新春初セミナー

朝から、昭和女子大で開かれている「英語教育・達人セミナーin 東京 達セミ10th Anniversary」に出席してきた。
お目当ては京都教育大附属高校の高田哲朗先生の「iPodを活用した活動」。
先生自身マックユーザーと言うこともあり、同じ悩みを共有できてほっとした。Pod Castingを利用する今現在でも、スクリプトのないものなどはAudio Hijackを利用しているとのこと。取り立てて新しい情報はほとんどなかったが、これからも情報交換などができると面白いものが見えてくるかもしれない。実践例のうちiPodでなければできないこと、というのは実はそう多くないので、ダウンロードやファイル変換の手間を考えれば、現時点ではiPodが使いやすいということなのであろう。
今や全国で反響を呼ぶ「達セミ」。新春企画ということで午前午後を通して4つのネタがあるわけだが、非営利とはいえこれで5000円は高いと感じた。全国で展開する手前、講師の足代でほとんど消えるのだろうと思うが…。時間入れ替え制で講座単価っていうのは不可能なのでしょうかね?
それはそれとして、気になったことが幾つか。
会場で配布された、『電子辞書を使った効果的指導法』という冊子に、「電子辞書を活用して4技能をみがく授業の一工夫」(池岡慎)、「生徒が生き生きと活動する授業の演出〜ライティングや考査直前の活動 」(井ノ森高詩)という実践報告が掲載されている。池岡氏の実践では、「立て板に水」「くぎづけになる」などの日本語の慣用句をどのように英語で表現させるかという指導、また、井ノ森氏の実践では「捕らぬ狸の皮算用」という日本語の諺を80語程度の英語で説明するための指導が取り上げられているのだが、結局電子辞書の機能を使いこなすだけで終わってしまっているのが残念である。ライティング指導に電子辞書が極めて効果的であることは英語教師にもっと知ってもらう必要があるだろうが、ライティングを指導するためには、辞書指導は必要条件であって十分条件ではない。何故、その日本語の慣用句を英語で表現するのか、誰に何のために日本語の諺を説明するのか、など、もっとライティング指導そのものに多くの教員が習熟することが望まれる。これまで、ライティング指導に躊躇していた教師に、「こんな道具を上手く使えば楽ができるよ」と、一歩を踏み出させる意味は大きいが、その先をしっかりと見据えておかなければならない。(ではどのような指導技術&手順があるのか、という一例としては http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20051011 と、http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20051228 を参照のこと)
もう一つ気になったことは、冊子で紹介されている電子辞書の機能がCASIO製品に限られているということである。私が、SII(セイコー)ユーザーだから言うわけではないのだが、セミナーやワークショップを業者の協力で行うには、特定の会社の製品に特化しておくことが便利なのだろう。しかし、教育現場での電子辞書の普及を考えると、これは長い目で見た場合にマイナス効果なのではないか、という気がする。
新春早々、守備範囲を拡げてみたのだが、自分の研究会運営を振り返るいい契機となった。