先月、晴れ間が顔を覗かせる度に、「梅雨明けしましたね!」と言っていた私と、その繰り言に呆れながらも対応していた同僚との準備室での本日の雑談。
- 同僚: あんなに晴れていたのに微妙な空模様ですね。今年の梅雨はちょっと変ですよね?
- 私: いや、もう梅雨は明けてるんですよ。今日これから雨を降らせるのは、実は「梅雨4号」なんです。
気象庁が時々繰り出す、「実は、○月X日に、もう梅雨は明けていたんです。」宣言よりは潔いと思います。
週初めの実作は、進学クラスのみ。
高1は、学校設定科目の「クリエイティブ英語」。
今日は、『基礎英語3』のテキストで、「不定詞の副詞用法」を含むダイアローグを2本。
「用法分類」は難しい。
- <to原形>のかたまり自体を四角化する→「ことがらは、ワニの口、ウ○コ漏らすな、ゲ○吐くな」
ここまでは簡単。
- <to原形>の直前に四角化できる名詞があり、その名詞と結びつく
場合の、「結びつき」方は、一筋縄では行かないことは、過去ログでも触れました。教える方が、その難しさを分かっていないケースが多いように思います。私自身もまだ定見を持っていませんが、高3で関係副詞の確認をし、副詞→副詞句で、前置詞を引き出す練習をこなした後、<前置詞+関係詞+to原形>の典型例を集中的に扱うと、形容詞的用法で同格とされてしまうことの多い不定詞の働きが見えてくるかな、という気がしています。さらに、テンスとモダリティが難しさを増します。助動詞そのもの、または助動詞的述語表現が使えると、事実か可能性の査定などの心的態度か、ということを表しやすいのですが、「とじかっこ」を使わずに、それらを<to原形>に押し込めているような場合には、その「働き」「意味」が曖昧になります。いきおい「不定詞の訳し方」で分類、となりがちです。高3くらいで、<the last + 人・もの>の語法での、不定詞や助動詞との共起制限を気にするあたりで、一度まとめて整理してあげられるといいなぁ、と思ってやっています。
で、「副詞 (的) 用法」は、というと、
- 上記二つ以外
ということで、いわば「ゴミ箱」のような扱いです。そりゃそうですね、
- 「副詞」は、動詞、形容詞、副詞を修飾する
わけですから、「ど (ど) いつ」の担当範囲を全てカバーするのか、それとも一部なのか、初学者には見当もつきません。<to+原形>の残り物をせっせとそこに運び入れてしまった結果、「分別」が難しくなっています。<toは→>なんて、単純化して考えていた、高校生時代の私も、
- 目的や意図
と
- 感情や判断の原因
とでは、矢印の向きが反対になるように思っていました。
教師になってからの私の指導で、語順に強い関心を持ったのは、田尻悟郎先生の「語順」指導を知ってからです。かなり影響を受け、『お助けブック』や『語順下敷き』なども使いました。その後、田地野彰先生の「意味順」と出会い、今日に至ります。
田尻先生の「『どどい』表現」とは異なり、
- 「どどいつ」
という言い方を私がしているのは、もちろん、「都々逸」との語呂合わせですが、最近の高校生は「都々逸」そのものを知らないので、あまりこだわる必要もなくなったなぁ、というのが正直なところです。ただ、
- どこ
- いつ
の他に、
- どのように
- どれだけ
- どうして
という、残り物の「ど」が、それこそ、ドドド…と押し寄せるわけですから、初学者は、難しくも感じますよね。(「百々」という漢字表記では、そのoverwhelmingな様がよく表されているように思います。百々さん、元気ですか?)
この辺りは、田地野先生の「意味順」では、
- 「『なぜ』ボックス」
を1つ設定することで柔軟に対応しています。
語順指導が文型指導の下請けをやっている間は、初学者の悩み所、迷い所は増えこそすれ、減りはしません。「だれ・なに」ボックスを1つにすることで、いわゆるSVOOとSVOCの区別、すなわち目的語と補語との分類・識別という難題で「軟着陸」していた田地野「意味順」実践の懐の深さが、この「『なぜ』ボックス」の設定にも現れています。
- I am glad to have a new bike.
