期末試験の作問祭りに先週末で終止符を打ち、土曜日は終日模擬試験監督をしていました。
期末試験の谷間の模試はきついです。
国公立大推薦入試の合格報告も舞い込んできましたが、センター試験はみな受験しますので、本番に向けて自己ベストを更新し続けて下さいな。
日曜日は流石に私も休もうと思ったのですが、採点天国への階段を一歩ずつ。
「呟き」の方で、高2の「学校設定科目」の問題を一部公開していました。
高2副詞節その1.png
高2副詞節その2.png
高2副詞節その3.png
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高1用の四角化ドリル、意味順、『P単』から、高2用四角化ドリル、「定義のミカタ」などを経て、「副詞節シリーズ」に繋がっています。そして、ここを踏まえて高3の「診断テスト100」が可能になります。
- そんな細かい知識や理屈を知らなくても、現にこのタスクができているからいいじゃない。
というのは簡単ですが、定期考査というのは、英語の運用力を見るためだけに存在している訳ではないのでね。
生徒によくいうのは、「栄養・ミネラル・ビタミンのバランス」。
サプリメントをわざわざ買って、ビタミンCは突出して、成人摂取推奨量の400%を取っているのに、普段の食事では、鉄分は40%、栄養素で肝心のたんぱく質は60%位に留まっているような生活をしておいて、やれプラセンタだ、DHAだというのは笑止!
ということです。
高3のテストでは、「診断テスト100」に基づく英文例・英語表現の習熟を問うています。
例えば、所謂「分裂文」で、
- It was not until I was about to go to bed that I noticed I had not finished my math homework.
が書けるためには、まず、
- I did not notice that I had not finished my math homework until I was about to go to bed.
が最低でも口頭で表出できていることが望まれるでしょう。
しかし、この文がスラスラ言ったり書けたりできるのに、
- I didn’t realize how important it is to study until I graduated.
がディクテーションで書き取れないとすると困ると思うのです。
そして、
- 「私は家に着いて初めてそのハンカチを落としたのに気づいた。」
が和文英訳で課された時に、自分に身についた表現形式から選択して言ったり、書いたりできれば御の字でしょう。
私は基本的に、高校生に対して、自発的な表現で、
- Not until ... did I ....
という否定語句を前置した倒置の表現形式を求めることはしていません。
例えば、
- Not until yesterday did I know the fact of the matter. きのうになってはじめてことの真相を知った。(赤尾好夫編『英単語熟語の総合的研究』旺文社、1977年10訂版)
というような表現は読んで解れば十分だろうと思っています。
受験対策でまことしやかに語られる、
- no more than とnot more than の区別
に熱くなるよりも、英語の基本として、
- Where are you? / Who are you? / Where are you from? / From where does the winter come?
などをしっかりと自分のものにすることが大事だと思っています。
そのためにも、
- それはできなくてもいいけど、これはできないと困ると思う。
- でも、これができるのだったら、これもできるでしょう?
と生徒に示すことができるように、普段から英語ということばと接し、そのことばを自分でも生き直すことを心がけています。
一方で、「ミニマムエッセンシャルズ」とか「暗誦文例集」として示されることがある例文の「生気のなさ」もなんとかしたいと思っています。
なぜ、わざわざ十数冊の英語辞書を動員してまで、ある特定の項目の英文例を残しているのか、というこの活動の「意味」「存在理由」でもあります。
確かに辞書を引けば、
Even if he were my brother, I would do the same.
You can't leave even if you want to.
(以上『Wisdom 英和』第3版、三省堂より)
という用例は見つかりますが、一例目の文で「彼」がどういう人で、「その同じこと」というのがどういうことなのかは想像するしかありませんし、二例目での "you can't leave" が "you have to stay here" という意味なのだとしても、状況をイメージするための補助線がもう少し欲しくなります。
他にも、
- You'll fail your exams unless you work harder.
は、前回の試験で「赤点」をとっているような生徒には「リアリティー」が感じられるでしょうが、そうではない生徒にはそれほど響きません。
- Christmas is never really Christmas unless there is snow.
という例文になると、何か「ホラ、教科書では出会わないような良いことばでしょう?」感が漂いますが、「赤道直下や南半球で暮らす人にはピンと来ないでしょう。」というくらいのことは授業で言い添えています。
とはいえ、こういった諸々はみな、「そよそよ」なんですよ。「それぞれ・それなり・そのうち」×「よりまし」で、英語を身につけようという人、自分の責任において求めていくものだと思います。
私がしていること、というか、私にできることは、結局、英語という言葉の豊かな地平を見せることくらいですから。ええ、豊かだと思いますよ。母語だけでは見ることのできない世界ですから。ワクワクします。ドキドキします。時に怖くもなりますから。ことばってそういうものでしょう?
