若いうちは、若さに把まれ

12月30日にオンラインで「英文ニュースの活用」をテーマとして取り上げるのですが、コロナ禍のここ2シーズンで私が普段twitterでやっている「140字英文ニュース紹介&詳解」を、こちらでも少し取り上げ解説しておこうと思います。

まずはセミナー告知。

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このところ「指導者限定」というセミナーが多かったので、対象を広げて開講予定です。

私の「紹介&詳解」から「一例」を引くとすればまずはこちら。

  • #asの前景後景

今シーズンからは、ハッシュタグも併用していますが、この「asの前景後景」というのは、もう「一度見えるようになると、次に出会うときすぐそれとわかる」典型かと。
twitterをしている方は、ハッシュタグのないものも含めて一連のツイートがこちらで見られます。

twitter.com

twitterをしていない方にも見ていただきたいので、典型例等をひとつひとつ。
「紹介&詳解」が誇張でも何でもないことは、この140字という制約の中でのコメントを(拡大して)お読みいただければ分かるかと。

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そして、このようにして「生息域」を横断的に眺めてみると、この「asの前景後景」というキーワードが腑に落ちると思います。

他にも、

  • #現実味のcould

twitter.com

  • 名詞のないところに名詞のかたまりをつくるwhat

twitter.com

など、「生息域」の横断を是非。

当然、私にも、「むむっ?」とくる語句表現は多々ありますので、セミナーでは辞書やオンラインコーパスの活用などもお話しする予定です。
学習や指導で重要な「辞書の活用法」に関しては、noteで有料のマガジンを公開していますので、そちらを是非。辞書の読み比べを披露する、というよりは、「どういう語句・表現を調べると、自分の使っている辞書の個性・持ち味がわかるのか?」という、他では見られない、得られない着眼点でまとめています。個々の辞書の使い方まで細かく言及はしていませんが、「英語ができる人」がよく薦める割には、その使用上の注意点があまり説かれることのない『コウビルド』に関しては、ブログ記事を3つまとめたものを収録していますので、現行の第9版の「トリセツ」(小室先生執筆です!)と併せて使えば鬼に金棒でしょう。

note.com

今回の講座は、教材として加工されたものではない素材を扱います。
「高校レベルの英語力を前提」ですから、そのレベルの英語力のある方は高校生でも受講可能です。「自称」「自認」で構いません。

ただし、現在、松井が出講している学校の生徒さんは不可ですので、そこだけは何卒ご理解のほど、よろしくお願いします。

それでは、年の瀬に充実した時空を共有しましょう。

本日のBGM: Only the young (BIlly Bragg)

youtu.be

忘れたら思い出せばいいんですよ

今年も残すところ半月を切りました。
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先月のセミナーは少人数でしたが充実したものとなりました。受講された皆さんに感謝いたします。ご自身の教室で還元していただければ何よりです。

期末テストも終わり、残るは成績処理だけ、という段になって、「長年」愛用してきたMBPがご臨終となり、本当に大変でした。iCloud にデータやファイルがあるので、最悪の事態は免れましたが、急遽、ほぼXamを使うためだけに使っていた窓機の「レッツノート」で入力。ライティングのフィードバックをまとめるだけでも、キーボードが打ちにくくて疲れました。そんな逆境・逆風の中、今回の「ことわざ」編のフィードバックでは、80語から150語までの生徒作品2クラス分に対して、一人平均9分台という偉業を達成。自画自賛です。いや、ほんとに凄いことですよ。

さて、今月、そして新年もセミナーを予定しています。
年末も年末ですが、指導者に限定しない英語関連講座を開講します。

2021年12月30日(木)
英語学習・英語教育セミナー:「英語ニュース」で養う「ことば」を読む「眼」 

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近年「英文解釈」や「英文法」に関わる書籍・教則本・学習参考書が注目を集めています。文学作品や古典を一字一句おろそかにせず、構造をとらえて読むことの価値は十分認めた上で、それだけが「精読」ではないよ、ということを伝えたいと思っています。

「今使われている英語」「仲間内だけで通用するのではない英語」「市井の英語」を情報処理のために読むだけではなく、「きちんと読む」「意味が分かったら、ことばそのものを読む」ということに意識を向けるセミナーです。

講師の松井がソーシャルメディアのtwitterで過去2年続けている「英文ニュース140字紹介&詳解」(https://twitter.com/tmrowing
をどのように行っているか?どのような着眼点で記事を取り上げ、どのうような語句・表現に解説を加えていくか?辞書やオンラインコーパスの活用なども含めて、受講者の方と共有したいと思います。時間が許せば、受講者の皆さんで、リアルタイムでの「紹介&詳解」を即興で行うことも考えています。

申し込み時点で未成年の方は、保護者の同意を得ていることを確認させていただきます。申し込みフォームでの記入をお願いします。

こちらは指導者対象です。
直近の12月19日(日)の「チャンク」に関連したセミナーのシリーズになりますが、内容は若干異なります。

英語指導者対象セミナー:名詞句を中心とした「チャンク」の捉え方・教え方と「四角化ドリル」 2022年1月/16(日)
チャンクの指導法に加え新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)作成の理念も解説。新刊のpdfでの配布はありません。
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※2022年元日追記:
12月の講座を受講してくれた方がご自身のブログでレポートをしてくれています。
受講検討の参考にしてください。アリシマ先生、ありがとうございます。

arishima.hatenadiary.jp

文字指導/handwriting指導法セミナーの「初級」は年内の26日が最後です。

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年明けの講座の「中級」編は希望者がいないため開講しないことになりました。初級編受講者が対象ですので、まだ初級を受講されていない方は、この機会に初級編と併せてお申し込みください。

2022年1月9日(日)
文字指導/handwriting指導法セミナー・中級
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講座内容:小学校の英語教科化や新学習指導要領で、「文字指導」のニーズは小学校段階に移ってくる、などと言われますが、そもそも「中学校」段階で、きちんとした文字指導、handwritingの指導はどのくらい行われてきたでしょうか?また、高等学校段階で、文字を書くことにどの程度配慮がなされているでしょうか?
この講座は、実際に「手で書くこと」= handwriting の指導法をきちんと扱い、その指導体系を考えるワークショップです。
欧文書体のhandwritingの指導体系を持つ、英国などのカリキュラム、シラバス、教材を踏まえ、日本の学習者にとって、より適切な「文字指導/handwritingの指導法」を共有します。

・欧文書体・フォントの基礎知識
・「フォニクス」ではない、handwritingとしての文字指導
・四線など補助線の意義
・シラバスデザインと文字導入の順序
・筆記用具の持ち方・握り方、姿勢への配慮
・筆記補助具、ワークシートの活用法

続いて、昨年、一昨年と好評だった、「英文ライティングのフィードバック」に関わるセミナーです。「共通テスト明け」で添削に汲汲とする前に、この講座で「眼」を養い「腕」を磨いてください。

2022年1月15日(土)
「英文ライティング指導法セミナー:適切な「フィードバック」のあり方・方法を考える
共通テスト後の「過去問演習」での添削・フィードバックも見据えて、英文ライティングの指導法を共有するセミナーです

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とかく「志望校の過去問を解かせて添削」に追われがちですが、適切なお題の選択・解答に求められる必須の要素と着眼点を踏まえたうえで、適切で効果的なフィードバックを与えることが重要な意味を持ちます。

以下の観点に留意して、主として高校生や大学受験生の指導者を対象とした、適切で効果的な「英文ライティング」の指導法を学びます。

・フィードバックの観点と実例
・好ましいFB、避けたいFB
・テクストタイプと英文の「つながり」「まとまり」
・テクストタイプの観点から見た「効果的な過去問」の見方と扱い方
・実際の高校生の書いた「英文」へのFB実習


そして受験生限定の講座。
2022年1月23日(日)午後 大学受験生対象「英文ライティング」オンラインセミナー
A講座: 国公立大(東大・一橋・外語・お茶大等)、難関私大の過去問を踏まえたオンラインセミナー
※受講対象者は2022年2月〜3月の大学受験生に限ります。高校2年次以下の生徒さんは対象としていませんのでご注意下さい。

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これまでに、過去問を解いて添削してもらい、その英文を暗記して乗り切ってきた受験生には「英文ライティング」の原理原則を学んでもらい、既に塾や予備校で「(自由)英作文」の講座を取ってきた人には「セカンドオピニオン」の場を与え、そして既にかなり「英語が得意だ」という人には、「群を抜くための着眼点」に気付いてもらうことを主眼としています。

