「まあだだよ」

夏期課外講座の後期は、「表現ノート」のダメ出し再提出で終始。週明けに再開の予定。
本業のインターハイ後のトレーニングのテーマは2年生が「基礎基本の徹底」、1年生は「大きな力を出すこと」。
今日は、朝8時半から2年生、午後3時半から1年生と私だけ二部練でした。最も暑い時間帯を避けているのに、カタマランに乗っているだけでダラダラと背骨を伝わって汗が流れ落ちるのが分かります。
そんな朝陽の中、2年生の1Xにはひたすら腕漕ぎで艇をフラットに加速、クラッチに加重しながらフェザーターン、リリースから抜き上げを高く、腕漕ぎでもきちんとした入水を要求。腕漕ぎだけでも湖を2往復、8kmくらい漕いでますかね。ちょっと目を離すと、ブレードが垂れたり、ボディが緩んだりするので、「命懸けで漕げ」と言ってあります。最後のスプリントを自己評価させて終了。
午後からの1年生は、1Xでの定常漕。男子規格艇のハイトを一番低く設定し、強化合宿での配艇への対応ができるよう準備。2Xの一人漕ぎが十分できている2人は、まったく問題なく加速していきます。あとは直進の精度と、「力の大きさ」。小さな事は気にせず、自分でどれだけスピードが出せるか、ズドーンと行けと言ってあります。このまま行くと、来年の今ごろは女子2Xの方が男子1Xよりも速くなりそうな気配もあり、楽しみです。捕らぬ狸ではだめですけど…。

ELEC協議会の研修会を終えて、いろいろなフィードバックをもとに頭も整理できてきました。

  • これから、ますますライティングの指導を他の教員に伝えられる人材がいなくなっていくことを考えると、先生には、やはり、新人や若手の教員でも簡単にわかるライティング指導のノウハウ、心得、ガイドラインなどをわかりやすくお話しいただく必要があるのではないかと感じ始めています。

というコメントも届いたのですが、本業の国体が終わってから、考えさせて欲しいと思います。
「たられば」も少し。
評価について、たとえ話で取り上げようと思っていたのが、「フィギュアスケートの採点方法」。GradingとScoringといった評価の根本を考える良い材料になると思います。
現行のフィギュアの採点方法は、項目を細分化し、数値化することで、客観的で公正な評価ができると一見思われていますが、GOEなど主観で±がつけられるので、実情は、審判の主観で点数を盛ろうと思えば、どれだけでも盛ることができる方法となっています。私も大好きなキム・ヨナ選手のロスでの世界選手権の演技あたりからこの傾向が出て、バンクーバー五輪で爆発しました。興醒めです。
評価者のトレーニングというのは、採点競技であるフィギュアースケートはもちろん、英語のライティングでも必要不可欠でしょう。フィギュアースケートの場合、審判の研修会では現役の選手の演技を使用したりするらしいのですが、その俎上に乗る選手の印象評価が、研修の結果、上がったり下がったりする可能性もあり悩ましいことです。その点、ライティングでは書いた人が匿名でも、評価できる利点があります。フィギュアースケートでは、審判の方が匿名なのですね。おかしいですよね?これって。

さて、今回のELECでの貸出本リストをあげておきます。

『英訳したくなる日本語』 速川和男 (Eikyo)
『アメリカ口語表現法教本』 W・W・スミス(英宝社)
『エラーから学ぶ英作文ハンドブック』昭和女子大 学習者コーパス研究者グループ編 (青山社)
『国語教室通信』 大村 はま (共文社)
『英語青年』1964年11月号 (研究社)
『英語青年』1970年5月号
『英語青年』1982年1月号
『英語青年』1986年5月号
『ルール48 英作文の解法』 金子稔 (洛陽社)
『生きた英語の上達法』 升川潔・小林祐子 訳 (研究社)
『80日間世界一周』 (Eikyo)
『文章心得帖』 鶴見俊輔 (潮文庫)
『高校英語研究』 昭和48年1月号
『高校英語研究』 昭和48年8月号
『身近な話題を英語で表現する指導』 高橋正夫 (大修館)
『自然な英語を書く技術』 竹下昌男 (はまの出版)
『和英日本ことわざ成語辞典』 山口百々男 (研究社)
A Short Guide to English Style, Alan Warner
『ロングマン 英語コモンミステイクス500』 T.J.フィチキデス/倉谷直臣 (北星堂)
『日本語からみた英語 その類似と異質』 長谷川潔 (サイマル出版会)
『パラグラフ・ライティング指導入門』 大井恭子 田畑光義・松井孝志 (大修館)
『和文英訳研究 方法と実際』 山田和男 (研究社)
『高校英語研究 特集;受験生の答案の検討』 1958年5月
『英語青年』 1969年7月号
The Learning-to-write Process in Elementary Classrooms, Suzanne Bratcher
『大学受験ファイナルコース英作文』 杉山忠一 (学習研究社)
『基本文型の重点問題』 薄井良夫 (日本英語教育協議会)
『Enjoy English Writing Teacher's Manual』 教育出版英語編集部 (教育出版)

