「描くひと描かれるひと」

巷では映画の公開に照準を合わせるかのようにカポーティ(再)評価の模様。木島始『日本語の中の日本』(晶文社;1980年)では、「表現するひと表現されるひと」と題して、『冷血』に関わる「重要な問題点」を考察している。(この本、もし図書館で見つかるようなら、巻末「補筆ノート」も併せて読むべし。)
高2はいよいよ「英詩…」のビデオ収録。収録する生徒は、当日発表。どよめく。昨年の2年生の取り組みを示しているので、今年は詩人もバラエティーが増えた。英語の音そのものに関しては帰国子女と言えども、まだまだ改善の余地あり。でも、英詩の韻律など細かいことを全く教えずに取り組ませているので、しょうがないといえばしょうがない。詩に親しむこと、自分の中の「詩心」に気づくこと、そして言葉の豊かさを味わうことからはじめ、次に学習へというアプローチです。
高3ライティングは俳句実作への第一歩。
書き出しの語(句)に続けて音節を合わせながら意味を完結させる練習問題。なかなかに面白いフレーズが続出。お受験マインドに支配されていると、こういう活動は楽しめないのだろうなぁ。どう、フックを作ったものか…。学校行事でこの後まるまる1週間空いてしまうので、一部宿題に。
昼休み、生徒の一人が受験の相談に。外語大の説明会に出席し、過去問をもらってきたのだそうだ。話を聞くと、ライティング問題の添削指導のお願いでした。「1週間に1問ずつくらいやった方が良いのでしょうか?」とか「新聞の記事とかでやろうと思ったのですが、ちょっと違う気がして…」とか、本人もだいたいは分かっているようだ。
新課程の傾向かどうかはまだわからないが、一部の国立大の二次(個別)試験のライティング問題で「英語による要約問題」が要求されてきている。たとえば、東大、外語大は日本文をもとにした英語による要約、東北大、九州大は英語の文章をもとにした英語による要約。東大は300字程度の日本文を60語程度の英語で要約させるので、いってみれば意訳的和文英訳的要約。それに対して、外語大は相当な長文なので完全に「国語」の読解力テストが組み込まれていると見た方がよいだろう。外語大の場合は、それに基づいて自分の意見を述べる問題がセットになっている。意見を書く方は2学期の授業で全く問題ないのだが、要約は少し別個の対策が必要になる。
相談に来た生徒には、「新聞記事とかではなく、新書レベルの日本文で、コラムやエッセイ的な『読み切りもの』をまず読むこと」「大手新聞社のウェブサイトにはアーカイブがあるので、そのニュースではなく、日曜版など、あるテーマに関する特集などを利用するのも良い。私は、朝日、読売、毎日以外に神戸新聞など、地方のものにも目を通している」「内田樹や養老孟司など売れ線の著作にも目を通してみる」「大阪大学の赤本・青本で『思索・哲学・読書・学問・人生』などのテーマ出題に目を通しておく」という日本語の読書に関わるアドバイスと、「まず2学期中は英文の読解力向上に力を入れること。語彙力はもちろんだが、徒に難解な語彙を要求することは稀。それよりも思索とか言葉の感性。ライティングで、長文の日本語からの英文要約は今の時期は2週間に一本でも多いくらいで1ヶ月に一本もやれば十分。表現ノートで毎回英文のサマリー書いているんだから、授業での取り組みができているなら、基礎固めは万全。個別の対策は年明けからで十分間に合う」という英語に関するアドバイスを。
(私が高校生の時のライティング対策は、以前のブログ記事を参照されたし→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050310

帰宅途中に寄った書店で散財。
合田正人『サルトル「むかつき」ニートという冒険』(みすず書房)

  • 英語青年の編集後記で紹介されていた『嘔吐』の新釈もの。

フレドリック・ブラウン(星新一訳)『さあ、気ちがいになりなさい』(早川書房)
ロバート・ブロック(小笠原豊樹訳)『血は冷たく流れる』(早川書房)

  • 二つとも『異色作家短編集』(1962年)の復刻版。オリジナル翻訳での復刻ということで食指が…。

本日のBGM: 『119』Kiyoshiro Imawano Soundtrack (1995年)