「明日」は「あす」ではなく「あした」です

今年最後の更新となりました。
1年を日記のように振り返ることはしません。ただ、一点、このブログのタイトルは、

  • えいごきょういくのあしたはどっちだ

と読みますので念には念を押して。

今日も今日とて、市販教材や予備校のテキストの英作文の解答例を精査。
某カリスマ講師の夏期講習テキストを入手。このテキストは200頁を越えるもので、最後に膨大な過去問の整理分類も収録されていたので、その内容に物凄く期待していたのだが、テキスト本編の「論理性」のトレーニング部分には解説がほとんど無かった。「英作文以前」の問題点として、基本的な構文と語法を徹底しようというのはもっともな姿勢だとは思うのだが、誤文訂正が自分で出来るくらいなら、単文・短文での英作文は既に出来ているのではないかと思う。以前、このブログで私が「読解」について書いた時に、「牛乳を飲みつけない者に練乳を飲ませる」という秀逸な比喩で指導者の側のジレンマをコメントしてくれた人があったのだが、この高校生に対する読解指導での歯がゆさを、作文指導に置き換えてみれば、「ヨコ糸」紡ぎを丁寧にすることなく、「作文以前に文法は完璧に」などと気楽なことは言っていられないと思うのだ。作文をやりながらあれもこれも同時にやらなければならないのが、平均的な受験生の指導であり、大学受験とは全く関係のない高校生への「ライティング」指導での課題であろうから。
「タテ糸」の指導に話しを戻すと、このテキストの巻頭には、受験生の作文の課題として、

  • 主張に対する根拠が希薄、あるいは根拠になっていない。

という文言が明記してある。とすれば、この講座はこの弱点を克服する為に設定されたものあると思うのだが、解答例の英語では、shouldなどの助動詞やnaturalなどの形容詞、enoughなどの副詞も含め根拠が希薄な主観的形容のオンパレード。かなりがっかり。受験生は自分の利害があるから致し方ないと思うが、メディアが持ち上げるだけでなく、高校教師の中にもこの講師を「カリスマ」視している人が多いようだ。どうも、その目に鱗をため込みすぎてはいまいか。
以下、解答例の英文をそのまま引いておく。「お題」はわかるだろうが、問題点は分かるだろうか。まずは賛成論。

I agree with this idea. There are two reasons for this. First, at the age of 18, every person is mature enough to have their own opinions about political matters, have sound judgment on them, and take responsibility for their own actions. Therefore, if they were given the right to vote, they would make great contribution to political life in this country. In addition, some 18-years-old people have already started to work and have to pay taxes, so it is quite natural that they should have the right to vote. In conclusion, I believe they should be permitted to choose their political representatives.

次に反対論。

I disagree with this idea. One of the reasons for this is that most eighteen-and nineteen-year-old people are still immature and incapable of making good judgment on political matters. They are only able to think about clothes, music, and dating. In addition especially high school students are too busy preparing for entrance examinations to think about the future of this country. Another is that young people would choose politicians based on their personal preference; political candidates would have to work hard in their campaigns to win popularity among young voters instead of thinking about what they have to do to run the country efficiently. That is why I do not think that young people in Japan should have the right to vote in elections from the age of eighteen.

このテキストの冒頭にある「まえがき」には、次のように書かれている。この講師の講座で自由英作文の採点をした際のエピソードである。

およそ200名分の答案があったのですが、文法面だけで零点になった答案がおよそ170枚もありました。そして論理面で減点していくと、点が残ったのはたったの2名のみという悲惨さでした。(中略) その2名以外も多数東京大学や一橋大学に合格されたのですが、その時点で「まともな答案」はたったの2枚だったのです。

このテキストに収録されている解答例で、本当に文法面の減点はないのだろうか?さらに、本当に論理面で「主張に対する根拠」が明確に示されているだろうか?論理は「立って」いるだろうか?「天に唾する…」、「人の振り見て…」ではないが、自分の授業での実作はしっかりと行いたいと、決意を新たにした。
英作文の模範解答に於けるこのような「論理面」での問題点を、再三再四このブログでは取り上げ、指摘し、改善を呼びかけてきた。その反響として、このブログの読者から年末に教えてもらった「英作文教師なら避けては通れない」教材を早速注文。年明けには届くので楽しみに待つことにしたい。

夜になって、『紅白歌合戦』を予約録画。
我が家は10時には就寝していることが多いので、ましゃの出番まで起きているのはなかなか大変。私は郷ひろみを見たところでちょっと仮眠。ましゃの出番でちゃんと目を覚まし画面の前へ。司会の井上真央ちゃんはお色直しなのか、ドレスを着替えた後だった。ライブ会場からの中継で、期待通りギターは今剛さんだった。このCMタイアップ曲では、ソロで目立ちようもないけれど。
その次の松任谷由実は和服での登場。数年前の瀕死の歌声ではなかったものの、やはり歌声の壁にはほころびが見えていた。
さあ、蕎麦を食べて年越し。
2012年は年男。
健康第一で、7割に全力を目指します。

本日のBGM: Ask Me Now (Thelonious Monk)