"In the name of God, go."

「都立高校入試への拙速なスピーキングテストの導入に反対する」続報です。

tmrowing.hatenablog.com
この記事で紹介した1月13日の記者会見以降も、いくつかつぶやいていました。

東京都のスピーキングテストって、1020点のうちの20点分。合否を分けるに足るよね?
高校入試の合否を左右しかねない「スピーキングテスト」の採点にミスがあったときに対処できる準備を都はしていますかね?
企業の利益優先で情報が明かされない可能性があるんじゃないの?

都立高でも少し前に採点ミスからの追加合格出ましたよね?
東京都立高校入試の採点ミス・追加合格者、48校の学校名を公表 | リセマム

こういう対応ができるのは、手元に採点の記録たる答案が残っているから。
では、フィリピンに持っていった音声データとその採点記録は、いざというときにいつでも開示できるように「誰の」手元にあるの?
ミスはないに越したことはないけど、万が一大きな事故があったら「選抜」そのものをやり直しできるもの?
今は5年間の都の共同事業者を入札で決めてるけど、大きなミスで5年待たずに事業から取り消しになった後に、代わって入ってくる事業者の使う「テスト」ってまたプレテストやれるの?間に合うの?
https://twitter.com/tmrowing/status/1484123936925184003


そんなツイートをしてからしばらくして、京都工芸繊維大の羽藤由美先生のツイートで気付いたのですが、今回の事業で「スピーキングテスト」の得点を何故「調査書」への記載なのに、「得点」として外付けしているのか、が分かりました。

昨年の11月に、都からこういう通知がなされています。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

開示を請求できる内容
1 学力検査等得点表(学力検査の得点及び面接、作文、実技検査等の得点)
2 学力検査における答案の写し
※ 推薦に基づく選抜では、答案の写しを開示請求することはできません。学力検査等得点表のみ開示ができます。

受付期間
合格者と不合格者とで受付期間が異なります。

1 合格者
全ての募集 令和4年5月2日(月曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
※ 5月2日より前に合格者の方が申請しても、申請は無効となりますので、5月2日以降に改めて申請してください。
2 不合格者
(1)推薦に基づく選抜及び第一次募集・分割前期募集 令和4年3月3日(木曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
(2)分割後期募集・第二次募集 令和4年3月17日(木曜日)から令和4年8月31日(水曜日)まで
(3)定時制第二次募集以降の募集 当該募集の合格発表日から令和4年8月31日(水曜日)まで
※ 上記の期間以外に開示を請求する場合は、東京都個人情報の保護に関する条例に基づいて請求する必要があります。

「調査書」記載事項は学力検査の枠外におくことで、「入試選抜」に当たっての情報開示の対象からは外しているわけです。

「入試選抜」以外の情報開示請求をするなら、こちらの制度に基づくことになります。
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

しかしながら、こちらの制度に基づいて開示請求をして、たとえ調査書が「開示」されたとしても、そこで出てくるのはAからFまでの6段階の記号だけ。
そして、生徒個人には「個票」が返却済み、という建前なので、情報を開示する側から「むしろあなたの方が詳しいのでは?」と言われるようなもの。
結局「採点の適否」は闇の中。

採点の公平性、公正性をどう保証するのかは、どうあっても、明らかにしたくないということでしょうか?

そもそも、「中学生に返却される個人票」にも、「スピーキングテスト」のどの問題への解答がどのように採点されたのかはわからないのです。出ているのは、スコアとランクと最大公約数的なCan-doの記述文抜粋。

2019年の個票は、星見都議が示したもので目にしたけれど、この時は210点がmaxのスコアのGTECもどき版。

https://twitter.com/Rhein2011/status/1239506772387221505
f:id:tmrowing:20220121152031j:plain

100点がmaxという、昨年のプレテストでの個票の実物はどうなっているのか?


この事業、とにかく早急に明らかにしなければならないことがまだまだあります。
「理」のない「利」の追求は今止めないと、大変なことになりますよ。

※追記:関連記事の第三弾を後日書き加えました。こちらから是非。

tmrowing.hatenablog.com


本日のBGM: Stop in the name of love (The Supremes)

www.youtube.com

「入試改革を考える会」記者会見に参加しました

2022年1月13日
於:文部科学省記者クラブ

「入試改革を考える会」(代表: 大内裕和/中京大学教授) が以下の論点について記者会見を行いました。

1. 大学入学共通テスト実施直前の 1月11日付けの文科省通知について
2. 大学入学共通テストへの新教科「情報」の導入について
3. 都立高校入試への」英語スピーキングテストの導入について

詳しくは、以下の動画をご覧下さい。
youtu.be


私、松井は、「入試改革を考える会」のメンバーの一人として、英語講師の立場から、上記の3. を担当しましたので、その資料をこちらに再掲します。
この機会に、より広く、この問題を知っていただき、より多くの方に議論していただきたいと思っています。

「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」のキャンペーンに賛同します
2022年1月13日
入試改革を考える会 松井孝志 (英語講師)
※上記キャンペーンサイト

www.change.org


上記キャンペーンで指摘されている問題点。
・公平な採点はできるのか
・評価の信頼性への疑問
・授業と英語教育への波及の問題
・個人情報漏洩(ろうえい)の危険性
・入試配点上のバランス
・家庭の経済格差が学力格差を生む

これらを踏まえて、現時点までに分かっている問題点、今後検証考慮すべきことを以下に示す。

1. 当該試験自体の「スピーキング能力」測定に関わる妥当性

→プレテストで示された問題サンプルが「スピーキング」のどのような力をどのように測っているのか、テストとして妥当であるか、という点で疑問がある。ルーブリックで示されている「技能」を課されたタスクが適切に測っているかの第三者の検証が必要である。

令和3年度プレテスト動画
www.youtube.com

令和3年度プレテストのスクリプト
https://www.tokyo-portal-edu.metro.tokyo.lg.jp/pdf/speaking_script03.pdf

実施・運用においての問題点/疑問点

→ 「不受検者」の取り扱いで「学力検査の得点から仮のスピーキングテストスコアを算出し、総合点に加算する」とあるが、筆記とリスニングからスピーキング能力が算出できるのなら、そもそも実施する必要はない。段階評価をスコア換算するというのは「アセスメント」の発想であって、選抜のための仕組みとしては機能しない。

段階評価をするA とB の境界線は実質なんらかのタスクの成否に基づく以上、得点/スコアがついているはずで、それが例えば1 点の差だったとしても、段階評価になってしまうとそれが「4 点」の差となって現れることになる。
内申点への外付け加算に関しては、「英語」のもつ重みが
分割前期では約183/1020 約17.94%
分割後期では約170/1020 約16.7%
であり何らかの意図で換算の係数を変えて前期後期を変えていたはずなのにスピーキングを外付けにすることできわめて分かりにくいものになっている。特に前期であれば、換算後の内申点で英国数理社各教科の換算点がそれぞれ約23 点なのに対して、外付けのスピーキングテストが20 点となる。英語という1 教科に限っても、「平常の取り組み」の成果が23 点で、事業者によるテストの結果が20 点となる。これは国語、数学など他教科とのバランスを著しく欠き、「調査書点」というものの存在意義を損なうだけでなく、英語という教科だけに限っても平常の指導の重み/意義が極めて薄いものとなる危険性を持つものである。

2. 信頼性/公平性

都議会レベルでも、疑義が呈されているが都の見解は回答とはなっていない。
2021年第2回定例会に提出された文書質問とその回答(2021.07.01)

www.jcptogidan.gr.jp
提出者 星見てい子 質問事項一 東京都中学校英語スピーキングテスト事業について

事業を請け負う「学力評価研究機構」の実態が不明。
都の回答は「運営体制、問題作成、採点業務等については、テストの公正・公平な運営上の機密事項に当たるため、公表することはできません。」というもの。

