I got a mail saying that ....

昨日のエントリーの続きです。

「文字指導」を語るなら、このくらいのことを考えておいてはどうか
tmrowing.hatenablog.com

今回のセミナーには、現在英国在住で、ジョリー・フォニックスの指導で日本でも多くのセミナーを開催している山下桂世子先生も受講者に名を連ねておりました。
山下先生からもセミナーのフィードバックが送られてきましたが、前回のエントリーに追記するには長い文章でしたので、日を改め、新たなエントリーとしてアップします。山下先生は昨シーズンの12月の私の「対面」でのセミナーに、ご自身のセミナーで来日(帰国?)中ということもあり参加してくれていました。移動時間等の兼ね合いで、「前半を少し聞き逃した」ということで、今回のご受講を希望されていました (思い返せば、昨シーズンの12月の回では、手島良先生と山下先生の初対面もあったのですね)。

以下、山下先生からのフィードバックです。

先日は、文字指導セミナーでは大変お世話になりました。お時間をイギリス時刻にあわせていただいたため、参加が叶いました。本当にありがとうございました。


1回目に参加させていただいたときは、遅れての参加だったため前半部分を聞くことができず、途中からお話をうかがいました。それでも、そうだったのか、と驚くことと腑に落ちることがたくさんありました。今回は通して参加させていただいたことで、前回からのつながりがよくわかりました。やはり、何度も参加して、理解を深めていくことは大切ですね。また参加し、勉強させていただきたいと思うセミナーです。第2弾の前に、もう一度参加し、第2弾後、また今回のセミナーに参加するといろいろとつながっていくだろうな、と感じています。第2弾の開催もどうぞよろしくお願いいたします。


前回参加させていただいてから実際に私が指導したものが、似た文字のグループを縦に書く、ということです。横に何度も書くよりは字がまとまります。ただ、イギリスで私が指導している子どもたちはまだ年齢が低いので、大きな効果はわかりません。また、似た文字のグループ分けは、ジョリーフォニックスでは、c, o, a, d, g, q をcaterpillar のc として丸くなるグループとしていますが、c, e, o のグループ分けのほうが子どもにとってわかりやすいようです。それにしてもe を書くのは難しいですね。(卵が割れて、というお話しで子どもたちに指導し、卵に割れ目を描いた絵の上に e を描くようにして印象づけています。)


今回のフィードバックです。
今回はまずはタイトルから、うわ!と思った次第です。
~思い込みからの脱却~ Learn, unlearn and relearn.
握りしめているものを手放すことの難しさ、でもそれができると学び直しができる、というのは耳が痛いけれど、納得します (フォニックス指導も同じです)。

先生がHandwriting の階段を説明してくださいましたが、これは文科・自治体の方に聞いていただきたい。読み書きも同様ですが、この細かなステップを日本の英語教育は行わないので、子どもたちが躓いてしまうわけです。スポーツや楽器では一気に上手にできるようになるわけではなく、何度も繰り返し基礎を行うことが重要であることは、みなわかっているわけで、丁寧に指導をしていくわけですよね。文字指導 (も読み書き指導) もそうであることを感じてほしいと思いました。そして、今回は、この階段が 『愛のアランフェス』 とつながるのか~と、今回はストン!と来ました。

また、文字が書けておしまいではなく、かたまり、語へ移行していくステップの必要性、音の出し入れができても書けるわけではないという文字と音の関係性について、決して文字指導 (フォニックス指導も) には近道はなく、細やかなステップを入れていくことがキーだと再認識いたしました。

本当に残念なことに、日本ではこの部分が抜け落ちています。自分のセミナーでいつも口を酸っぱくして言うのが「英語ネイティブの子どもたちでも最初から単語が読めるわけではない。日本のひらがな指導と同じように一文字一音をしっかり学ぶ」ということなのですが、小学校の先生や自治体に理解してもらうためには、国語の指導を例に取ると、先生方はわかりやすいのかな、と感じました。文科が動かない限り難しい・・・と思ったのですが、We can! で書体が変わった舞台裏がそういうことだったのか、と初めて知り、文科がこれだけ早く動けることに驚きました。

そして、「補助線はあくまでも『補助』線」!
先生がおっしゃっていた「どういう文字を書かせたいのか」。補助線にそった文字を指導するのではないということ、子どもにあわせた文字から補助線を考える・・・この視点にそうだ!と共感しました。
そこから、どの文字がいいのか、というところを今回はいろいろ考えることにつながり、フォント比較は非常に勉強になりました。

モリサワのUDフォントをこれだけしっかりと検証できたのは私にとって大きな収穫となりました。
モリサワの書体はかたまりになったときの文字と文字との間隔や全体の形が気になっていたのですが、exitや i のdotがそういう意味があるのかと一つ一つ先生が丁寧に説明してくださったおかげで、ようやく理解することができました。先生がおっしゃっていた「優先順位をどこにするか」を考えたうえで、書体もきちんと選んでいきたいです。

10. シラバス設計での配慮での③音韻の操作についてですが、残念ながら日本では全くと言っていいほど指導されていません。小学校では、フォニックスの指導がされているかと思いますが・・・と松井先生がおっしゃっていましたが、現実は全くと言っていいほどされていません。音韻認識という言葉もほとんどの先生は知らないということですから、これを文字とつなげていく感覚は現場の先生には育っていません。文字指導だけでなく読み書き指導もここが大きな課題になっています。

セミナー後にこうして資料もお送りいただきありがとうございました。早速、ダウンロードし復習させていただきます。先生のきめ細やかなご指導に感謝いたします。


途中、地震があり大変驚きましたが、先生の冷静な対応に感動しました。被害がなく本当によかったです。また、先生のお茶目な部分が垣間見えるセミナーでした。また参加させていただきたいと考えています。どうぞ引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

山下先生、こちらこそ、大変な時期にセミナーを受講していただいたばかりか、こうして有益なフィードバックをいただき、本当にありがとうございました。


山下先生のサイトへのリンクをこちらに記しておきます。小中学校段階の指導者だけでなく、「フォニックス」指導や学習でお困りの方、是非お訪ね下さい。

https://kayokoyamashita.com/kayokoyamashita.com

本日のBGM: pink shadow (山下達郎 from the album "It's a poppin' time")