resonance

週末は国体県予選と強化練習で本業三昧。とはいえ、自チームはカヤの外。成年チームのレースを見て、選考に加わり、強化練を見るという二日間。遠い方の湖まで二往復で220km。
土曜日の本降りにやられ、久々に夜に熱を出しました。カタマランの上から声を掛けるだけで、自分のトレーニングをしたわけではありませんが、ミラーミューロン発動しまくり (?) で筋肉痛になりました。


正業の実作は、いつも通り、その時通り。
看護科高2は、教科書の『犬 vs. 猫』の仕込みと本文音読。青歯振動スピーカーが落下したことが原因なのか、振動板が振動しないという故障らしく、私の肉声で音読三昧。
仕込みも、AとBがあり、Aは単語、Bはコロケーションなどのチャンク。チャンクでの仕込みができてくると、本文は聞いただけでも概要の理解はOK。裏返せば、そのレベルが押さえられていないまま、「曖昧耐性」などと言って、「不十分な理解」を体験させる、「意味の処理の不整合」を繰り返させることには、そんなにご利益はないでしょう。ということで、日→英での出題と回答をペアを替えながら記憶への仕込みと、英語の音声の口慣らしが終わってから、再度、私の範読を聞いて、音の確認。次回は、私が教室に来るまで、対面リピートという指示。
『フレーズ連結英作文トレーニング』も授業中に取り上げ、斉唱で音読、ペアで対面リピートなど本当に良いトレーニングになっています。音源のダウンロードがスムーズになるともっといいのですけれど。

同じ高2でも進学クラスの方は、「白板シリーズ」。恒例の条件文の3タイプ。『if本』『Q&A本』を中心に、用例を転記して、「流し素麺」の図解・図示。触れば体温が感じられる、傍に寄れば息づかいが聞こえる、斬れば血が滲むような類例といい出会いを重ねることです。例年になく、取り組みが不調なので、この過去ログでの先輩達の足跡を読んでおくように指示をしました。

高1は、時制、態といった「とじかっこ」周辺の導入とドリルを経て、不定詞の後置修飾による名詞句の限定表現へ。ここでも、文完成の演習など一切やらずに、ひたすら名詞句を作るドリルに励んでいます。このパターンでは、表現しきれない、処理しきれない内容・中身を実感しないと、分詞や関係詞による、名詞句の限定表現の有難味が感じられないように思います。とかく、「後置修飾」という、付け足される部分にスポットライトが当たりがちですが、本当に大事なのは、「名詞」感覚なんですよ。(過去ログ参照 http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20130708)

今週の授業で指摘したのは、

the first person to land on the moon という名詞のかたまりを口にしたり、耳にしたときに、「宇宙服を着た『人』」のイメージが浮かんでいるか?
something to write with というフレーズから、手に持つ、手に取る、手を使って何かする道具としての「モノ」の感覚が湧き上がるか?

ということ。名詞の三分類、「人」「モノ」「コト」の実感、体感です。
something to write with (筆記用具) との対比で something to write about (お題) を扱いますが、この時も、ことばの発達段階として、titleやthemeっていう、「カチッとした名詞」を使えるようになるのはいつ頃か?という問を併せ持てることが指導者としては望ましいと思うのです。私の持ちネタ(Children's Writer's Word Book) に拠れば、北米の児童では、titleは小学校3年、themeは4年生相当の語とされています。
この手の文法事項は、所謂「不定詞の形容詞的用法」の項目で指導されることが多いのだろうと思いますが、あらためて、モノとコトの境界線は本当に曖昧だと実感します。そのような機会が多くなるのが、高校レベルの素材なのです。

  • a decision to study overseas

は「人」ではないことは確かですが、「モノ」か「コト」か?は結構大変なんですよね。

高3は、英語IIでは「精読」と「オンライン処理」を異なるレベルの素材で交互に。精読は、私もお世話になった倉谷節を堪能。「ちゃんと読めましたか?」と訊いてくれる先生に就くことが大事という話しも。オンライン処理は『L&R デュアルトレーニング』を使って。
今週に入って、「ライティング」は、一段レベルアップした「ナラティブ」を味わう、という趣旨で、オーセンティックな素材を活用。
Christy Turlington Burns のドキュメンタリーフィルム、 “No Woman, No Cry” (2011年作品) の冒頭のナレーションをdictogloss。購入してあったDVDがリージョン1で学校の機材でも窓機でも再生ができなかったので、廉価なリージョンフリーのプレーヤーを新たに購入しました。
90年代のSuper Model 全盛期の映像も合間に見てもらい、セレブの行動が持つ社会的影響の大きさに思いを馳せてもらいました。
英英での語句注の確認を経て、partial dictation で概要把握を済ませて、「つながり」と「まとまり」にフォーカス。音読をくり返した後、再度リスニングすると、あら不思議、ちゃんとChristyの声から表情が浮かんでくるでしょ?という活動。スクリプトはこちらに貼っておきますが、著作権にくれぐれも留意され、二次使用は自己責任でお願いします。(What you might not know about me is that I.doc 直)

“preventable deaths in pregnancy and childbirth” というテーマを受けて、どう展開しようか試案していたのですが、Gerry Goffinの訃報を知り、急遽作戦変更。
NYT, BBC, USA Today, Guardianなどなど米英各紙・各誌の obituaryを読み比べて、偉人の偉業を感じてもらってから、歌詞の書き取り。
東京にいる頃に何年使ったか、というくらい、授業でお世話になったあの曲。
そうです。

  • Child of mine

この曲も、Goffin & King 作品ですから。
書き取りの答え合わせは、当然「シャトルラン」です。白板に貼った、歌詞カードの前まで行って、音読してから、自分の席に戻るという単純な活動です。
この曲にまつわる様々な思い出が蘇り、思わず落涙。
私の言語感覚のうちの、数パーセントは確実に、Gerry GoffinとHal Davidのお陰だと思っています。
Carole King のコメントを反芻。

"His words expressed what so many people were feeling but didn't know how to say."
"Gerry was a good man and a dynamic force, whose words and creative influence will resonate for generations to come."
(http://www.bbc.com/news/world-us-canada-27934624)

これからも、inspireされる若い才能が続くことと信じています。
改めて合掌。

少し時間が余ったので、今年のグラミー章授賞式でSara Bareillesと共演し、逸材ぶり、健在ぶりを示したCarole Kingを動画で見てもらいました。詳しくはリンク先をどうぞ。

このメドレー、ただ2曲を貼り付けただけではなく、橋渡しの部分で歌詞が書き加えられ、サビでの、

  • I just wanna see you be beautiful

の1行が効いているんですよね。(Sara Bareilles.doc 直

Gerry Goffinのresonanceは、ジョジョの波紋のように、Carole Kingからも多くの若い才能に伝わり、響いています。きっと、これからもずっと。


本日のBGM: Brave (Sara Bareilles & Taylor Swift at Staples Center)