過去問は使用しますが、解答が「エイブン」ではなく「英文」になっていることを目指す講座ですので、お茶の水女子大のような「和文英文」要約問題には対応しますが、京大・阪大などの和文英訳は扱いません。

この A 講座は、東大、一橋大、お茶の水女子大、東外大、早大等の出題類型を踏まえた過去問を使ってのガイダンスに基づき、お題を一題選択し、解答をメールで提出。講師からのフィードバックを受けて書き直し(リバイズ)して再提出。その解答に対する講評と、今後へのアドバイスまでが指導内容となります。

最後に、三省堂からの新刊 『チャンクで積み上げ英作文』の宣伝告知。
この記事の冒頭に写真を貼りましたが、この新刊『チャンクで積み上げ英作文』には、4択空所補充もバラバラの語の整序完成の問題も一切ありません。
「四角化ドリル」は基本的に「整序」とは全く対極にある理解・認識の強化作業だと思います。完成形の全体像に内在する構造を可視化するのが一連の四角化の記号付です。

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https://twitter.com/TNK_KNCH/status/1094387087556526080

Basic編、Standard編ともに、文から名詞句をくくり出して、「意味の濃い」「密度の高い」名詞句のチャンクを作ることで、接触節や主格の関係詞節に習熟する練習問題を多数収録しています。
かれこれ四半世紀、私の授業で使っているこんなワークシートが元になっています。

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文補充による談話完成問題(Discourse Completion Task) とそれに準じた和文英訳形式の練習問題で「つながり」と「まとまり」の意識を高めます。Standard編では、語句・表現のレベルが上がるので和訳付きDCTから始めています。元々は私が部長をしていた某学会のライティング部会でも提唱していたもの。
これまでに使用した教科書等では、こんな加工をして練習していました。

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Standard編には副詞節への習熟を図る「マッチング」の練習問題も収録。これは接続詞を補充する文完成ではなく、接続詞の前後に、適切に「主節」と「従属節」を配置できるかを問うもの。節そのものは主節も従属節も入り混じった「選択肢」から適切に選んで配置します。授業ではこんなハンドアウトです。

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『チャンクで積み上げ英作文』Standard編の36ドリル中
・同格のthat節をとれる名詞
・同格のthatは取れないので伝達動詞の-ingの後置修飾からthat節につなげる名詞
・同格のof + 動名詞(意味上の主語付きも含む)となる名詞
・そして関係副詞を使う名詞界隈
で4つのドリルを配置しています。

また、どちらかというと「難しい」とされる関係代名詞のwhatでの連鎖や、前置詞+whatのバリエーションも多数収録しています。

このように英語らしいチャンクを一息で出し入れするドリルを経て、

  • 次に出会った時に、それだ、とわかる眼

を養うことが可能です。言い古された「インプット」ということばですが、肝心な「眼」がなければ気づくことさえままならないので。
高等学校や中学校で見本本がまだ届いていないという場合には、こちらから。
tb.sanseido-publ.co.jp

よろしくご検討ください。


本日のBGM: I See You (Aimee Mann)

What's going on?

ついに、というかようやくというか、教材完成で、著者の手元にも届きました。

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献本させていただいた方のところにもそろそろ届く頃かと思います。
忌憚のないご意見をお待ちしております。


今後の告知をいくつか。

有料のオンラインセミナーです。

新刊『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)関連

2021 年11月28日(日)※終了しました!
学校教員対象
先日の三省堂さんでのセミナーは、80分しかなくて伝えきれなかった、あれやこれやを含めて2時間強に詰め込み、休憩を挟んで30分程度を質疑応答に充てる予定です。
昨シーズンの「名詞句セミナー」のバージョンアップですので、もし見本本がない方でも、十分に有益な内容になると思います。

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2021年12月19日(日)
こちらは、学校教員ではない指導者も受講可能です。
スライドの一部が、11月の講座と異なります。
ただし、学校教員ではない方は、新刊の購入や見本本の請求ができませんので、その制約、注意事項をご理解の上、受講を検討していただければと思います。
セミナー単体でも、相当に有益な講座であることは昨シーズンで実証済みです。

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今週は出講先の高2で、Standard編の同格のthat節をとれる名詞、同格のthatは取れないので伝達動詞の-ingの後置修飾からthat節につなげる名詞、同格のof + 動名詞(意味上の主語付きも)となる名詞、そして関係副詞を使う名詞界隈での4つのドリルから40チャンクを試して来ました。
チャンクの精選具合と配列の妙に自画自賛です。


文字指導/handwriting 指導関連

12月の初級編を12月26日(日)に開催します。
受講者が4名に満たない場合は開催しませんので、是非同僚の方をお誘い合わせで申し込んで下さい。セミナー後の新たな実践を共有することが容易となり、効果も高いでしょう。

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文字指導の中でもhandwriting指導は、教員養成で殆どカバーされていない領域だと思うので、長期休業時の集中講義など、ピンポイントでのセミナーもありだと思います。大学の教職担当の先生方も、まずは私のオンラインセミナーを受講してみて、ご自身のシラバスでの扱いを検討されてはいかがでしょう。
文科省の中の人にも、人づてで受講をお勧めしているのですが、芳しい反応は得られていません。
自治体の英語系指導主事の方で既に受講されている方はいらっしゃいます。自治体で教員研修を開催するなら、対面でも、オンラインでもやりますので、応相談です。

受験生/高校生対象

12月28日(火)
「英作文眼」セミナーの受験生/高校生バージョンです。
受験生だけでなく高校2年生も受講可としています。未成年の方は、必ず、保護者の同意を経てお申し込み下さい。
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コロナの第6波も心配な状況ですので、対面でのセミナーは今しばらく様子を見ようと思います。
年末年始のセミナーの追加が決まりましたら、また告知しますので、SNS等、チェックをよろしくお願いします。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Good Day Sunset (綿内克幸)

やってます

11月7日(日) 三省堂さんの主催でのオンラインセミナー終了しました。

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47名のご受講とのこと。誠にありがとうございます。
アンケート集計結果も頂戴しました。
今回はzoom環境での画面共有で、私のiPad からのwifi接続が原因なのか、画面のチラつきがずっと続いて、ご迷惑をおかけしました。
それにも関わらず、内容に関しては概ね好評で迎えていただき深謝。
Basic / Standard とも見本本が送られるのは11月下旬になろうかと思います。是非、実物をお手にとってご検討いただければと。

tb.sanseido-publ.co.jp

今回の新刊、『チャンクで積み上げ英作文』(三省堂)は、所謂「学校採択専用」の教材ですので、一般の書店では購入できません。また、大変申し訳有りませんが、予備校や塾で教えていらっしゃる方も購入することができません。中学校、高等学校、中等教育学校、高専などの学校教員の方が対象で、その方たちが学校での教材採用に当っての見本本、ということで入手可能かと思います。
今後の採択結果次第で、「店売品」としての可能性も出てくるかと期待はしていますが、こればっかりは何とも言えませんので、何卒ご理解のほど。

私の主催するオンラインセミナーも年内に開催する予定ですが、そこでは、今回の三省堂さん主催のセミナーのように、教材紙面や解答解説のpdfをお見せして、一つ一つ解説ということではなく、

  • 「チャンクを積み上げる」指導法の意義
  • 四角化ドリルの「背景/理念」
  • 名詞句を中心としたチャンクの類型の捉え方
  • 文未満の「文法」の整備から「文」へ、文を超えた「文法」の視点から「文」へ

などを中心とした内容で、その中で一部、新刊をご紹介、というもので、昨シーズン開催していた「名詞句を教えるなら…」のセミナーのバージョンアップ版という位置づけになるかと思います。
今後のSNSでの告知に注目いただければ幸いです。


以下は、現在の教材研究の備忘録代わりに。

慶應義塾大学・2013年の過去問の、空所補充の適語選択問題から。空初補充した上で抜粋。

Jun Suzuki (JS): As the old saying goes, nothing in life is certain but death and taxes. Today we are speaking with economist Mary Potter about her thoughts on the proposed increase of Japan's consumption tax rate. So Mary, are you for or against the proposed tax hike?
Mary Potter (MP): Well, it really comes down to a question of austerity or stimulus : “To spend or not to spend, that is the question.” We don't want Japan to become another Greece, of course, and yet we also don't want to smother the economy prematurely if a little fuel can get the fires of industry and commerce burning again.
(中略)
JS: And of course we also have to think about the impact of a tax increase on individuals and families.
MP: That’s right. People have to live. They need the basic necessities of life. Is a consumption tax the fairest way to go? As you probably know, many countries work (around) this problem by taxing daily necessities at a lower rate than other commodities.

