そうだ、J・Jといえば植草甚一がいたじゃないか!

今日は職場の健康診断。体重が減り、血圧がもの凄く下がった。100 / 59って、女子高生か?
頼まれものの原稿チェックを終え、投函。午後は床屋へ。やっと店主にこちらの意図が通じた模様。少し安堵感。
去る5月3日に行われたバークリーのランチポエムを見る。年度最後のイベント、年一回恒例の学生大会。Robert Hass も老けたなぁ。マイク、PAのトラブルもご愛敬。

アドレスはこちら、
youtu.be

エントリーしていた学生が一人欠席のため、最初の登場となった女子学生の

  • What it’s like to be a Muslim girl for those who aren’t and some who are

が良かった。タイトル(たぶん、↑そう言っていたと思います)は、Patricia Smithの “What it’s like to be a black girl for those of you who aren’t”
( http://voices.e-poets.net/SmithP/play-BlackGirl.ram) のもじりとのこと。Patricia Smithの詩は最近の国語の教科書にも載っているようだから、結構なじみのある詩人なのだろう。
他にも、おなじみの顔ぶれがあったりと楽しめます。
日本の大学でこういうイベントをやっているところがあったら教えて下さい。見に行きます。

昨日に続いて、大学入試の「ライティング」問題から。

幼児英語教育・小学校英語教育に関わる出題校は、ざーっと眺めたところ以下の通り。

  • 愛知教育大
  • 岩手大
  • 岐阜大
  • 神戸大

西日本での影響力が大きいと思われる神戸大の出題のみを取り上げる。

「公立小学校で英語など教え始めたら、日本から国際人がいなくなります。(1) 英語というのは話すための手段に過ぎません。 国際的に通用する人間になるには、まずは国語を徹底的に固めなければダメです。表現する手段よりも表現する内容を整える方がずっと重要なのです。(2)英語はたどたどしくても、なまっていてもよい。 内容がすべてなのです。そして内容を豊富にするには、きちんと国語を勉強すること、とりわけ本を読むことが不可欠なのです。」(藤原正彦『国家の品格』より)

  • 問1 下線部(1)と(2)を英語に訳しなさい。(※ここでは太斜字体で示してある)
  • 問2 公立小学校に英語教育を導入することに関するこの著者の意見についてどう思いますか。自分自身の考えを、50語程度の英語で述べなさい。

「意見文」などといわれる「賛否を問う」出題です。私は便宜上 ”persuasive passage” に区分するのですが、どうですか?この出題のいい加減さ。「小学校英語活動」と「小学校英語教育」との区別、「教科」「領域」などの問題、「担任」「専科」「ALT」「英語が使える日本人」など指導者の問題、など、議論するに当たって踏まえておかなければならないことは山ほどあることくらい、神戸大の英語科教育法を担当している先生なら充分わかっていると思うのですが…。入試問題を作るセクションはまた別と言うことなのでしょう。

とはいえ、さすがに神戸大。3大予備校も解答例はちゃんとフォローしています。
以下、解答として示されている英語を確認して下さい。
駿台予備校(http://www.sundai.ac.jp/yobi/sokuhou2007/kobe/eigo/index.htm
河合塾(http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/07/kb1.html
代々木ゼミナール(http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/sokuho07/kobe/zenki/index.html

教室で扱うなら、まずこの英語の解答例を示して、このトピックで必要な語彙を補充・整理しておくことから始めてはどうでしょう?

  • 主張(同意か否か)+理由付けの事実・世間で共有できる知見+再主張

という単純化した構成でも、50語は厳しいですね。三大予備校の解答例はどれも理由付けになっていません。特に賛否を冒頭で示さない代ゼミの解答例では英語のライティングとして失格でしょう。河合塾の解答例の1番目は、設問の要求に応えていません。「まずは国語を」という藤原氏の意見に対する意見を書くのであるから、「算数」の話にすり替えている時点でアウトでしょう。第2例の「早く始めれば、より上手くなる」というのは本当に事実なのでしょうか?これは意見?だとしたら、サポートとなる例が必要。でも指定語数は50語。はなから出題に無理があるのでは?駿台の第1例で気になるのは、「必ずしもそうではない」による反論。部分否定は苦肉の策でしかないことを肝に銘じてライティング修行を続けて頂きたい。解答例2は、主張と理由付けとの区別がよくわからない。「もし〜だとしたら、…だろう」という条件付けによる理由付けの手法は、「もし〜でなければ、…ではないだろう」という、その論理の裏返しでいつでもひっくり返ってしまうのだ、ということを高校生のうちに教えておきたいものだ。それを踏まえた上で、自分の主張を肯定的にサポートする必要があるのだ。

結局、予備校の解答例でさえ、紋切り型から一歩も出ない英文例しか示されないのであるから、発信型、などといったごまかしをせずに、

  • 紋切り型の意見を和文で3通りくらい示しておいて、受験生はそのうち1つを選んで英訳する

という方が余程英語らしい英語が残ると思うのですよ。
今回の神戸大の出題では、藤原正彦氏の意見が取り上げられていますが、「国際的に通用する人間になるには」という目的のうち「国際的に通用する人間になる」という部分の定義が何も示されていないので賛否を述べるのは結構大変です。また、「本を読んで、きちんと国語を勉強すること」がどのように「英語で語る内容を豊富にすること」に寄与・貢献・転換するのか、にも全く言及がありませんから、そのようなつっこみの部分だけでも英語で書いてきた受験生には神戸大は35点の配点中何点与えるつもりなのでしょう?
神戸大が用意した解答例が知りたいところです。もしこんな解答例を基準に自分の書いた英語が評価されるのでは、受験生の苦労も報われないでしょう?神戸大は大学にしては良心的な、「出題の意図・解答例」を大学のwebsiteで公開しているのだが、英語は出題の意図のみで、解答例はなし。(こちらを参照→http://www.kobe-u.ac.jp/admission/info/examin/undergrad2007/ans/zenki_kai_eigo.pdf)この説明では、何も語っていないのと同じ。「出題意図は明らかにしていますよ」という既成事実作りの情報公開など不要。とりわけ、ライティングの出題では「どのような英語が望ましいと思っているのか」を大学側が情報発信する責務があると考える。そこを怠るから、「帯に短し襷に長し」の予備校の解答例が一人歩きしてしまうのだ。受験生や指導者の顔を想像して、来年度以降の改善を図って欲しい。このような背景的な課題に無自覚で過去問演習をただやるだけでは英語のライティング力はつかない、ということをまずは教師が体得するべし。
関連記事は過去ログ(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20061118)の「一橋大模試再現答案」を参照のこと。

今夜は地元の花火大会があるそう。夕涼みでもして、もういちどランチポエムを見て、英語の楽しさを味わってから寝ることにします。
明日は朝から本業。真夏日か、猛暑日か。

本日のBGM: Right and wrong (Joe Jackson)