「貧乏、暇だらけ」

連休後半の熊本菊池は斑蛇口湖の遠征より帰還。
男女3種目ずつ、最大6杯の競漕で全部で15〜16レース。今回は最大71クルーなので、GW前半に比べれば参加者は2/3程度といった感じでしょうか。
艇庫には、東北地方で震災の被害にあった高校ボート部の現状を物語る写真がパネルに貼られていました。先日終了した琵琶湖でのチャリティーレガッタで併催されたコーチセミナーでは、高体連を代表してF先生がレポートをして下さったようです。被災地で今も苦しい思いをしている人たちのことを考えると、スポーツに現を抜かしている自分を責めたり、罪悪感を持ったりする選手もいるかも知れません。まずは、自分の置かれたこの幸運な環境に感謝し、精一杯生きること。今の自分にできる100%を発揮することです。
初日は移動のみで、二日目の早朝にリギングとトレーニング。午後からレースです。水位が下がっているので、安全面も考慮し1000mを3発。各チームの先生方でスタート、ゴール、集計、放送、監視艇などなど配置を決めて準備。風はそれほど強くなかったものの、レースが始まると生憎の雨で気温もあまり上がらず、カタマランで浮かんでいる間にかなり濡れました。吐く息が白くてびっくり。3日目は朝方は靄がかかっていたけれども、湖に到着したころは快晴でベタ凪。あと1時間持ってくれれば、と思っていましたがレースが始まる頃には逆風に。2本目から3本目にかけては少し風が落ち着く瞬間もあり、異なるレースでのタイム比較が難しいコンディションでした。
今回の遠征は県選抜チームで国体の少年チーム候補選手それぞれの評価をするのが目的。私は暫定的に男子の4X+担当。いつもは単独クルーの4X+に自チームの選手が一人乗っているのを見つけたH県のN先生が、早速声を掛けてきました。まずは、全レースを競って闘えるレベルにならないといけませんね。結局1度もトップでゴールを切れずに、3着3回、2着3回と連戦連敗でした。ランキングは平均タイムで算出されますが、タイム差の数字だけではなく、届きそうで届かない半艇身や一艇身という現実の距離、空間が次のレースでさらに開いたことをどう受け止め、次の自分の行動へと繋げるか。一番軽快なリズムで1Xを漕げる自チームの選手を整調か3番にしていればもっとスムーズに艇が走ったでしょうが、そういったinstant remedyでは根本的な解決にはならないので、苦しいレース展開の中、選手それぞれの課題が残酷なほど明確になったのも「収穫」と捉えるべきでしょう。
今回も多くの方たちに支えられての合宿を無事終えることが出来ました。深謝。
最終レースが午前中で終わったので、艇の積み込みを大急ぎで済ませ、渋滞には巻き込まれずに無事選手を送り届けてから帰宅。選手には車中で弁当を食べさせ、私は途中で買った柏餅を珈琲で流し込み走り続けました。道中の景気づけに、大滝詠一50曲独唱とナンパオのドリンク剤を服用。まあ、ドリンク剤は漢方製剤の効用というよりはカフェインの効果ですね。
2日間で6レースとはいえ、今日の午後は移動のみで1000m3発だけだったので、明日の午前をオフにして約24時間のリカバリーに当て、午後は1X でしっかりと技術とリズムのチューニングをすることで週末の強化合宿に臨みたいと思います。
帰宅後は、メールの処理やら、自宅に届いた書籍やお酒のチェックやら。
今年の個人テーマの「学習英文法」くらいは進めないと、と思って、『英語青年』の特集、

  • 「学習英文法と英語学」 (研究社、2005年6月号)

を読む。ここでの「学習者」のイメージが今ひとつはっきりしない。5年以上の月日が経ったからということだけではなく、少なくとも高校の現場には当時も今も響かないのではないかなぁ。それに代わってではないが、この号の「編集後記」にドキッとした。ニッポン放送株を巡るライブドアとフジテレビの買収合戦に絡めての話題にはじまり、次のように締めくくられる。

  • 時代が変わりつつあると言えば、つい先日、東大工学部は空き教室を使って希望する学部生 (3-4年生) 向けに外部の英会話学校 (ベルリッツ・ジャパン) の授業を行うことを発表しました。首都大学東京における英語教育の「丸投げ」の例もあるとはいえ、とうとう東大でもこういう試みが始まったのかと愕然としました。大学の英文学・英語学教員にとって、専門はむろん英文学であり英語学であるかもしれませんが、「職」という観点から言えば、そのCrown Jewelとは英語教育者としての立場ではないでしょうか。各学部が学内の英語教員に見切りをつけて英語教育をすべて外注する時代がやって来るかもしれないというのは、「想定の範囲内」でしょうか。

このブログの随分前の記事 (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050303) でも書いたことですが、私自身がずっと感じている「アウトソーシングへの嫌悪」の源が分かった気がしました。塾や予備校や英語学校などへの嫌悪ではないのです。自分の資産価値を自ら貶めることへの嫌悪なのですね。
このGW中に読もうと思って合宿鞄に準備していた、

  • 吉田健一、牧野信一、小島信夫 『客』 (百年文庫、ポプラ社、2011年)

はまだ手つかず、緒方修一さんのシンプルな装幀・題字を眺めるだけで終わりました。明日はどうかなぁ…。
夕飯を済ませ、烏賊の一夜干しを少し切ってもらって味見程度に晩酌。
早々と就寝。

本日の晩酌: 村佑・亀口取り・茜ラベル・無濾過生原酒・60%精米 (新潟県)
本日のBGM: 五月雨・シングルバージョン (大滝詠一)