”Let me get by”

2017年「大学入試センター試験」外国語 英語・筆記
に関して、簡単にコメントしておきます。

全体として見れば、過去4年、5年で、最も易しかったのではないかと思います。

Odd Ones Out あるいは The best is yet to come.
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20140119

の2014年の過去ログでも書いていましたが、例年は60分かからないくらいで解答を終えていたのに対して、今年はおおよそ45分で、しかも、解答に際して「?」が浮かぶものが全くありませんでした。あくまでも「解答に当たって」であって、英語(表現・論理展開・文体)としての「?」とは別ですよ。

2005年から2016年までの「センター試験」批評はこちらにリンクをまとめていますので、お時間のあるときにでも是非。

... because I have played them too
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20161228

で、2017年です。
第1問 所謂「発音・アクセント問題」 
おそらく、全体の総得点との相関が最も低い大問なのではないかと思っていますが、そういうデータはDNCは出してくれないんですかね?毎年全国で50万人以上が参加する一大イベントなのにね。

私はかねてより、廃止を訴えている設問なので、授業でも「過去問演習はしませんよ」と伝えています。いや、発音と綴り字の関係は丁寧に教えますし、授業での調音や強勢は結構厳しく指導していますよ。でも、こういう問題で対策を立てたりはしないということです。

A の「他の3つとは異なる一つを選ぶ」、という「音声化」の知識を見る設問ですが、
問1の選択肢、appear / fear / gear / swear の4つであれば、例えば、earとwearをそれぞれのグループリーダーとしてその仲間を押さえておく、というような知識の整理が問われているわけですが、なぜ、グループリーダたるearの発音はそうなっていて、wearの発音はそうなっているのかは詮索してもあまりご利益はありません。強いて、授業で扱うとすれば、tearのように、「発音が異なると違う語=違う語は発音も違う」あたりですかね。で、当然のことながら、このtearという語の発音(音声化)の知識は、この形式では問えないわけです。

近年、「カタカナ語」で定着している音の知識と英語本来の音声とのギャップが問われる出題も見られましたので、問2の 最初の語を目にしたときに、ちょっとドキっとしました。

  • attaché

のわけはないよな、と思いましたけど、最近、『現代例解国語辞典・第5版』(小学館)の「アタッシェケース」(同辞典、p.26) の日本語コーパスに基づいたコラムでの情報が頭にあったから。当然、こういうのもテストには向かないわけです。

問3の -ss- の発音に関しては、選択肢の3と4を並べている時点で、お粗末でしょう。下線部の位置が、3だけは語尾で、4(も含めて他)は語中なんですから。せめて、assessくらいを準備しないと。

Bは、いわゆる「アクセント」。
これも、「他の3つと異なるもの」を選ぶわけですが、自分が分かる3つのなかに異なる語が一つあれば、残りの一つの語を全く知らなくても正答は選べてしまいます。ただ、4音節以上の語で、特に形容詞や名詞の場合には、その語の置かれた環境によって強勢は移動する(この言い方そのものが、面白い言い方なんですけど)ことが多々ありますから、英語の運用力は高いのに、このように語を「裸」にされるとかえって分からなくなる、という生徒もいることを忘れないようにしています。
今回の出題だと、definitelyは容認できるけれど、independence / democratic / resolution は再考した方がいい、ということです。COBUILD系の辞書を普段使っている人には釈迦に何とやらですね。

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/definitely
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/resolution

第2問
大幅に易化。大丈夫か?と思うくらいだけど、それだけ「文法・語法」の知識さえ定着していない受験生が増えたということの反映なのでしょう。
A
問5の所謂「分詞構文」と時制のズレですけど、私の授業では「助動詞の番付表」をずっとやっていますから、<大関+小結の合体ロボ>で瞬殺ですね。それよりも、Rameshって誰なのかが気になって仕方ありませんでした。

画像検索の結果をば

https://www.google.co.jp/search?q=Ramesh&client=firefox-b&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjh0uSHu8PRAhUJXrwKHThiCsUQ_AUICCgB&biw=1280&bih=611

近年出題の2枚抜きの問題も、問9、問10は選択肢の 2, 4 のthan, have がお粗末。
問9 はその直前に as kind とあり、問10では文末にlast Saturday とあるのだから。


