思案坂

授業も一回りしておおよその見当がついてきた。今日は、高2で昨年の生徒作品・発表などのDVDを見せてガイダンス。片方のクラスはリスニング活動&音読のバリエーションも試してもらった。視聴覚室を予約しておいたので、最後にChild of mineの合唱をビデオに撮っておいた。今年度の最後に見ると面白そう。
研究室で雑談をしていたのだが、他の日本人の先生から「高校生の時に先生の授業を受けてみたかった」という仮定法過去完了の社交辞令が。「生徒は短期間だから持つんですよ。高校3年間とかだとたぶん持たないから。あと、高2,高3くらいの英語力を前提として、そこにのっかっちゃっている授業だから生徒にしてみればアップアップですよ。」と答えておいた。
昨年・今年と講師でご一緒しているM先生から、Pre-reading活動で生徒に書かせた英文へのフィードバックに関して助言を求められた。「生徒の書いたFragmentからでも主題をうまく引き出すことができるように、『英語で言おうと思ってたんだけど言えなかったことをひとつだけ』日本語で書かせて集めておきクラスに投げかける」という小ネタを紹介。たとえば「自分らしさ」とか英語で言えなかったとして、myself と一語で書いたものと my self と二語で書いたものの意味の違いを説明するのは難しいので、what I am とか my identityなどといったコトバとの対比をクラス全体で考えさせて、出てきたアイデアから習熟度の低い生徒へのヒントを導き出すことも可能である。時間はかかるけど。
帰りに修理に出していた眼鏡を受け取る。予想より安く済んだのでその分、The songs of the month2曲目以降の候補を色々物色。昨年度は年間合計18曲。今年はそのうち3分の1は共通で行く予定だから10曲以上は新たにテーマに関連させて選ぶことになる。いつもは教材研究をしている途中に閃くのだが、去年と同じ教科書なのでテーマとの関連で意外に悩む。
Waterboysといえば、今の若い人にとっては男子高校生がシンクロナイズドスイミングに青春している映画(ドラマ)なのだろうが、私にとっては誰がなんと言ってもスコットランド出身のマイク・スコット(Mike Scott)率いるバンドThe Waterboysである。この人たちはうまいことケルトに出会ったなぁ。97年のMikeのソロアルバムStill Burningはクレジットをよく見るとドラムがジム・ケルトナーだった。久々に聴いて鳥肌の立った Love Anywayもさることながら、シンプルの極みOpenの歌詞(詩)がやっと実感を持ってわかるようになったのが嬉しい。こういうのを授業で使いたいんだけど厳しいかなぁ。松鶴家ちとせ状態。一番だけ紹介。

  • Open to the world/ open to spirit/ open to the changing wind/ open to touch/ open to nature/ open to the world within/ open to change/ open to adventure/ open to the new/ open to love/ open to miracles/ open Beloved to You ("Open" lyrics by Mike Scott)

アート・ガーファンクルのSo Easy To BeginはJules Shearバージョンがないのが残念。

  • It's So Easy To Begin, but it's so hard to stop, this love,/ It's just so hard to stop./ When a heart that's lookin' for lovin' leads you in,/ It's So Easy To Begin. ("So Easy To Begin" lyrics by Jules Shear)

などというCarole King的なシンプルな歌詞を書いていた彼も、今では

  • If the buttoning meant so little/ how can the unbuttoning mean so much ("You Anyway" lyrics by Jules Shear)

というようなさりげない技巧派に。Carole King的つながりを考えると、このあたりで今年らしさを出しておけば去年との差異化が計れるだろうか。
大きく路線ごと変更して、Stevie Wonder あたりも考えた。『誕生日』とか『電話だよ』とかではイヤなので、 72年作品のMusic Of My Mindにあたりをつける。このアルバムに収録されている Happier Than The Morning Sunは瑞々しくて伸びやかな声で心惹かれるのだが、なにぶん、5分超なので使えるとしてももっと後。N先生に教えてもらったAnn Sallyのカバーバージョンはやや短く、声も軽やかでいいのだが、歌詞がかなり変わっているのでどうしたものか。
こういう悩みだといつまでも持つのだけれど、来週くらいまでに決めなきゃ行けないからね。まあ、もともと「私の授業でしか耳にしないだろう曲中心」という規準で選んできたので、落ち着くところに落ち着くでしょう。