ここに引いた最後の一文の空所補充で、某教材では、( ) の部分は、work around が正解で、「問題などにうまく対処する」という意味になるとしているが、これはwork around という表現の解説としては不十分で、これを正答として求める出題そのものとしてもやや問題ありだろうと思う。

マクミランの辞書は、

(work around someone/something) to deal successfully with a person or problem that might prevent you from achieving your aim

という定義と

  • A skilled craftsman can work around these difficulties.

という用例を載せているがこの「定義」がどの程度正確に現代英語の実態を反映しているか、という問題である。

OALDでの定義では、

to find a way of working that avoids a particular problem without actually solving the problem

とあり、「問題を回避する」ことに焦点が当たっている。
用例は以下の通り。

  • The lack of test data is a problem, but we’ve found a way to work around that.

Cambridge の句動詞辞典の定義は

to organize an activity so that things that could cause problems do not prevent you from doing what you want to do

で、用例はやはり「回避」の要素が強いもの。

  • They know how to work around the import restrictions.
  • I need to take the car into the garage some time today, but I’ll work around it somehow.

MW’s Essential Learnersでは、以下の定義と用例で「回避」。

to organize things or proceed in a way that avoids (something, such as a problem)

  • We’ll just have to find a way to work around the problem.

LDOCEでは、

to arrange or organize something so that you avoid problems that may stop you from doing something

という定義で、次の用例。

  • John won’t be here on the 15th so we’ll have to work round that.

American Heritage の句動詞辞典(2005年)は、 work around を収録。

To achieve a goal in such a way as to avoid some difficulty

という定義に続いて、次の用例を示していて、示唆的である。

  • Can we work around the problem, or do we have to solve it?


古いもので、Oxford の句動詞辞典(1993年)や Longman の句動詞辞典 (1983年) では、<work around to 名詞>の句動詞のみを収録していて、今回の出題のような<work around +名詞>は扱われていない。

Oxford work around to
(informal) eventually tackle (sth) some time after one has begun talking. O: problem, topic, discussion

Longman work round to
to reach (something or doing something) gradually

『英和イディオム完全対訳辞典』(朝日出版社、2003年)では work around to のみ収録。
語義は「〜に取りかかろうとしていろいろと回り道する」など、「回避」系の意味。

コンピュータ関連の用語で、名詞の workaround (= プログラムやシステムの問題の(特に本質的でなく一時しのぎの)解決策)(O-LEX英和) を考えてみると、「回避」とか「その場凌ぎ」のような意味合いがwork around という句動詞の担う意味の中心ではないか、というのが私の理解。
そのような「語義」を分かっていて、この表現を正答だと判断できる受験生は少ないのではないか。

句動詞に限らず、慣用表現を解答として求める出題には、その「語義」が本当に一意に決まるのか慎重に検討して欲しいと願うばかりである。


本日のBGM: C'mon People (We're Making it Now) / Richard Ashcroft featuring Liam Gallagher

やりますよ

久々の更新となりました。
新刊の情報も解禁となりましたので、セミナーの告知も含めて。

https://peatix.com/event/3045052

2021年11月7日(日) 14:00 -16:00
四角化ドリルで語順が見える『チャンクで積み上げ英作文Basic/Standard』 (三省堂) 刊行記念
「チャンクで積み上げ英作文!」 ~「四角化ドリル」が見通すもの~

【内容】
・語句のまとまり(チャンク)を自由に操れるようにする「四角化ドリル」を通じ、発信に向けた語順感覚を仕込み直します。
・句→節→文の段階をふまえたたっぷりの演習問題と絡めた、新たな発想のライティング指導法セミナーです。
・チャンクがその先の「文」へとどうつながるか、さらには、英文法の体系全体の中でどう位置づけられるかを見通します。
・新刊の『四角化ドリルで語順が見える チャンクで積み上げ英作文Basic/Standard』の指導体系と具体的な指導手順もできる限りお伝えします。

【講師】
松井孝志 (tmrowing英語研究会主宰;2018年文科大臣優秀教職員表彰)

■会 場  Zoomを利用したオンライン
■対 象  中学校・高等学校の先生に限らせていただきます。
■定 員  100名(先着順)
■参加費  600円(税込) 
■申込締切 2021日11月2日(火)

【日程】
13:30~(受付)
14:00~15:20 開会/講演
15:20~16:00 質疑
16:00 閉会

これまでにも「四角化ドリル」や「名詞句の限定表現」に関してはブログやセミナー等で情報発信をしてきましたが、「学校採択用教材」として新刊が出ることになりましたので、告知&販売促進のためのセミナーです。

今回の新刊発刊に伴い、現在 noteで公開・販売中の有料記事のいくつかを10月末で削除します。
新刊は「学校採択用教材」。いわゆる「学校専売品」ですので、中高の教員の方以外はお求めになれません。「四角化ドリル」や前置後置修飾を含む「名詞句の限定表現」
に興味関心のあるかたは、お早めにご購入されることをオススメします。

note.com

オンラインでのセミナーは「文字指導/handwriting指導」関連で、初級&中級編を続けています。

いきなり「中級編」というのは恐らく消化不良となり不満が残るでしょうから、必ず「初級編」からの受講をお願いしています。

「中級編」のはじめの方で「初級編」の総復習も入れていますが、あくまでも「復習」ですので。

中級編の受講者から寄せられたフィードバックから。

8月に初級編を受講させていただいてから、児童に提示するフォントをUDに統一しました。特に、タイトルは今までわかりにくいものを使っていたのですが、統一してから子どもたちが読もうとしている気がします。
小学校では、ひらがな・カタカナ・漢字を丁寧に指導するので、同じように、アルファベットも丁寧に指導していきたいと思います。今の課題は、文を書かせるときにうまくスペースがとれない子がいることなので、顔をかかせる活動をやってみたいと思います。中級編で教えていただいたjoiningなどを小学校でそのまま実践することは難しいかもしれませんが、類型の考え方は大切だと思いますので、授業で生かしていきたいです。ありがとうございました。

こうして、児童生徒が「書く」姿を丁寧に見てくれる教師が一人でも多くなることを願って続けてきたセミナーです。良い取組みを同僚の方に拡げていって欲しいですね。

こちらの方は、添付ファイルで詳細なレポートを送って下さいました。レポートの中身は詳らかにすることは控えますが、講師冥利に尽きるありがたいことだと実感しています。

昨日はワークショップにご参加させていただき、ありがとうございました。初級の際もそうでしたが、目から鱗というか今まで自分が考えもしなかった視点での気づきをたくさんいただきました。フィードバックというより、私自身の学びと気づきを添付にまとめさせていただきました。お目通しいただけましたら幸いです。

書籍もたくさんご紹介いただきありがとうございました。早速Getty and Dubay購入申し込みました。
初級の際も鉛筆選に始まり、たくさんのことを参考に実践させていただきながら現在レッスンを続けています。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

中級講座の内容を再度かみ砕きながら、機会がありましたら再度初級を受講させていただけたらまた自分の中で実践を通して新たな学びと気づきをさせていただけるのではと思っています。またいつか対面でも受講させていただけるようになることを願っています。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

襟を正してもうお一人ご紹介。

初級編を受けたのは、まだ「ビフォア・マスク」の新宿でした。その後、中級編が開かれると知り、ついに今日、受講できることになりました。初級編を受け直してから中級編を、とも思っていたのですが、今日は最初に初級編の簡単なおさらいがあって、記憶がよみがえり、その後の内容がすんなりと入ってきました。

今回も松井先生の膨大な情報量とその的確な分析力には感動を覚えました。文字指導には関心があり、それなりに関連書は買いそろえているつもりですが、つぎつぎと未見の参考文献が…。英米の様々な指導書の比較・分析とその背景への考察は大変勉強になりました。

joiningに関するお話では、発音との関連に配慮した練習をさせることが重要だというご指摘に、目からウロコが落ちました。盛りだくさんでしたが、消化して、実践へとつなげたいと思います。