採点をフィリピン側のどこが請け負うのか? →情報は不開示

誰が採点するのか? →現地での調査はコロナ禍にあって不十分

受験生8万人の分配は?ミスの検証は?ミスがあったときの対応は?→不明/不開示

都からの回答
「組織名と経営形態、雇用人数については、テストの公正・公平な運営上の機密事項に当たるため、公表できません。採点は、スピーキングテスト採点に習熟した常勤の専任スタッフが、フィリピンで行います。専任スタッフは、高度な英語力を有しており、TESOL 等英語指導の専門的な知識を身に付けていることを示す国際的な資格を取得しています。加えて、採点業務に関する研修を受講し、修了テストに合格した場合のみ、採点業務に従事することとしています。」

この採点の体制が明らかにならないと、公平性、公正性の点でゴーサインは出せないだろう。約8 万人の音声解答に対して誰がどのように信頼性のある評価を下し、その評価が正確で適切であるかを誰がどのようにチェックするのかは明らかにされるべき内容/情報である。

英語スピーキングテストに詳しい京都工芸繊維大学の羽藤由美教授は「民間だからいけないとは言えないが、業者の仕事内容を都教委がチェックする必要がある」と指摘。「解答の一部を都教委が採点して業者の採点と一致するかを点検したり、ダミーの解答を紛れ込ませて採点の質を確認したりするなどの方法が考えられる。入試という重大な局面だけに、採点などを業者に丸投げしたのでは、受験生や保護者が納得しないだろう」と話している。

www.tokyo-np.co.jp
東京新聞2019年11月19日 02時00分

スコア以外の何が受験者と中学校にレポートされるのか?
→都は、「テスト終了後には、スコアや到達度、学習アドバイスが記載された結果帳票を受験した生徒一人一人に返却し、結果を全て開示。また、生徒が採点結果の妥当性を確認できるよう、採点基準や複数の解答例を公表」としている。
一方、高等学校側に伝わるのはグレードとスコアだけで、スピーキングのどのような力があるのか、どのようなタスクはこなせて、どのようなタスクで躓いているのか、どのようなタスクは「白紙」なのかは不明。

これは、他の学力検査項目と著しく釣り合いが取れていない。現行の一次/分割前期であれば、英作文(ライティング)で16点分の採点基準が「各高校の裁量」に任されている。丸投げされた各高校は、詳細な採点基準を都教委に報告することにはなるが、ある程度の学力をもった受験生が集まる高校側には、受験生(入学候補者)の英語力の「プロファイル」が残ることにもなる。今回のスピーキングテストでは、高校側はブラックボックスを通過したスコアをもらうだけで、入学後の指導に活かせるメリットはほとんどない。

3. 「スピーキングテストの受検料負担と都の予算」に関して

→ 都と事業者(現在はベネッセ)による共同事業であり、都内の公立中在籍者に関しては都からの予算で受験料を負担していることになる。(ただし、その場合の予算計上の具体的な資料は都のサイトにも、教育庁のページにも見つからない。2019年当時の都議会での動議で出された資料では、「スピーキングテストを中止し1 億5 千700 万を削減するように」という内容であったが、これは、実際の入試に
反映される8万人規模の事業の予算なのか、プレテストの予算なのかがよく分からない。)当然、私立、国立の中学に在籍しているものが都立高を受験しようと思えば、受験料を個人負担して受験することになるので、「無料」ではない。他道府県から転居等で都立高を受験するものでも同じ問題が生じる。

4. 「受検のしやすさ,地域による格差」に関して

→本番のスピーキングテストの受験会場は外部会場を設けるとされているのに対して、プレテストの段階では会場に中学校を使用しているので、実際の試験会場がどこなのか、そこまでのアクセス、交通機関等の利用も含めて、現時点で何のシミュレーションもなされていない。また「テスト当日には事業者がスタッフを派遣し、準備・監督、資材の梱包等を行います。」という見解が都から示されているが、過去の事業案が示していた「全会場において授業日に実施」とあるのはプレテストのことであり、公立中学校の授業日に、「試験監督」を外部の「事業者」が行うというのは良識を疑うものである。

板橋区立板橋三中公式サイトより
https://www.ita.ed.jp/weblog/index.php?id=1320127&type=2&category_id=7956&date=20211016&optiondate=202110
https://www.ita.ed.jp/weblog/index.php?id=1320132&type=1&column_id=107693&category_id=6459

5. 個人情報漏洩の危険性ついて

→ プレテストの受験のため、ウェブ上で生徒情報を登録する際、生徒の顔写真をアップロードすることを求められたという。来年度以降、公立中学校に通う生徒と都立入試受検予定者すべての名前と顔写真の情報、テスト結果という「個人情報」が一私企業に渡るということを当該の受験生や保護者だけでなく、都民は受け入れているのか?
今回はベネッセとその関連事業体が請け負っているが、ベネッセの個人情報漏洩が問題となったことは記憶に新しい。また関連事業体である「学力評価研究機構」の実態に関しては不透明な部分が多く、大量の個人データを本当に安全に適切に管理できるという根拠を示す必要があろう。

6. 「格差」の問題

→ 現行の入試でさえ、その対応/対策は盛んであり、塾に通える家庭の子と通えない家庭の子の間では格差が生じている。懸案のスピーキングテストは「タブレットを操作して録音する」という形式のテストであり、普段より、タブレット操作に慣れている生徒、塾に通ったり、e-learning で試験を模した教材を購入し対策をしている生徒に有利となることは十分に考えられる。
都は、「試験問題を作成する団体が,そのための教材出版や受検指導を行うことの利益相反がないように毎年チェックをする」といっている。事業体とその関連企業の利益相反がないことはもちろんだが、一度試験が行われれば、その対策商品が作られ、市場ができることは明らかである。既に、「スピーキングテスト対策」を謡った商品も作られており、格差の助長は「不安」「懸念」ではなく実害である。

7.大学入試での「英語民間試験」利用とは異なり試験は1種類で,種類間の比較の必要はないことに関して

→ 裏返せば一社独占の事業であることが問題。5 年ごとに事業締結を見直すようだが、その途中で、大きな事故や問題が生じた場合に事業を取り消せば済む、というわけにはいかない。また、もし新しい事業体と契約して事業を続けるとした場合に、その新しい事業体が作る試験と、現行の試験との整合性はどうとるのか?


以下、参考資料

「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)」事業
令和元年度における実施協定の締結及びプレテストの実施について(2019年10月31日 教育庁)

www.metro.tokyo.lg.jp

予算に関して明記されているもの

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/14/documents/12_04.pdf

東京都スピーキングテストポータルサイト

www.tokyo-portal-edu.metro.tokyo.lg.jp

スピーキングテスト事業案概要 (2021年9月24日 教育庁)

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/files/release20210924_03/bessi.pdf

都議会でのやり取り
令和2年3月13日 付託議案など

www.gikai.metro.tokyo.jp

会の代表、大内裕和から次のようなお願いもあります。

「入試改革を考える会」はオンライン署名「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます!」の賛同団体となることを表明しました。これから「入試改革を考える会」としてこの署名に全力で協力します。皆さん、この署名を一人でも多くの周囲の皆さんに拡散してください。どうぞよろしくお願いいたします。

以上、記者会見関連の情報をまとめました。

※追記:その後分かったこと、更なる疑問点などを後日の別記事でまとめています。是非併せてお読みください。

第二弾
tmrowing.hatenablog.com

第三弾
tmrowing.hatenablog.com

朗報

あけましておめでとうございます。
生き延びられて、こうしてブログを更新できることに感謝します。
昨年下半期はつらい出来事が多かったのですが、ドラマで癒されたり、音楽で救われたりしました。ありがとうございます。

