bit/ bet/ bat/ butでの顎の開きと唇の形の変化。基本的に北米の音(とされる音)をモデル。
  • pit/ pet/ pat / put/ potでの顎・唇に加えて、帯気の練習。顔の前で紙の縁に音をぶつけさせる。bat/ patでは唇の形を徹底。「ラッパの口」のことを私は「みうらじゅんの唇」と説明しているので図解。
  • pool; pullでの音の違い。なぜ、「ォ」のように聞こえるのか?
  • pull/ wood/ wool/ hook/ footでしつこく練習。
  • booksとboxで対比。

などを全体、個人でやりながらハンディカムを持ち個々の生徒にチェックリストにある例文を読ませて撮影。
個々の単語ではできても、まだまだ文の中では息が続かない。いかに吸気を音にする過程で無駄にしているか、durationひいてはarticulationが曖昧かを実感させる。「自分の身体でアコーディオン」を確認。私も全モデル実演は結構疲れます。
高3はセンター対策。文整序段落完成のうち、つなぎ語を補充するもの。つなぎ語を補充する前に、語彙が弱いので、文と文との論理的な関係を吟味できない。安易にディスコースマーカー読みに頼るのではなく、地道な精読・音読をやることの重要性を再認識してもらう。
選択肢のうち、錯乱肢にあるつなぎ語の解説と類例を加える。in factとon the contraryでは辞書の用例を確認させる。3年生は『新グローバル』を使っているので、まだ指導は楽な方。そういえば、随分前のことだが、この『新グローバル』の発表会でのダベンポート氏の話の中でもかなりin factを使って「本当に理解して欲しい事柄」を強調していたのを思い出す。
放課後はエルゴ60分。今日は私もつきっきりで、数値が落ちそうになるところは隣で一緒に引いたので疲れました。
夜は英語科の主任と駅前で一献。主任は私より2歳上でほぼ同世代なので、ラジオ英語会話の東後勝明先生の話で大盛り上がり。英英辞典で何が一番使いやすいか?など仕事の話でも結構杯が空いた。主任の目指す英語科の姿、私の本業での夢などを語り合う。
明日は朝から本業。台風がちょっと心配。
本日のBGM: 始めと終り(みうらじゅん)