「話しあい、書きあう仲間」

期末テストの答案を取りに行き、そそくさと帰宅。のつもりだったのだが、途中、古本屋で散財。ただし、良い買い物だった。一つから抜粋。

  • わたしたちの仲間は、まだまだこれからです。わたし自身の中に、ガラス工のおかみさんや、紡績の娘さんが生き、紡績の娘さんの中にガラス工のおかみさんや会社の事務員や大学生が生き、そうして、みんながお互に自分自身の中に、ほかの人たちが生きて働くようになるまで、わたしたちひとりひとりが、自分だけの体験というせまいわくを出て、お互の立場にたって自分自身を見ることができるようになったときに、こんどは自分の体験だけに密着したつづり方ではなく、自分にとってねうちのあることが、ほかの多くの人にとってねうちのあるような、作品ができるようになるのではないかと思います。そうした作品を、わたしたちはこれから、わたしたちの仲間の結びつきを、いちばんよくあらわすような、集団創作のかたちで作り出したいとねがっています。(鶴見和子「話しあい、書きあう仲間」、『エンピツをにぎる主婦』鶴見和子編、毎日新聞社、1954年)

この巻末の小論で鶴見は「生活をつづる会」での自身の苦悩を隠さずに描いている。勇気のいる言葉だと痛感した。
時代は変化しているのだから、教育もその時代に合わせて変わらなければならない、という盲信(妄信?)に身を委ねる前に、歴史から、先哲の実践から、もっと学ぶべきなのだ。
これ以外には、

  • 扇谷正造『現代のマスコミ 週刊朝日編集長の覚書』(春陽堂、1957年)
  • Playboy, March 1966

を買ってきた。扇谷正造は私が小中学生のころ、テレビでも「時事放談」などにまだ出ていた記憶がある。Playboyのこの号には、ナボコフの小説や、ヘントフの反ベトナム戦争論などが収録されており迷わず購入。
あと、古本ではないが、

  • 『あたらしい教科書 ことば』監修 加賀野井秀一、酒井邦嘉、竹内敏晴、橋爪大三郎 (Petit Grand Publishing, 2006年)

を購入。これはほとんど竹内敏晴がお目当て。
帰宅後、採点。今回は、予想問題も事前に公開し、テストに向けて学習・復習することで、英語の力を更に伸ばそうという狙いがあったのだが、なかなか全体への浸透という点では難しい。テストの最後に「自分の取り組みを振り返って、または3学期に向けての授業への要望」という欄を設けてあるのだが、そこでの生徒のコメントから。

  • 今の授業はテスト(受験)のための勉強ではなくて本当に英語を喋るために実用的な英語力がついてとても楽しいです。
  • 今まで型にとらわれた文しか作れなかったけど、2学期の授業で様々な語法を使えるようになって良かった。
  • 以前と比べると、まとまった量の文が書けるようになってきたが、まだ語いが少ないために、日本語で本来云いたいことをうまく英語にはできないので3学期はもっと言葉を増やしたい。

こんなのもありました。

  • Elvis Costello, Nick Low (?) の曲のレコードを父が持っていて、色々な彼らの話を聞けたので、また彼らの曲を3学期もやりたいと思いました。

英語の授業を通じて、親子での対話が深まる、なんていいことではないでしょうか。ちなみに、Nick Loweというのが正しい綴り字です。
今回、解答も大変だったでしょうが、採点も大変です。明日は高3ライティングも出てくるので、高2の選択記入のところだけでも終わらせねば…。
本日のBGM: Pidgin English (Elvis Costello)