一期一会

朝3時過ぎに起きて、原稿書きと資料の整理。その後5時から本業。寒いし、暗いし、この時期は大変です。今日は良い仕事をしたと自画自賛。軽く朝食を済ませ、いったん帰宅。昼前に、某社首都圏イベントへ。
7月の博多に続いて、入試関連でのプレゼン。博多の時と違い、先進校事例の報告に代えて、自分の実践事例を補足したので資料がかなり詳細かつ煩雑になったと思う。このイベント自体はクローズドなものなのだが、英語教育プロパーの研究会で首都圏の高校、中高一貫校のトップ校が顔を合わせる機会はまずないので、このイベントで「過去問対策・演習は通過点に過ぎない」ということを伝えられたのは私としては満足。詳細はもう少し落ち着いてからまた考えます。
プレゼンの冒頭で、先日のブログでも紹介した某予備校の一橋大模試の解答例と私の教え子の再現答案を二つ示して、「どちらが予備校の示した解答例か当ててみて下さい」というのをやってもらったのだが、9割くらいの人が、再現答案の方を選んでいた。以下にその再現答案を示しておきます。実際はスラッシュのところで段落が変わると考えて下さい。

  • I oppose the opinion that English should be taught from the first year of elementary school in Japan. Japanese schools should put the top priority on learning their first language and learning in their first language. There are two reasons for this. / Firstly, at the age of the first year of elementary school, children have not yet learned to write Chinese characters or have not used Japanese correctly enough. Therefore, learning two languages can both be halfway. / Secondly, nowadays, in the elementary school, there are problems such as the decline in the academic ability and bullying. So the general public wants schools to emphasize basic subjects and morality. Therefore, there is no room to study English. / Consequently, I don’t think that English should be taught from the first year of elementary school in Japan. (134 words)

英語の表現でつっこみどころはあるが、模試の解答例として示された英文よりは、こちらの方がまともだろうと思うのだが如何だろうか?

帰宅後メールを開けると、今月初旬のELEC同友会でのライティング分科会に関わるアンケートが大会本部のアンケートに紛れていたということで、大会部の方がメールに起こして送ってくれた。お手数おかけしました。その中で、

  • ある高校のカリキュラム批判、入試問題分析より、授業案提示とworkshopに時間をかけていただきたかった。

という感想をいただいたので、この場を借りてお答えしておきたい。
大会案内にも「当部会が紋切り型の安易な結論を提示する用意はありません。」と書いたように、今回の分科会は、そもそも理想となる授業案の提示の場ではないのだということをご理解頂きたい。入試問題分析が不要と言われてしまうと返す言葉もないのだが、当部会での分類にしたがって、テクストタイプを踏まえたライティングの授業立案をしてもらうことが最大の狙いなので、もう一度資料をお読み頂いて、それぞれの問題を比較検討して頂き、疑問点はメールをして頂ければと思います。
今年は、3月に語研(語学教育研究所)の春期講習会、6月に英授研(英語授業学研究学会)の月例会、8月にELEC協議会での教員研修会、ELEC同友会英語教育学会でのサマーワークショップ、と講師を務め、ライティングに関して具体的な実践例・授業案も含めて、中学の入門期から大学入試まで、これでもかというくらいお見せしてきたので、今回の大会の分科会だけを取り上げて「なぜ具体的な授業案を見せてくれないのだ」といわれても困ってしまうのですね、正直なところ。7月の博多でのイベント、そして今日のイベントの良さは、こういう面でのレスポンスの良さなんです。「よーし、いっちょやってやろう!」というような熱というか、高校教育の更なる可能性をフロアから感じることが出来ます。
ライティングの授業をどうするかで本当に悩んでいらっしゃる方は、GTEC Writing Trainingの受講を真剣にオススメします。「なぜ、教員なのに高校生用の通信教育の講座をお金を払ってまで…」と思う方も多いでしょうが、私が1カ年のシラバスで扱っているエッセンスを3ヶ月程度の期間に圧縮・濃縮したプログラムをお示ししてありますので、私の1回の授業を見るよりは、何をどうやっているのか、という全体像がわかりやすいでしょう。この通信講座の教材に関しても、8月の英授研全国大会にて会場展示をしていただいて実物見本をお見せする機会を提供しています(左のアンテナにも告知があります)。
これまでに用意されていたそういう機会を生かせずに、残念!ということであれば、個別に学校へ出向いてワークショップなどをしても構いませんから、メールで具体的なプランをお寄せ下さい。

これまでにも研究会での発表後もメールのやりとりなどを経て、実際に授業やテストが大きく変化(進化?)した学校もありますので一端をご紹介。

  • ライティングの期末考査は、Persuasive, narrative, descriptiveそれぞれ、150語以上、120語前後、110語程度を課し70分の時間で書いてもらいました。persuasiveは2学期のディベートの肯定か否定の立論をベースにしたもの、narrativeは英検準1級の面接の4コマストーリー程度、descriptiveは○○大の今年の入試問題程度に設定してのテストでした。やっと1年半でライティングのスタイルの種類を増やせるようになりました。この頃本当に思いますが、ライティング指導の大切さを日々痛感しております。スピーチライティングはもとより、スピーチの後の質疑応答もライティングの論理的な構成力が伸びると、非常に上手く受け答えができるようになります。スピーチ・ディベートの指導はスピーキングの指導が中心ではなくライティングなのだ、と考えるようになりました。

朝3時から21時間よく持ったと思います。本当に疲れた一日でした。今日の出会いは良いものであったと祈りたいものです。

本日のBGM: If you intend (10,000 Maniacs)