The night of Leonid

普通科2年は、不規則変化動詞のまとめ。
まず、意味と音と綴り字のマッチングがしっかりできること。この後は、「発音とリズムで覚える」ワークシートで暗記へ進む予定。その後、さらに大変な「規則変化する動詞の発音と綴り字」へ。

高2進学クラスは、助動詞が一通り終わったので、「助動詞的」に用いられる表現の例文探しの旅。
今回は手始めに、

  • be + to 原形

を足がかりにして、

  • be + 形容詞相当の語句 + to原形

を20例ほど板書。それぞれ、10個の例文を集めて「話者の心的態度」と「可能性の査定」を感じ取る作業。
今、文法項目の指導で参考にしているのが、最近出たばかりの、

  • 澤井康佑 『よくわかる英語の基本 基本文型・文と文の結びつき』 (開拓社、2010年)

薄く広くという『森林本』のような学参ではなく、「局所戦を、ことごとくものにしていく中で、自信を深める」という類の本である。コアミーニングとか、フィーリングとかイメージとかいう「今風」の流れとは対極にあって、日本語との比較、和訳での問題点など、よく考えられた記述に好感度アップ。著者は元予備校講師ということなのだが、慶應大の西山佑司先生への謝辞があるので、西山門下生とすれば、語学的基盤がしっかりしていると考えて良いのではないか、という単純な動機で購入したもの。はなから網羅性を捨てているのだろう、という積もりでこちらも読んでいるので、「あれがない、これがない」などという不満を思うこと無く、参考にさせてもらっている。まだ、続刊があるようなので、期待して気長に待とうと思います。

高3は例によって音読。「意味を音にのせなさい」の繰り返し。

  • Around 10 o’clock that night, a dozen or so Finns approached me and suggested that we cancel the excursion. I, of course, agreed and announced the cancellation.

の “of course” でダメ出し。「もちろん」という訳語で分かったつもりにならないで、副詞一語でパラフレーズするとしたら?文そのものを書き換えるとしたら?と問うことによって、上手く言い換えができなかったとしても、読みは深まるわけです。“Naturally, I agreed and ….” とか “I found that what they said made sense and ….” とか、まずは自分でやってみることから。

  • Immediately I was surrounded by protesting Italians opposing the decision. Why cancel the trip---they had been looking forward to it, they had paid for it in their all-inclusive fee, a little rain would not hurt anyone and what was the matter with the Finns anyway---weren’t they supposed to be tough people?

では、第一文の “the decision” がその前の節の内容を受けていることが分かって声にしているか、でダメ出し。第2文以降は抗議内容なので、実質「」で発話の引用に相当するものであることが読みで表されないと、この英文が分かったことにならないでしょう。
句読点をどうクリアーするかも、今学期のポイント。一つには、接続詞や副詞句での言い換えを模索すること。such as、for example やafter all、that’s why、さらにはwhileやat the same timeなどで言い換えた場合に、ずれてしまう部分は何か?それを踏まえて、そこに気持ちを乗せる。いってみれば、「英語劇」の演出ですな。
高1のオーラルは、「英語以前の問題」解消の一案として、日本語で自分の中にある「話形」「話型」を揺すぶったり、無いものを探したりという授業。まったく英語は使いません。今日やったのは、日本の歌謡曲の歌詞。俎の上の鯉になったのは、昨晩たまた耳にした『川の流れのように』。
この歌詞が、「詩」としてあまりに杜撰な作られ方をしているので、各自でダメ出しをするというもの。個人での作業、他の生徒との摺り合わせを経て、私の質問に答えていきながら、おかしいところ、矛盾点、イメージの不統一、逸脱、語義のごまかしや飛躍を見ていく。最後の「せせらぎ」を聞くのは誰?その「青」さは何を象徴している?若さ?では、一番の「黄昏」は何だったのか?という件では、吹き出した生徒もいました。この歌詞を足がかりに、「詩」「韻文」「散文」というものを考えて、詩の効能、古典を読むことの意義を説く。少なくとも、こういう詩を聞いて、たやすく感動しているようではいけない、もっと本物に出会い、「ことば」というものをしっかりと学ばなければいけない、ということは認識してもらえたと思います。
さらには、今風の高校の教材や各種試験で「お膳立てされる」英語の文章を読むためには、速読などという技術は必要ではなく、さらには「読書力」などという得体の知れないものを求めるのでもなく、自分の中に「話形」「話型」をしっかりと仕込むことが大切であることを説く。
そのためには、まずは、学級文庫・日本語版にある「詩」関連の書籍を読むことから。小説を読むだけの時間がない、という人は、「短編小説」や「散文詩」を読むことでその代替を図っても良いでしょう。ただし、それとて反芻すると、長編小説を読むのと同等かそれ以上の時間がかかるやもしれません。

今回取り上げたこの曲、国民的歌手の最後のヒット曲ということで、批判することが憚られるような空気が日本の歌謡界にあるのかもしれないのですが、耳触りの良いことばをただ切り貼りして鏤めて見栄えをよくしても、詩にはならないということがよく分かる例だと思うので、機会があればじっくりと読んで考えてみて欲しいものです。

本業は、実習のためにエルゴ。30分x2のUT。2本とも定常漕になったので、次回は、ベースのスピードをもう少し上げられるでしょう。

職場に届いた書籍とDVDの整理をして自宅に持って帰る。

  • 筒井正明 『本格派のための「英文解釈」道場』 (大修館書店、2010年)
  • 河内 司 編 『英文学散文名文選』 (八千代出版、1994年)
  • 小林敏彦 『口語英文法の実態』 (小樽商科大学出版会、2010年)
  • 『ハッカビーズ、スペシャルエディション』 (2005年作品)
  • 『エターナル・サンシャイン、DTSスペシャル・エディション』 (2004年作品)

夕飯は具だくさん豚汁に私だけ焼きうどんをプラスで晩酌。
ちょっと良い気分で『相棒』を見ずにうとうと。
そうそう、今月の『英語教育』の特集に関して、浅野博先生の「批評」がアップされている。特集と合わせて是非に。
今夜は獅子座流星群のピークとか。
太く真っ直ぐに生きた男に思いを馳せる。

本日の晩酌: 出羽桜・純米吟醸・雄町・瓶火入れ (山形県)
本日のBGM: Life like a river (高橋幸宏)