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業務連絡:2018年11月21日をもちまして、はてなダイアリーの「ファイルアップロード」が停止します。新たな記事が更新されても、そこにはファイルはアップされません。その後、ダイアリー自体の終了のタイミングで、「ダウンロード」もできなくなります。ダウンロードは2018年、年内を目安に行っておいて下さい。大小総計で1100以上のファイルがあるので、私自身、まだダウンロードは完了していません。

本業は開店休業ですが、生業では「これでもか」というくらいに、「センター試験」過去問素材英文を料理しています。

そんなことをしている間に、全国展開をしている某業者と某予備校の共催する、センター試験を模した試験が行われたのですが、この作問が腹立たしいくらいに酷かったので、現在、問い合わせをしているところです。もし、先方より、責任ある回答が来ましたら、こちらでも報告しようと思います。

さて、本題の「センター試験」。
市販の「過去問題集」では、2018年の追試を扱っているモノが少ないので、今週は第3問、第5問を授業で取り上げました。週明けに第6問行けるかな、というところ。

ここでは、第5問を取り上げようと思いますが、高1,高2を教えている方におかれましては、まずは第3問の「不要文選択」のパラグラフをしっかりと読む指導をされることを切に願います。

私の手書きノートの写しを貼っておきますので、ダウンロードなり拡大するなりしてお読み下さい。
設問に関してはファイルへのリンクだけです。
指導の大半は「語義の適切な(できれば正確な)理解」です。要所要所で、日本語に直す(訳す)ことも求めています。設問でも、問題の幹の部分だけでなく、選択肢で用いられた語義も丁寧に扱うようにしています。

第1段落


18_sp_5_1.jpg 直

物語文での基準時制が「現在形」で始まった、ということをしっかりと押さえておくこと。
そこから、大関=完了形が出てきたら、「時の流れの上流から現在へと至る余波」ということなので、「回想・エピソード」の匂いを感じ取ること。
語句、表現としては、 admit のもつ渋々感、他動詞デフォルトのseatの語法、new ≒ strange あたりは感じられることが望ましいですが、それよりも、機内の座席・位置関係を絵に描けることのほうが大事。
「70歳代前半の落ち着いた着こなし上手の男性」のイメージは?と、同僚の女性に尋ねると「舘ひろしさん!」だったので、授業でのここ以降の男性のセリフに相当する解説は〇〇○ルーペのコマーシャルを模して行っておきました。


第2段落


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この段落では、私の授業で「ワニ使い動詞」と呼ぶ、名詞節を目的語にとる動詞、伝達文が多く出てきます。直接話法では稚拙と言うか、子供の絵日記みたいな印象を与えかねないので、ここぞというセリフに直接話法を充てがうのが、物語における「普通」でしょう。ただ、日本の高校生の多くは、人称代名詞の実感も薄く、時制がおぼつかないので、「誰が誰に何を言ったのか」レベルで理解が不十分なことが多い、ということは指導者はわきまえておくべきでしょう。ここでは、that節の並列・ペアでの and の処理など、基本を押さえておくのに格好の素材が出てきますし、that節の中に形式主語や形式目的語の不定詞句が来たりしますので、ケアは必要かと。
設問には全く関係ありませんが、ESA (= Emotional Support Animal) に見られる語形成のパターンというか、成り立ちは、誰かに教わらないとわからない人が多いのではないかと思います。
そうそう、aloneを「ひとりで;ひとりだけで」と思っている人が結構多いので、「余人を交えずに」という日本語を示して考えさせています。私の世代なら、ボズ・スギャッグズのあの曲で一発なんですけどね。
形容詞 busy と crowded の並列・ペアは結構な悩みどころ。busyは知っているつもりなので、辞書を引く高校生は多くないでしょうけど、やはり確かめると、理解は深まりますよ。ここで「忙しい」は絶対ないし、空港の建物の中を走る車って、荷物や人を運ぶカート位しかないから。full of activityっていう定義は流石ですね。


第3段落


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ここもワニ(=名詞節)の的確な理解が求められます。
山は He had clear and fond memories of how S+V .... の部分でしょうか。ここが状態というよりは動作・行為だと感じられるには、have fond memories という表現が守備範囲に入っていることが望まれますが、そういう高校生って多数派ですかね?
最終文の But this time he would take .... の would がちゃんとわかったか、って結構大事だと思います。基準時制は過去形ですから。


第4段落


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ここぞというところでのセリフが出てくる段落ですね。「○○○ルーペ、だぁ~いすき!」のような能天気さは感じられない機内の様子がイメージできていることを期待します。
この後半で出てくる、少女とlapと犬と舘ひろしが絵に描けないと、最初の座席の場面での理解がまずかったということになりますので、高1、高2生でここを「勉強させられている」人は、気をつけてくださいね。
I'll take care of you! は誰が誰に言っているセリフか、は絶対に間違えてはダメ。in her arms は読めているでしょうか?いくら小型犬でも「手乗り犬」は普通ではないですから。形容詞 brave は実感を伴った理解をしたいところ。


第5段落


18_sp_5_5.jpg 直

読んでいる場合には、この段落で締めくくりだ、とわかるから楽だけど、聞き取りの際は「そろそろ終わりに近づきますよというアナウンス代わりの気配」を感じないといけないので、緊張が続きますよね。機内アナウンスみたいに pre-closingのコールとかを流してくれるとみんな間違えないのに。
語句、表現のレベルでは、名詞として使う normalの典型例には習熟しておいたほうがいいでしょう。
基準時制が過去形のところでの過去完了をきちんと読めているか。達成・成果・ドヤ!がデフォルトですが、ここでは、Yukiちゃんは、ドヤ顔してませんね。Just by being herself ですから。でも、ここも、Be yourself. などという表現が守備範囲に入っている高校生はどのくらいいるのかしら?


設問前半 (1-3)

18_sp_5_Q1.jpg 直

ここでは、「耐える;持ちこたえる」の関連語彙の定義を示しています。
tolerate; bear; endure; stand; withstand; put up with; live with
あたりまでは私が高3のときでも覚えていましたが、今の高校生はどうでしょうか?
目的語に人を取れるものは意外に少ないので要注意。


設問後半 (4&5)

18_sp_5_Q2.jpg 直

ここでは、「落ち着く;落ち着かせる」で、物理→心理へ、という語彙の整理。
settle down と calm down とsoothe のうち、前者2つは覚えてね、と教えています。


近年の第5問で出題された、「ネコ」とか「タコ」の英文に比べれば、標準的な話型の文章でしょう。来春もこの流れでお願いしたいところですが、どうなりますか。

日を改めて、細かな解説を加えるかもしれませんので、また ましたので、是非、覗きに来て下さい。

本日のBGM: CUE (YMO / Neue Tanz)