2022年は新刊の『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)ともどもよろしくお願いします。
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新刊の『チャンクで積み上げ英作文』は学校採択専売品。書店等での購入は不可。学校の教員以外の方が出版社に見本本を請求することも不可。ただ、書籍オプションで「音源」があり、「フラッシュカード(ドリルの英チャンクのみ)」は三省堂の「ことまなS」のアプリで入手可能。

tb.sanseido-publ.co.jp

新刊は「英作文・英文ライティング」を下支えする「ドリル」を主眼としたものですので、テキストで「四角化」の記号付での意味と構造の擦り合わせ、「日→英」のドリルを踏まえた音声化と記憶の定着のためのフラッシュカードだということをご理解ください。こちらのフォントはSassoonではありません。

※以下の写真は単に画面のスクショを載せただけですので、アイコンをクリックしても音声は出ません。ご注意下さい。
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学校教員の方の見本請求などはこちらから。

tb.sanseido-publ.co.jp

以下、セミナー告知です。

1月9日(日曜日)英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 
高校段階レベルの英語力を前提としたセミナーです。12月の講座と同内容です。

passmarket.yahoo.co.jp

こちらの過去ログが予告編になっています。
https://tmrowing.hatenablog.com/entry/2021/12/21/121501

また、12月のセミナーの受講者がこんなコメントをSNSで残してくれています。ご参考までに。

2022年1月15日(土)
「英文ライティング指導法セミナー:適切な「フィードバック」のあり方・方法を考える
共通テスト後の「過去問演習」での添削・フィードバックも見据えて、英文ライティングの指導法を共有するセミナーです
passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月16(日)
英語指導者対象セミナー:名詞句を中心とした「チャンク」の捉え方・教え方と「四角化ドリル」 
チャンクの指導法に加え新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)作成の理念も解説。新刊のpdfでの配布はありません。

passmarket.yahoo.co.jp

12月の講座を受講してくれた方がご自身のブログでレポートをしてくれています。
受講検討の参考にしてください。アリシマ先生、ありがとうございます。

arishima.hatenadiary.jp

以下は受験生対象のセミナーです。
お知り合いの方にオススメ下さると幸いです。本当に必要な人のもとに、本当に有益な講座が届きますよう。

2022年1月23日(日)午後
A 講座 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
国公立大(東大・一橋・外語・お茶大等)、難関私大の過去問を踏まえたオンラインセミナー
passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月29日(土)午後
B 講座 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
国立大(東大・一橋・外語・お茶大等)の過去問を踏まえたオンラインセミナー

passmarket.yahoo.co.jp


2022年1月30日(日)午後
C 講座 受験生対象「グラフ/図表の英文ライティング」オンラインセミナー
いわゆる「自由英作文」でグラフや図表に基づく英文ライティングを課す大学を志望している受験生を対象とします。

passmarket.yahoo.co.jp


ご縁がありますように。

本日のBGM: それは白くて柔らかい (森山直太朗)

若いうちは、若さに把まれ

12月30日にオンラインで「英文ニュースの活用」をテーマとして取り上げるのですが、コロナ禍のここ2シーズンで私が普段twitterでやっている「140字英文ニュース紹介&詳解」を、こちらでも少し取り上げ解説しておこうと思います。

まずはセミナー告知。

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このところ「指導者限定」というセミナーが多かったので、対象を広げて開講予定です。

私の「紹介&詳解」から「一例」を引くとすればまずはこちら。

  • #asの前景後景

今シーズンからは、ハッシュタグも併用していますが、この「asの前景後景」というのは、もう「一度見えるようになると、次に出会うときすぐそれとわかる」典型かと。
twitterをしている方は、ハッシュタグのないものも含めて一連のツイートがこちらで見られます。

twitter.com

twitterをしていない方にも見ていただきたいので、典型例等をひとつひとつ。
「紹介&詳解」が誇張でも何でもないことは、この140字という制約の中でのコメントを(拡大して)お読みいただければ分かるかと。

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そして、このようにして「生息域」を横断的に眺めてみると、この「asの前景後景」というキーワードが腑に落ちると思います。

他にも、

  • #現実味のcould

twitter.com

  • 名詞のないところに名詞のかたまりをつくるwhat

twitter.com

など、「生息域」の横断を是非。

当然、私にも、「むむっ?」とくる語句表現は多々ありますので、セミナーでは辞書やオンラインコーパスの活用などもお話しする予定です。
学習や指導で重要な「辞書の活用法」に関しては、noteで有料のマガジンを公開していますので、そちらを是非。辞書の読み比べを披露する、というよりは、「どういう語句・表現を調べると、自分の使っている辞書の個性・持ち味がわかるのか?」という、他では見られない、得られない着眼点でまとめています。個々の辞書の使い方まで細かく言及はしていませんが、「英語ができる人」がよく薦める割には、その使用上の注意点があまり説かれることのない『コウビルド』に関しては、ブログ記事を3つまとめたものを収録していますので、現行の第9版の「トリセツ」(小室先生執筆です!)と併せて使えば鬼に金棒でしょう。

note.com

今回の講座は、教材として加工されたものではない素材を扱います。
「高校レベルの英語力を前提」ですから、そのレベルの英語力のある方は高校生でも受講可能です。「自称」「自認」で構いません。

ただし、現在、松井が出講している学校の生徒さんは不可ですので、そこだけは何卒ご理解のほど、よろしくお願いします。

それでは、年の瀬に充実した時空を共有しましょう。

本日のBGM: Only the young (BIlly Bragg)

youtu.be

忘れたら思い出せばいいんですよ

今年も残すところ半月を切りました。
f:id:tmrowing:20211218112147j:plain
先月のセミナーは少人数でしたが充実したものとなりました。受講された皆さんに感謝いたします。ご自身の教室で還元していただければ何よりです。

期末テストも終わり、残るは成績処理だけ、という段になって、「長年」愛用してきたMBPがご臨終となり、本当に大変でした。iCloud にデータやファイルがあるので、最悪の事態は免れましたが、急遽、ほぼXamを使うためだけに使っていた窓機の「レッツノート」で入力。ライティングのフィードバックをまとめるだけでも、キーボードが打ちにくくて疲れました。そんな逆境・逆風の中、今回の「ことわざ」編のフィードバックでは、80語から150語までの生徒作品2クラス分に対して、一人平均9分台という偉業を達成。自画自賛です。いや、ほんとに凄いことですよ。

さて、今月、そして新年もセミナーを予定しています。
年末も年末ですが、指導者に限定しない英語関連講座を開講します。

2021年12月30日(木)
英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 

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近年「英文解釈」や「英文法」に関わる書籍・教則本・学習参考書が注目を集めています。文学作品や古典を一字一句おろそかにせず、構造をとらえて読むことの価値は十分認めた上で、それだけが「精読」ではないよ、ということを伝えたいと思っています。

「今使われている英語」「仲間内だけで通用するのではない英語」「市井の英語」を情報処理のために読むだけではなく、「きちんと読む」「意味が分かったら、ことばそのものを読む」ということに意識を向けるセミナーです。

講師の松井がソーシャルメディアのtwitterで過去2年続けている「英文ニュース140字紹介&詳解」(https://twitter.com/tmrowing
をどのように行っているか?どのような着眼点で記事を取り上げ、どのうような語句・表現に解説を加えていくか?辞書やオンラインコーパスの活用なども含めて、受講者の方と共有したいと思います。時間が許せば、受講者の皆さんで、リアルタイムでの「紹介&詳解」を即興で行うことも考えています。

申し込み時点で未成年の方は、保護者の同意を得ていることを確認させていただきます。申し込みフォームでの記入をお願いします。

こちらは指導者対象です。
直近の12月19日(日)の「チャンク」に関連したセミナーのシリーズになりますが、内容は若干異なります。

英語指導者対象セミナー:名詞句を中心とした「チャンク」の捉え方・教え方と「四角化ドリル」 2022年1月/16(日)
チャンクの指導法に加え新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)作成の理念も解説。新刊のpdfでの配布はありません。
passmarket.yahoo.co.jp