今回、読まれた方はその感想を私までメールして頂けると有り難いです。
借り出されなかった本 (これは宅配便で送り返して頂きました) の中からも抜粋して本日は失礼します。
『英作文の磨き方』 速川和男 (朝日イブニングニュース社、1985年)

  • これは、英語ネイティブの英文から徹底的に「英借文」することにより、表現 (=ヨコ糸)、構成 (=タテ糸) を身につけようというもの。『表現ノート』作成のヒントが鏤められている。残念ながら絶版。

『日英語の対比で教える英作文』 小寺茂明 (大修館、1989年)

  • 文法シラバスで「英作文」を教える際に、文法事項で何を押さえておくべきかを誤答の実例を元に詳述している。高校の英語科の準備室には、このシリーズがあると思われるので、借りていかれなかったのだろうと思われる。

『実用英語サクセス和英表現辞典』 中村保男編著 (英教、1985年)

  • 網羅的ではないが、こなれた日本語、慣用表現を英訳する際に重宝する。和文英訳御三家対策として熟読玩味してきたもの。残念ながら絶版。

『和英翻訳のコツ “さらし” のテクニック』 大方保 (ジャパンタイムズ、1975年)

  • ジャパンタイムズ顧問で元翻訳部長、編集局長だった著者による、ニュース原稿や社説などの日本文を英訳し、それに基づいて解説を施したもの。ドラフトとリバイズと2種類の英訳があるので、教師自身の英文修業に。

『英作文要覧』 木村忠雄 (北星堂、1941年)

  • 大戦の最中に出版されていることに驚きを隠せない、全編英語によって書かれた英作文の指南書。英題には、A Handbook of English Composition, A Manual For Japanese Students とある。徹底的に日本語話者を対象に絞り込まれた内容である。「文」、「主語・目的語」、「動詞・(法) 助動詞」、「法・態」、「時制」、「動名詞・不定詞」、「数・呼応」、「修飾 (語句)・所有格・冠詞・比較・否定」、「つなぎ語・前置詞」など、英語の根幹をしっかりと押さえた作りであり、今でも充分に参考になる。

Harold Price 『英作文の盲点』 (金星堂、1963年)

  • これは英語ネイティブによって書かれたものを邦訳したもの。120ページほどの薄い本だが、ヨコ糸紡ぎには重宝する。過去ログでも言及しているが、wrong, right, bad, unnatural, unnecessary, clumsy, strange, vague, confusing, unclear, rare, formal, informal, nonsense, insulting, dangerous などの付記に着目することで二倍にも三倍にも活きてくる一冊である。

David Feldman, 1991, Do Penguins Have Knees?, Harper Collins

  • これは、説明文のモデルとしてよく使わせてもらっていた。日常の素朴な疑問に対する回答を、専門家の意見も交えて簡潔に述べるもの。例えば、”Why does shampoo lather so much better on the second application?” などという疑問に、専門家から “In the first shampoo application, the lather is suppressed by the oils in the hair. When the oils are rinsed off [by the first application], the shampoo lathers much better on the second application.” などという回答が寄せられるのだが、その回答だけを載せるのではなく、それを踏まえて疑問→仮説→回答とまとまった英文で記述しているところがミソ。

本日のBGM: もういいかい (サニーデイ・サービス)