B
対話文になっている必然性が本当にあるでしょうか?選択肢だけで解けてしまっては意味が無いと思うのですが…。
問1は、整序する最後の下線部の右の itが何を指すか?という確認ができていればいいかな。

問2 は動詞 cost の意味順で二つ目の「だれ・なに」スロットが確認できていれば大丈夫。

問3は how come …? の語順と形合わせなので、知らないとちょっと困るかな。


C
この「8択」形式はもう止めて欲しい。廃止を求めます。
問1 remember のあとに to原形か、-ing形かで意味に差が生じる、というのは理解できますが、realizeは、同じ「ワニ使い動詞」の仲間であっても、コトガラとしては「名詞」か「名詞節」を取るわけですから、錯乱肢として機能していません。よって、解答に当たっての選択肢の 1から4は意味が無いことになります 。

問2 空所の後に “for you, too” がある時点で、interested は消えるでしょ?その時点で、奇数番は消えることになります。

問3 規範的な立場からすれば、I wonder の後の節であって、疑問文ではないのですから、最初の how can we は不適切なものとして除外することになると思います。話しことばではよく聴きますし、「呟き」などではよく目にしますけどね。あとは、persuadeの目的語に it が来るのはどんな場合?まさか「性別の分からない赤ちゃん」?「高度に発達したAI」?という、それこそ Wonders will never cease!

第3問
A
ここでもまた対話文陥穽、いや完成。

問1 学生と教師の対話。教師の最初のセリフに “I don’t have time today” とあり、最後のセリフに “before you come” とあるのだから、ねぇ?

問2 渡辺謙とイーサン・ホークの対話(?)。イーサンは最後に “I know, but ….” といっている割には、どこにあるのか全然知らないという。「随分遠いね」とか「交通費が高すぎる」とか、行きたくない理由を作りたかっただけなのでは?この後の展開で予想されるのは、「では、いっったい予算は幾らくらいまでなら出せるのか?」ということでしょうね。そこを問題にすれば会話のやりとりのセンスが診られるのに…。

B
所謂「不要文指摘」問題。本来は、パラグラフライティングで、「つながり」と「まとまり」の力を診るための代替的な問題としてよく使われるもの。まとまった記述をさせることができないので、その代わりに複数題の出題をする、というもののはず。
比較的新しい出題で、「ライティング」教師の立場からは歓迎していた問題ですが、今年は、これまでで一番簡単なのでは?

問1 下線部の前に、「何の話しなのか?」という主題が決まらないとダメでしょ?「足の悩みを減らすための proper shoes; the right shoes の選び方」なのだから、この時点で主観的形容の fashinableが外れます。

問2 第2文で「利点と欠点がある」と言っているのだから、利点を述べていないものや、欠点を述べていないものがあれば、それは除外ですよね。

問3 第1文の読みが全て。「記憶の定着とそれを最初に覚えた場所」が主題なのだから…。


C
私の生徒も大好きな「ディスカッションもどき」問題。
これだけ長年に渡って批判してきた甲斐もあって、ついに登場人物が増えました。パチパチ…。
高1,高2の課外授業で「地域住民の集会があって、施設の再利用とか、地域の再開発に対して意見を集約するのに、発言する住民が3人、司会者気取りが一人ってどういう地域社会なの?私の住んでいる自治会だって20世帯以上あると思うよ。」という話しを1月14日の土曜日にしたばかりでした。まあ、増えたと言っても、Alice, Tom, Carol, Rick, Leslie, Ellenの僅かに 6人なんですけど。

  • 誰と誰が同じ意見か?

という部分を考えるだけで、今までと全く同じです。Aliceは市長から取りまとめ役を委嘱されたにしては、Carolがいきなり持論を言い始めて、すぐさまRickが同意して盛り上がってるし、せっかくAliceがその二人の話しをまとめたと思ったら、今度は間髪入れず、LeslieとEllenが勝手に反対意見を言い始めて、Aliceはよく怒らずに司会を続けているなぁ…、というよりも、サッカーやラグビーの審判宜しく、ディスカッションをもっとコントロールしないとダメなんじゃないの?

今年は、第2問までに4分ちょっとかかって、第3問はどうかな?と進んできたら、ここはA, B 併せて約3分, Cで4分で終了。前半の第3問を12分弱で通過しました。

とりあえず、前半にあたる第3問までを駆け足で。
以下、第4問からは、また日を改めて。

本日のBGM: Anyhow (Tedeschi Trucks Band)