※2022年元日追記:
12月の講座を受講してくれた方がご自身のブログでレポートをしてくれています。
受講検討の参考にしてください。アリシマ先生、ありがとうございます。

arishima.hatenadiary.jp

文字指導/handwriting指導法セミナーの「初級」は年内の26日が最後です。

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年明けの講座の「中級」編は希望者がいないため開講しないことになりました。初級編受講者が対象ですので、まだ初級を受講されていない方は、この機会に初級編と併せてお申し込みください。

2022年1月9日(日)
文字指導/handwriting指導法セミナー・中級
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講座内容:小学校の英語教科化や新学習指導要領で、「文字指導」のニーズは小学校段階に移ってくる、などと言われますが、そもそも「中学校」段階で、きちんとした文字指導、handwritingの指導はどのくらい行われてきたでしょうか?また、高等学校段階で、文字を書くことにどの程度配慮がなされているでしょうか?
この講座は、実際に「手で書くこと」= handwriting の指導法をきちんと扱い、その指導体系を考えるワークショップです。
欧文書体のhandwritingの指導体系を持つ、英国などのカリキュラム、シラバス、教材を踏まえ、日本の学習者にとって、より適切な「文字指導/handwritingの指導法」を共有します。

・欧文書体・フォントの基礎知識
・「フォニクス」ではない、handwritingとしての文字指導
・四線など補助線の意義
・シラバスデザインと文字導入の順序
・筆記用具の持ち方・握り方、姿勢への配慮
・筆記補助具、ワークシートの活用法

続いて、昨年、一昨年と好評だった、「英文ライティングのフィードバック」に関わるセミナーです。「共通テスト明け」で添削に汲汲とする前に、この講座で「眼」を養い「腕」を磨いてください。

2022年1月15日(土)
「英文ライティング指導法セミナー:適切な「フィードバック」のあり方・方法を考える
共通テスト後の「過去問演習」での添削・フィードバックも見据えて、英文ライティングの指導法を共有するセミナーです

passmarket.yahoo.co.jp


とかく「志望校の過去問を解かせて添削」に追われがちですが、適切なお題の選択・解答に求められる必須の要素と着眼点を踏まえたうえで、適切で効果的なフィードバックを与えることが重要な意味を持ちます。

以下の観点に留意して、主として高校生や大学受験生の指導者を対象とした、適切で効果的な「英文ライティング」の指導法を学びます。

・フィードバックの観点と実例
・好ましいFB、避けたいFB
・テクストタイプと英文の「つながり」「まとまり」
・テクストタイプの観点から見た「効果的な過去問」の見方と扱い方
・実際の高校生の書いた「英文」へのFB実習


そして受験生限定の講座。
2022年1月23日(日)午後 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
A講座: 国公立大(東大・一橋・外語・お茶大等)、難関私大の過去問を踏まえたオンラインセミナー
※受講対象者は2022年2月〜3月の大学受験生に限ります。高校2年次以下の生徒さんは対象としていませんのでご注意下さい。

passmarket.yahoo.co.jp


これまでに、過去問を解いて添削してもらい、その英文を暗記して乗り切ってきた受験生には「英文ライティング」の原理原則を学んでもらい、既に塾や予備校で「(自由)英作文」の講座を取ってきた人には「セカンドオピニオン」の場を与え、そして既にかなり「英語が得意だ」という人には、「群を抜くための着眼点」に気付いてもらうことを主眼としています。

過去問は使用しますが、解答が「エイブン」ではなく「英文」になっていることを目指す講座ですので、お茶の水女子大のような「和文英文」要約問題には対応しますが、京大・阪大などの和文英訳は扱いません。

この A 講座は、東大、一橋大、お茶の水女子大、東外大、早大等の出題類型を踏まえた過去問を使ってのガイダンスに基づき、お題を一題選択し、解答をメールで提出。講師からのフィードバックを受けて書き直し(リバイズ)して再提出。その解答に対する講評と、今後へのアドバイスまでが指導内容となります。

最後に、三省堂からの新刊 『チャンクで積み上げ英作文』の宣伝告知。
この記事の冒頭に写真を貼りましたが、この新刊『チャンクで積み上げ英作文』には、4択空所補充もバラバラの語の整序完成の問題も一切ありません。
「四角化ドリル」は基本的に「整序」とは全く対極にある理解・認識の強化作業だと思います。完成形の全体像に内在する構造を可視化するのが一連の四角化の記号付です。

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https://twitter.com/TNK_KNCH/status/1094387087556526080

Basic編、Standard編ともに、文から名詞句をくくり出して、「意味の濃い」「密度の高い」名詞句のチャンクを作ることで、接触節や主格の関係詞節に習熟する練習問題を多数収録しています。
かれこれ四半世紀、私の授業で使っているこんなワークシートが元になっています。

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文補充による談話完成問題(Discourse Completion Task) とそれに準じた和文英訳形式の練習問題で「つながり」と「まとまり」の意識を高めます。Standard編では、語句・表現のレベルが上がるので和訳付きDCTから始めています。元々は私が部長をしていた某学会のライティング部会でも提唱していたもの。
これまでに使用した教科書等では、こんな加工をして練習していました。

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Standard編には副詞節への習熟を図る「マッチング」の練習問題も収録。これは接続詞を補充する文完成ではなく、接続詞の前後に、適切に「主節」と「従属節」を配置できるかを問うもの。節そのものは主節も従属節も入り混じった「選択肢」から適切に選んで配置します。授業ではこんなハンドアウトです。

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『チャンクで積み上げ英作文』Standard編の36ドリル中
・同格のthat節をとれる名詞
・同格のthatは取れないので伝達動詞の-ingの後置修飾からthat節につなげる名詞
・同格のof + 動名詞(意味上の主語付きも含む)となる名詞
・そして関係副詞を使う名詞界隈
で4つのドリルを配置しています。

また、どちらかというと「難しい」とされる関係代名詞のwhatでの連鎖や、前置詞+whatのバリエーションも多数収録しています。

このように英語らしいチャンクを一息で出し入れするドリルを経て、

  • 次に出会った時に、それだ、とわかる眼

を養うことが可能です。言い古された「インプット」ということばですが、肝心な「眼」がなければ気づくことさえままならないので。
高等学校や中学校で見本本がまだ届いていないという場合には、こちらから。
tb.sanseido-publ.co.jp

よろしくご検討ください。


本日のBGM: I See You (Aimee Mann)

What's going on?

ついに、というかようやくというか、教材完成で、著者の手元にも届きました。

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献本させていただいた方のところにもそろそろ届く頃かと思います。
忌憚のないご意見をお待ちしております。


今後の告知をいくつか。

有料のオンラインセミナーです。

新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)関連

2021 年11月28日(日)※終了しました!
学校教員対象
先日の三省堂さんでのセミナーは、80分しかなくて伝えきれなかった、あれやこれやを含めて2時間強に詰め込み、休憩を挟んで30分程度を質疑応答に充てる予定です。
昨シーズンの「名詞句セミナー」のバージョンアップですので、もし見本本がない方でも、十分に有益な内容になると思います。

passmarket.yahoo.co.jp

2021年12月19日(日)
こちらは、学校教員ではない指導者も受講可能です。
スライドの一部が、11月の講座と異なります。
ただし、学校教員ではない方は、新刊の購入や見本本の請求ができませんので、その制約、注意事項をご理解の上、受講を検討していただければと思います。
セミナー単体でも、相当に有益な講座であることは昨シーズンで実証済みです。

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今週は出講先の高2で、Standard編の同格のthat節をとれる名詞、同格のthatは取れないので伝達動詞の-ingの後置修飾からthat節につなげる名詞、同格のof + 動名詞(意味上の主語付きも)となる名詞、そして関係副詞を使う名詞界隈での4つのドリルから40チャンクを試して来ました。
チャンクの精選具合と配列の妙に自画自賛です。


