「生まれたての朝は裏切らない」

入学式。
晴天。20度を超える陽気。
卒業式と同様に駐車場からの案内係。体育館入り口で受付後、HR教室へと移動する新入生の案内も。大きな混乱はなし。
高1の春休みブリッジ教材となるはずだった『ぜったい音読・続入門編』 (講談社) のトレーニング方法を新入生と保護者のいるHR教室でデモンストレーション。Powerbookにスピーカーをつないで再生しながら、次のように説く。

この『続・ぜったい音読』は、旧版に続いて、日本で発行されている6種類の中学校1年生、2年生の教科書の題材からおもしろいものを厳選して作られています。中には、一度授業で習った題材があるかもしれません。でも、その話題については思い出せても、

  • 中学校でならったことがあるんだったら、その文章の出だしの1,2文を英語で言ってみて?

といわれて、スラスラと英語が出てくる高校1年生は、私の23年に及ぶ英語教師生活を通じて約2%です。残念なことに、残りの98%の人たちは話題や意味を読んだり聞いたりしているけれども、肝心の「英語」が残っていないのです。忘れていたのはいいでしょう、でも、「こんな内容の話だった」ということが自分の英語で説明できる人もほとんどいません。やはり、学習にしろトレーニングにしろ「最後に英語が残る」ことが大切です。

保護者も不安そうな怪訝な顔で見ていました。中学英語の徹底が全ての鍵ですからご理解のほどを。

昼からは、年間行事計画とにらめっこで1学期の進度表の作成、とさくさくこなしたいところだが、一部教材が届いていなかったりして牛歩か蝸牛歩か。

高2の「英語II」の大枠は以下の通り。

※ 高1に続いて、教科書を中心に扱う。スピーチの活動もこの英語IIに含む。
※ 聞くこと、読むこと、書くこと、話すこと、を時には関連づけて一緒に、時には個々のスキルに特化して重点的に扱う。
※ ねらいは以下の 10 点。
1.様々なテーマで語られる英文を聞いたり・読んだりして理解できる語彙力
2.内容理解のための与えられた設問に答えられる英文理解力
3.自力で英文を言い換えることが出来るパラフレーズ力
4. 内容理解の質問を英語で作れる文法・語法力
5. 英語による要約・サマリーを作れるリーディング & ライティング力
6. 英語により、自分の感想・意見を述べることの出来るライティング力
7. 初見(聞) の英文を聞いて、書き取ることの出来る精聴のリスニング力
8. 初見の長文に対して、手がかりを作りながら自力で読み進めることの出来る精読力
9. 復習での徹底的な音読・リピート・シャドウイング
10. 「これを英語ではどういうのか?」という表現の観点での英作文的読書と辞書の活用

※ この授業と並行して、学年マイナス1レベルの英文で書かれた「サイドリーダー」での多読 (または多聴) を行うこと。『ぜったい音読・挑戦編』など、高3の「学級文庫」にある本も含めて活用のこと。
※ 内容は盛りだくさんですが、単位数には結構余裕があることに加え、少人数での授業ですから、なんとかこなせるでしょう。この2年で盤石の基礎力を構築しましょう。


教員準備室のセッティングは結局有線LANでハブによる接続になる模様。いろいろな方面で協力して、一つのゴールに人的資源もお金も収束できないものなのか…。

進路から回ってきた『Guideline』というK塾系の小冊子の4・5月号に、

  • 2009年度センター試験英語と「言語活動」との関連を分析 (pp.16-17)

という、「新指導要領」を見据えて、「こっちの水は甘いぞ」よろしく、要領よく見開き2ページに無理矢理でっち上げたとおぼしき特集。帯はもちろん襷にも短いことは確かでも、進学校の英語教育にとっては、依然として英語教育プロパーの世界でなされる言説が頼りないことの証ともいえるだろうから、憤慨したり呆れたりしていないで、それに取って代わる、より適切な情報発信をしていくしかないだろう。

明日から、高2、高3は授業開始。

本日のBGM: Daylight (acoustic version) / 綿内克幸