from behind their back

先週は、地元のライブハウスCafe de DADAで、浜崎貴司さんの「弾き語りツアー」を妻と見てきました。この3月で店じまいということで、この日のライブがまさにお店としての最後のライブ。お店は自宅から歩いていける距離にあるのですが、そう度々は見に行く機会がないまま、最後の時空を共有することになりました。
私とCafe de DADAの出会いは、今の家に引っ越して来てすぐの頃。この店の近くを歩いていたら、凄くいいギターのフレーズが聞こえてきて、窓越しに中を覗いたら、そこにはDr K、徳武弘文さんが、山本コータローさんのバックでギターを奏でていました。その後、友部正人さんのライブで初めて観客に。オーナーの人脈なのか、「玄人受けする」類のミュージシャンが多く登場していたように思います。

浜崎さんのソロ弾き語りでは、フライングキッズ時代の曲も、来月出る新譜からも織り交ぜて、アンコールも含めて、20曲弱。Cafe de DADAは音の鳴りが良いのですね。

私にとって、男の色気が感じられる「声」の響きが肝。
浜崎さんの他には、

綿内克幸さん
高橋徹也さん
佐藤良成さん

の声は本当にゾクゾクします。この方達の「声」を、この空間で味わいたかったなぁ、と無い物ねだり。ライブハウス Cafe de DADAとしては役目を終えたわけですが、長い年月、この空間で奏でられてきた音楽が多くの観衆の中で豊かに育ち、別のどこかで誰かとつながり、その誰かに受け継がれていくことを願っています。

生業では、修了式も終わり、年度末。
本業では、静岡は天竜で選抜大会真っ只中。
自チームの前回(初)出場が東日本大震災で中止となって以来、低迷中。浮上するのはいつになりますやら。

来週には、フィギュアスケートの世界選手権がさいたまスーパーアリーナで開催。
ソチ五輪で現役引退を表明したキム・ヨナ選手、金メダリストのソトニコワ選手は欠場。金メダルペアのヴォロ・トラも欠場。アイスダンスでは、世界のツートップ、メリ・チャリ、テサ・モエが欠場。高橋大輔選手は、怪我により欠場を表明。ファン目線でのお目当ての選手が出場しないので、地上波放送もペアとアイスダンスは「関東ローカル」だけ。本当に日本はフィギュアスケートに世界一理解のある国なのでしょうか?

採点に関しての疑義が噴出したあのソチ五輪女子フリー。PCSという「芸術性」に関わる部分から、「ダンス」に関わる部分の評価を、私のかつての教え子 (?) で、ダンスの専門家でもあるAさんに尋ねてみました。
Aさんは、カリフォルニア州(立)大学のダンス科を卒業していて現在は大学でダンスクラスを担当している方で、謂わば「現役選手を経た指導者」です。

そのAさんからの返信がこちら。
題して、

ソチ五輪女子フリーの演技を、「ダンス」の専門家はどのように評価しているか?

先ほど女子メダリストのフリーの演技を見ました。ショートまでは見ておりませんのでショートでの点数や採点方法等の知識は全くございません。そしてこれはあくまでの個人の意見ですのでご理解下さい。

まずソトニコワ選手ですが、あまり魅力を感じませんでした。ジャンプを飛ぶのに必死でその間のステップや体の動きが固かった様に感じました。その点キムヨナ選手やコストナー選手は素晴らしかったと思います。ジャンプも後者の2人には余裕があって指先まで美しかった様に思いました。特にキムヨナ選手は背中の動かし方が上手だった様に思います。フィギュアスケートという試合でありながらも芸術性を見せてくれた様に感じました。
というわけでこの結果(=金銀銅)には正直驚いています。採点基準は全く分かりませんが、ジャンプの美しさから言っても、演技力にしてもダンスという観点から見ても私の意見ですとキムヨナ選手が金、コストナー選手が銀なのではないかと感じました。ただショートは見ておりませんし、フリーの点数もみておりませんのであくまでも私の意見です。参考になればと思いますがならなかったら申し訳ございません。ただ、この3人の誰の舞台をお金を払って見に行きたいかと聞かれたら迷わず私はキムヨナ選手を選びます。それでは失礼いたします。


この返信を受けて、ブログ記事に載せて良いかという許可を求めました。

  • 流石に専門家の目は確かだと思いました。ありがとうございます。このAさんのレポートを匿名で、私のブログで紹介してもかまわないでしょうか?


快く了承していただけたので、こうして紹介しています。その返信に添えられていたコメントがこちら。

先生も本当にフィギュアがお好きなんですね。私も現役(ダンサー)だった頃は背中の動かし方をよく指摘されました。背中や上半身の動きが固いと踊りが薄っぺらく見えてしまいます。でもこれは非常に難しく、相当の訓練をしないとマスター出来ません。だから私は上半身の動きを学ぶ為にアフリカンダンスやモダンダンスをかなりやっていました。フィギュアスケーターもアーティストを目指すなら様々なダンスを習うべきだと思います。それこそヒップホップも大切だと私は思います。それではまた何かありましたらいつでも連絡を頂けたらと思います。失礼いたします。

Aさん、ありがとうございました。
ジュニアの頃からキムヨナ選手を見続け、応援してきた私にとっては何より嬉しい評価でした。Aさんは背中の動きを指摘してくれましたが、キム・ヨナ選手は十代の頃から、身体の前面の関節、鎖骨・胸骨の緩め方が上手いので、背中の丸め方、すぼめ方に幅があるのだと思います。それでも、怪我の影響もあり前回五輪前後からは、相当硬くなっていましたし、今回も右足の怪我の影響は大きかったのではないかと思います。言葉は悪いですが、前回五輪からの「劣化」は否めなかったかと。ただ、それでも「背中の表情が豊かなスケーター」という観点では今大会のシングルではキムヨナとコストナーが抜群だったように感じています。

このように、「ダンス」の部分だけを取り上げれば、キム・ヨナ選手、コストナー選手に極めて高い評価がつくわけですが、PCSというのは、「ダンス」だけで決まらないのが、現行ルールの難しさ。単純な「芸術性」をまるごと点数化するのではなく、「要素区分ごとの得点の総和」で優劣を決めているために、あのような結果になったという次第です。
キム・ヨナ選手が、大きく差をつけることができていない部分が、まさに、4年間という歳月の中で劣化してしまった部分なのであり、ソトニコワ選手が大きく自己ベストを超えたことでそれが露呈したのだと思います。

来週から始まる世界選手権。
背中の動き・表情に少しだけ気を配って見ていただけると幸せます。

本日のBGM:教室 (浜崎貴司 live at Cafe de DADA)