それにしても、英米で使われているCに縦棒を書き加えたGの大文字や、縦長(4線の一番上から一番下まで)のfの小文字。英語国で一般に指導されている字形が、第2言語であるこの国の教育現場では「間違い」だとされるのではないかという懸念(いや、実態)には、改めて唖然呆然。自身の無知を盾に「そんな字は見たことないから、バツだ!」なんて。謙虚にこれからも研鑽を続けたいと思います。

今回もありがとうございました。上級編が待ち遠しいです。

こちらこそ感謝です。
日本の「文字指導」の第一人者にも受講していただけるセミナーを開催できていることを誇りに思います。

大学の先生から「松井さんの言っていることをまとめた書籍はないんですか?」などと言われることがありますが、「セミナー」を受講していただくのが一番です。2017年の初回から比べると、基本線は同じでも、随分と変化・進化しているので。

本であれば、既に手島先生のものがありますから、セミナーのDVD+テキストのようなものを作って販売しましょうかね?どこか、どなたか製作に興味のある編集者、ディレクターの方などいらっしゃいましたら、ご連絡をお待ちしています。

本日はこの辺で。


本日のBGM: Do it (tuxedo)

海も見ないで8月は終わる

この夏は、某社から出る予定の学校採択教材の原稿書きでなかなかにハードな日々です(現在完了進行形)。
詳細がはっきりしましたら、告知をいたします。

既に、オープンにしていた、文字指導関連のセミナーと、受験生対象の英文ライティングセミナーの他に、教材の改訂に当たって、シークレットで協力していただくセミナーをしておりました。
昨日、その改訂版をnoteで公開したのですが、ダウンロードの不備があって、販売の方はいったん停止しています。原因がわかりましたので、明日以降、再度アップロードする予定です。

セミナーの方はオンラインで出来るので、安心安全なんですが、外出も殆どしませんから、運動不足も、ここに極まれり、という感じで、日に日にタプタプ、プニュプニュなからだになっていっている気がします。


さて、
受験生対象の英文ライティングセミナーの受講者から、フィードバックをいただいていますので、匿名でご紹介します。
こういう講座でした。
passmarket.yahoo.co.jp

今回受講した動機について。模試やテストなどで、答えるべきことを答えていなかったり、一般的な話を書くべきなのに個人的なことを書いていたりしたために、英作文を0点にされることが何回かあり、この講座でそのようなことを減らすための手がかりが得られないかと思って参加しました。

次に、受講しての感想。試験の中で英作文をしなければならないことが増え、資料に基づいていない個人的な考えや体験を絶対的な事実であるかのように書くことに違和感を抱いたものの、書かなければ点数をもらえないので、こういうものかと思って書いていました。

この講座を受講して、英文に対する自分の視点の粗さ、解像度の低さに気付きました。よく考えもせずに違和感に目をつぶり、それらしく見える言葉を置いていただけなのだから、上手くいかなくて当然だったのだなと思います。冒頭で書いた英作文で点を取れないという事も、何を聞かれているのか、何をサポートに置くべきなのかを理解せずに書いていたことが原因なのだと思います。

先生が講義で取り上げていらした東大の英作文についても以前学校で解説を聞いたのですが、自分の意見を聞かれているように見えて実は客観的な意見を述べるべきなのだと教わり、よく分からないままにしてしまっていました。

また、先生の添削を受け、提出前はまあまあの出来に見えていた自分の書いたものが、ひどくぶつ切りであることに気付きました。教科書や模試によく載っている、すらすらと読める普通の文章は、実は単語一つ一つの選び方が適切で、そのように書くことは今の自分にはできないのだなと思いました。

今まで流し読みしていた「普通の」文章を読み直したらどのように見えるか、楽しみです。
言い換えができるように、単語や表現を身に着けていきたいとも思います。先生のおかげで、自分に見えていた小さな世界が広がったように思います。

またこのような講座を開講されることがありましたら、その時も参加できたらと思っております。今回は本当にありがとうございました。

※この方は、既にかなりの英語力をお持ちだと思いました。ただ、「英文ライティング」の基礎基本をきちんと教わっていなかったことが、「噛み合わない」原因だったかと。入試直前ではなく、今この時期だからこそ、意味のあるセミナーになったのではないでしょうか。

文字指導/ handwriting 指導法セミナーに関しては「中級編」があらたに加わりました。

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こちらのセミナーも、フィードバックをいただいております。
ジョリーフォニックス/グラマーの指導でも著名な山下桂世子先生です。
7月の回を受講してくれました。以下、了承を得てご紹介。

大変お世話になっております。研修のスライドをわざわざありがとうございます。再び見直しする機会を作っていただけたことに感謝と同時に、こんなにもサポートをしていただけることに感動しています。ありがとうございます。

7月25日の研修ではたくさんのことを学ぶことができました。イギリスの学校に戻ってPenpals for Handwriting を見直してからフィードバックを、と思いましたが、やはりフィードバックはすぐにしなければいけなかったと反省しています。先生にも何を学んだのかをお伝えしておらず大変申し訳ありませんでした。

私が現在の学校に勤め始めたころ、joining された文字を見て「なんで日本の筆記体のように書かないのか」と疑問に思うことが多々ありました。しばらくして、続け文字のほうが動きに無駄がなく、また、文字の形が崩れずに見やすい文字が維持できると感じるようになりました。その後、教室でhandwriting の授業にサポートで入ることもあり、通常の授業で文字を続けて書くことと子どもの書きに興味が出るようになりました。子どもたちを観察していると、続け字で書いている子どもたちは文を「動き」で書けるため、単語のかたまりが理解しやすいように見えます。つまり、フィンガースペースを言わなくても取れるようにもなるし、書くスピードが思考に置いていかれることがないような感じです。しかし、ここまでいくにはやはり練習と無意識に手が慣れることが重要だと感じていました。

しかし、残念なことにhandwritingの授業には毎回参加することができなかったため、私自身が系統立てて学ぶことができなかったこと=指導が適切に行えなかったことです。胸の中にモヤモヤが残っていたのですが、今回はいくつもの疑問が解決できました。

今まで「単語が書けるようになるには、単語の前からそのパターンを練習すればよいのでは?」だったのですが、そうではなないことがわかったことがその一つです。特に、その一つがPenpals for Handwriting の6類型です。なぜ il のグループで tt が必要なのか、ar/ei/up/nn が同じグループになっているのかが今回わかり、非常にすっきりしました!そして、これが12. 基本語に見る「文字連続」につながり、子どもたちがhandwritingの授業で行っている内容がようやく理解できました。

次に、break letters の存在がクリアになりました。私の家で日本人の子どもたちに英語を指導していますが、何校からか子どもたちが通ってくるのですが、子どもたちによって続け字をするものとしないものがあり、子どもたちにつなげるように言ってきていました。しかし、これは教則本が違えば当たり前なんですね。(続け字の仕方も違っているのも納得できました。)

そして、やはり音韻意識がとても重要になってくるということです。多分、日本では音韻意識を理解して文字指導を考えられている人はいないのではないかと思うくらい、抜けている部分だと思います。しかし、これが結びつくと音から文字へ、そしてかたまりへの移行がとても楽になり、多音節の単語が無理なく書けるようになっていくということも松井先生のセミナーで実感しました。ここは私自身の課題でもありますが、松井先生のセミナーを受けるたびに、もっとここを学びたいと思います(ぜひ音韻意識と文字指導についてより詳しいセミナーをしてください!)。

最後になりますが、「3. 文科省担当者の問題点」です。先生がおっしゃっているように「①スモールステップで指導する」と言いつつも全くスモールステップになっていないというのは、文字指導だけではなく、すべてがそうなのでは、と思っています。文字指導にせよ読み指導にせよ「何を」「どう」「なぜ」指導するのかを理解していないと大人の視点での指導になってしまい、結局、子どもたちの特性に応じての指導ができません。特に視写の難しさを理解していない現場の方も多く、指導要領をいち早く直してほしいと切に感じています。


