「スタート三本、水車!」

「学級文庫」今週の新入りの紹介から。
福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)

  • ベストセラーは好きではないのだが、先日、飛行機の機内誌で読んだ、野口英世とフェルメールというような切り口で、ロックフェラー大学の話を書いていて、興味を持ったので。anfieldroadさんの読後レポートにも影響されました。

『高校生のための現代思想エッセンス:ちくま評論選』(筑摩書房)

  • 編著者は岩間輝生、坂口浩一、佐藤和夫。都立高校の先生のようです。『高ため・三部作』のようなシリーズになるのか微妙ですが、解説の執筆者の書名入りというところに潔さを感じました。比較的新しい批評家・評論家・思索家・哲学者などを扱っています。

永井一郎『バカモン!波平、ニッポンを叱る』(新潮社)
同『永井一郎の「朗読のヒント」』(ふきのとう書房)

  • 『…朗読のヒント』の方は過去ログ参照。先日、PUPAに気をよくして「この後、24時間怒らずにいよう」、と決めたのにも関わらず、テストの復習ができていない生徒に説教をはじめた自分への安全弁の意味もある。波平さん、私の代わりに叱って下さい。

山岸勝榮『単語博士―いちばん知りたい暮らしの英語』(小学館)

  • 日本語のカタカナ語になっているものなど、語義とイメージで英語の本当の姿が伝わっていないものを知るために。日常語という枠組みでは、『カラーアンカー』(学研)、田崎清忠『アメリカ日常語辞典』(講談社)や『アプローチ英和』(研究社)などが既に文庫に入っているのだが、それらを補完する参考書として位置づけられようか。

あとは、自分の読む本。
Rattawut Lapcharoensap (2004). Sightseeing, London: Atlantic Books

  • これは『書評空間』の津田正さんの評に影響されて。どうせ読むなら英語で読もうと思って注文。このペーパーバック版の表紙はクリント・イーストウッド。いや、この物語のイーストウッドですからね。夏休みの楽しみが増えました。

The Selected Poetry of Yehuda Amachai, Harper Perennial

  • 1986年初版の詩集。翻訳編集はChana Bloch & Stephen Mitchell。どこかでこの人の詩を見かけたので、注文したのだが、そもそもどこで読んだか忘れてしまった。でも私の好きな詩が増えたからいいや。たくさんあるのだけれど、一編だけ紹介。

Forgetting someone is like
forgetting to turn off the light in the back yard
so it stays lit all the next day.


But then it’s the light
that makes you remember.
(Forgetting Someone)


高1授業は、テスト返しそっちのけで、音読塾。阿野先生、田尻先生、そして京大の青谷先生の説く音読の功徳を紹介。音読を呪文にしないための具体的なヒントをもらった気がする。高2でも同じところを紹介し、残りの中途半端な時間で『P単』ドリル。
高3は、基礎固めの具体的な取り組み。私自身が高校生の時にやっていた実践も紹介。時代や指導要領、テキスト、カリキュラムがいくら変わっても、本質はそう簡単に変わるものではないだろう。『コーパス口頭英作文』を紹介しながら、教材以上に大切なのは、基本文例は「1秒で反応できる」ように、自分の身体にしみこませることと説く。英検の二次試験を控えている者には、

  • 鏡を見て、笑顔を作る練習。
  • リラックスした笑顔で音読練習。

を指示しておいた。
数学の先生からは、句動詞の受動態に関する質問が。
文末が前置詞で終わっていて、動作主がbyで明示されないことに対する違和感のようだ。これは、最近の教材では改善の進んだところではないのか?我々の世代は、どちらかといえばまず「受動態の作り方」でたすき掛け的な指導が多かったように思うのだが、今は、「どういう時に、受動態を使うのか?」という語用論的、情報構造的な視点から導入されるのが主流になってきているのではないかと思って、『フォレスト』をお見せすると、案の定無難な導入をしておりました。プレイン・イングリッシュで強調される能動態中心の発想と、アカデミックライティングで求められる受動態の適切な使用とにきちんと折り合いをつけていくのが上級学習者への登竜門といえるかも知れません。使わなすぎたり、使いすぎたり、大きく間違えば大きく気がつきます。
改訂新版となった『マスター英文法』(聖文新社)も届く。
はしがきを見ても、参照文献は新しいものがあげられていますが、いわゆる英語ネイティブの校閲は示していません。旧版から変わらず地味な紙面ですが、例えば、助動詞として用いられる wouldとused to の比較がパネルで示されていたりと今風の見せ方も取り入れていて、意欲的な改訂という印象は持った。これから少し、旧版も含めて類書と比較検討してみます。
U先生から先日のFTCでA先生が行った発表の報告メール。ハンドアウトを送ってもらうのが楽しみ。
シブケンからのメールで暫し考え込む。北京まで本当に秒読みですからね。
放課後は成績処理。自分の教科の科目合算が面倒。どうせ同じ人が持つのだから、合算して単位数が異様に増えるのを教員がぼやかなくていいように、まずは、必要に応じて学校設定科目を作る方向でカリキュラム改編を提案します。主任、お願いしますよ。
明日から、本業モード。国体の中国ブロック。本戦への切符を掛けて私も戦ってきます。

本日のBGM: Windmills (Glen Phillips)