さて、
本業をロウイングのコーチと言っている私が、世界で一番好きな競技スポーツはフィギュアスケートなのですが、そのグランプリシリーズの各大会が終了し、今週末にファイナルを残すのみとなっています。
氷の上で繰り広げられる様々なドラマがありました。そのドラマが優れたものであれば、舞台裏を覗く必要はないと思っています。日本のTV放映の在り方、とりわけ地上派の在り方については再考が必要だろうと思います。
フランスのボルドーでの大会が、パリでのテロの影響を受け、フリープログラムが中止となり、ショートプログラムの順位がそのまま選手の得点となったこと、さらには、獲得ポイントが並んだ場合には、そのショートプログラムのスコアの優劣で順位が決まることなど、これまでにない、変則的なルールで「ファイナリスト」が決定しました。
私の応援する女子シングルのラジオノワ選手は、ロシア大会で優勝し、北京大会の3位と併せてファイナルを決めました。北京大会ではコーチのゴンチャレンコさんが緊急入院で不在の中、不本意なSPでの滑りから、打って変わって驚異的な集中力を見せたフリーでの表彰台。ロシア大会では、リンクサイドに戻ってきたゴンチャレンコさんが見守る中、ショート、フリーともに気迫に満ちた滑りを見せました。私はICENETWORKのストリーミングで見ていたのですが、演技の終盤は画面が涙で滲んでいました。本当に強さを見せつけたという気がします。
アイスダンスでは、ヴィカ・ニキことヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組はポイントでは並んだものの、ショートダンスの得点で同じロシアのボブ・ソロ組に及ばず、補欠の第7位となりました。ヴィカ・ニキ組は、昨シーズン結成の新たなカップルで世界ランキングの貯金はなく、さらに昨シーズンの試合では殆ど良いところがないまま終わってしまったため、今季の2戦とも、第1グループの第1滑走。スコアがなかなか出ないとも言える滑走順ですので、ちょっと運もなかったかなという気がします。ロシアのナショナルに向けて、万全の準備をしてもらって、ユーロとワールドで更なる美しさを披露して欲しいと思います。
最終戦の日本での大会は長野五輪と同じ会場で行われました。昨年のなみはやドームには私も見に行っていましたが、そのエキシのフィナーレで「長野で会いましょう!」というような情報が流れた途端に、長野のホテルの予約が埋まっていく、というような「スケオタ」の国日本ですから、試合のチケットもあっという間に売れてしまいます。ただ、競技によっては、観客席はスカスカだったりするので、競技のカテゴリー毎のチケット販売にして、見たい競技、応援したい選手の滑りが見やすくなるような改善を望むものです。
その長野大会では、歴史が塗り替えられました。
男子シングルで、日本の羽生結弦選手が、前人未踏のフリープログラムで200点超え、総合でも322点という驚異的な得点をあげ、この競技の世界最高得点を更新。フィギュアスケートの未来の扉をいきなり開いたとも言えます。
こちらのブログにロシアのスポーツニュースの翻訳が載っています。
「日本のガガーリン。羽生結弦はさらに二つの宇宙的記録を樹立した」
http://kurkuma.blog.fc2.com/blog-entry-1631.html
asappoさんの書かれている「あれこれ」というブログの、11月28日付けの記事です。(いつも貴重な情報をありがとうございます。オリジナルのスポーツ記事は、http://sporteveryday.info/pages/yaponskiy-gagarin-yudzuru-hanyu-ustanovil-eshhe-dva-kosmicheskih-rekorda-video/ にあります。)
その最後にあった、このことばに釘付けになりました。
長野大会で不振だったロシアのコフトゥン選手に関するコメントです。
彼に必要な全ては、体を使って、懸命にせっせと働くことだ。陳腐で申し訳ない。でも勤勉は、どんなおとぎ話をも実話にしてくれる。
この記者は「陳腐」と言っていますが、「努力」と言わないところが好きですね。
「本業」であれ「生業」であれ、懸命に働いて実話に変えたいと思う「おとぎ話」を持っている人には響くことばだろうと思います。
私には私の、皆さんには皆さんの、それぞれのナラティブがあるのですから。
本日のBGM: wonder from “The New Tigerlily Recordings” (Natalie Merchant)