「舟に乗るための準備を」

tmrowing2014-10-23

国体で長崎に行ってきました。
中国ブロックを突破できた、成年女子1Xと成年男子4+、全県枠の与えられた成年男子2Xのみの出漕。3種目あっても、与えられた監督枠は「1」なので、今年は2008年の大分国体で監督となってから初の「競技団体派遣コーチ」としての参加で、配艇練習最終日に形上湾ボートコースとの初対面。事前に聞いていた情報とはかなり違って、穏やかなコンディション。台風の影響を避けるために、午前中まではランドマークが撤去されていましたが、10月も下旬にさしかかろうというのに、まだ日焼けしますか?というくらい日差しも強く、これなら良いレースができそう、という印象でした。(結局は「牙を剥く」時は訪れるのですけれど。)

2Xが予選2位、敗者復活戦2位で準決勝に進めず敗退。
1X、4+とも、敗者復活戦経由で準決勝に進むも、準決勝敗退。

準決勝の午後から、強風が牙を剥き始め、横風、うねりの中でのレースとなりました。「ラフコン」であっても、それもまた「自然」。その自然との「共生」ができたクルーは、勝ち上がっていきます。
結果としては、昨年の(愛のない)東京国体に続いて、最終日のレースなし、得点なしに終わりました。
同じ中国ブロックを突破した、鳥取県、岡山県の活躍、島根県、広島県の健闘を横目に、「クルーの選考」「選手の強化」という命題と直面する結果です。「たられば」はありません。この結果に向き合い、しっかりと受け止めて、来年以降につなげていくだけでしょう。
一番悔しいのは選手自身でしょうから。
監督、サポートスタッフ、応援に来てくれた皆さん、宿舎の方々、そして、受け入れ側の長崎県の皆さんに感謝して、長崎の海と空にお別れ。チームより一足先に帰路につきました。
長崎といえば、原田知世さんの故郷。往路復路ともおおよそ4時間の行程。その素敵な歌声のおかげで快適に運転できたことに感謝。
復路では、スカルオールを4セット積み、県の艇庫まで。その後、学校長に帰任の報告。
採点天国です。
国体会場に答案を持っていくわけにも行かないので、6種類のテストを帰ってきてからの約2日で採点完了。
よくやったと思います。

今回の出題から一部抜粋しておきましょう。

water planet.pdf 直

V. は高3の「ライティング」での出題。VIII. は高2の学校設定科目「インテンシブ英語」での出題。どちらも英文は私が「とある資料に基づいて」書いたものです。

高1の出題からも抜粋しておきましょう。

ノッチ.pdf 直

『ぜったい音読』のオレンジ本を扱っていたので、その英文の「つながり」「まとまり」がスカスカだった部分を補っての出題です。 “notch” が出てきたので、授業では、芸人さんの「ネタ」をまねして導入していました。本文中にも、そのせりふを捩った “Yes, you can.” が出てきています。

P単フレーズと後置修飾.pdf 直

こちらの方は、「文」レベルの理解定着を診るもの。
2学期からは『P単』の銅メダルコースに入っていますので、その活用を見る出題。これは意外にできないものなんですよ。”It is important to read a book aloud.”
なんていう英文が続出します。「生き直しなさい」という私の意図が伝わっている生徒は、

  • I can read a book aloud for you.

くらいには使えるようになっています。
あと、いろいろな機会にお勧めしているのですが、この「次の10題のうち、5つを選んで解答せよ」「次の20題のうち、15題を選んで解答せよ」という、自由選択式の解答方法はいいですよ。
生徒は自信のある問いに答えて、点数を確保できるし、教師の側からは、「誰も選ばなかった問いは定着していない可能性が高い」「誰もが選んでいるのに、正答率の低い問いは、指導に問題があるか、そもそも扱う発達段階にない可能性がある」というような振り返りができますから。
単語集や例文集の暗記が、英語科としての指導方針で課されていて、定期試験にはかなり広い範囲から出題しなければならない、というような学校では有効だと思いますよ、って、小テストを一切やらない私が言ってもあまり説得力はありませんね。
ディクテーションは、後置修飾の理解定着を診るものです。とある「試験」の英文がヒントとなっています。このブログをお読みの方にはすぐ分かりますね。

ということで、試験の返却も終え、成績点票も出して、平常の実作へと戻りました。
高3の「課外」もいよいよ「入試対策」。
中間試験あけの第一回は、「対話文を読まされる」出題への対応です。
戯曲でもないのに、長文の対話文を読まされる出題は、日本の高校入試、大学入試で顕著です。「それはリスニングテストで出題すればいいのに」という対話文や、「それだったらライティングでやればいいのに」というディスカッションもどきもあります。
90年代に、まだ早稲田大学に第一文学部があった頃の出題をもとに、「話型」「内容スキーマ」「談話の原理原則」というものの概論をしておきました。

対話文問題へのアプローチ.pdf 直

グライスについて深入りはしませんでしたが、「受け売り」ということくらいは示しておかないといけませんから。

  • ロンドン大店の紳士服売り場という場面設定
  • 「客」「店員」「店でちょっと偉いH氏」「警備員」という登場人物設定

から予想される「話の展開」にそれほど多くのバリエーションはないと思うのです。所詮、入試問題ですから。
今回は、この出題の解説をしたあとで、「こんな展開もあり得る」という例を私からしておきました。

客は、若い女性。恋人への誕生日プレゼントを選んでいるので、女性店員のいる売り場へ。背が高い恋人に合うジャケットということで、女性店員は背の高いH氏を呼んでサイズを相談するも、恋人はもっと縦横に大きい人、ということで、H氏が思案。「そうだ、警備員のPincentさんがいたじゃないか!」ということで、奥から人のよさそうな巨人を連れてくる。

「突飛」とわかるためには、やはり「基本」とか「定石」とか「定番」が分かっていないとだめでしょう。

そうそう、「基本」といえば、Yosuke J Ishiiさんの『TOEIC Testきほんのきほん』(国際語学社)を奨めていた生徒が、9月末のTOEICで600点を超えたという報告をしてくれました。
何が嬉しいって、3週間ちょっとで教材を終わらせたこと、と「470点」という本当に初級者向けの目標設定の教材を終わらせたら、600点を超えていた、ということでしょう。

途中で句動詞、動詞の語法に弱点があると自覚したようで相談に来ていたので、日向清人先生の『知られざる英会話のスキル』(DHC)の、とあるセクションと、『英語はもっと句動詞で話そう』(語研)の150のリストは奨めておきましたから、『石井本』&『日向本』で、中級への仲間入り、という感じでしょうか。オープニング、クロージングの「気配」「匂い」を司る語句・表現で、「今、何を話していたのか?」「何を話そうとしているか?」を感じ取るセンサーとなる「きほんのきほん」を確認してもらいました
ここは英語の「運動性能」の根幹とも言えるところで、そこに乗ることができればaccuracyで多少難があっても、「やりくり」できるけれども、この感覚が欠落していると、どんどん「細かいことを潰していく」方向に行きがちだと感じます。

初級〜中級への橋渡しとなる良い教材を作ってくれた著者に感謝するとともに、きちんと自分の課題と向き合い、取り組んだ生徒を誇りに思います。

さあ、今週末は、本業の県体育大会兼選抜大会県予選。
2Xでの出漕です。
そして、それと並行して、太平洋の向こう側というか、もう大西洋に近づきますけれど、シカゴではスケート・アメリカ。フィギュアスケートのグランプリシリーズ開幕です。
予約録画しておかないと。

本日のBGM: のっぽのジャスティス・ちびのギルティ(原田知世)