”Rhapsody in blue”

春期課外終了。高1の基本動詞は、以下のグループ分け。

  • make, have, let, help
  • go, come, run, leave, stay, stand
  • put, take, carry, bring
  • give, get, keep, turn
  • speak, say, talk, tell, hear, listen

で、約200例文。
最初の「使役動詞」のグループでは、高1にはletが鬼門。ただ、SVOCと唱えたり、補語の形あわせをしたりするだけでなく、

  • Live and let live.
  • It’s time we let go of worry about the future.

などの一見破格に見える慣用表現までを扱い、letの持ち味に焦点をあて、

  • I opened the window to let in some fresh air.

と仕掛けをしておき、to let in を一語の前置詞で書き換え、

  • I opened the window for fresh air.

につなげ、移動グループの leaveで扱う、

  • Leave the door open for air.

の伏線とする、など単独でバラバラな文も導入・分析・考察といろいろな角度からhookを作っています。
また、

  • Since we don’t have a stove, we’ll make do with cold meat for dinner tonight.

では、stoveとovenを辞書で確認し、カタカナ語をそのままイメージすることに警鐘も鳴らしておきます。もっとも、”on a stove” とか、”hot from the oven” などというフレーズに馴染んでいれば、3次元での映像が頭に浮かぶでしょうから、間違いは是正しやすいもの。
standでは、定番の類語整理。

  • If you can’t stand the heat, get out of the kitchen.

などから、bear, endureを辞書で引いて、 put up with へ移り、 サイコロの展開図、傘、テント、ポスターの図を板書。最近の学習英和辞典は本当に良くできています。
putの「落ち着き先明示責任」では、いかにその「落ち着き先」が示されているかを各例文で確認。

  • We decided to put off the meeting until next week.
  • So, that puts us right back (to) where we started.

などを見た後で、「服を着る」などのput onを提示。明示されていなくとも、着る本人が落ち着き先であることを確認。「脱ぐ」場合になぜ put off単独では不可で、take offなのかも合わせて考察。
Keepでは、基本義と目的語の特徴を示し、

  • Can you keep a secret?
  • Keeping a diary is a good habit, but writing in it every night is rather tough.
  • There’s no need to get so angry; keep your temper.
  • A man is known by the company he keeps.
  • His blindness kept him from formal schooling.
  • What kept you from coming to the party last night?

などの基本表現をおさえた上で、、

  • Bring your umbrella! Vitamin C doesn’t keep you from getting wet.

などの遊び心も。
今後の学習に活かせるアンテナの張り巡らせ方をこそ身につけて新学期を迎えて欲しいと思います。

今回の課外講座では、英語らしい句動詞や慣用句などをふんだんに入れています。

  • いったいイディオムとか成句とかよばれるものが、英米語ではとくに豊富であり多彩である。それは表現に独特のニュアンスを与え面白くしている。しかし、他面、英語米語を外国語として学ぶ人間――とくに言語の性質が根本から異なっている日本人――にとっては、ありがた迷惑なふしもないではない。たしかに、そういう部分に目をつぶっても、もっぱら実用本位の狭い分野だけに打ち込めば、案外数年にして英語が出来るようになった、わかるようになった、と錯覚する程度には上達は出来る。ところがそういう人たちが本国人の少年少女の楽なよみものには難航する。(中略)一億総英語なんて阿呆なことは言わず、英語を将来、教養のためであれ、実用のためであれ物にしたい若者たちは少なくともこのレベルまでは第一段階として達してほしいと筆者は思う。こうしたこなれた英語を無視し、あわただしく素通りして、英語テキストの数冊を数年がかりで読みかつ忘れる、といったやり方では、百年河清をまつことになることは目に見えている。(中略)もちろん、こういうイディオム・成句の知識だけで英語が完全に理解できるなどとは、毛頭言うつもりはないけれど、他面、その知識が欠けていては結局、片手落ちの英語知識に終り、現代文学、スリラー、児童ものさえ読めないだろう。本気で英語をやりたい人ならば、この種の本の2,3冊は短時日の間に読み飛ばしてほしい。そしてまだ脳裡に鮮明に残っているうちにしかるべき読みものに接するなら知識はおのずから堅固なものになるはずである。(多田幸蔵『英語イディオム事典』(大修館、1981年)、はしがきより抜粋)

英国や北米など、特定の文化や発想に依存するようなイディオムを外国語として学ぶ英語に求めるかどうかには様々な考え方があるでしょう。私も諸手をあげて歓迎しているわけではありません。以前にも言及したかもしれませんが、中邑光男『基礎から学ぶ英語ビジネス・ライティング』(研究社、2003年)で、中邑氏の言う、

  • 私は、「国際英語」の時代に「英語らしい英語」を使うことはコミュニケーションの障害になる可能性がある、と考えています。読み手に背景的知識がなければ理解しにくいようなことばを、文化や風習などを異にする人々に対して使うのは不適当だと思うからです。(「国際英語に求められる要件とは?」(pp.79-80))

という考えも十分に尊重されるべきです。
現場の教師は、その鬩ぎ合いの中で、「では、英語力を身につけるには?」と藻掻き続けるしかないのでしょう。
上記に加えて、教材作成で主として参考にしたものをあげておきます。

  • 西尾孝『実戦英単語活用辞典』(日本英語教育協会、1981年)
  • ジャン・マケーレブ、安田一郎『アメリカ口語辞典』(朝日出版社、1983年)
  • ナンシー・ギブソン、鈴木英一『活用英語イディオム800』(開拓社、1987年)
  • 大塚高信『新クラウン基本英熟語辞典(修訂版)』(三省堂、1987年)
  • 渋谷彰久『アメリカ英語背景辞典』(小学館、1995年)
  • 安井稔、長谷川ミサ子『私家版英和辞典』(開拓社、1997年)
  • 古藤晃『クラウン受験英語辞典』(三省堂、2000年)
  • ジャン・マケーレブ、岩垣守彦『英和イディオム完全対訳辞典』(朝日出版社、2003年)
  • 小林祐子『しぐさの英語表現辞典(新装版)』(研究社、2008年)

帰宅後、東京出張の I 先生にメール。日比谷のK先生にもご挨拶メール。
フィギュアの世界選手権を見て一喜一憂。今シーズン物議を醸した、ロングエッジ判定やダウングレードの嵐はそれほど吹かず、大会の格を見た思いがする。グランプリシリーズ、という競技会そのものを見直す必要があるだろう。
終わってみれば、ライサチェク悲願の初世界王者。フリーはガーシュウィン。いかにも「アメリカ」という選曲できた。これで盛り上がらなければ、地元開催の意味がない。
各選手のパフォーマンスを見ても、飛び抜けた存在がいない今大会。高橋大輔の欠場が本当に痛い。
小塚選手の健闘は讃える価値があるだろうが、織田選手のザヤックルール抵触はコーチングスタッフも含めて猛省を促されてしかるべきだろう。大舞台でのこのミスは何回目だろう?策士策に溺れるとか言っている場合ではない。アボットの絶不調がなければ、五輪3枠が危なかったところだ。
週末は女子。各選手ともベストの演技で競って欲しい。
本日のBGM: International (Café Jacques)