- I am sorry to be late.
と、
- Many people go there to ride their bikes.
- I use the train to go to school every day.
で出てくる、<to 原形>を同じ「『なぜ』ボックス」に入れる、というわけです。
これは、示唆的だと思いますね。
- 何が何を?
という解答はまだわかりませんが、私には「架け橋」が見えたような気がしています。
高3は、「ナラティブ」の最初の課題を返却。
picture description から、story telling への橋渡しで、1990年代の私の実践での定番教材だった、
- Gary Larson
のcartoonを幾つか見せて、
- multi-frameでsequenceになっているもの
- one-frame だけれど、「その前」「その後」を「物語っている」もの
- one-frameで、「セリフ」がキャプションとしてついていることで、「物語」に「奥行き」を与えているもの
を考えてもらいました。そのうち、1つを出題予告。準備してくればできる問題です。
残り半分で、
- 『L & R デュアルトレーニング』 (コスモピア)
のリーディングの課を1つ。この教材は内容は優れているんだけれど、レイアウトがとっても使いにくいので、テキストは全員購入してもらった上で、授業では、それぞれのタスクが一瞥できるすっきりしたレイアウトでワークシートを作成し、進めています。
長沼先生!コスモピアさん!これ、範型をB5位に大きくして、チャンクリーディングのタスクなどが、1頁または見開き2頁に納まるようなレイアウトくらいに変えたらもっと使い勝手が良くなり、このテキストの良さが多くの人に伝わると思いますよ。もしこの教材を自学自習するのであれば、ストップウォッチ機能付きの時計とかがあると便利ですね。
生徒に言っているのは、
リーディングのユニットで「パラグラフリーディング」のステップをやったあとで、最初のまっさらな状態で印刷された英文を黙読してみると、読解速度が落ちている、ということがあるけれど、それは「意味の処理が深くなった」ということでもあるので、気持ちまで落ち込まないこと。
- 60%の理解で、140 wpm
と
- 80%の理解で、120 wpm
のどっちが優れているか、というのは、その「読みの目的」は何か、ということに関わってきますから、一概には言えないのです。
ということ。ただ、いくら一概には言えないとはいえ、
- 40%の理解
であれば、その教材は「処理とか保持とか」を気にする以前の問題で、ちょっと難しすぎる、ということでしょうね。
最後の7限は、高2。
「ライティング」の「説明・定義」の課題のうち、ペア課題の方のフィードバック。
かなり良くなりました。ただ、英語が苦手な人は、人任せ、得意な人の好きなようにやらせてはダメ。
- 英語が苦手な自分にも、これならわかるというレベルでの英語表現
- 英語が苦手な自分も、こんなことが英語で言えるようになりたいなと思う英語表現
というベクトルが大事です。
テストでは、もう一つ「人物の紹介」も問われます。
人物の紹介で「使うべき必須表現」を学ぶのに、「伝記」や「著者略歴」が適している、一番良いのは、「追悼文」。説明する、語る、ということのエッセンスが詰まっています、という話し。
一旦区切りとして、浦島さんの『話せる音読』で、トップダウンとボトムアップ。ここでやっていることが、『L & R』に繋がるのだなぁ、と実感。私が実感しているだけではダメなんですけど…。
試験前の残り授業はあと2コマ。今、期末試験の作問中ですが、あと、「ゆるキャラ」をどうしようか思案中です。
仕事を終えて、帰宅前に商店街へ。ついでというわけではないのですが、久しぶりにオーナーの顔を覗きにScotland Martに。先日、SPICEで買ったショーツに合わせるソックスだけ買って帰って来ました。「夏はSPICE強化月間」、ということでイベントの話しをあれこれ。でも、セレクション、ディスプレイだけでなく、接客というか、オーナーとの「話し」でもいろいろとインスパイアされるので、こちらの「ホーム」にも立ち寄りたくなるんですよね。あんまり「買い物」をしない客で申し訳ありませんが…。
帰宅後は、昨日届いて休ませておいた大阪の銘酒で晩酌。
ちょっと食べ過ぎました。
小市民の小幸福。
てな具合に、大ニュースに気づかず就寝していたわけです。
本日のBGM: Baby I love you (くるり)