開拓者精神

2学期の平常授業も修了。
進学クラスは御用納めまで課外講座が続きますが、成績も出ましたので、あとは、三者懇談と終業式を残すのみ。

このブログも、最近は1週間に一回くらいの更新になっています。
でも、振るわない本業にしても、自分の生業の実作にしても、周囲の出来事にしても、自分の言葉で記しておくことは大切。自分にできることはたかが知れているけれど、自分のこれまでの足取りを並べた「…なんです山脈」くらいは時々仰いでおかないと。

さて、
先週末は、神戸女学院大学に足を運びました。内田樹さんのブログで、「建築家」ウィリアム・メレル・ ヴォーリズの崇高な理念を読んでいましたが、実物を目にして、というか、その空間にいて、本当に素晴らしい環境だと思いました。

今回のお目当ては、建物ではありません。
成田一先生が主宰する、

  • 第7回 英語教育総合学会

で大津由紀雄先生の講演があったからです。もともと、いわゆる「小英」についてのお話と聞いていたのですが、文科省からの「プラン」が出されたことを受けて、大幅に内容は変更となったようです。

文科省からの「力作」pdfはこちらから↓。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/__icsFiles/afieldfile/2013/12/13/1342458_01_1.pdf

私は大津先生の弟子でもないし、追っかけでもありません。ただ、「ことば」について、「ことばの学習・指導」について、大津先生の考えていることに共鳴したり、賛同したりすることが多々あるので、これまでにも、様々な形でご一緒させて頂く機会がありました。
今回の講演を聞いて感じたのは、

  • 教育現場に立つ教師一人一人が冷静に考え、行動する
  • 現場以外の理解者・賛同者を拡げる

ことの大切さです。
大津先生も、くり返し、

  • 個々に評価すべきことがあっても、(プラン) 「全体」で是非を判断しなければならない。

と言っていました。
その判断のための「視点」が4つ。

  • 「外国語部会」を飛び越えた官邸主導
  • 施行された政策の総括なき新たな政策立案
  • 世論に対する周到な配慮・操作
  • 「日本人としてのアイデンティティ」を育成するための国語教育

その視点から指摘する「問題」も4つ。

  • 小:学級担任の虚脱感。発達段階が異なるので低学年での前倒しは不可。「入門期」の指導を担える指導者の確保。指導者を育成する人材がいるのか?財源の裏付けは?
  • 中:「英英」の問題。きちんとした入門期指導を行うための、制度、研修の整備。
  • 高:より高度な「発表」「討論」という目標設定の適否。
  • 大:荒廃の度が増す。二極化(1,2割の上位校、8割のその他大学)。資格試験予備校化(解答方略の訓練に終始)

その問題点を回避または克服するために、

  • 自分の頭で考えられる自立した人間の育成
  • 思考を司る母語の運用能力の育成
  • 母語を基盤とした外国語教育

そして、

  • 冷静に考え、ことの本質を掴む
  • 議論
  • 発信
  • 関係省庁・部局への働きかけ
  • 「より確かな見通しを持っている人」を見きわめる(そういう人は文科省や財界にもいる)

という提言がなされました。

私自身の「小英」へのスタンスは、過去ログの

あたりにまとめて書いてありますので、「批判」するのであれば、まず、きちんと読んで理解してからお願いします。

この学会では、和歌山大学の江利川先生の講演もあり、「小英」の歴史を振り返り、そこに学ぶ姿勢を改めて確認しました。推進・擁護論の突き抜けなさ加減は今も同じだなぁ、と痛感。

「小英」関連の実践事例で、私立の小学校、就学前からの「英語インター」、NPO (OBK)での支援など、これまで接する機会のあまりなかった「現場」の方たちの声が聞けたことも収穫でした。ただ、「英語インター」の事例報告に関しては、今回の大きなテーマとどのように関連するのかが今ひとつ分かりませんでした。シラバスや指導法、理念はともかく、ネーミングはちょっとなぁ…、という感じです。「コドモこども」ですからね。

シンポジウムの後の懇親会はインド料理屋で大いに盛り上がりました。
新たな出会いとなった、OBKの方たちとも情報交換というか議論というか、「胸襟」を開いた話しができ、少し、自分を揺すぶることができたかな、と思います。

翌日は、プライベートで大阪を満喫。
再会と新たな出会い。
若い世代に期待のバトンを繋いで帰ってきました。

自分へのご褒美には、Hugo Boss のペイズリーのタイを購入。ダンヒルのレジメンに続いての、ホームランですね。

今回、大阪のホテルはどこも満室で、なかなか予約が取れませんでした。
心斎橋で乗り換えのために、連絡通路を進もうとしたのですが、若い女性の「群れ」に気圧されて前に進めませんでした。

  • きっとジャニーズか何かのライブがあったに違いない。

と思って、ホテルにチェックインした処、エレベーターホールに掲示がされていました。

  • 「キスマイ」京セラドーム2日間

だそうです。ドームはスタンドだけで5万5千人収容ですから、万単位で大阪の人口が増えた可能性があるわけです。
私が泊まったホテルも、さもありなん、という混雑で、女性であふれていました。
「愛」だなぁ…。

本日のBGM: Again (benzo)