♪オーロラより冷たいね♪

2月もいよいよ終わりというのに、氷点下の朝が続きました。
ピョンチャン冬季五輪も閉幕。
来月にはパラリンピックがあります。
で、今回の五輪の話から。

  • もしキム・ヨナさんが現役を続けていたとしたら観に行っていただろうか?

などと考えたこともありました。何しろ、イタリアのコストナー選手は団体戦も個人戦もフル出場ですから。でも、開会式でのあのサプライズ演出で満足しておきます。
今大会を中継で見ての感想ですが、フィギュアスケートは技術と芸術の極みへと近づいたように思います。

女子シングルでは、メドベデワ選手とザギトワ選手、OAR二人の頂上決戦でした。
三位争いに注目が集まりましたが、その頂上二人に一番接近できたのが、ダイナミックさ全開で跳び、滑ったカナダのオズモンド選手だったと言えるでしょう。宮原選手の個人戦は二本揃えたどころか、自己ベストの更新で、4位という結果も、晴れ晴れとした気持ちでみることができました。ただ、この場に、リーザもラジオノワ選手もいないなどとは4年前には想像もしていませんでした。オズモンド選手もキャリアが危ぶまれるほどの怪我からの復帰で第一線に戻り今回の表彰台に、メドベデワ選手も宮原選手もシーズン半ばでの故障明けからの調整での出場です。高難度プログラムが増え、精度を高めるためにトレーニングの強度もあがるだけではなく、各種のアイスショーへの出演もコンディションを整え、ピークを合わせることを困難にしていると思います。

ディック・バトン氏以来、66年ぶりの連覇が羽生選手に集まった男子シングルですが、私が一番期待していたのは「フィギュアスケートの未来」、ネイサン・チェン選手でした。団体戦から今一つしっくり来ていませんでしたが、ショートでは見たことがない崩れ方。そして、ソチでの浅田真央選手を思い出させるかのような、フリーでの爆発的な4回転6本!鮮烈な記憶として、見ている人に焼き付いたことでしょう。

銀メダルは、宇野選手。「眠そう」「起きて!」などとリンク外の挙動が話題となっていましたが、競技そのもので、今シーズンを通しての安定感は驚異的です。羽生選手が個人戦に専念ということで団体戦でも重責を担っていました。フリー冒頭でのミスのあと、しっかりと作品を作り、終えられる希有な才能です。
銅メダルはフェルナンデス選手。(私のワードは、もう、「フェ」と入力すればこの名前がでてきます。)かつて、私はこうつぶやきました。

コレオというかアートとして見たら、フェルナンデスのプロの方が芸術性は高いのだろうけれど、羽生選手の滑りはその1つ1つの技そのものがもう芸術の域に達しているような気がする。
https://twitter.com/tmrowing/status/675067092379545600

五輪シーズン、ショート、フリーといい作品を仕上げて来ましたが、フリーでのミスが響きました。それでも、4回転サルコウで道を拓いてきた彼のジャンプは本当にダイナミックで男性的な美を感じます。

そして、羽生選手。

  • 本当に間に合うのか?

誰もがそう思っていたであろう、故障からの復帰初戦どころか初演となるショートプログラム。
圧巻の演技。
五輪に魔物がいるとすれば彼のことではないのか?とさえ思いました。
あれだけ滑れるのだから、あれだけ跳べるのだから、と期待が募るフリーでは、後半に危うさを見せながらもお手付きもせずに終演。他を寄せ付けない「強さ」を見せつけたといえるでしょう。

記者会見では、まだ痛み止めを使わなければ着氷すらできない、完治にはほど遠い状態での試合だったことを明らかにしました。
それでいて、ショートでの3Aの流麗な美しさ、フリーでは冒頭の4S以上に、今ではジュニアでも跳んでいる4回転ジャンプである、4Tで、これまでに見たことのないような完成度の高さを見せてくれたことに感謝しています。
羽生選手の連覇はまだ歴史の序章なのかもしれません。

ペアでは、ロシアのスト&クリが、まさかのIOC裁定で出場が認められず、中国、ドイツ、カナダの争いに。ショートでの痛恨のミスで、表彰台からも…と思われた「ドイツ」のペア、サフ&マソが大々逆転の金メダル。ちょっと泣きました。スイ&ハンの五輪頂点は次回の北京で、と期待しています。

「ヴィカ様のいないアイスダンスなんて…」と思っていた、アイスダンスでの頂上決戦は、ショートダンスでの悔やみきれない「事故」もあり、少し落ち着いてから振り返りたいと思います。

今回の五輪で競技者としての現役に別れを告げるスケーターも多いことでしょう。また、各国の出場枠の関係で、混戦の代表選考で惜しくもワールドに回った樋口選手など、まだまだ「五輪」という舞台で見たかったスケーターたちはたくさんいます。一人のファンとしては、皆がそれぞれの「アリーナ」で自分の理想を追い求める環境を得られることを願っています。

スケーターといえば、こちらも忘れてはいけません。

スピードスケート。
応援していた高木選手も団体追い抜きで金メダルを獲得。
小平選手は勝つべくして勝つことを「体現」してくれました。「己を成す」ということですね。

選手団も帰国、記者会見など祭りの余韻はしばし続くことでしょう。
私は週末から学年末試験。
まずは作問を成します。

本日のBGM: 素敵なパメラ(南佳孝)