10月以降にまたセミナーをされるとのこと、時間が合う限り参加させていただきたいと思っています。
松井先生のセミナーは、核になる部分がはっきりしていて、スライドだけでなく受講者のことを考えた資料も作ってくださっているためとてもわかりやすいです。また、付録資料などもあり、受講者にとって優しいセミナーだといつも感じています。これは先生の文字指導への想いと現状をなんとかしたいというお気持ちからだとスクリーン越しからでも伝わってきます。本当にありがとうございます。


今回の受講は自宅ではなく隔離中のホテルからの受講だったため(おまけに時差ぼけもあり)、時々集中できないときがありましたので、また再度受講いたします。先生のセミナーに参加された方から「頭をガツンと殴られた気がした」「こんなに大切なこととは思っていなかった」など感想をうかがっています。みなさん共通して「受講してよかった。文字をもっと丁寧に指導したい」とおっしゃっています。私も同様に思っています。日本でも続け字が指導されるようになったらなぁ、と今回は特に強く思いました。どうぞ今後もご指導のほどよろしくお願いいたします。

山下桂世子

山下先生、ありがとうございます。

このようなフィードバックを次回に活かして、より良いものにしていきます。今後ともよろしくお願いします。

学校の、所謂「2学期」も再開です。
新型コロナの変異株の猛威の中、リスクを覚悟で登校し授業を受ける児童生徒、その授業のために出校する先生方の安全を願わずにいられません。
「学びの機会」は大事ですけど、命あってのものですから。

9月、10月以降の告知はまた日を改めて。

本日のBGM: I Wanna Stay Home (Jellyfish)

ご自愛ください

しばらくぶりの更新。
このところずっと原稿書きの方が優先順位が高く、なかなかブログ記事のメンテナンスや新たな投稿まで手が回りませんでした。完成の暁にはこちらでもご報告/販促したいと思います。

現政権の棄民政策もここに極まれり、という状況で、なし崩しで五輪を強行したツケがいろんなところで出てくると思いますが、生き延びることが最優先です。
まだ居住域でのワクチン接種の見通しが立たず、職域だと電車を乗り継いで2時間近くかけて移動する中でのリスクを考えると逡巡しますね。

このところ、「はてな」のどこかのブログで敬語の誤用を取り上げている人がいて、そこでこのブログの記事が引かれているらしいのですが、一次資料にブログ記事、しかも同じプラットフォームのものを使うなど、横着すぎません?とだけ言っておく。そういうのをアクセスできないように設定できるんだろうけど、面倒くさいので放置。

それよりも自分ごとで大事な告知を。

文字指導/handwriting 指導法セミナー 初級編
8月15日(日)13:00 - 16:30

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資料等のフォルダーへのリンクはメールにて12日の21:00以降に送付します。

翌週の中級編と合わせての申し込みも可。既に受講済みの方は、お知り合いの指導者にお薦めください。あと、もうずっと言っていますが、文科省関係者も、そろそろ受講した方がいいですよ。


8月22日(日) 13:00 – 15:30
文字指導/handwriting 指導法セミナー 中級編

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初級編(とそれに準ずる対面セミナー)の受講が条件ですので、初級編がまだの方は、8月15日の初級編の受講からお願いします。
中級編では
・欧文書体・フォントの基礎知識とhandwritingとしての文字指導(初級編の復習)
・発達段階と書体と筆順
・四線など補助線の発展的解消法
・シラバスデザインとjoining(文字の連続)の類型
・文字と文字の間隔 (スペーシング)の原理原則
・分割縦書きドリルの活用法
などを扱います。

7月の初級編を受講された方からフィードバックをいただいておりますので、長いですが匿名で紹介します。
特に中学段階の指導者には熟読していただきたい「声」です。私はちょっと落涙しました。

小学校で専科教員をしております。
立ち位置としては、外部講師のような位置付けです。
小学校では、文字指導の入門期にあたる大切な時期であるにもかかわらず、文字指導についての知識がないまま指導が進んでいる状況です。
文字指導は注意深く行っていましたが、根拠となるものがないまま行っていましたので、知らなかった新しい知識を得ることができましたし、今回のセミナーで自分の指導の裏打ちをすることができました。とても有意義な研修でした。
セミナー後に、小中連携の会議がありました。
中学校での文字指導はどのように行っているのか?という話を聞く場面では、アルファベットをAからZまで何人の生徒が書けないか、というところからはじまり、小学校で扱った600から700単語は既習であるはずなのに、読める子書ける子が教科化前より増えたものの、しらない、見たことがない、読めない、という生徒もいるので、、という話からはじまりました。
小学校英語の専科教員という立場上、必要に駆られ知り得た情報は確かに中学校の先生や小学校の担任の先生より多いのですが、知るべき人が知らないまま進んでいる現場は、ここだけではないと思います。知らないまま指導するのはとても危険なことだと思っております。
小学校英語の指導の現状を中学校と共有することの重要性を相互に理解することの意味を実感した会議になりました。
私は、小学校で児童が目にする文字をプリントする時にはWe canソフトを使い、四線を用いて書かせる部分の見本には、開隆堂のフォントを使っています。
五年生の文字指導の初期段階で文字練習をするときには、黒板に見本を書いて、数回空中で空書きをさせます。それから書かせるのですが、四線プリントに見本を印刷し、児童が書く場所には、スタートポイントに黒丸をつけて、始まりがわかるようにプリントを作っています。
開隆堂の四線付フォントは、プリントを作成する時にはとても使いやすく重宝していますが、先生の研修後、使うのは発表など考えをまとめるワークシートなど、文字指導以外のところにしようと考えています。
そのような話を中学校ともしたかったのですが、フォントの統一について話を提案したら、教科書のフォントが途中から、a や丸が2つ重なっているgが出てくるので気にしても仕方ない、という返事でした。
話を最初に戻し、アルファベットを書けない数人のことを考えるなら、その数人が書けるようになる授業を目指すべきだ。フォントの配慮で5人書けなかった生徒が2人に減るならば、必要な配慮だという意見を言い、アルファベットの採点基準も今一度中学校で話し合ってもらいたい、という話をしました。
中学校で支援員もした経験があるのですが、中学校3年の受験時に、恥ずかしそうに、先生、英語がヤバイ。英語を教えて。と来た支援対象ではなかった男子生徒は、その時点でアルファベットが書けませんでした。文法はわかるが、文字が入っていなかった。
数年前、成人式に参加した時に、その男子生徒が、先生あの時はありがとう!アルファベット書けなかった俺が、一部上場企業に就職できたよ!と言いました。
アルファベットが書けない、という子供を生まないよう、指導をしたいと思う原点の出来事です。
先生の研修後、さらにその思いを強くしました。
ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。


7月の中級編の受講者からはこのようなフィードバックをいただきました。
私としても初めての中級編講座ですので、このような声を元に、次回に向け改善点を探っております。

(1)大変参考になったこと
・初級編の振り返り 
 一ヶ月経過してますので、資料を見返しながらUnlearnを再確認しました。
・学習指導要領の問題点が大変よくわかったこと。
 英会話教室ではどのようにその困難さをフォローするべきか、が想像できました。
・つづり字のjoining練習をする際、音韻の異なるものを混在させない、ということ   
 想像したこともなく、目からうろこでした。いろんな練習が複合的に習得につながることを自覚すべきでした。
・名詞句についての練習法
 中学生の指導で、名詞句をすぐに見抜けない、そのパターンが身体にしみこんでいない、と感じていました。それでも現状はやれてしまうため、多くの中学生が高校まで持ち越していることが想像できます。さっそく、先生が紹介されたやり方で、繰り返しスピードアップさせながら、少しずつ長い名詞句までトライしました。文法問題として解いてもらうより、生徒の集中度が高く、意欲的にやってくれました。
・教室内評価の項目 語と語のスペーシングに指一本分、というのがわかりやすく、実践しました。小学生には大変わかりやすいと思います。
(2)今後への要望
・実際に書いているところ(スピードも含め)を目で見たいです。対面の時は周囲の方と比較する機会もあったと思うのですが、オンラインでもその機会があれば。
・指導者にありがちな、悪い例の実例 (ループは私もついやっていたので、混乱させているかもしれない、と反省しました。)
(3)その他
・初級編で、カウンターに顔を描いてみる、というヒントをもらって、実践したところ、カウンターの大きさや形状によく意識を向けて文字を書く生徒が増えました。
・個人的にレタリングやタイポグラフィの本を読んだりするのが好きなので、ワークシートを使った練習は大変楽しく、ついつい多めに余白に書いてました。
 小学生のレッスンでクリスマスカードを作ったりするので、見本を作るのが楽しみです。
・教えていただいたステッドラーの角芯ホワイトボードマーカーは使いやすく、スピードが上がり書く量が増えました。
・今後筆記具、使う媒体が変わっていく中で、英国などのハンドライティングのスタンダードがどう変わっていくのだろうか、と思いながら、今テキストを見返しています。


