マニュアル本 vs. 読んだ人が途方に暮れるような本

中間の成績も出したので、本を買って帰宅。

  1. 松井久博、吉田晴世著『中高一貫英語教育成功の秘訣 高校教諭と大学教授による英語教育のコラボレーション』(松柏社、2005年)
  2. 清水義範著『わが子に教える作文教室』(講談社現代新書、2005年)
  3. 春日武彦、内田樹著『健全な肉体に狂気は宿る---いきづらさの正体』(角川One テーマ21、2005年)
  4. 伊場慶典著『部分点ネライの和文英訳・自由英作文』(栄光、2005年)

1. は、コラボレーションという割りには、執筆者は前半後半でまったく別の分担となっていて興ざめ。文法を絵を用いてビジュアル的に提示・導入することで「右脳」で情報を処理でき、生徒が惹きつけられ、記憶が蘇りやすいとのこと。松柏社ということで、しっかりした本を期待していたのですが…。100ページにも満たない分量で中高6年間のシラバスは示せませんよね、やっぱり。
2. 腰帯には「作文の星一徹たれ!」とある。小学生に親が作文を教えましょう!というネライの本。いつもの清水節ですね。
3. 内田樹よりも、お医者さんの方の物言いが気になったので購入。おもしろいですよ。
4. ここ2年くらいで増えてきた学習参考書というよりも、入試対策に特化した英作文の参考書。例によって索引すらなく、雑な目次があるのみ。解答解説も貧弱。藁をもすがる想いの受験生は、この類の本を使うなとは言わないが、頼むから、こういう参考書を終えた後で「ライティングをやった」と勘違いしないで欲しい。では、どういう参考書がいいのか?というのは左のアンテナからアマゾンのリストマニアへどうぞ。

適当に選んできた4冊だったが、1.と4.は「秘訣を伝授してあげますよ」という本。3.もアドバイス満載で「コツ」のオンパレードだが、従来良いと思われてきた方法論に対して著者ならではの個性的なアプローチをしているところで少し温度が違う。それに対して、3.は「コツ」や「処方箋」に頼るのは止めましょう、と「秘訣」を否定するところから始まっている印象。心地よく途方にくれたい人向き。

こうしてみてみると、「新書」というのはなかなか侮れないジャンルである。検定教科書なんか止めて、みんな新書にして英語と日本語がチャンポンで書いてある教材を1週間で1冊読んでいって、年間30冊くらい読んでみるってのはどうでしょう?1冊200ページでも2時間あれば読めてしまうから、SSS (= sustained silent reading) でも面白いのでは?教師もラクだし。

今日の言葉:強く念じれば望みは実現する。ただし自分の望んだ時期には実現しない。