knife-edge crease?

予報とは裏腹に、一日中気温が上がらず、体も縮こまりがち。
今日は午前中予餞会、午後は卒業式に向けての合唱指導で授業無しという予想だにしない展開。

  • 安西先生、授業がしたいです…。

でも、そのおかげといっては何だが、論文をダウンロードしたり、読み比べたりとなかなか普段できないことに手間暇掛けることができた。
「学習英文法」の原稿執筆絡みで、「修飾」に関して引き続き考えていたのだが、

  • L. R. Gleitman & H. Gleitman. 1970. Phrase & Paraphrase: Some Innovative Uses of Language, Norton

で、複合名詞 (compound nouns) での「語順」と意味解釈の関連性を振り返ったところ。40年以上前の論文ではあるが面白かった。「複合名詞」でどのような実験をしたのか、その一例を挙げると、被験者に、

  • house-boot bird

という刺激を与えて、その語で表された「名詞」がどのような意味なのか、

  • a bird that looks like bedroom slippers
  • a kind of bird known as a house-boot bird
  • a bird that wears house-boot

などという「反応」を記録し観察するというもの。名詞の複合パターンの分類が緻密で唸る。日本語の複合名詞で考えれば、「バナナワニ」と「ワニバナナ」だけではなくて、「ワニバナナ園」と「バナナワニ園」まで含めるくらいは誰でも思いつくだろうけれども、「実験」なので、「ワニ園バナナ」とか「バナナ園ワニ」、はたまた「園ワニバナナ」や「園バナナワニ」までを対象としている、とイメージしてもらうといいのだろうか。そして、それに対する被験者の「反応」は、当然のことながら多種多様で驚く。
ただ、“paraphrase” という用語はどうなのかな?と思って読んでいたのだが、当時の書評 (The American Journal of Psychology, Vol. 86, No. 1 (Mar., 1973)) で、D. Terence Langendoenも同様の指摘をしていた。国公大の個別試験の「英文解釈」で出てきそうな、Langendoenの文章から引く。

The careful reader will notice, in fact, that I have consistently failed to use the word ‘paraphrase’ and its close relatives in connection with what their subjects did in the experiments. Rather, I used the more natural term ‘interpret.’ This failure is a consequence of a refusal on my part to grant that paraphrasing is what they did, or better, what they were asked to do. My impression is that the subjects responded to the task as if they were being asked to define the compounds in question. If this is so, then the Gleitmans results are hardly surprising, and hardly of any bearing on linguistic theory, because as we all know even without the benefit of the relevant experiments, people differ systematically in their ability to define words, and these differences correlate with educational attainment. (p. 211)

率直な感想。

  • 修飾って難しい。
  • 母語話者の直感って不思議。

帰宅して、

  • 『リトル・ウィングス 新世代の女子フィギュアスケーター8人の素顔』 (双葉社、2003年)

を見る。読む。写真とインタビューの収録。取り上げられているのは、当時注目されていた日本のトップスケーターたち。腰帯では選手たちの顔写真が並んでいる。
村主章枝、荒川静香、恩田美栄、中野友加里、浅田舞、安藤美紀、浅田真央らの中央に位置しているのが太田由希奈さん。ルール改正を前に、不安と期待、意欲を覗かせるインタビューにもなっている。この時点では、編集部も、荒川がトリノ五輪で金メダルを取ることも、安藤、浅田が世界チャンピオンとなることも、中野や太田が五輪代表に選ばれることなく競技から引退することも予想していなかっただろう。ファンとしては、ノスタルジアに浸ってばかりもいられない。荒川のインタビューから。

今シーズンはプログラムを滑り込むほかにも、佐藤有香さんのところで、改めて基礎的なコンパルソリーのレッスンを受けたりもしています。有香さんを見てると、なんて私はへたくそなスケーティングなんだろう、と思っちゃいますよ。スケーティングひとつひとつの伸びや緩急、ディープエッジに乗った時の粘りや押さえなど、今の私に足りないものを挙げていったらキリがありません。有香さんにはフリーレッグの向きやエッジへの乗り方など、自分で気づかないうちに癖になってしまっている細かい部分をよく指摘してもらっています。(p. 35)

基礎技術の確かさが飛躍に繋がった、というのは後出しじゃんけんでならいくらでも言えますが、トップレベルの選手がその根本から取り組み直すというのは本当に大変だっただろうと思います。
ここで荒川も指摘する、「深いエッジ」での加速は、今一番気になるところ。今シーズンの世界選手権に出るトップスケーターたちで観察して見ようと思っています。

Scotland Martにパンツを取りに行った際に店内で撮った写真が、オーナーのブログにアップされていました。(http://scotlandmart.jp/20120221/17071)
このパンツ、40代のおじさんでも、脚がスッキリと見える優れものだと実感。ただ、立ち方の癖がはっきりと出てしまっていますね。基本に返らなければ…。


本日のBGM: Deep (Jules Shear)