こんなセミナーも開講します。

8月21日(土) 14:00 – 16:30
受験生対象・英文ライティング/自由英作文に備えて

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以下の観点に留意して、大学入試レベルの「英文ライティング/自由英作文」に備える一番ベーシックな講座です。
・英語のテクストタイプとパラグラフの構造・構成の理解
・巷にあふれる出題形式別対策と英文のテクストタイプ別対策の違い
・テンプレート型対策と「つながり/まとまり」で書き進める対策との違い
・模範解答の暗記と自分で「アイデアジェネレーション」から始めることの違い

上記ガイダンス中にも取り組む課題はありますが、ガイダンスを理解したことを前提に、提出する課題として「お題」が一題課されます。
この提出課題に関しては講座中の制限時間内に「メール」でドラフトを提出してもらいます。そのドラフトに対して講師からの第1回のフィードバックが「メール」で返されます。受講者に共通する要素は、オンラインで講評・指摘されることがありますが、そのフィードバックに基づき、時間をかけて書き直したものを当日、または後日メールで提出してもらいます。その後、書き直したバージョンへの講評と今後へのアドバイスを含む第2回のフィードバックがなされて終了です。課題等詳細はガイダンスの際にお伝えします。

テクストタイプに応じて書く「英文ライティングの基礎基本」では、「事実を事実として記述/描写」することから始めています。ここで基本姿勢と「英作文眼」を養えば、秋以降のさまざまな教材から学べる深さが変わります。 直前期では難しいので、是非、この夏の機会に受講することをお勧めします。
当たり前ですが、「英検」なんか受けなくたって、英語のライティング力を高めることは可能です。要は「目利き」「腕利き」との膝突き合わせの活動をちゃんとやるかどうかですから。普通はそれを「授業」っていうんですけど、今は対面での実施は難しいので「オンライン」で。 よろしくご検討下さい。

本日はこの辺で。

本日のBGM: 今日も君が好き (馬場俊英 feat. 斎藤 誠)

「ブレるに注目したらあかんで。ブレないように、になるやろ、次から。」

本日のタイトルは武道家の日野晃さんのことば。

詳しくはこちらの動画を。

t.co

私の本業であるロウイングのコーチングにも当てはまることですが、「…しないように」「…にならないように」という目標設定はたいていうまくいかないものです。


さて、4月25日に続いて、5月9日の「文字指導/handwriting指導法セミナー」が終了しました。
今回は、不徳の致すところで時間のマネジメントがうまくいかずに、「あの曲」を流すことができませんでした。謹んでお詫びいたします。
それでも、参加者の皆さんからは、肯定的なフィードバックが寄せられていますので、いくつか紹介したいと思います。

トップバッターは、私も著作から色々と学ばせていただいている、倉林先生(@Kurab_H)から。

松井先生
本日はありがとうございました。感想というか気づきがいくつかありましたので、お送りいたします。

本日の松井先生の講座を受講して
5点の気づきがありました。
(1)指導する側が文字・フォントに意識を向けることで、学習者を惑わすことなく英語の学びの場に連れてくることができることがわかった。英語が苦手だという学習者は、その理由の一つに「文字の識別が難しい」と感じている可能性があるということを常に意識しなければならないということがわかった。そして「どのようなところで識別しているのか」「どこで識別できなくなるポイントがあるのか」ということを実際のフォントの解説を聞いて、フォントのバランス感覚がわかった。
(2)教員養成に携わる際に、文字指導についてきちんと扱うことができなかったことを反省しつつ、明日からの授業に活かせるヒントがいくつもあった。まずは、自分自身の文字を見直し、それから学生たちに指導をしていこうと思う。同時に、利き手の違いにより筆順を変えても良いという指導を教員がしてあげることにより、生徒、学生のストレスはかなり軽減されるはずだと思った。
(3)かつて高校で教えていたときにaを活字体のaを一筆で書く生徒が多く違和感を感じつつ直してあげることができなかったので、今後は「なにが正しく、何が誤っている」のかを指導できるようにしたい。
(4)音声と文字指導の結びつけ方、どうして今まで気が付かなかったのだろうと後悔しました。かつて中学で教壇に立っていたときは、「単語練習」を繰り返しさせていた。「やらせていれば大丈夫だろう」勝手な思い込みでした。
(5)松井先生の講義、程よい「間」というか、大切なところに入る直前の「ため」があるので聞くときに意識を向けやすくなった。これは情報の提示の仕方として見習いたい。

ちなみに、文字の練習のときはカリグラフィー用の万年筆で練習していました。文字の「間隔」という「感覚」が実感できました。


続いては、英語教室を開かれている谷口先生から。

一つひとつ丁寧にご説明いただき、また質問等にもお答えいただき感謝いたします。
ワークショップを受講し、目から鱗だらけでしたが、それにもまして自分があまりにもライティング指導についてしらないまま指導をしてきたことへの罪悪感を感じました。大学での教職、講義、研究ではもちろんのこと、国内外で受けてきた様々な英語教授法や学部の講義等でも学ぶ機会はなかったですし、正直ここまで細かい意識すらしたことがありませんでした。
子どもたちがなぜうまく書けないのだろう?なぜこうなるのか?を考えながらもひたすら4線に形をうまく書く書き方を教え続けてきました。

まず、自分自身のライティング、板書を注意し、自分の癖を知る。と同時に子どもたちの鉛筆の持ちかた、姿勢、紙やノートの動かし方から意識し指導していきたいと思います。

以下松井先生の講義へのフィードバックというより、私の学びと気づきをかかせていただきます。

補助線について
 補助線はあくまでも補助のためであること、補助の上にいかにきれいに書くか、書かせるかではなく文字が書けるようになるためにどう補助していくのがよいかを考えサポートすることが必要

文字の書き順と形
 生徒が書きやすい書き順、うまく形どれる書き順を指導することが大切。
 Yの書き方についての指導、目から鱗でした。
 書き順が決まってないからただ個々書きやすく書ける方法で書けばよい、と考えていましたが、個々の子どもの癖や性質を把握しそれに基づいた書きやすい、形づくり安い書き方を提案、指導することが大切。

 文字の形に関しても均等に、きれいに書くよりもむしろバランスを考えて書くことが必要

fine motor control の練習
ワークシートを使用して実際に自分自身でワークをできたこと、また昨日は小学1年の息子が隣にいたため、
 実際に息子も一緒にワークに取り組み子どものワークシートをチェックすることができたためよく理解できました。

 また何度も文字を書かせることの難点、それよりも順を追って、ていねいに一文字書くことをくりかえすことの重要性については目から鱗でした。さっそくクラスで取り入れていきたいと思います。

フォントについて
 大文字より長い小文字があること、分岐点や太さなどにより学習者、読み手によりわかりやすく、みやすいフォントを選ぶことが大切

視写について
 ある程度文字が書けるようになると、生徒自身も単語や文章を書きたがり、つい課題として単語の書き写し等をさせていることがありましたが、その前段階で十分に文字と音韻認識を学習してから順を踏んで行うことの大切さを理解しました。
ワークショップで学ばせていただいてことを一つひとつ取り入れながら、今後の指導に生かしていきたいです。またもし更に学ばせていただける機会があるのであれば、ぜひまた受講させていただきたいです。
ありがとうございました。

その他の受講者の方の声を続けます。

私は高校で勤務しておりますので、高校のカリキュラムとして英語の文字指導をすることはほとんどありません。
そのため、今回のセミナーも、最初の動機としては、自分の子供に文字を教える時期が来たときの参考にしよう、とか、
たまにいるbとdを間違える生徒の指導の参考になるかもしれない、というくらいの関心で受講を申し込みました。

