基本語彙の考察

JACET8000が届いたので、自分の手持ちの資料、教材や、今までの生徒の作文で得られたデータとの比較を簡単にしてみた。
コーパス言語学の成果を反映した、これまでにない信頼できる基本語彙表である、と開発者がいうのも誇張ではないのだろう。これからの学習教材などにどんどん反映されていくことが期待される。
今回、このJACET8000を見て考えたのは、
ネイティブスピーカーが使用した英語に基づくコーパスを構築し、その分析によって得られた基本語彙は、日本の学校教育においてはある種の限界があるのではないか、ということである。というのも、JACET8000で提唱されている最も基本となる1250の語が最重要語彙であることは確かなのだろうが、例えば、中学校1年生が英語の学習を開始してから語彙がどのように習得されるのか、また発話で使えるようになる語彙がどのように増え、定着、発展していくのか、という語彙習得のプロセスはどのように反映させるのだろうか?
国語教育においては、井上一郎著(2001年),『語彙力の発達とその育成 国語学習基本語彙選定の視座から』(明治図書)など、小学校1年生から6年生まで作文で出現する語彙の計量分析がデータとして示されている。
英語教育では、この視点での基本語彙はこれまであまり語られてこなかったように思う。学習者が実際に発話した語彙の発達段階、また、発話したい語彙の段階付けというのが外国語学習においては重要な視点なのではないだろうか?
どこかの大学や企業と組んでプロジェクトができないものだろうかと本気で思うなあ。