Whatever goes up comes down.

月曜日は、大掃除第一弾。私の担当は風呂場。先日、自転車で転倒した際に打撲したところがかなり痛み、掃除も難儀。お酢パワーなどを活用しつつ、天井、壁面全ての拭き掃除も含め、なんとか6時には掃除を終える。筋肉痛なのか打撲痛なのかすでによく分からない状態。掃除後、妻が三味線の練習ということで、私はファミレスへ。原稿書きのための資料分析。執筆担当該当箇所の吟味。年内で終わるのは2/5位の分量かなぁ。資料分析を終え8時過ぎに帰宅。遅い夕食を取りながら、NOAHの12.02横浜の試合を診る。高山・佐野組の猛攻を森嶋が耐えに耐えて王座返り咲き。ヨネがあまり目立たなかった。まあ、NOAHらしい試合だったからよしとしよう。妻はヨガや自彊術などをやっているせいか、レスラーの身体の使い方の違いが分かるようだ。先日は三沢が丸藤とのエルボー合戦で受けきるのを見て、「この人、受ける構えがいいね」と一言。むーん。
明けて、火曜日はまたしても冬の雨。こういう空模様で連想するのは石川さゆりか坂本冬美か、と思ったのだが『氷雨』を歌っていたのは、日野美歌だった。人の記憶は曖昧なものだ。
原稿をもう一つ書くのを忘れていて、慌てて発音・リスニング・フォニクスで今までにまとめた資料を読み返す。今ひとつ、柱になるものが見えてこない。わかりやすさは両刃の剣なのだなあ。
某TV局の英語教育講座で「upとdownの基本義」というのをやっていた。人気番組なのか?今、こういった「コアミーニング」とか「ハト感」がトレンドだというのは分かるのだが、「意味の成り立ち」を説明するのは難しい、ということをこそ教えておく必要があるのではないか、と感じた。今日、悩んだのは例えば次のような downの説明。

  • Don’t let me down. / I don’t want to let you down.

これは、「何を基準にして、下向き」なのか、というコアミーニングを説明していたのだが、なぜその基準が「気持ち」とか「感情」だと判断できるのか、は何も説明してくれないのだ。結局の所、「日本語でも『落』胆っていうでしょ?似た発想だね」、っていっているのとそれほど変わらないのでは?基本動詞といわれる letは「主体の意志・意向に任せる・委ねる」というのがコアではないのか?初学者や英語が苦手な人にとっての理屈付けがさらには、「下へと向かうのが、本人の意向なら、なぜそれに任せないの?」というような疑問に繋がりはしないのだろうか?
1989年初版のCollins COBUILD Dictionary of Phrasal Verbsでは、”Particle Index”と銘打って、巻末に前置詞・不変化詞の意味を分類しているのだが、こういった意味分類は必ず、共起する動詞や名詞との制限があるので結局はセットで、ある程度の数の句動詞の用例を覚えた後でなければ活用できないのである。私が教師になりたての頃、一番参考にしたのは, George A. Meyer (1975)の、

  • The Two-Word Verb: A Dictionary of the Verb-Preposition Phrases in American English, Mouton de gruyter

だった。この269ページのハンドブックでも基本的な発想は同じで、イントロの部分で各前置詞・不変化詞の分類を行い、それに番号を振り、辞書エントリーの各語義の部分に、その対応する番号が記されているというものである。学習者に使いやすいのはこちらの提示方法かもしれない。動詞・名詞との共起制限という問題を考える材料だけを提示しておこう。

  • Rumors die down.
  • Our car broke down when we were ten miles from home.
  • The dinosaurs died out millions of years ago.
  • An epidemic of flu broke out last December.

この4つをイメージとかコアミーニングだけで説明するのは骨が折れる。
outが出て来たついでに、追加例。

  • We burst out laughing at his story.
  • We burst into laughter at his story.

この2例では、ほぼ同じ意味を表すにもかかわらずなぜ、outとintoは入れ替え不可能なのか。

  • At the best part of the party, she blew out the candles.
  • The storm blew itself out.

このoutの意味を記述するには、やはり、blowの意味を考えざるを得ないのではないのか。
前置詞・不変化詞の「コアミーニングを覚えているから、句動詞の意味が理解できる」と一概に言えないことが分かってもらえるだろうか?
結局は、地味な指導(学習)と間違いを繰り返しながらの運用しかない。気休めではなく、そう学習者に伝えることが教師の役目でもあるだろう。
本日のBGM: Trampoline (Bill Lloyd)