しかし、先生のお話を聞くにつれ、予想していた以上の文字指導の奥の深さと射程の広さに関心を惹かれ、
子供や生徒のためという目的意識は後退し、文字指導にまつわる先人や先生方の取り組み自体に感動を覚えていました。
(もちろん目的意識も忘れてはいませんが…。)
私自身は仏文学を専攻していたために、大学では触れることのなかった世界でした。
英語教育を専門に学んだ方なら大学で必ずやるような内容なのかと思いきや、他の受講者の方々の反応を見ると、
どうも必ずしもそうではなさそうなので驚いています。

先生のお話で、微妙なdescenderの形や太さの違いや、分岐点の位置の違いに込められた意図を知り、フォントを見る目が以前とは全く変わりました。
大文字のYは発達段階に応じて様々な書き順・書き方があってよいというお話や、右利き・左利きで筆順を変えるとよいというお話も目から鱗でした。
これまでディスレクシア傾向の生徒にもおそらく接していたはずで、そのような生徒に対していかに配慮のない板書をしてきたかを考えると、非常に申し訳なく思います。
また、文字の形に着目して類型化し、ワークシートでまずは文字そのものではなく形の練習をするという方法も、考えたこともない発想であり、非常に勉強になりました。
他ではほとんど聞いたことのない話であり、受講して良かったと思います。

まずはgのdescenderをループしないように書く練習をしつつ、教わったことを今度の生徒への指導に役立てていきます。
あらためて、本当にありがとうございました。

こちらの方の声や、次の方の声でもわかるように、小学校、中学校段階の指導者だけでなく、高等学校以上の段階の指導者にも多くの「気づき」があるセミナーだと思っています。

日曜日のセミナーではたくさんのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。
 まず、このセミナーを終えて、以前は見ることの出来なかったものを見ることが多少なりともできるようになったと感じております。そもそも識別しやすい文字とは何か、そのような文字を手で書くに至るための発達順序など、新しい視座を得ることが出来たセミナーでした。もちろんhandwriting指導の全てを分かったつもりではおりませんが、handwriting指導のきっかけを与えていただいたことに感謝しております。
 それと同時に、今まで見えていなかったものを見ることができるようになり、自身が生徒にどれほど惨いことをしていたのか、また、しているのかということに気付きました。今まで、生徒の字をきれいだと思ったり、汚いと思ったりしたことはありましたが、その美醜というか識別のしやすさは、文字列のどのような点から来るのかということに考えが及んだことはありませんでした。同じ職場の教員とテスト採点時に「この字は n に見えますか? h に見えますか?」という話をしたことはあっても、その生徒に文字を手で書く指導をしたことはありませんでした。丁寧に文字を書くとはどういうことかを自身が知らずして、 「丁寧に書きなさい。」という指導をしていたことを申し訳なく思います。
 昨年まで教えていた生徒にアルファベットがうまく書けない生徒がいました。文字の大きさがばらばらになり、左右に転び、また、かなり多くのスペルミスをする生徒でした。そのような生徒に何か配慮をせねばならないと思いつつもどうすればよいのか分からず、毎週のように課される単語テストで低い点数をとらせてしまっていました。その生徒にも本当に申し訳なく思います。知識があれば全てを解決できていたとは思いませんが、何かしらの配慮ができていたのではないかと思います。
 いまこのメールを書いている机の上にも生徒が書いた提出物があります。注意してみると、n,h,m に pen lift が見られ、一筆で書いていない生徒や、 s の最後に巨大なフックがついてしまっている生徒がいます。少しずつ色々な生徒をみていこうと思います。矯正はできなくとも少しでも良い文字が書けるよう改善のための手段を考えていきます。本当にありがとうございました。

新たな気づきでの自責の念、自らの知識をunlearnする痛みを訴える指導者が多いことも、私のこのセミナーの特徴、傾向の一つといえるでしょうか。

先日のセミナーありがとうございました。
私は普段から手書き文字に関して、自分が書く文字も、他の人(生徒のみならず指導者も含め)が書く文字も注意深く見ているほうですが、そんな私でも「それまで見えなかったものが見えるようになる」内容でした。「手書き」に近い欧文フォントの比較の説明を聞いて、私自身の書く文字も教育的配慮から、いくつか見直そうとも考えております。
文字指導は、主として小学生や中学生を指導している方が関心を持ちそうな内容と思われがちですが、全くそんなことはなく、私のような高校生・高卒生を指導する者にも想像していた以上に得るものが多く、その内容に感動しました。
板書などで生徒に見せる文字を書き、また生徒の書いた文字をノート・テスト・添削などで目にするのですから、どの層の指導者であれ、このセミナーで語られる内容は是非とも押さえておいてほしいと思いました。
この内容を共有する指導者が多くなるほど、無用な負荷で苦しむ学習者が少なくなるはずです。
それは松井先生もブログやツイッターで引いておられましたが、谷川俊太郎の詩

わたしは幸せです
でもわたしが幸せなだけでは
世界は良くならないと思うのです
違いますか?
(「幸せ」)

のような思いからです。
また何か開催されましたら、ぜひ受講したいと思います。
このたびもありがとうございました。


受講された方の多くが気づくことだと思うのですが、「それまでに見えなかったものが見える眼」を持つことの意味、責任のようなものを感じ取っていただけているのであれば、このセミナーを開催して本当によかったなと思います。

ということで、次回の「初級編」の紹介・告知です。こちらのリンクからどうぞ。
5月30日(日曜日)13:00から 
オンライン開催です。

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本日のBGM:ぼくらが歌をうたう理由(ポニーのヒサミツ + 中川理沙)

ポールは立てないけれど…。

早五月。

今日も告知を。

4月25日の「初級」と同じ内容で、行う「文字指導/handwriting 指導法」のセミナーです。

2021年5月9日(日) 13:00〜16:30 オンライン開催

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絶賛受付中です。

これまでの受講者の声は、こちらの過去ログにまとめていますので、受講を検討する際の参考にして下さい。

tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

tmrowing.hatenablog.com

4月の「文字指導/handwriting指導法セミナー」の受講者からのフィードバックのうち、リアルな「声」というか、「叫び」に近いものをご紹介します。講師の私の胸にも刺さりました。

セミナーの感想を一言でいえば、まさに「思い込みからの脱却」。
副題の通りです。
事前に資料をプリントアウトし、目を通していたのですが、お話を聞くと、その予習で得たものさえ思い込みだった…。
というか、初めて英語を学んだ中学1年生の日から、自分が教える側にたってからの期間も含めて、なぜ誰もこのことを教えてくれなかったのか?そして自分は気づき、学ぼうとしなかったのか?という驚き。

今まで英語関係の勉強会やセミナーなど、それなりに出ていましたが、このような基礎中の基礎ともいうべき内容のものは初めてです。テキストやノートで、様々な種類のフォントや四線が使われているのは目にしていましたが、それぞれの特色や意味など、深く考えたことがありませんでした。

驚きをもって学んだことをいくつか箇条書きにします。

  • 指導は小文字から
  • 補助線は補助にすぎない
  • 文字の”からだ”の名前
  • フォントの比較
  • 目にする文字の間での差、見る文字と書く文字の差
  • 形の認識<動きを意識
  • 同じ動きの入った文字を一緒に
  • 球+棒”を避け一筆書き
  • カウンターの形状と分岐点

恥ずかしながら、まったく知らなかった世界であり、非常に興味深く、ほほう、ほほうと感嘆の声をあげながら受講したのですが、最後まで解消されない疑問も出てきました。

まず、なぜ、せめて教科書だけでも(望ましくは、問題集などもすべて)初学者に易しいフォント、字体、4線を統一しないのか?
どんな文字を使うかは、教科書の出版社に一任されているとのこと。公立の学校で使用される教科書だけでも、現時点で日本で最適と思われるものに統一されるべきでは?