文字指導/handwriting 指導関連

12月の初級編を12月26日(日)に開催します。
受講者が4名に満たない場合は開催しませんので、是非同僚の方をお誘い合わせで申し込んで下さい。セミナー後の新たな実践を共有することが容易となり、効果も高いでしょう。

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文字指導の中でもhandwriting指導は、教員養成で殆どカバーされていない領域だと思うので、長期休業時の集中講義など、ピンポイントでのセミナーもありだと思います。大学の教職担当の先生方も、まずは私のオンラインセミナーを受講してみて、ご自身のシラバスでの扱いを検討されてはいかがでしょう。
文科省の中の人にも、人づてで受講をお勧めしているのですが、芳しい反応は得られていません。
自治体の英語系指導主事の方で既に受講されている方はいらっしゃいます。自治体で教員研修を開催するなら、対面でも、オンラインでもやりますので、応相談です。

受験生/高校生対象

12月28日(火)
「英作文眼」セミナーの受験生/高校生バージョンです。
受験生だけでなく高校2年生も受講可としています。未成年の方は、必ず、保護者の同意を経てお申し込み下さい。
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コロナの第6波も心配な状況ですので、対面でのセミナーは今しばらく様子を見ようと思います。
年末年始のセミナーの追加が決まりましたら、また告知しますので、SNS等、チェックをよろしくお願いします。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Good Day Sunset (綿内克幸)

やってます

11月7日(日) 三省堂さんの主催でのオンラインセミナー終了しました。

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47名のご受講とのこと。誠にありがとうございます。
アンケート集計結果も頂戴しました。
今回はzoom環境での画面共有で、私のiPad からのwifi接続が原因なのか、画面のチラつきがずっと続いて、ご迷惑をおかけしました。
それにも関わらず、内容に関しては概ね好評で迎えていただき深謝。
Basic / Standard とも見本本が送られるのは11月下旬になろうかと思います。是非、実物をお手にとってご検討いただければと。

tb.sanseido-publ.co.jp

今回の新刊、『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)は、所謂「学校採択専用」の教材ですので、一般の書店では購入できません。また、大変申し訳有りませんが、予備校や塾で教えていらっしゃる方も購入することができません。中学校、高等学校、中等教育学校、高専などの学校教員の方が対象で、その方たちが学校での教材採用に当っての見本本、ということで入手可能かと思います。
今後の採択結果次第で、「店売品」としての可能性も出てくるかと期待はしていますが、こればっかりは何とも言えませんので、何卒ご理解のほど。

私の主催するオンラインセミナーも年内に開催する予定ですが、そこでは、今回の三省堂さん主催のセミナーのように、教材紙面や解答解説のpdfをお見せして、一つ一つ解説ということではなく、

  • 「チャンクを積み上げる」指導法の意義
  • 四角化ドリルの「背景/理念」
  • 名詞句を中心としたチャンクの類型の捉え方
  • 文未満の「文法」の整備から「文」へ、文を超えた「文法」の視点から「文」へ

などを中心とした内容で、その中で一部、新刊をご紹介、というもので、昨シーズン開催していた「名詞句を教えるなら…」のセミナーのバージョンアップ版という位置づけになるかと思います。
今後のSNSでの告知に注目いただければ幸いです。


以下は、現在の教材研究の備忘録代わりに。

慶應義塾大学・2013年の過去問の、空所補充の適語選択問題から。空初補充した上で抜粋。

Jun Suzuki (JS): As the old saying goes, nothing in life is certain but death and taxes. Today we are speaking with economist Mary Potter about her thoughts on the proposed increase of Japan's consumption tax rate. So Mary, are you for or against the proposed tax hike?
Mary Potter (MP): Well, it really comes down to a question of austerity or stimulus : “To spend or not to spend, that is the question.” We don't want Japan to become another Greece, of course, and yet we also don't want to smother the economy prematurely if a little fuel can get the fires of industry and commerce burning again.
(中略)
JS: And of course we also have to think about the impact of a tax increase on individuals and families.
MP: That’s right. People have to live. They need the basic necessities of life. Is a consumption tax the fairest way to go? As you probably know, many countries work (around) this problem by taxing daily necessities at a lower rate than other commodities.

ここに引いた最後の一文の空所補充で、某教材では、( ) の部分は、work around が正解で、「問題などにうまく対処する」という意味になるとしているが、これはwork around という表現の解説としては不十分で、これを正答として求める出題そのものとしてもやや問題ありだろうと思う。

マクミランの辞書は、

(work around someone/something) to deal successfully with a person or problem that might prevent you from achieving your aim

という定義と

  • A skilled craftsman can work around these difficulties.

という用例を載せているがこの「定義」がどの程度正確に現代英語の実態を反映しているか、という問題である。

OALDでの定義では、

to find a way of working that avoids a particular problem without actually solving the problem

とあり、「問題を回避する」ことに焦点が当たっている。
用例は以下の通り。

  • The lack of test data is a problem, but we’ve found a way to work around that.

Cambridge の句動詞辞典の定義は

to organize an activity so that things that could cause problems do not prevent you from doing what you want to do

で、用例はやはり「回避」の要素が強いもの。

  • They know how to work around the import restrictions.
  • I need to take the car into the garage some time today, but I’ll work around it somehow.

MW’s Essential Learnersでは、以下の定義と用例で「回避」。

to organize things or proceed in a way that avoids (something, such as a problem)

  • We’ll just have to find a way to work around the problem.

LDOCEでは、

to arrange or organize something so that you avoid problems that may stop you from doing something

という定義で、次の用例。

  • John won’t be here on the 15th so we’ll have to work round that.

American Heritage の句動詞辞典(2005年)は、 work around を収録。

To achieve a goal in such a way as to avoid some difficulty

という定義に続いて、次の用例を示していて、示唆的である。

  • Can we work around the problem, or do we have to solve it?


古いもので、Oxford の句動詞辞典(1993年)や Longman の句動詞辞典 (1983年) では、<work around to 名詞>の句動詞のみを収録していて、今回の出題のような<work around +名詞>は扱われていない。

Oxford work around to
(informal) eventually tackle (sth) some time after one has begun talking. O: problem, topic, discussion

Longman work round to
to reach (something or doing something) gradually

『英和イディオム完全対訳辞典』(朝日出版社、2003年)では work around to のみ収録。
語義は「〜に取りかかろうとしていろいろと回り道する」など、「回避」系の意味。

コンピュータ関連の用語で、名詞の workaround (= プログラムやシステムの問題の(特に本質的でなく一時しのぎの)解決策)(O-LEX英和) を考えてみると、「回避」とか「その場凌ぎ」のような意味合いがwork around という句動詞の担う意味の中心ではないか、というのが私の理解。
そのような「語義」を分かっていて、この表現を正答だと判断できる受験生は少ないのではないか。

句動詞に限らず、慣用表現を解答として求める出題には、その「語義」が本当に一意に決まるのか慎重に検討して欲しいと願うばかりである。


本日のBGM: C'mon People (We're Making it Now) / Richard Ashcroft featuring Liam Gallagher

やりますよ

久々の更新となりました。
新刊の情報も解禁となりましたので、セミナーの告知も含めて。

https://peatix.com/event/3045052

2021年11月7日(日) 14:00 -16:00
四角化ドリルで語順が見える『チャンクで積み上げ英作文Basic/Standard』 (三省堂) 刊行記念
「チャンクで積み上げ英作文!」 ~「四角化ドリル」が見通すもの~

