弁別と分別と

先月の30日以降、一度も更新できないまま、年の瀬、大晦日を迎えました。

まずは業務連絡から。

2014-2016年程度の更新はしたかったのですが、年内に「はてな」の方から、「ダイアリー」を終了するというアナウンスがあり、このブログの在り方も考えあぐねているうちに、40 に満たない更新数となりました。現在は、「はてなダイアリー」と「はてなブログ」に画像以外は同じ情報を入れて更新していますが、既に「はてなダイアリーでのファイルアップロード」ができなくなりましたので年明けからは「はてなブログ」のみの更新になるかと思います。現在、「ダイアリー」の方にブックマークなどをされている方は、「ブログ」の方への変更をお願いします。また、2019年の1月中旬以降は現在読むことのできるファイルも全てダウンロードができなくなりますので、読みたい記事がある方はお早めに。
そういう私自身がまだ全ファイルのバックアップが終わっていない状況です。データファイルの移行・移植どころか、この足掛け15年の英語教育関連の情報が失われる可能性もありますので、宜しくお願いします。

生業の実作では、2学期終了後は、冬期課外講座が28日まで。
高3生は、「センター試験」に向けた情報の整理でした。

センター試験の筆記って、全国平均点は120点前後なのですが、最頻値は150-160辺りにあると思うので、100点に満たない人たちが毎年大量に存在するわけです。
過去問を使って解答をしてみて、60点〜80点の人を100点を越えるようにするのって、結構大変なんですよ。
そういう生徒は、読解だけを取り出してみても、語彙、文法、つながりとまとまりや論理構成のあちこちに穴があります。「まずは語彙から」とか「まずは文法を」といった「積み上げ」型の学習を上手くこなしてこれなかったからこそ、それだけの穴を残して今に至るわけですから、ただ「基礎に戻れ」とか「できる問題に集中」といってもあまりご利益はありません。
にもかかわらず、類題とか予想問題とかを使って(作って?買って?)、「その問題はやったことがある」という、再現性を高めるかのような作業が「センター試験対策」になりがちです。

最近見たある対策教材では、高得点者グループとその下に位置するグループでの小問ごとの正答率を示していたのですが、高得点者グループは全体で9割以上の得点率、その下でさえ全体で8割以上の正答率となっているので、受験者全体の英語学力の実態解明には殆ど役に立ちません。
大学入試センターが作成する「本試験・追試験」と比べた場合に、業者の模試にしろ、問題集にしろ、その構成や形式、分量では似せられても、問題の質という点では、せいぜいが劣化コピーですので、その結果に一喜一憂する必要はありません。模試に何か利点があるとすれば、全受験者のデータ処理後に、大問、小問ごとのクロス集計が見られる、と言うことくらいだと思うのですが、小問での正答率と誤答率、さらには選択肢ごとの選択率などは、個別に見ないとわかりません。センター試験の本試験のあとには、業者におんぶに抱っこで「データリサーチ」を行い、前年度に比べて各教科科目、文型、理系、全体での平均点の上下などがいち早く「公表」されます。これに基づいて、個々の生徒の個別試験での強み(弱み?)を勘案して、出願の最終決定をする、というのが、一般的な流れでしょうか。

ここでの焦点は、出願に当たっての合格可能性のようなものですから、その回の出題で、英語の学力の上下、優劣(?)を弁別できた問題とそうではない問題は何だったのか、にはあまり関心が払われません。その回の出題の何が好ましくて、何が好ましくなかったか、例えば、古典的な分類に従って、全体の総得点で上位の者、中位の者、下位の者、と分けた場合に、個々の設問はそれぞれを弁別できていたか、選択肢中のその錯乱肢は弁別に機能していたか、などなど、せっかく同世代の50万人が受ける「国民的試験」であるにも関わらず、そのデータが、受験生本人の英語学力の診断にも、次にその試験を受けることになるであろう学習者への学習の指針・指標にも活かされていないのは残念です。

これって、大学入試センターが責任を持って、統計処理して発表すべき情報なのではないでしょうか?受験生当人に1ヶ月でフィードバックするのは無理としても、翌年度の早い段階で、情報を公表できれば、どのレベルにいる学習者であれ、「今の自分にはできなければならない問題」だったのか、そうではないのかがわかると思うのです。

現時点で、何か、出題・問題そのものへの関心が高まるとすれば、それまでになかった「新形式」の出題があったときと、「出題ミス」が疑われるときくらいでしょうか。ミスはできればない方が良いし、もしあったとしたら、早急に対処するべきです。しかしながら、出題ミスとまでは言い切れなくとも、これまで見てきて「好ましくない出題」、「改善が求められる出題」というのは確実に存在します。

もうすぐなくなるといわれている「センター試験」作問チームのモーティべーションが高いまま持続してくれることと、これまでDNCが蓄積してきたこの国の若者の英語学力に関する膨大なデータが、英語教育の改善に役立てられることを強く願っています。


以上、本年最後の更新となりました。
新年以降、「ダイアリー」終了後、どうなるかはまだ未定です。ダイアリー終了とともに、この「ブログ」自体もとじるかも知れません。
ということで、これまでのご愛顧に感謝して、コメント欄を開放しますので、ミ○とク○の区別のつく、分別のある方からの、このブログに関するご感想などを受け付けます。コメントは承認後、年明けの更新で反映させたいと思います。コメントの承認・不承認は私が決めますので、反映されなかった場合は、悪しからず。

それでは、良いお年を。

本日のBGM: I Gatta Praise (Paul Heaton & Jacqui Abbott)