「真」の効用、「誠」の孝養

頭の疲れが取れずに、11時過ぎに寝たのはいいが、2時半に目が覚める。だったら、NOAH見ればよかったな。二度寝して寝坊するのが不安だったので、授業の準備をして、7時過ぎにコーヒーを挽いて目覚まし。そのまま出勤。
高3は連休中にYゼミのセンタープレだったようで、机上に問題冊子が置いてあった。余力がないので、英語だけでも目を通す。作問がちょっと雑な印象。いまだに文強勢問題というのだろうか、話者の意図を問う設問。2007年でたまさかこのタイプが出たからと言って、どこの模試でも猫も杓子もこのタイプの設問を模しているのだが、今回はこんなものが。

  • It took me one hour to get there by car. で carを強調して発音した場合に話者が伝えようとした意図は?

これに対する答えが、 I should have taken the subway. というのだが、元の文で、one hourが予想よりも長い時間の経過だ、という根拠は何なのか? I should have taken some other transportation. ということで、the subwayなどが宛がわれたのだろうが、地下鉄の方が速い、目的地に早く着くと断定できる状況も何ら示されていない。受験生の多くは結局のところ消去法を用いて正答の選択肢に辿り着くのだろうが、必然的に英語を英語で言い換える力を見るわけではなくなる。では何を見ているのか?これはコミュニカティブな英語の力を見るものといえるか?模試を批判してもしかたないのだが、センター試験でのこの設問そのものの構成概念妥当性とでも言うべきものを英語教育界は検証する必要があるのではないか?そこに手をつけないから、模試に翻弄されてしまう生徒、教師が絶えることがないのではないのか?

解説の文言で、原文の意図や人物設定・状況設定に対して疑問を呈しているのは、いったいどういうわけだ?『赤本』ではないのだよ。対話文問題の解答解説から一例を引く。

  • フレディはいつもメールだから電話番号が分からないというわけである(テッドがメールを返して電話番号を聞き出せばよいと思われるが今手元にパソコンも携帯もないということだろうか)。

作問者と解説者での意思疎通がないのかしら?
最後の物語文が酷かった。出典がわからないように書き換えているのかも知れないが、お粗末。オリジナルはきっと面白い文章なのだと信じたい。解説も随分悠長なこと言ってます。

  • 第1パラグラフに「自分の部屋にはスティーヴィー坊やがいるのでとても読書なんかできなかった」とある。his roomとあるので「自分の部屋」はあったのだろうが、今のところスティーヴィー坊やと共用ということだろうか。このBaby Stevieとは誰とも説明されていないが、もしかするとマシューの弟かもしれない(第7パラグラフに登場する Claudiaは姉かも知れない)。

だと。杜撰。そんな訳の分からない物語を読ませて、英語の力を測ろうなどと思わないことだ。出題者は設問を作るにあたって、本文に適切な書き換えを施すか、作問チーム自体(企業体?)でもっと質の良いライターを確保するべし。Z会のTreasureのライターでも、東大リスニングの時のライターでも、やはり気になることは多かった。そう考えると、Richardにしろ、これまでに授業で組んだALT、Mary, Cathy, Rose, Jeffにしろ、皆、英語のライターとして抜群に良い文章を書いていたなあ。私に誉められても嬉しくないだろうけど…。
模試は復習が大事、などと言う人がいるけれど、それも模試(の作問)によりけりだということ。担任の話によれば、河合塾の模試は英語が軒並み良かったとのことだが、一喜一憂しないことだ。
高3の授業では、上記模試に言及した後、テキストのディスカッション問題へ。討論する3人のうち、エキセントリックな参加者が一人、という問題。無難に終了。「ディスカッション必須表現カード100」は60番まで配布済み。授業の中心がこっちになれば、楽しいだろうに、などと考えるのは教師の欲目。模試を受験したことで英語のセンスが鈍ってはいけないので、次回は解説を少し交えることにした。

高1は、Part 1のサマリーを仕上げて、Part 2からPart 4までを一気に。リスニングで、sense group でスラッシュを入れる作業から。今回のワークシートは、左右に英文ベタ打ち。ただ、左ページが1番目の活動でスラッシュリスニング。右ページは、ホワイト修正テープキーワード残しだけど、3番目。裏面の左はフレーズ訳にかなり近い和訳例を拵えてこれが2番目の活動。ここを、参照させつつQ&Asを英語でこなして、表面のキーワードからのreproductionへ。そこを踏まえて、裏面の右でサマリーにチャレンジ、という目論見。ここから3学期までは、inputの量を増やす時期。良質の英文を消化吸収したい、と生徒が身を乗り出すような、「おかわり!」とどんぶりを元気に差し出すような、「もう、自分で飯炊きます!」と勝手に動き出すような、そんな授業をしてみたいものだ。
普通科は一進一退。いや、三歩進んで二歩下がるか。そういえば、過去ログのクイズの解答例を書いておかねば。

  • 「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩下がる」を地でいくと365歩進むにはどのくらいの日数年月がかかるのか?

「一日一歩」が大原則なので、3歩進むのに3日かかる。そして、3歩進むごとに2歩下がるわけだが、ここでも一日一歩しか動けないので、2歩下がるのに2日。計5日で1歩だけ前進している計算となる。とすれば、365 歩進むのには、1年の5倍、5年かかる、という算段。あら、5年だと、さすがにもう高校卒業しちゃってるよ。どうしましょう?
放課後は、オールを直しにエース&エースキラーを連れて湖まで。前回よりもさらに水が減っていた。雨が降らない以上、どこかから水でもわき出てこないと危機的。本来、月曜日はオフなのだが、「漕ぐか?」と聞いたら、「漕ぎます」というので、合宿で取り組んだ、リカバリーからのドリルをおさらい。フィーリングのあるうちに確認できて良かった。疲労もあるだろうから明日の練習とトレード、ということにしておいた。今週は会議が変則なので、平日はあと1回行ければいいところだな。
明け方、TVをつけたら地上波で吉右衛門が。『鬼平』。今風に言えば、第1シーズンか。カタルシス。疲れも吹っ飛ぶ。これもまた必然なり。

本日のBGM: Jean’s Not Happening (The Pale Fountains)