【内容】
・語句のまとまり(チャンク)を自由に操れるようにする「四角化ドリル」を通じ、発信に向けた語順感覚を仕込み直します。
・句→節→文の段階をふまえたたっぷりの演習問題と絡めた、新たな発想のライティング指導法セミナーです。
・チャンクがその先の「文」へとどうつながるか、さらには、英文法の体系全体の中でどう位置づけられるかを見通します。
・新刊の『四角化ドリルで語順が見える チャンクで積み上げ英作文Basic/Standard』の指導体系と具体的な指導手順もできる限りお伝えします。

【講師】
松井孝志 (tmrowing英語研究会主宰;2018年文科大臣優秀教職員表彰)

■会 場  Zoomを利用したオンライン
■対 象  中学校・高等学校の先生に限らせていただきます。
■定 員  100名(先着順)
■参加費  600円(税込) 
■申込締切 2021日11月2日(火)

【日程】
13:30~(受付)
14:00~15:20 開会/講演
15:20~16:00 質疑
16:00 閉会

これまでにも「四角化ドリル」や「名詞句の限定表現」に関してはブログやセミナー等で情報発信をしてきましたが、「学校採択用教材」として新刊が出ることになりましたので、告知&販売促進のためのセミナーです。

今回の新刊発刊に伴い、現在 noteで公開・販売中の有料記事のいくつかを10月末で削除します。
新刊は「学校採択用教材」。いわゆる「学校専売品」ですので、中高の教員の方以外はお求めになれません。「四角化ドリル」や前置後置修飾を含む「名詞句の限定表現」
に興味関心のあるかたは、お早めにご購入されることをオススメします。

note.com

オンラインでのセミナーは「文字指導/handwriting指導」関連で、初級&中級編を続けています。

いきなり「中級編」というのは恐らく消化不良となり不満が残るでしょうから、必ず「初級編」からの受講をお願いしています。

「中級編」のはじめの方で「初級編」の総復習も入れていますが、あくまでも「復習」ですので。

中級編の受講者から寄せられたフィードバックから。

8月に初級編を受講させていただいてから、児童に提示するフォントをUDに統一しました。特に、タイトルは今までわかりにくいものを使っていたのですが、統一してから子どもたちが読もうとしている気がします。
小学校では、ひらがな・カタカナ・漢字を丁寧に指導するので、同じように、アルファベットも丁寧に指導していきたいと思います。今の課題は、文を書かせるときにうまくスペースがとれない子がいることなので、顔をかかせる活動をやってみたいと思います。中級編で教えていただいたjoiningなどを小学校でそのまま実践することは難しいかもしれませんが、類型の考え方は大切だと思いますので、授業で生かしていきたいです。ありがとうございました。

こうして、児童生徒が「書く」姿を丁寧に見てくれる教師が一人でも多くなることを願って続けてきたセミナーです。良い取組みを同僚の方に拡げていって欲しいですね。

こちらの方は、添付ファイルで詳細なレポートを送って下さいました。レポートの中身は詳らかにすることは控えますが、講師冥利に尽きるありがたいことだと実感しています。

昨日はワークショップにご参加させていただき、ありがとうございました。初級の際もそうでしたが、目から鱗というか今まで自分が考えもしなかった視点での気づきをたくさんいただきました。フィードバックというより、私自身の学びと気づきを添付にまとめさせていただきました。お目通しいただけましたら幸いです。

書籍もたくさんご紹介いただきありがとうございました。早速Getty and Dubay購入申し込みました。
初級の際も鉛筆選に始まり、たくさんのことを参考に実践させていただきながら現在レッスンを続けています。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

中級講座の内容を再度かみ砕きながら、機会がありましたら再度初級を受講させていただけたらまた自分の中で実践を通して新たな学びと気づきをさせていただけるのではと思っています。またいつか対面でも受講させていただけるようになることを願っています。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

襟を正してもうお一人ご紹介。

初級編を受けたのは、まだ「ビフォア・マスク」の新宿でした。その後、中級編が開かれると知り、ついに今日、受講できることになりました。初級編を受け直してから中級編を、とも思っていたのですが、今日は最初に初級編の簡単なおさらいがあって、記憶がよみがえり、その後の内容がすんなりと入ってきました。

今回も松井先生の膨大な情報量とその的確な分析力には感動を覚えました。文字指導には関心があり、それなりに関連書は買いそろえているつもりですが、つぎつぎと未見の参考文献が…。英米の様々な指導書の比較・分析とその背景への考察は大変勉強になりました。

joiningに関するお話では、発音との関連に配慮した練習をさせることが重要だというご指摘に、目からウロコが落ちました。盛りだくさんでしたが、消化して、実践へとつなげたいと思います。

それにしても、英米で使われているCに縦棒を書き加えたGの大文字や、縦長(4線の一番上から一番下まで)のfの小文字。英語国で一般に指導されている字形が、第2言語であるこの国の教育現場では「間違い」だとされるのではないかという懸念(いや、実態)には、改めて唖然呆然。自身の無知を盾に「そんな字は見たことないから、バツだ!」なんて。謙虚にこれからも研鑽を続けたいと思います。

今回もありがとうございました。上級編が待ち遠しいです。

こちらこそ感謝です。
日本の「文字指導」の第一人者にも受講していただけるセミナーを開催できていることを誇りに思います。

大学の先生から「松井さんの言っていることをまとめた書籍はないんですか?」などと言われることがありますが、「セミナー」を受講していただくのが一番です。2017年の初回から比べると、基本線は同じでも、随分と変化・進化しているので。

本であれば、既に手島先生のものがありますから、セミナーのDVD+テキストのようなものを作って販売しましょうかね?どこか、どなたか製作に興味のある編集者、ディレクターの方などいらっしゃいましたら、ご連絡をお待ちしています。

本日はこの辺で。


本日のBGM: Do it (tuxedo)

海も見ないで8月は終わる

この夏は、某社から出る予定の学校採択教材の原稿書きでなかなかにハードな日々です(現在完了進行形)。
詳細がはっきりしましたら、告知をいたします。

既に、オープンにしていた、文字指導関連のセミナーと、受験生対象の英文ライティングセミナーの他に、教材の改訂に当たって、シークレットで協力していただくセミナーをしておりました。
昨日、その改訂版をnoteで公開したのですが、ダウンロードの不備があって、販売の方はいったん停止しています。原因がわかりましたので、明日以降、再度アップロードする予定です。

セミナーの方はオンラインで出来るので、安心安全なんですが、外出も殆どしませんから、運動不足も、ここに極まれり、という感じで、日に日にタプタプ、プニュプニュなからだになっていっている気がします。


さて、
受験生対象の英文ライティングセミナーの受講者から、フィードバックをいただいていますので、匿名でご紹介します。
こういう講座でした。
passmarket.yahoo.co.jp

今回受講した動機について。模試やテストなどで、答えるべきことを答えていなかったり、一般的な話を書くべきなのに個人的なことを書いていたりしたために、英作文を0点にされることが何回かあり、この講座でそのようなことを減らすための手がかりが得られないかと思って参加しました。

次に、受講しての感想。試験の中で英作文をしなければならないことが増え、資料に基づいていない個人的な考えや体験を絶対的な事実であるかのように書くことに違和感を抱いたものの、書かなければ点数をもらえないので、こういうものかと思って書いていました。

この講座を受講して、英文に対する自分の視点の粗さ、解像度の低さに気付きました。よく考えもせずに違和感に目をつぶり、それらしく見える言葉を置いていただけなのだから、上手くいかなくて当然だったのだなと思います。冒頭で書いた英作文で点を取れないという事も、何を聞かれているのか、何をサポートに置くべきなのかを理解せずに書いていたことが原因なのだと思います。

先生が講義で取り上げていらした東大の英作文についても以前学校で解説を聞いたのですが、自分の意見を聞かれているように見えて実は客観的な意見を述べるべきなのだと教わり、よく分からないままにしてしまっていました。