特に小学校と中学で使う書体や4線が異なっていれば混乱するかと思うのですが…。今回は様々なフォントとその特徴の紹介が主でした。もちろん、識字障害の方にはこのフォントは向いているなどのコメントはありましたが、私の中では、最終的に最適なものはどれなのかが、よくわかりませんでした。

もちろん、意図的にそのような言及をさけられたのではないかと思うのですが、実際のところ、悩みます。さまざまな会社のテキストを使っていると、書き順、字体の違いが多く、その都度子供たちから、どれに従うべきなのか、質問を受けます。メインテキストとワークブックなど、それぞれ違っており、また気づけばホワイトボードに書く私の文字も違っていたりして…。また、こちらに入ってくる年齢がまちまちなため、いろんな程度の”うろ覚え”の生徒さんたちがいます。その”うろ覚え”のソースも、小学校で習う”ローマ字”、パソコンの授業で身近になるキーボードの文字、看板、洋服、漫画などいろいろな場面で見かける様々な文字…と様々です。母語でも同じなのでしょうが、いったん感覚で覚えてしまったものを”矯正”することの難しさも日々感じています。

そしてもう一つ。受験時の採点ではどう判断されるのか?先生も書かれているように、”学校現場の手書き文字の「テスト」での〇×△に関してのローカルルールが多数存在”しており、中学生に対して”Mの「谷」が基線まで伸びていなくてもまったく構わない、ということを周知”することは難しいです。学校のテストの採点において何の権限もない、いわゆる”塾の先生”である自分にとっては、やはりひとつ”コレだ”という手本が必要であり、そのためにも、”教科書のフォント統一→習う文字の形と位置の統一” を求める気持ちがあります。中学一年生で、模範となる文字指導をし、その後、4線がなくてもある程度、模範形に沿った、誰からも識別されやすい文字を書けるようになってほしいというのが、現在の私の考えです。

小学生低学年はともかく、教科書が改訂され、覚えることが多すぎる(と感じています。)中学一年生にどれだけの時間を文字指導にあてることができるのか・・・?不安はありますが、まずは教える側である私が今回のような知識を得ることができたことを第一歩と前向きに喜びたいと思います。

今回のセミナーに続く中級編?を望む声がよせられている…と聞きますが、私はもう一度初級を聞き直して理解を深める必要があるように感じています。つけてくださった資料なども、少しずつ読みながら勉強していきたいと思います。日々のレッスンに追われ、自分自身の勉強がおろそかになっています。今回のセミナーを良いきっかけに少しずつ、学んでいきたいと思います。ありがとうございました。

長文で率直な想いの溢れるフィードバックでした。ありがとうございます。

ここ3年ほど、文字指導に関わるセミナーを開いていますが、英語教育に携わる人でさえ、多くの方が、
「文字指導のセミナーに5千円も払うなんて!」
「休みの日に、3時間とか4時間とかかけるだけの意味や価値がある?」
「受講者の声で紹介されている内容がウソ臭い!」
などと感じていることでしょう。

私としては、

  • 他では得られないものが得られるまたとないチャンスですよ。是非に!
  • 想像しているものの、かなり先に行けて、さらにそこから今まで見たことのない景色が見られますよ。

としか言いようがないのですが、ソーシャルメディアでは、次のようなプラスの反応もありますので、このセミナーが不要となる日まで、地道に普及啓蒙をしていきたいと思います。

一昨年のセミナーを受講して下さった大名力先生のツイート


同じく一昨年のセミナーを受講して下さった手島良先生のブログ記事。

ameblo.jp

ameblo.jp

昨シーズン、今シーズンと連続で受講して下さった山下桂世子先生が、昨シーズンのセミナーに参加した際の振り返りのブログ記事。

英語の文字指導/ handwriting 指導法セミナー
https://kayokoyamashita.com/archives/15908

こういう方たちにも、handwriting指導法の理解を深めたり、ご自身の実践や研究との接点を実感していただく機会を提供できている、というのはなかなかに意義深い、貴重なセミナーなのではないか、と思っています。

連休明けの5月6日(木)の21:00まで受け付けていますので、よろしくご検討下さい。

本日はこの辺で。

本日のBGM: First of May (Bee Gees)

寄らば大きな…。

東京は、またまた「緊急事態宣言」。隣接県在住の私にも多大な影響あり。なにせ、仕事場が都内ですのでね。
無策のツケを市民に負わせる政治には辟易。

生存確認も兼ねて、生業の英語教育関連での告知などから。

4月25日の「初級」と同じ内容で、行う「文字指導/handwriting 指導法」のセミナーです。
2021年5月9日(日) 13:00〜16:30 オンライン開催

passmarket.yahoo.co.jp

  • 文科省で指導する立場にある方も、そろそろ私の話を聞きに来てはいかが?自治体の指導主事の方や、大学で教科教育法を担当されている方は既にいらしていますよ。

5月には、さらに「名詞句」関連か「英文ライティング」関連でのセミナーも企画検討中です。ソーシャルメディアの告知をお見逃し無きよう。


6月12日(土)
関西英語教育学会 (KELES)
第27回研究大会 企画ワークショップの2
英語教材の文字の話: 「文字指導」を語るなら、このくらいのことを考えておいてはどうか

sites.google.com

  • 巷の「文字指導」の話で、「それ、ピントがズレてんじゃないの?」と思うことが多くなってきたので、セミナーだけでなく、こういった「学会」からのオファーもお受けしました。英語の「教材における文字の扱い」から考える場としたいと思っています。

小学校の英語教科化も二年目を迎えた。それ以前の「教材」であったWe Can! で採用された欧文書体(フォント)が従来のものと大きく異な ることが注目され、補助線である「四線」の間隔が物議を醸した。小学校の検定教科書で、UDフォントの採用などの変化が見られたことで、 今年度から新課程となる中学校の検定教科書でも、中1用では各社で「文字」の扱いに配慮、工夫が見られるようになった。今回は、そのよ うな「目に見える変化」も含めた、教科書や教材での「文字そのもの」の扱いの問題点を取り上げる。「文字指導」という観点では、 handwriting に焦点を当て、児童生徒が「目にする文字・読む文字」と「実際に書く文字」の適切な扱いを考える場としたい。


あと、随分先の話ですが、

9月25日(土)
日本テスト学会 第19回大会
公開シンポジウム:大学入試の「英語」はどこに向かうのか
企画・司会:南風原 朝和
話題提供者: 大津 起夫、渡部 良典、阿部 公彦、松井 孝志

www.ai.lab.uec.ac.jp

  • この企画は、実は昨年の9月に行われるはずだったものです。所謂「コロナ禍」で、大会そのものがキャンセルになってしまい、私としても、「共通テスト」の開催前に問題意識を喚起しておきたかったので残念に思っていました。今回、大会はオンラインでの実施で、しかも再び「シンポジスト」としてお声掛けいただいたので、「英語ということばを高等学校段階で30数年教えてきた者」として、さらには「英文ライティングを含む英語教材のマテリアルズライター」の視点で、「大学入試」に斬り込みたいと思っています。

生業の「英語教育」の基本は、やはり「実際の指導場面」での「人」と「ことば」です。
日々の授業を充実させるには、「教材研究」が不可欠。
最近、小橋雅彦先生がこんな本を出されました。

若い英語教師のための教材研究入門 小橋 雅彦

www.kyoiku.co.jp

twitterでも紹介したのですが、あっという間に「100いいね」が付き、ちょっと驚いています。

https://twitter.com/tmrowing/status/1385749817008160773?s=20

2021年4月25日現在、密林では在庫切れですね。

ホントに教材研究って大事なんですよ。「読み」がデフォルトの教材が多いのに、「読むのに適していないエイブン」とか、「つながり」や「まとまり」が、そこかしこで崩れているのに、「主題を問う」内容理解の設問に答えられたら、読めたことにしてしまうものなどの存在に気づくのは、教師が自分で読むからこそです。

私がどのように教材研究をしてきたか、そして今、しているかは、このブログの過去ログや、twitterなどのソーシャルメディアを読んでいただければよく分かると思います。
先日、まだ私が若かった頃から多大な影響を受け、僭越にも追いつき追い越せと思いつつも、某テスト部で一緒に仕事もさせてもらったT先生から、こんな呟きを投げかけられました。

https://twitter.com/Shun1t/status/1383676461521903618?s=20

私の回答は今までにも表明している通り、T先生ご指摘の「一覧性の悪さ」は意図したものです。情報として消費されるのがイヤで、見出しとかのタグ付けを一切排して、一本の記事の初めから終わりまで読めばわかるけど、欲しい情報だけつまみ食いして読むことができないように書くことを心がけていました。更新頻度が低下した今では、告知が多くなってはいますが、基本は同じです。もっとも、はてなのブログには「検索窓」がありますのでね。

ということで、教材研究で本当に大事なこと、視座、技術、資料などで、他所では得難いものなども、どこかを探して、くまなく読めば分かると思います。タダほど高いものはないっていうじゃないですか。お時間と心に余裕のあるときにでも。

本日のBGM: みちくさ (浜田省吾)