憂鬱な恋を競った街の詩人たちは今…

採点天国も大団円。
後の祭り、もいろいろ。
今回、商業科2年で出題した教科書本文と関連したオリジナルの英文は、「フランスはブルターニュのカキ養殖場の被害に宮城の牡蠣養殖家たちが稚貝を送って支援をした」というエピソードを私が英訳したもの。出題形式としては段落整序完成。文章の最初と最後を与えておけば良かったな、と反省。ただ、今回の出来具合で3学期の授業の進め方に光が見えてきたのが収穫。
進学クラス高2の「ライティング」は、「表現ノート」で提出済みの、英文ネタから個々の生徒に応じて出題。素材文の英文にフォーカスを当てての内容の要約、そのトピックやテーマを語るのに必要不可欠な語句、コロケーションが使えるかを見るための、内容に関して私が切り込んでの英問英答、内容に関する、personal involvementを問う英問英答。少人数クラスでなければ実現不可能な試験ですが、もはや「定期試験」で点数を付けるというよりは、パフォーマンスを診る「定期検診」のようなものです。
対して、高3ライティングは1学期中間の範囲でもあった「診断テスト100題」から20点分。20題を出題し、そのうち10題を選んで答えるもの。部分点は原則無し。残りは、意見文。「5-paragraph essay (5段落エッセイ)」などはやらないし、高校レベルで「アカデミックライティング」などには踏み込みません。地道な実作を確かめるまでです。授業で取り上げた金沢大の出題から、ほぼそのまま1題。ニート支援関連から、理由を一つだけ書かせる出題で1題。各40点の配点。授業でのダメ出しの後の最終書き直しを、定期試験の場で行っているだけですね。「ニート支援関連」生徒の解答例を一つ紹介。誤りも含めて全てそのままです。

it is true that NEETs’ parents have to take care of their children because NEETs shut themselves in their home and don’t have motivation for working, but that has a limitation. If they have NEET children, they have to take care of their children even after their children reach the age of adulthood. Their personal and private burden, as well as costs, will keep growing.

これは、お題の、

I agree to the policy of spending 980 million yen on helping youngsters find jobs. The major reason to support my view is that [ A ].
To sum up, I strongly believe that the government should spend that amount of money on the NEET education program and support their independence.

空所の [ A ] に60語前後で理由付けを書けという出題。当然、反対意見は、

I do not think it reasonable that the policy of spending 980 million yen on helping youngsters find jobs. The major reason to support my view is that [ B ].
To sum up, I strongly disagree that the government should spend that amount of money on the NEET education program and support their independence.

この [ B ] の方を選んで理由付け。データなどを検証するのではなく、自分の頭で考えて、自分の意見を述べるものです。ただ、授業でも解説を加え、私が個人的にも書きやすいと思った、この [ B ] を選んだ生徒はいませんでした。面白いものですね。

課題が多く残されたのは高1の「副詞節シリーズ」。社会福祉ならぬ、教室福祉の必要がある生徒もいます。深刻です。出題は至ってシンプル。

  • この接続詞を用いて典型的な用例となる英文を2つ書きなさい。

という出題が20題。計40文。ネタとなる英文は、それぞれの接続詞で15から20ありますから、少なくとも40/300の棒暗記でも対応可能です。でも、主節と従節の繋がりが「きちんと」分かっていたら、呪文のように、のぺーっと文字を綴るのではなくて、自分の頭に浮かんだ意味を自分で使いこなせる「語」や「チャンク」の形にして、英語の流儀で並べていけば解決するもの。
もともと、この出題は、東京で働いていた時分に、同僚ALTとの教材研究や教科書などの編集作業時に、用例の適否を検討する際に浮かんだアイデアから生まれたものです。

  • うーん、私は、このような例文が一番適していると思うので、この用例にしているんだけれど…。じゃあさ、接続詞でonceを使う時の典型的な用例ってどんなの?誰でも、「そうそう、そう言う時に使うのが一番普通だね」、っていうものは?

というやりとりを複数の英語ネイティブと重ねると、その人の「ことばの力」のようなものの全体像が浮かび上がってきたように感じました。英語ネイティブではなく、日本人というか日本語母語話者であっても、G大でお世話になった河野一郎先生や、河野先生の先輩にして私の公立校時代の同僚でもあったH先生などは、そのような「典型例」の引き出しが大きいだけでなく、引き出される「用例」が的確であったという実感があります。

  • 英作文は英借文

などと昔から言われます。
千葉大の大井恭子先生も、以前「英文をきちんと覚えること」の意義を力説されていました。専修大の田邉祐司先生も、「千本ノック」よろしく、「チャンク」のレベルから、「文」のレベルまで、糸を紡ぐ基礎訓練の重要性を指摘されています。ライティング、英作文はごまかしや付け焼き刃が聞きませんから、大家のいうことには耳を傾ける価値があります。何をどう仕込むか、が重要なのです。問題演習で小器用に正解を出すことではなく、頭に浮かんだ意味を形にする回路を造るための仕込みです。この段階で、闇雲に「自己表現」を課してもご利益はあまりありません。まずは、「借りても安心できる」ものが手元にないことには始まらないのですから、「きちんと」「自分で」「できるまで」やることです。
私から診れば、ボロボロな高1クラスの「英作文力」ですが、先頃返却された某模擬試験では「表現力」の分野だけ、全国平均を大きく上回っているのが皮肉です。GTEC for Studentsだといきなり「100語以上」のライティングを課すけれども、その下位技能となる「書く力」を、直接書くことで診るテストとなると、受験に繋がる「模擬試験」になっちゃうのって、どうなの?

代休を活用して、採点が一区切りついたところで、先月からお世話になっている新しい床屋さんへ。
ちょっと短めにしてもらいましたが、そろそろ白いものが目立ってきましたね。
帰宅して、軽く昼食。
素点の入力を終え、午後の紅茶。ケーキは近くのkajiwaraのもので。
朝からシュトーレンを仕込んでいた妻が夕方から美容院へ。
私と娘とあんこで留守番。妻がいないと、私の言うことはあまり聞きませんね。
夜は、フィギュアスケートのグランプリファイナル。
女子SPから。
例によって、某局の構成は競技に入るまでが長いっ!
浅田選手はいくら高く、軸を細く、花がほころぶような回転をしても、ジャンプの幅がないと、ランディングでの「見栄」のところで損をするような気がした。
明日は、男子のSPもあるので、見逃せません。
ドイツはドルトムントではキム・ヨナ選手が、シーズン第一戦のNRW杯。世界選手権に照準を合わせているのだろうなぁ。日本からは村元小月 (さつき) 選手が、ロシアからはマカロワ選手が出場とのこと。CSとかどこかで放送しているのだろうか?
ともあれ、1年でもっとも幸せな季節であることは間違いありません。
外はといえば、台風並みの強風と、雷雨なんですけれど…。
来週末は、衆議院選挙。
中日新聞の12月5日付のコラムを、ポール先生のFBで知りました。
かつてはquality paperなどと呼ばれていたような記憶もある全国紙がことごとく劣化しているのとは、対照的に思えました。気になることがもう一つ、この社会部長・島田佳幸さんのコラムに中日新聞のweb上でリンクがみつからない。写真でしか読めないのは、リンクが張れないのでやむなく、写真で、ということなのだろうけれども。
自分の物語は自分で紡がなければ。

本日のBGM: Visitors (佐野元春)