また、先生の添削を受け、提出前はまあまあの出来に見えていた自分の書いたものが、ひどくぶつ切りであることに気付きました。教科書や模試によく載っている、すらすらと読める普通の文章は、実は単語一つ一つの選び方が適切で、そのように書くことは今の自分にはできないのだなと思いました。

今まで流し読みしていた「普通の」文章を読み直したらどのように見えるか、楽しみです。
言い換えができるように、単語や表現を身に着けていきたいとも思います。先生のおかげで、自分に見えていた小さな世界が広がったように思います。

またこのような講座を開講されることがありましたら、その時も参加できたらと思っております。今回は本当にありがとうございました。

※この方は、既にかなりの英語力をお持ちだと思いました。ただ、「英文ライティング」の基礎基本をきちんと教わっていなかったことが、「噛み合わない」原因だったかと。入試直前ではなく、今この時期だからこそ、意味のあるセミナーになったのではないでしょうか。

文字指導/ handwriting 指導法セミナーに関しては「中級編」があらたに加わりました。

passmarket.yahoo.co.jp

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こちらのセミナーも、フィードバックをいただいております。
ジョリーフォニックス/グラマーの指導でも著名な山下桂世子先生です。
7月の回を受講してくれました。以下、了承を得てご紹介。

大変お世話になっております。研修のスライドをわざわざありがとうございます。再び見直しする機会を作っていただけたことに感謝と同時に、こんなにもサポートをしていただけることに感動しています。ありがとうございます。

7月25日の研修ではたくさんのことを学ぶことができました。イギリスの学校に戻ってPenpals for Handwriting を見直してからフィードバックを、と思いましたが、やはりフィードバックはすぐにしなければいけなかったと反省しています。先生にも何を学んだのかをお伝えしておらず大変申し訳ありませんでした。

私が現在の学校に勤め始めたころ、joining された文字を見て「なんで日本の筆記体のように書かないのか」と疑問に思うことが多々ありました。しばらくして、続け文字のほうが動きに無駄がなく、また、文字の形が崩れずに見やすい文字が維持できると感じるようになりました。その後、教室でhandwriting の授業にサポートで入ることもあり、通常の授業で文字を続けて書くことと子どもの書きに興味が出るようになりました。子どもたちを観察していると、続け字で書いている子どもたちは文を「動き」で書けるため、単語のかたまりが理解しやすいように見えます。つまり、フィンガースペースを言わなくても取れるようにもなるし、書くスピードが思考に置いていかれることがないような感じです。しかし、ここまでいくにはやはり練習と無意識に手が慣れることが重要だと感じていました。

しかし、残念なことにhandwritingの授業には毎回参加することができなかったため、私自身が系統立てて学ぶことができなかったこと=指導が適切に行えなかったことです。胸の中にモヤモヤが残っていたのですが、今回はいくつもの疑問が解決できました。

今まで「単語が書けるようになるには、単語の前からそのパターンを練習すればよいのでは?」だったのですが、そうではなないことがわかったことがその一つです。特に、その一つがPenpals for Handwriting の6類型です。なぜ il のグループで tt が必要なのか、ar/ei/up/nn が同じグループになっているのかが今回わかり、非常にすっきりしました!そして、これが12. 基本語に見る「文字連続」につながり、子どもたちがhandwritingの授業で行っている内容がようやく理解できました。

次に、break letters の存在がクリアになりました。私の家で日本人の子どもたちに英語を指導していますが、何校からか子どもたちが通ってくるのですが、子どもたちによって続け字をするものとしないものがあり、子どもたちにつなげるように言ってきていました。しかし、これは教則本が違えば当たり前なんですね。(続け字の仕方も違っているのも納得できました。)

そして、やはり音韻意識がとても重要になってくるということです。多分、日本では音韻意識を理解して文字指導を考えられている人はいないのではないかと思うくらい、抜けている部分だと思います。しかし、これが結びつくと音から文字へ、そしてかたまりへの移行がとても楽になり、多音節の単語が無理なく書けるようになっていくということも松井先生のセミナーで実感しました。ここは私自身の課題でもありますが、松井先生のセミナーを受けるたびに、もっとここを学びたいと思います(ぜひ音韻意識と文字指導についてより詳しいセミナーをしてください!)。

最後になりますが、「3. 文科省担当者の問題点」です。先生がおっしゃっているように「①スモールステップで指導する」と言いつつも全くスモールステップになっていないというのは、文字指導だけではなく、すべてがそうなのでは、と思っています。文字指導にせよ読み指導にせよ「何を」「どう」「なぜ」指導するのかを理解していないと大人の視点での指導になってしまい、結局、子どもたちの特性に応じての指導ができません。特に視写の難しさを理解していない現場の方も多く、指導要領をいち早く直してほしいと切に感じています。


10月以降にまたセミナーをされるとのこと、時間が合う限り参加させていただきたいと思っています。
松井先生のセミナーは、核になる部分がはっきりしていて、スライドだけでなく受講者のことを考えた資料も作ってくださっているためとてもわかりやすいです。また、付録資料などもあり、受講者にとって優しいセミナーだといつも感じています。これは先生の文字指導への想いと現状をなんとかしたいというお気持ちからだとスクリーン越しからでも伝わってきます。本当にありがとうございます。


今回の受講は自宅ではなく隔離中のホテルからの受講だったため(おまけに時差ぼけもあり)、時々集中できないときがありましたので、また再度受講いたします。先生のセミナーに参加された方から「頭をガツンと殴られた気がした」「こんなに大切なこととは思っていなかった」など感想をうかがっています。みなさん共通して「受講してよかった。文字をもっと丁寧に指導したい」とおっしゃっています。私も同様に思っています。日本でも続け字が指導されるようになったらなぁ、と今回は特に強く思いました。どうぞ今後もご指導のほどよろしくお願いいたします。

山下桂世子

山下先生、ありがとうございます。

このようなフィードバックを次回に活かして、より良いものにしていきます。今後ともよろしくお願いします。

学校の、所謂「2学期」も再開です。
新型コロナの変異株の猛威の中、リスクを覚悟で登校し授業を受ける児童生徒、その授業のために出校する先生方の安全を願わずにいられません。
「学びの機会」は大事ですけど、命あってのものですから。

9月、10月以降の告知はまた日を改めて。

本日のBGM: I Wanna Stay Home (Jellyfish)

ご自愛ください

しばらくぶりの更新。
このところずっと原稿書きの方が優先順位が高く、なかなかブログ記事のメンテナンスや新たな投稿まで手が回りませんでした。完成の暁にはこちらでもご報告/販促したいと思います。

現政権の棄民政策もここに極まれり、という状況で、なし崩しで五輪を強行したツケがいろんなところで出てくると思いますが、生き延びることが最優先です。
まだ居住域でのワクチン接種の見通しが立たず、職域だと電車を乗り継いで2時間近くかけて移動する中でのリスクを考えると逡巡しますね。

このところ、「はてな」のどこかのブログで敬語の誤用を取り上げている人がいて、そこでこのブログの記事が引かれているらしいのですが、一次資料にブログ記事、しかも同じプラットフォームのものを使うなど、横着すぎません?とだけ言っておく。そういうのをアクセスできないように設定できるんだろうけど、面倒くさいので放置。

それよりも自分ごとで大事な告知を。

文字指導/handwriting 指導法セミナー 初級編
8月15日(日)13:00 - 16:30

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資料等のフォルダーへのリンクはメールにて12日の21:00以降に送付します。

翌週の中級編と合わせての申し込みも可。既に受講済みの方は、お知り合いの指導者にお薦めください。あと、もうずっと言っていますが、文科省関係者も、そろそろ受講した方がいいですよ。


8月22日(日) 13:00 – 15:30
文字指導/handwriting 指導法セミナー 中級編

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初級編(とそれに準ずる対面セミナー)の受講が条件ですので、初級編がまだの方は、8月15日の初級編の受講からお願いします。
中級編では
・欧文書体・フォントの基礎知識とhandwritingとしての文字指導(初級編の復習)
・発達段階と書体と筆順
・四線など補助線の発展的解消法
・シラバスデザインとjoining(文字の連続)の類型
・文字と文字の間隔 (スペーシング)の原理原則
・分割縦書きドリルの活用法
などを扱います。

7月の初級編を受講された方からフィードバックをいただいておりますので、長いですが匿名で紹介します。
特に中学段階の指導者には熟読していただきたい「声」です。私はちょっと落涙しました。

小学校で専科教員をしております。
立ち位置としては、外部講師のような位置付けです。
小学校では、文字指導の入門期にあたる大切な時期であるにもかかわらず、文字指導についての知識がないまま指導が進んでいる状況です。
文字指導は注意深く行っていましたが、根拠となるものがないまま行っていましたので、知らなかった新しい知識を得ることができましたし、今回のセミナーで自分の指導の裏打ちをすることができました。とても有意義な研修でした。
セミナー後に、小中連携の会議がありました。
中学校での文字指導はどのように行っているのか?という話を聞く場面では、アルファベットをAからZまで何人の生徒が書けないか、というところからはじまり、小学校で扱った600から700単語は既習であるはずなのに、読める子書ける子が教科化前より増えたものの、しらない、見たことがない、読めない、という生徒もいるので、、という話からはじまりました。
小学校英語の専科教員という立場上、必要に駆られ知り得た情報は確かに中学校の先生や小学校の担任の先生より多いのですが、知るべき人が知らないまま進んでいる現場は、ここだけではないと思います。知らないまま指導するのはとても危険なことだと思っております。
小学校英語の指導の現状を中学校と共有することの重要性を相互に理解することの意味を実感した会議になりました。
私は、小学校で児童が目にする文字をプリントする時にはWe canソフトを使い、四線を用いて書かせる部分の見本には、開隆堂のフォントを使っています。
五年生の文字指導の初期段階で文字練習をするときには、黒板に見本を書いて、数回空中で空書きをさせます。それから書かせるのですが、四線プリントに見本を印刷し、児童が書く場所には、スタートポイントに黒丸をつけて、始まりがわかるようにプリントを作っています。
開隆堂の四線付フォントは、プリントを作成する時にはとても使いやすく重宝していますが、先生の研修後、使うのは発表など考えをまとめるワークシートなど、文字指導以外のところにしようと考えています。
そのような話を中学校ともしたかったのですが、フォントの統一について話を提案したら、教科書のフォントが途中から、a や丸が2つ重なっているgが出てくるので気にしても仕方ない、という返事でした。
話を最初に戻し、アルファベットを書けない数人のことを考えるなら、その数人が書けるようになる授業を目指すべきだ。フォントの配慮で5人書けなかった生徒が2人に減るならば、必要な配慮だという意見を言い、アルファベットの採点基準も今一度中学校で話し合ってもらいたい、という話をしました。
中学校で支援員もした経験があるのですが、中学校3年の受験時に、恥ずかしそうに、先生、英語がヤバイ。英語を教えて。と来た支援対象ではなかった男子生徒は、その時点でアルファベットが書けませんでした。文法はわかるが、文字が入っていなかった。
数年前、成人式に参加した時に、その男子生徒が、先生あの時はありがとう!アルファベット書けなかった俺が、一部上場企業に就職できたよ!と言いました。
アルファベットが書けない、という子供を生まないよう、指導をしたいと思う原点の出来事です。
先生の研修後、さらにその思いを強くしました。
ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。


7月の中級編の受講者からはこのようなフィードバックをいただきました。
私としても初めての中級編講座ですので、このような声を元に、次回に向け改善点を探っております。

(1)大変参考になったこと
・初級編の振り返り 
 一ヶ月経過してますので、資料を見返しながらUnlearnを再確認しました。
・学習指導要領の問題点が大変よくわかったこと。
 英会話教室ではどのようにその困難さをフォローするべきか、が想像できました。
・つづり字のjoining練習をする際、音韻の異なるものを混在させない、ということ   
 想像したこともなく、目からうろこでした。いろんな練習が複合的に習得につながることを自覚すべきでした。
・名詞句についての練習法
 中学生の指導で、名詞句をすぐに見抜けない、そのパターンが身体にしみこんでいない、と感じていました。それでも現状はやれてしまうため、多くの中学生が高校まで持ち越していることが想像できます。さっそく、先生が紹介されたやり方で、繰り返しスピードアップさせながら、少しずつ長い名詞句までトライしました。文法問題として解いてもらうより、生徒の集中度が高く、意欲的にやってくれました。
・教室内評価の項目 語と語のスペーシングに指一本分、というのがわかりやすく、実践しました。小学生には大変わかりやすいと思います。
(2)今後への要望
・実際に書いているところ(スピードも含め)を目で見たいです。対面の時は周囲の方と比較する機会もあったと思うのですが、オンラインでもその機会があれば。
・指導者にありがちな、悪い例の実例 (ループは私もついやっていたので、混乱させているかもしれない、と反省しました。)
(3)その他
・初級編で、カウンターに顔を描いてみる、というヒントをもらって、実践したところ、カウンターの大きさや形状によく意識を向けて文字を書く生徒が増えました。
・個人的にレタリングやタイポグラフィの本を読んだりするのが好きなので、ワークシートを使った練習は大変楽しく、ついつい多めに余白に書いてました。
 小学生のレッスンでクリスマスカードを作ったりするので、見本を作るのが楽しみです。
・教えていただいたステッドラーの角芯ホワイトボードマーカーは使いやすく、スピードが上がり書く量が増えました。
・今後筆記具、使う媒体が変わっていく中で、英国などのハンドライティングのスタンダードがどう変わっていくのだろうか、と思いながら、今テキストを見返しています。


こんなセミナーも開講します。

8月21日(土) 14:00 – 16:30
受験生対象・英文ライティング/自由英作文に備えて

passmarket.yahoo.co.jp

以下の観点に留意して、大学入試レベルの「英文ライティング/自由英作文」に備える一番ベーシックな講座です。
・英語のテクストタイプとパラグラフの構造・構成の理解
・巷にあふれる出題形式別対策と英文のテクストタイプ別対策の違い
・テンプレート型対策と「つながり/まとまり」で書き進める対策との違い
・模範解答の暗記と自分で「アイデアジェネレーション」から始めることの違い

上記ガイダンス中にも取り組む課題はありますが、ガイダンスを理解したことを前提に、提出する課題として「お題」が一題課されます。
この提出課題に関しては講座中の制限時間内に「メール」でドラフトを提出してもらいます。そのドラフトに対して講師からの第1回のフィードバックが「メール」で返されます。受講者に共通する要素は、オンラインで講評・指摘されることがありますが、そのフィードバックに基づき、時間をかけて書き直したものを当日、または後日メールで提出してもらいます。その後、書き直したバージョンへの講評と今後へのアドバイスを含む第2回のフィードバックがなされて終了です。課題等詳細はガイダンスの際にお伝えします。

テクストタイプに応じて書く「英文ライティングの基礎基本」では、「事実を事実として記述/描写」することから始めています。ここで基本姿勢と「英作文眼」を養えば、秋以降のさまざまな教材から学べる深さが変わります。 直前期では難しいので、是非、この夏の機会に受講することをお勧めします。
当たり前ですが、「英検」なんか受けなくたって、英語のライティング力を高めることは可能です。要は「目利き」「腕利き」との膝突き合わせの活動をちゃんとやるかどうかですから。普通はそれを「授業」っていうんですけど、今は対面での実施は難しいので「オンライン」で。 よろしくご検討下さい。

本日はこの辺で。

本日のBGM: 今日も君が好き (馬場俊英 feat. 斎藤 誠)